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豫
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かね
ふりがな文庫
“
豫
(
かね
)” の例文
新字:
予
豫
(
かね
)
て
此家
(
こゝ
)
に居る頃、三七を殺すつもりで仕掛けて置いた、
梁
(
はり
)
の上の鐵砲の火皿に、火をつけた線香を立てて、素知らぬ顏をして歸つた
銭形平次捕物控:222 乗合舟
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
其
(
そ
)
の
時
(
とき
)
、
豫
(
かね
)
て
校庭
(
かうてい
)
に
養
(
やしな
)
はれて、
嚮導
(
きやうだう
)
に
立
(
た
)
つた
犬
(
いぬ
)
の、
恥
(
は
)
ぢて
自
(
みづか
)
ら
殺
(
ころ
)
したとも
言
(
い
)
ひ、
然
(
しか
)
らずと
言
(
い
)
ふのが——こゝに
顯
(
あらは
)
れたのでありました。
雪霊続記
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
揃
(
そろ
)
へ與市に
違
(
ちが
)
ひなき由申ければ淡路守殿如何に勘兵衞其方儀
豫
(
かね
)
て
怪敷
(
あやしき
)
廉
(
かど
)
も
之
(
これ
)
有
(
ある
)
により
取調
(
とりしらべ
)
に及びし處海賊の與市に違ひなし
眞直
(
まつすぐ
)
に舊惡を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
將軍家のお聲懸りの利章を、忠之はどうすることも出來ぬが、
豫
(
かね
)
て
懷
(
いだ
)
いてゐた惡感情は消えぬのみか、
却
(
かへ
)
つて募るばかりである。
栗山大膳
(旧字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
其
(
そ
)
れから
町人
(
ちやうにん
)
の
家
(
いへ
)
よりの
歸途
(
かへり
)
、
郵便局
(
いうびんきよく
)
の
側
(
そば
)
で、
豫
(
かね
)
て
懇意
(
こんい
)
な
一人
(
ひとり
)
の
警部
(
けいぶ
)
に
出遇
(
であ
)
つたが
警部
(
けいぶ
)
は
彼
(
かれ
)
に
握手
(
あくしゆ
)
して
數歩計
(
すうほばか
)
り
共
(
とも
)
に
歩
(
ある
)
いた。
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
▼ もっと見る
よしなき者に心を懸けて、家の譽をも顧みぬほど、無分別の
其方
(
そち
)
にてはなかりしに、扨は
豫
(
かね
)
てより人の噂に違はず、横笛とやらの色に迷ひしよな
滝口入道
(旧字旧仮名)
/
高山樗牛
(著)
振り起しイザヤ他の酒樓に上りて此の憂悶を散ずべし
豫
(
かね
)
て
此
(
こゝ
)
にて大盛宴を開く
積
(
つもり
)
ならずや我輩
勞
(
つか
)
れたりと云へどよく露伴太華の代理として三人分を
木曽道中記
(旧字旧仮名)
/
饗庭篁村
(著)
市ヶ谷の殿樣にも
豫
(
かね
)
て御心配をねがつて居りますれば、一應御相談をいたした方がよろしいかも知れませぬ。では、角助。もうよいから、行け、行け。
箕輪の心中
(旧字旧仮名)
/
岡本綺堂
(著)
「どうか、こちらへ」と二人を空室に案内して
豫
(
かね
)
て春三郎から頼んで置いた貸下宿の事を委細話した。それから又下宿屋を始めるに就ての心得も概略話した。
続俳諧師:――文太郎の死――
(旧字旧仮名)
/
高浜虚子
(著)
「わたしも、同じやうな事情で、息子と同居してをる婆アさんがやかましいのに困つてをりますので、あなたのことも
豫
(
かね
)
て人ごとには思うてをりませんでした」
泡鳴五部作:02 毒薬を飲む女
(旧字旧仮名)
/
岩野泡鳴
(著)
此儘此處に一夜でも過して行つたら初めて
豫
(
かね
)
