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懸
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か
ふりがな文庫
“
懸
(
か
)” の例文
あゝ
孤獨
(
こどく
)
と
落魄
(
らくばく
)
!
之
(
これ
)
が僕の
運命
(
うんめい
)
だ。僕見たいな
者
(
もの
)
が家庭を
組織
(
そしき
)
したら何うだらう。
妻
(
つま
)
には
嘆
(
なげ
)
きを
懸
(
か
)
け
子
(
こ
)
には悲しみを
與
(
あた
)
へるばかりだ。
虚弱
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
床柱
(
とこばしら
)
に
懸
(
か
)
けたる
払子
(
ほっす
)
の先には
焚
(
た
)
き残る
香
(
こう
)
の煙りが
染
(
し
)
み込んで、軸は
若冲
(
じゃくちゅう
)
の
蘆雁
(
ろがん
)
と見える。
雁
(
かり
)
の数は七十三羽、
蘆
(
あし
)
は
固
(
もと
)
より数えがたい。
一夜
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
しかも、日頃忠実であって、深い信頼を
懸
(
か
)
けていた由蔵が、
僅々
(
きんきん
)
の時間に、場所もあろうにこんな所に屍骸と化して
横
(
よこたわ
)
っているとは!
電気風呂の怪死事件
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
「義さん」と
呼吸
(
いき
)
せわしく、お香は一声呼び
懸
(
か
)
けて、巡査の胸に
額
(
ひたい
)
を
埋
(
うず
)
めわれをも人をも忘れしごとく、ひしとばかりに
縋
(
すが
)
り着きぬ。
夜行巡査
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
其
(
そ
)
の
日
(
ひ
)
は
栗
(
くり
)
の
木
(
き
)
に
懸
(
か
)
けた
大根
(
だいこ
)
の
動
(
うご
)
かぬ
程
(
ほど
)
穩
(
おだや
)
かな
日
(
ひ
)
であつた。お
品
(
しな
)
は
此
(
こ
)
の
分
(
ぶん
)
で
行
(
ゆ
)
けば
一枚紙
(
いちまいがみ
)
を
剥
(
は
)
がすやうに
快
(
こゝろ
)
よくなることゝ
確信
(
かくしん
)
した。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
▼ もっと見る
今
(
いま
)
敵國
(
てきこく
)
深
(
ふか
)
く
侵
(
をか
)
して、
邦内
(
はうない
)
騷動
(
さうどう
)
し、
士卒
(
しそつ
)
、
境
(
さかひ
)
に
(一七)
暴露
(
ばくろ
)
す。
君
(
きみ
)
寢
(
い
)
ねて
席
(
せき
)
を
安
(
やす
)
んぜず、
食
(
くら
)
うて
味
(
あぢはひ
)
を
甘
(
あま
)
しとせず。百
姓
(
せい
)
の
命
(
めい
)
皆
(
みな
)
君
(
きみ
)
に
懸
(
か
)
かる。
国訳史記列伝:04 司馬穰苴列伝第四
(旧字旧仮名)
/
司馬遷
(著)
空に
懸
(
か
)
かれる太陽は、今にもその身に突き当たる恐るべきものの近寄っている事を知るや知らずや、
毎
(
つね
)
の如く
和
(
やわ
)
らかに輝いている。
暗黒星
(新字新仮名)
/
シモン・ニューコム
(著)
拜殿の
欄間
(
らんま
)
には、
土佐風
(
とさふう
)
に
畫
(
ゑが
)
いた三十六
歌仙
(
かせん
)
が行儀よく
懸
(
か
)
け
聯
(
つら
)
ねられ、板敷の
眞中
(
まんなか
)
には
圓座
(
ゑんざ
)
が一つ、古びたまゝに損じては居なかつた。
東光院
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
請ふ告げよ、人その破れる誓ひの爲、汝等の
天秤
(
はかり
)
に
懸
(
か
)
くるも輕からぬほど他の善をもて汝等に
贖
(
あがなひ
)
をなすことをうるや。 一三六—一三八
神曲:03 天堂
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
ヂュリ
誓言
(
せいごん
)
には
及
(
およ
)
びませぬ。
若
(
も
)
し
又
