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柳氏
祠に
近き
處少年の
僧あり。
豫て
聰明をもつて
聞ゆ。
含春が
姿を
見て、
愛戀の
情に
堪へず、
柳氏の
姓を
呪願して、
密に
帝祠に
奉る。
其の
句に
曰く
明州の
人、
柳氏、
女あり。
優艷にして
閑麗なり。
其の
女、
年はじめて十六。フト
病を
患ひ、
關帝の
祠に
祷りて
日あらずして
癒ゆることを
得たり。よつて
錦繍の
幡を
造り、
更に
詣でて
願ほどきをなす。
渠は
清国の富豪
柳氏の家なる、奥まりたる一室に
夥多の
人数に取囲まれつつ、
椅子に懸りて
卓に向へり。