てからの奈智山らしい記憶を胸に殘して行くことが出來るであらう、今朝からのままでは餘りに悲慘である、などと思はれて來た。
熊野奈智山
(旧字旧仮名)
/
若山牧水
(著)
扨
(
さ
)
て
坪井博士
(
つぼゐはかせ
)
は、
石田學士
(
いしだがくし
)
大野助手等
(
おほのぢよしゆら
)
と
共
(
とも
)
に、
豫
(
かね
)
て
集合
(
しうがふ
)
さしてある
赤鉢卷
(
あかはちまき
)
の
人夫
(
にんぷ
)
三十
餘名
(
よめい
)
を
督
(
とく
)
して、いよ/\
山頂
(
さんちやう
)
の
大發掘
(
だいはつくつ
)
に
取掛
(
とりかゝ
)
り、
又
(
また
)
一
分隊
(
ぶんたい
)
を
派
(
は
)
して、
瓢箪山西面
(
ひようたんやませいめん
)
に、
半
(
なかば
)
埋
(
うづ
)
もれたる
横穴
(
よこあな
)
探検実記 地中の秘密:29 お穴様の探検
(旧字旧仮名)
/
江見水蔭
(著)
公方樣お聲掛りの家柄だ。この
下手人
(
げしゆにん
)
を擧げなきや、土地の御用聞の顏が立たねえ。錢形の親分の引込思案は
豫
(
かね
)
て承知の上だが、其處を
銭形平次捕物控:154 凧の詭計
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
御新姐樣
(
ごしんぞさま
)
が
目
(
め
)
の
前
(
まへ
)
へお
立
(
た
)
ち
遊
(
あそ
)
ばしたやうに
見
(
み
)
えましたものでござりますから、
豫
(
かね
)
て
胸充滿
(
むねいつぱい
)
の
申譯
(
まをしわけ
)
をうか/\
喋舌
(
しやべ
)
つたでござります。
月夜車
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
經て長庵の家主の手に渡すに何事やらんと驚きつゝ家主は長庵方へ到りける
斯
(
かく
)
あらんと
豫
(
かね
)
て覺悟の長庵は
鉢卷
(
はちまき
)
して
藥土瓶
(
くすりどびん
)
なぞ
取散
(
とりちら
)
し
大夜具
(
おほやぐ
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
思ひの外なる
御驚
(
おんおどろき
)
きに定めて
浮
(
うわ
)
の
空
(
そら
)
とも
思
(
おぼ
)
されんが、此願ひこそは時頼が此座の
出來心
(
できごゝろ
)
にては
露
(
つゆ
)
候
(
さふら
)
はず、斯かる曉にはと
豫
(
かね
)
てより
思決
(
おもひさだ
)
めし事に候。
滝口入道
(旧字旧仮名)
/
高山樗牛
(著)
アウエリヤヌヰチはドクトルの
廉潔
(
れんけつ
)
で、
正直
(
しやうぢき
)
で
有
(
あ
)
るのは
豫
(
かね
)
ても
知
(
し
)
つてゐたが、
然
(
しか
)
し
其
(
そ
)
れにしても、二萬
圓
(
ゑん
)
位
(
ぐらゐ
)
は
確
(
たしか
)
に
所有
(
もつ
)
てゐることゝのみ
思
(
おも
)
ふてゐたのに、
恁
(
か
)
くと
聞
(
き
)
いては
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
追立
(
おつたて
)
て見ませうかと云ふ我手を振りて是を願ひ下げ
此
(
こゝ
)
にて晝餉を
認
(
したゝ
)
めしが雨はいよ/\本降となりしゆゑ
豫
(
かね
)
て梅花道人奉行となりて新調せしゴム引の
合羽
(
かつぱ
)
を取り
出
(
いだ
)
し支度だけ
凛々敷
(
りゝしく
)
此所
(
こゝ
)
を出れば胸を
木曽道中記
(旧字旧仮名)
/
饗庭篁村
(著)
その後へ玄龍先生は、
豫
(
かね
)
て湯島に
圍
(
かこ
)
つて居た今の内儀の時代を入れ、母親のお市、先妻のお直も承知の上で、改めて女房の披露をした。
銭形平次捕物控:196 三つの死
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
遺恨
(
ゐこん
)
に思ひ音信
不通
(
ふつう
)
に仕つり其上に昌次郎夫婦を
豫
(
かね
)
て
狙
(
ねら
)