(
また
)
、
誓言
(
せいごん
)
なさるなら、わたしが
神樣
(
かみさま
)
とも
思
(
おも
)
ふお
前
(
まへ
)
の
身
(
み
)
をお
懸
(
か
)
けなされ、すればお
言葉
(
ことば
)
を
信
(
しん
)
じませう。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
陶器の
手焙
(
てあぶ
)
りのことを、古い人は“びん
懸
(
か
)
け”とよんだり、ただ“夜学”といったりした。夜学の友は、これにまさる物はない。
随筆 新平家
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
正面壁上に黒リボンを
掩
(
おお
)
うて生けるがごとき故殿下の愛らしき印度王族姿の肖像を掲げ、その肖像の右肩に小さな花輪を
懸
(
か
)
けて
ナリン殿下への回想
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
落日が家の瓦に半分
懸
(
か
)
かり、電柱の肌が黄色にそまっている。ぞわぞわがたがたと響きわたる騒音の中に、微かなおとがする。
風宴
(新字新仮名)
/
梅崎春生
(著)
青木愛之助が、
如何
(
いか
)
に刺戟に
餓
(
かつ
)
えていたからとて、又彼がどれ程の賞金を
懸
(
か
)
けたとて、金ずくで自由になる事柄ではないのだ。
猟奇の果
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
「ハヽヽヽヽ」と剛造は
一
(
ひ
)
ときは高笑ひ「商売にしてからが、矢ツ張り忠君愛国と言つたやうな流行の看板を
懸
(
か
)
けて行くのサ」
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
跡部は荻野等を呼んで、二
人
(
にん
)
を
捕
(
とら
)
へることを命じた。その
手筈
(
てはず
)
はかうである。奉行所に詰めるものは、
先
(
ま
)
づ刀を
脱
(
だつ
)
して
詰所
(
つめしよ
)
の
刀架
(
かたなかけ
)
に
懸
(
か
)
ける。
大塩平八郎
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
彼は
艫
(
とも
)
に腰を
懸
(
か
)
けて女と無言の微笑を交わしていたが、ふと眼を舟の左側の水の上にやると一尾の大きな
鯰
(
なまず
)
が白い腹をかえして死んでいた。
水郷異聞
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
昔は京都ではこの木を獄舎の門に
栽
(
う
)
えてあって、罪人の首を
斬
(
き
)
ってこれに
懸
(
か
)
けたことが、『源平盛衰記』その他の軍書に何箇所も見えている。
アテヌキという地名
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
更に薏苡と題する詩の中には、「草木各〻
宜
(
よろし
)
きあり、珍産南荒に
駢
(
なら
)
ぶ。絳嚢茘枝を
懸
(
か
)
け、雪粉桄榔を
剖
(
さ
)
く」といふ句がある。
放翁鑑賞:07 その七 ――放翁詩話三十章――
(新字旧仮名)
/
河上肇
(著)
T君は朝鮮飴一切れを出して遍路にやった。遍路はそれを押しいただき、それを食べるかと思うと、胸に
懸
(
か
)
けてある袋の中に
丁寧
(
ていねい
)
にしまった。
遍路
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
と
昼間
(
ひるま
)
は
櫛
(
くし
)
を
拵
(
こしら
)
へ、夜だけ
落語家
(
はなしか
)
でやつて見ようと、
是
(
これ
)
から
広徳寺前
(
くわうとくじまへ
)
の○○
茶屋
(
ぢやや
)
と
云
(
い
)
ふのがござりまして、
其家
(
そのいへ
)
の
入口
(
いりぐち
)
へ
行燈
(
あんどん
)
を
懸
(
か
)
けたのです。
落語の濫觴
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
傍
(
そば
)
には
白
(
しろ
)
い
布
(
きれ
)
を
被
(
き
)
せた
讀經臺
(
どきやうだい
)
が
置
(
お
)
かれ、一
方
(
ぱう
)
には
大主教
(
だいしゆけう
)
の
額
(
がく
)
が
懸
(
か
)
けてある、
又
(
また
)
