物音ものおと)” の例文
ねやこゑもなく、すゞしいばかりぱち/\させて、かねきこえぬのを、いたづらゆびる、寂々しん/\とした板戸いたどそとに、ばさりと物音ものおと
雪の翼 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
トーマスは船員せんいんの話をききながらも、まわりの物音ものおとに気をくばっていた。かすかな風の動きでも、ききのがさないようにしていた。
この物音ものおときつけた母親ははおやは、なにごとがこったかとおもって、おくからてきました。そして、その次第しだいると、たいへんにおこりました。
めくら星 (新字新仮名) / 小川未明(著)
長持ながもちの中のしっぺい太郎たろうは、この物音ものおとくと、くんくんはなをならして、ひくこえでうなりながら、いまにもびつこうというがまえをしました。
しっぺい太郎 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
聞し周藏しうざう七左衞門の兩人も馳來り勝手より手燭てしよくを取寄る此時村の小使あるき三五郎は臺所だいどころて居たりしが物音ものおとに驚き金盥かなだらひ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
此時このとき宗助そうすけつて、醫者いしやるのをいまいまかとけるこゝろほどつらいものはなかつた。かれ御米およねかたみながらも、えずおもて物音ものおとくばつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
それからというもの、あお鬼火おにびも、戦争の物音ものおとも、舟をしずめる黒いかげも、あらわれなくなりました。しかしまだときどき、ふしぎなことがおこりました。
壇ノ浦の鬼火 (新字新仮名) / 下村千秋(著)
ふとした物音ものおとけたきっかけに、半年振はんとしぶりたおせんのからだは、まったくってわった大人おとなびよう。
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
るゝ幾分時いくぶんじおもさだめてツトたちよりつ用意ようい短刀たんたうとりなほせばうしろやぶなにやら物音ものおとひともやつるとみゝ
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
甲板かんぱんちて微塵みじんくだけた物音ものおとのしたので、わたくしいそ振返ふりかへつてると、其處そこではいましも、二三の水夫すゐふ滑車くわつしやをもつて前檣ぜんしやうたかかゝげんとした一個いつこ白色燈はくしよくとう——それはふね航海中かうかいちゆう
にぶちまた雜音ざふおんまじつてチヤラチヤラチヤラチヤラとれない物音ものおときこえてた。
麻雀を語る (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
一たんは、はっとおどろきましたが、それがなにかのお通報しらせであろうとがついてこころちつけますと、つづいて瀑布たき方向ほうこうあたって、みみがつぶれるばかりの異様いよう物音ものおとがひびきます。
そのも、あさはや彼女かのぢよあがらうとしたが、自分じぶんにどうむちうつてても、全身ぜんしんのひだるさにはてなかつた。あがるとはげしい眩暈めまひがした。周圍しうゐがシーンとして物音ものおとがきこえなくなつた。
彼女こゝに眠る (旧字旧仮名) / 若杉鳥子(著)
夜の二時頃、枕辺まくらべ近くどすと云った物音ものおとに、余は岸破がばね起きた。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
……若葉はそよぎ、一聲いつせいほのかに、さゞめき低く、物音ものおとして……
カンタタ (旧字旧仮名) / ポール・クローデル(著)
油煙たつランプともして山家集さんかしふを吾は読み居り物音ものおとたえつ
つゆじも (新字旧仮名) / 斎藤茂吉(著)
じゆく山田やまだは、つて、教場けうぢやうにも二階にかいにもたれらず、物音ものおともしなかつた。枕頭まくらもとへ……ばたばたといふ跫音あしおと、ものの近寄ちかよ氣勢けはひがする。
怪談女の輪 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
そのも、彼女かのじょは、ぼんやりといえなかで、子供こどものことをおもいながらすわっていました。するととおくのとおくから、まち物音ものおとこえてきました。
(新字新仮名) / 小川未明(著)
よこになって、どうかしてねむろうとしましたが、なんだか目がさえてねむられません、始終しじゅうそと物音ものおとばかりにられて、むねをどきどきさせていました。
山姥の話 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
取な早々はや/″\用意を致せといふ言葉ことばに隨て然ば御先へと又短刀たんたう持直もちなほしあはや只今突立つきたてんとする時亦々廊下らうか物音ものおとすさまじく聞えければ越前守何事やらん今暫いましばらくと忠右衞門を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