ひ候と相見え柏原と申す所へ
夫婦
(
ふうふ
)
罷越
(
まかりこし
)
候跡より付行日
暮
(
ぐれ
)
をはかり兩人を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
祠
(
ほこら
)
に
近
(
ちか
)
き
處
(
ところ
)
少年
(
せうねん
)
の
僧
(
そう
)
あり。
豫
(
かね
)
て
聰明
(
そうめい
)
をもつて
聞
(
きこ
)
ゆ。
含春
(
がんしゆん
)
が
姿
(
すがた
)
を
見
(
み
)
て、
愛戀
(
あいれん
)
の
情
(
じやう
)
に
堪
(
た
)
へず、
柳氏
(
りうし
)
の
姓
(
せい
)
を
呪願
(
じゆぐわん
)
して、
密
(
ひそか
)
に
帝祠
(
ていし
)
に
奉
(
たてまつ
)
る。
其
(
そ
)
の
句
(
ことば
)
に
曰
(
いは
)
く
唐模様
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
重景が事、斯くあらんとは
豫
(
かね
)
てより
略〻
(
ほぼ
)
察し知りし瀧口なれば、さして騷がず、只〻横笛が
事
(
こと
)
、
端
(
はし
)
なく胸に浮びては、
流石
(
さすが
)
に色に忍びかねて、法衣の濡るゝを覺えず。
滝口入道
(旧字旧仮名)
/
高山樗牛
(著)
紀久榮はこの恐ろしい問ひに對しても、
豫
(
かね
)
て覺悟でもしてゐたやうに、たいして取亂した樣子もなく、少しばかりせき込んで受けるのです。
銭形平次捕物控:287 血塗られた祝言
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
と
町内第一
(
ちやうないだいいち
)
の
古老
(
こらう
)
で、
紺
(
こん
)
と
白
(
しろ
)
の
浴衣
(
ゆかた
)
を
二枚
(
にまい
)
重
(
かさ
)
ねた
禪門
(
ぜんもん
)
。
豫
(
かね
)
て
禪機
(
ぜんき
)
を
得
(
え
)
た
居士
(
こじ
)
だと
言
(
い
)
ふが、
悟
(
さとり
)
を
開
(
ひら
)
いても
迷
(
まよ
)
つても、
南
(
みなみ
)
が
吹
(
ふ
)
いて
近火
(
きんくわ
)
では
堪
(
たま
)
らない。
間引菜
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
主人が岸へ這ひ上がらうとした時、
豫
(
かね
)
て心得てゐる物置の中から、
石突
(
いしづき
)
の附いた物凄い
棹
(
さを
)
を取り出し、思ひきり上から突き落したに違ひない
銭形平次捕物控:152 棟梁の娘
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
氣
(
き
)
がかりな
雲
(
くも
)
は、
其
(
そ
)
の
黒
(
くろ
)
い
影
(
かげ
)
で、
晴天
(
せいてん
)
にむら/\と
湧
(
わ
)
いたと
思
(
おも
)
ふと、
颶風
(
はやて
)
だ。
貴女
(
あなた
)
。……
誰
(
だれ
)
もお
媼
(
ばあ
)
さんの
御馬前
(
ごばぜん
)
に
討死
(
うちじに
)
する
約束
(
やくそく
)
は
豫
(
かね
)
て
無
(
な
)
いらしい。
艶書
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
御用
(
ごよう
)
の
趣
(
おもむき
)
餘
(
よ
)
の
儀
(
ぎ
)
にあらず、
其方達
(
そのはうたち
)
も
豫
(
かね
)
て
存
(
ぞん
)
ずる
如
(
ごと
)
く
豆州
(
づしう
)
御勝手許
(
おかつてもと
)
不如意
(
ふによい
)
につき、
此度
(
このたび
)
御改革
(
ごかいかく
)
相成
(
あひな
)
る
奉行
(
ぶぎやう
)
の
儀
(
ぎ
)
、
我等
(
われら
)
相談
(
さうだん
)
の
上
(
うへ
)
にて、
杢
(
もく
)
汝
(
なんぢ
)
に
申付
(
まをしつ
)
くるぞ
十万石
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
鳥冠
(
とりかぶと
)
の根は
豫
(
かね
)
て庭から掘つて用意して居た筈だ。下女のお大がお勝手をあけると、お前はそれを
鍋
(
なべ
)
に
投
(
はふ
)
り込み、自分が一番先に死ぬ氣で二杯も重ねた。
銭形平次捕物控:150 槍の折れ
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
東京
(
とうきやう
)
で
言
(
い
)
へば
淺草
(
あさくさ
)
のやうな
所
(
ところ
)
だと、
豫
(
かね
)
て
聞
(
き
)
いて
居
(
ゐ
)
た
大須
(
おほす
)
の
觀音
(
くわんおん
)
へ
詣
(
まう
)
でて、
表門
(
おもてもん
)
から
歸
(
かへ
)
れば
可
(
い
)
いのを、
風俗
(
ふうぞく
)
を
視察
(
しさつ
)
のためだ、と
裏
(
うら
)
へまはつたのが
過失
(
あやまち
)
で。
火の用心の事
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
仔細
(
しさい
)
あつて本郷
妻戀坂
(
つまごひざか
)
に別居していらつしやる若旦那のところへ屆けるつもりで、其處まで參りますと、
豫
(
かね
)
てこの品を狙つて居る者の姿を見かけました。
銭形平次捕物控:020 朱塗りの筐
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
片手業にお
燗番
(
かんばん
)
の
卯
(
う
)
八をかき退けると、
豫
(
かね
)
て用意したらしい、
木槌
(
こづち
)
を取つて、船底の
栓
(
せん
)
を横なぐりに叩くのです。
銭形平次捕物控:091 笑い茸
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
可
(
よ
)
し、
汝
(
なんぢ
)
が
觀
(
み
)
る
處
(
ところ
)
予
(
よ
)
が
心
(
こゝろ
)
に
合
(
かな
)
へり、
予
(
よ
)
も
豫
(
かね
)
て
杢
(
もく
)
をこそと
思
(
おも
)
ひけれ、
今
(
いま
)
汝
(
なんぢ
)
が
説
(
と
)
く
所
(
ところ
)
によりて、
愈々
(
いよ/\
)
渠
(
かれ
)
が
人材
(
じんざい
)
を
確
(
たしか
)
めたり、
用
(
もち
)
ゐて
國
(
くに
)
の
柱
(
はしら
)
とせむか、
時機
(
じき
)
未
(
いま
)
だ
到
(
いた
)
らず
十万石
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
長崎屋へ始終出入りして居たといふから、あの百味たんすの赤い印の附いたのを拔いて、
豫
(
かね
)
て聞いた恐ろしい毒を少しばかり盜むのは何んでもないことだ
銭形平次捕物控:167 毒酒
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
其
(
そ
)
の
膚
(
はだ
)
の
白
(
しろ
)
い
事
(
こと
)
、あの
合歡花
(
ねむのはな
)
をぼかした
色
(
いろ
)
なのは、
豫
(
かね
)
て
此
(
こ
)
の
時
(
とき
)
のために
用意
(
ようい
)
されたのかと
思
(
おも
)
ふほどでした。
人魚の祠
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
平次は
豫
(
かね
)
て
懷中
(
ふところ
)
に用意してゐる四文錢を勘定して、丑松少年の
掌
(
て
)
の上にチユウチユウタコカイと突いて見せます。
銭形平次捕物控:310 闇に飛ぶ箭
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
お
秋
(
あき
)
が
納戸
(
なんど
)
に
居
(
ゐ
)
た
姿
(
すがた
)
を、
猛然
(
まうぜん
)
と
思出
(
おもひだ
)
すと、
矢張
(
やつぱ
)