けれどわたくし心付こゝろつくと、ひゞきみなもとけつしてちかところではなく、四邊あたりがシーンとしてるのであざやかにきこえるものゝ、すくなくも三四マイル距離へだゝりるだらう、なにもあれかゝ物音ものおときこゆる以上いじやう
物音ものおときゝつけて璧隣かべどなり小學教員せうがくけふいんつま、いそがはしくおもてよりまわて、おかへりになりましたか、御新造ごしんぞ先刻さきほど、三ぎでも御座ござりましたろか、お實家さとからのおむかひとて奇麗きれいくるまえましたに
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
あやしいきゃくねむりこんだらしく、黒馬旅館くろうまりょかん物音ものおとひとつしなくなった。
物音ものおと目的めあてうらまはると、三千代は下女と張物はりものをしてゐた。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
やが脊戸せどおもところひだり馬小屋うまごやた、こと/\といふ物音ものおと羽目はめるのであらう、もう其辺そのへんから薄暗うすぐらくなつてる。
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
ねこは、しばらくそばの垣根かきねしたにすくんで、なにか、きなれた物音ものおとでもみみにはいらないかとかんがんでいました。
小ねこはなにを知ったか (新字新仮名) / 小川未明(著)
そのうちだんだん、けて、夜中近よなかぢかくになりました。するといつどこから出てきたともなく、どやどやと、大ぜい、人だか、ものだか、れないものの物音ものおとがしました。
しっぺい太郎 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
いよ/\探險たんけんとは决心けつしんしたものゝ、じつうす氣味惡きみわることで、一體いつたい物音ものおとぬしわからず、またみちにはどんな災難さいなんしやうずるかもわからぬので、わたくし萬一まんいち塲合ばあひおもんぱかつて、れい端艇たんていをば波打際なみうちぎわにシカと繋止つなぎと
ちょうははなにとまって、はねやすめたかとおもうと、またがって、煤煙ばいえん物音ものおとで、かきにごされているそらを、どこともなくんでえてしまいました。
青い草 (新字新仮名) / 小川未明(著)
すると夜中よなかちかくなって、どこからか、がやがや、大ぜいやってくる物音ものおとがしました。
しっぺい太郎 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
……裏町うらまち横通よこどほりも、物音ものおとひとつもきこえないで、しづまりかへつたなかに、彼方此方あちらこちらまどから、どしん/\と戸外おもて荷物にもつげてる。此處こゝはうかへつておしつゝまれたやうにはげしくえた。
露宿 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
そしてまちはなれて、野原のはら細道ほそみちをたどる時分じぶんにはまた、のよい音色ねいろが、いろいろの物音ものおとあいだをくぐりけてくるように、とおまちほうからこえてきました。
青い時計台 (新字新仮名) / 小川未明(著)
めくらぼしは、たかやまいただきにつきそうになって、この物音ものおときつけて、さもさむそうにぶるいしながら、あおあおよるそらをあてもなく、無事ぶじぎてゆきます。
めくら星 (新字新仮名) / 小川未明(著)
うえは、しろしもにとざされていました。けれど、もうそこここに、ひとうごがしたり、物音ものおとがしはじめました。ほしひかりは、だんだんとってゆきました。
ある夜の星たちの話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
じっとりこうそうなつきをしてかお見上みあげていましたが、やはり、よるになると、うちまえとおひと足音あしおとや、とおくの物音ものおとなどをきつけて、あいかわらずほえたのであります。
おじいさんの家 (新字新仮名) / 小川未明(著)
場所ばしょわったので、それでかないのだろう。なにしろ、この機械きかいおとがしたり、いろいろな物音ものおとがしては、れるまでかないのも無理むりがない。」と、主人しゅじんおもいました。
からすの唄うたい (新字新仮名) / 小川未明(著)
そのばんのことであります。あちらには、みなとのあたりのそらをあかあかと燈火とうかひかりめていました。そして、汽笛きてきおとや、いろいろの物音ものおとが、こちらのまちほうまでながれてきました。
生きた人形 (新字新仮名) / 小川未明(著)
しずかな、よるなどは、物音ものおとひとつこえず、まったくさびしい田舎いなかんでいましたひとが、停車場ていしゃばりると、あたりがあかるく、よるでも昼間ひるまのようであり、馬車ばしゃや、電車でんしゃや、自動車じどうしゃ
山へ帰りゆく父 (新字新仮名) / 小川未明(著)
そっちからは、たえずにぎやかな物音ものおとが、かすかにそらながれてきこえてきました。
灰色の姉と桃色の妹 (新字新仮名) / 小川未明(著)