り
鳴留
(
なきや
)
まぬ
猫
(
ねこ
)
の
其
(
そ
)
の
聲
(
こゑ
)
が、
豫
(
かね
)
ての
馴染
(
なじみ
)
でよく
知
(
し
)
つた。お
秋
(
あき
)
が
撫擦
(
なでさす
)
つて、
可愛
(
かはい
)
がつた、
黒
(
くろ
)
、と
云
(
い
)
ふ
猫
(
ねこ
)
の
聲
(
こゑ
)
に
寸分
(
すんぶん
)
違
(
たが
)
はぬ。
一席話
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
「隨分澁つて居ましたが、この間店の床下から、二十兩も掘り出して貰つた、鹽町の上州屋周太郎が大乘氣で、
豫
(
かね
)
て知り合ひの越前屋を口説き落したんで」
銭形平次捕物控:306 地中の富
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
名物
(
めいぶつ
)
と
豫
(
かね
)
て
聞
(
き
)
く、——
前
(
まへ
)
にも
一度
(
いちど
)
、
神田
(
かんだ
)
の
叔父
(
をぢ
)
と、
天王寺
(
てんわうじ
)
を、
其
(
そ
)
の
時
(
とき
)
は
相坂
(
あひざか
)
の
方
(
はう
)
から
來
(
き
)
て、
今戸
(
いまど
)
邊
(
あたり
)
へ
𢌞
(
まは
)
る
途中
(
とちう
)
を、こゝで
憩
(
やす
)
んだ
事
(
こと
)
がある。が、
最
(
も
)
う七八
年
(
ねん
)
にもなつた。
松の葉
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
「道化の金太ですよ。道具調べの時、
豫
(
かね
)
て盜んで置いた六助の匕首を綱の結び目に挾んだとしか思へませんよ」
銭形平次捕物控:213 一と目千両
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
今夜
(
こんや
)
……
汝
(
こなた
)
が
逢
(
あ
)
ひに
行
(
い
)
く……
其
(
そ
)
の
婦
(
をんな
)
の
影
(
かげ
)
を
捉
(
と
)
らうと、
豫
(
かね
)
てつけ
狙
(
ねら
)
うて
居
(
を
)
るによつて、
嚴
(
きびし
)
い
用心
(
ようじん
)
、
深
(
ふか
)
い
謹愼
(
つゝしみ
)
をしますやう、
汝
(
こなた
)
を
通
(
つう
)
じて、
其
(
そ
)
の
心
(
こゝろ
)
づけがしたかつたのぢや。
三人の盲の話
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
曲者——彦徳の源太は、
豫
(
かね
)
て用意したらしい
竹竿
(
たけざを
)
を手に取つて、井戸の上から覗きました。中の平次が這ひ上がらうとすれば、一氣に突き落すだけの事です。
銭形平次捕物控:148 彦徳の面
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
其
(
それ
)
が、
言
(
ことば
)
を
番
(
つが
)
へた、
豫
(
かね
)
て
約束
(
やくそく
)
の
暗號
(
あひづ
)
ででもあつた
如
(
ごと
)
く、
唯吉
(
たゞきち
)
は
思
(
おも
)
はず
顏
(
かほ
)
を
上
(
あ
)
げて、
其
(
そ
)
の
姿
(
すがた
)
を
見
(
み
)
た。
浅茅生
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
それから
豫
(
かね
)
て
階下
(
した
)
の部屋から持つて來て置いた若旦那の短刀を、自分の膝と膝との間に突つ立て、切つ尖を自分の
喉
(
のど
)
に當てたまゝ、力任せに首を前に下げた
銭形平次捕物控:187 二人娘
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
葉
(
は
)
もまだ
落
(
お
)
ちない。
形
(
かたち
)
は
何處
(
どこ
)
か、
影
(
かげ
)
も
見
(
み
)
えない。
豫
(
かね
)
て
氣短
(
きみじか
)
なのは
知
(
し
)
つて
居
(
ゐ
)
る。
特
(
こと
)
に
御病氣
(
ごびやうき
)
。
何
(
なに
)
かのお
慰
(
なぐさみ
)
に
成
(
な
)
らうものを、
早
(
はや
)
く、と
思
(
おも
)
ふが
見當
(
みあた
)
らない。
蓑蟲
(
みのむし
)
戀
(
こひ
)
しく
途
(
と
)
に
迷
(
まよ
)
つた。
湯どうふ
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
寅藏はお糸に
操
(
あやつ
)
られて、思ふ存分に動いたのだらう——最初の時寅藏は、練馬から飛んで來て、
豫
(
かね
)
てお糸の
拵
(
こしら
)
えて置いたお
此
(
この
)
の僞手紙で與三郎をおびき出し
銭形平次捕物控:159 お此お糸
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
幼君
(
えうくん
)
御機嫌
(
ごきげん
)
美
(
うる
)
はしく、「よくぞ
心附
(
こゝろづ
)
けたる。
予
(
よ
)
も
豫
(
かね
)
てより
思
(
おも
)
はぬにはあらねど、
別
(
べつ
)
に
然
(
しか
)
るべき
戲
(
たはむれ
)
もなくてやみぬ。
汝
(
なんぢ
)
何
(
なん
)
なりとも
思附
(
おもひつき
)
あらば
申
(
まを
)
して
見
(
み
)
よ。」と
打解
(
うちと
)
けて
申
(
まを
)
さるゝ。
十万石
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
大したことではないと言ふのが六十何兩、この浪人の裕福さは、
豫
(
かね
)
て聞いて居りますが、八文の湯錢に困つたガラツ八は、顎を撫で乍ら平次と顏を見合せます。
銭形平次捕物控:077 八五郎の恋
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
晝間
(
ひるま
)
あのお
春
(
はる
)
が
納戸
(
なんど
)
に
絲
(
いと
)
を
繰
(
く
)
つて
居
(
ゐ
)
る
姿
(
すがた
)
を
猛然
(
まうぜん
)
と
思出
(
おもひだ
)
すと、
矢張
(
やつぱ
)
り
啼留
(
なきや
)
まぬ
猫
(
ねこ
)
の
其
(
そ
)
の
聲
(
こゑ
)
が、
豫
(
かね
)
ての
馴染
(
なじみ
)
でよく
知
(
し
)
つた、お
春
(
はる
)
が
撫擦
(
なでさす
)
つて
可愛
(
かはい
)
がつた
黒
(
くろ
)
と
云
(
い
)
ふ
猫
(
ねこ
)
の
聲
(
こゑ
)
に
寸分
(
すんぶん
)
違
(
ちが
)
はぬ。
二た面
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
豫
(
かね
)
て約束があつたものか、稻荷橋下にもやつてゐる一
艘
(
さう
)
の傳馬から、一人の船頭がヌツと身を起しました。
銭形平次捕物控:155 仏像の膝
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
旦
(
だん
)
は
洒亞々々
(
しやあ/\
)
としたもので、やつとこな、と
湯船
(
ゆぶね
)
を
跨
(
また
)
いで、ぐづ/\/\と
溶
(
と
)
けさうに
腰
(
こし
)
の
方
(
はう
)
から
崩
(
くづ
)
れ
込
(
こ
)
みつゝ
眞直
(
まつすぐ
)
に
小兒
(
こども
)
を
抱直
(
だきなほ
)
して、
片手
(
かたて
)
を
湯船
(
ゆぶね
)
の
縁越
(
へりご
)
しに、ソレ
豫
(
かね
)
て
恁
(
か
)
くあらんと
銭湯
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
豫
部首:⾗
16画
“豫”を含む語句
猶豫
豫期
豫々
豫想
豫防
天氣豫報
豫定通
豫定
豫想外
豫言者
伊豫
豫言
豫而
豫備
阿部伊豫守
豫讓
豫覺
豫感
豫知問題
豫知
...