スウャトコルスキイ
修道院
(
しうだうゐん
)
の
額
(
がく
)
と、
枯
(
か
)
れた
花環
(
はなわ
)
とが
懸
(
か
)
けてある。
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
忽
(
たちま
)
ち
全山
(
ぜんざん
)
の
高等野次馬
(
かうとうやじうま
)
は、
我
(
われ
)
おくれじと
馳付
(
はせつ
)
けて
見
(
み
)
ると、
博士
(
はかせ
)
は
笑
(
わら
)
ひながら、
古靴
(
ふるぐつ
)
の
片足
(
かたあし
)
を、
洋杖
(
すてつき
)
の
先
(
さき
)
に
懸
(
か
)
けて
示
(
しめ
)
された。
探検実記 地中の秘密:29 お穴様の探検
(旧字旧仮名)
/
江見水蔭
(著)
我
(
お
)
れが
饀
(
あん
)
この
種
(
たね
)
なしに
成
(
な
)
つて
最
(
も
)
う
今
(
いま
)
からは
何
(
なに
)
を
賣
(
う
)
らう、
直樣
(
すぐさま
)
煮
(
に
)
かけては
置
(
お
)
いたけれど
中途
(
なかたび
)
お
客
(
きやく
)
は
斷
(
ことは
)
れない、
何
(
ど
)
うしような、と
相談
(
そうだん
)
を
懸
(
か
)
けられて
たけくらべ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
けれど、すべての
美
(
うつく
)
しい
婦人
(
ふじん
)
は、
弱々
(
よわよわ
)
しかったように、
妃
(
きさき
)
は
首
(
くび
)
のまわりに
懸
(
か
)
けられた、
青
(
あお
)
い
石
(
いし
)
の
首飾
(
くびかざ
)
りの
重
(
おも
)
みを
支
(
ささ
)
えるに
耐
(
た
)
えられないほどでした。
ひすいを愛された妃
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
無論この川で
家鴨
(
あひる
)
や
鵞鳥
(
がちょう
)
がその紫の羽や真白な背を浮べてるんですよ。この川に三寸厚サの一枚板で橋が
懸
(
か
)
かっている。
牛肉と馬鈴薯
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
二人は売場を離れて、仕方なしに線路ぞいの
柵
(
さく
)
について
泥溝
(
どぶ
)
くさい裏町をしばらく歩いた。ポプラの若葉が風に
戦
(
おのの
)
いて、雨雲が空に
懸
(
か
)
かっていた。
仮装人物
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
清三が火鉢のそばにいると、そばの
小路
(
こうじ
)
に、わいしょわいしょという騒がしい
懸
(
か
)
け声がして、突然獅子がはいって来た。
田舎教師
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
そこには虎の皮と狼の皮があって、それを柱に
懸
(
か
)
けたり敷いたりしてあったが、他に坐るような腰掛も
榻
(
ねだい
)
もなかった。
田七郎
(新字新仮名)
/
蒲 松齢
(著)
ムシロ内々読マレルヿヲ覚悟シ、期待シテイタノカモ知レナイ。ソレナラバナゼ抽出ニ鍵ヲ
懸
(
か
)
ケタリマタソノ鍵ヲアチラコチラヘ隠シタリシタノカ。
鍵
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
ふらふらと歩く姿は、夢遊病患者のようで、やさしい肩から垂れた
懸
(
か
)
け
衣
(
きぬ
)
が、空の光で透き通るほど白く見えました。
レモンの花の咲く丘へ
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
そこで
盃
(
さかずき
)
を
取
(
と
)
り
交
(
かわ
)
して、
手
(
て
)
を
懸
(
か
)
け
合
(
あ
)
つて、今日までも
鎭
(
しず
)
まつておいでになります。これらの歌は
神語
(
かむがたり
)
と申す
歌曲
(
かきよく
)
です。
古事記:03 現代語訳 古事記
(旧字新仮名)
/
太安万侶
、
稗田阿礼
(著)
あすこの
壁
(
かべ
)
に
懸
(
か
)
けてある
繪
(
え
)
をご
覽
(
らん
)
なさい。
遺
(
のこ
)
つてゐた
土臺
(
どだい
)
の
杙
(
くひ
)
から
想像
(
そう/″\
)
して
湖上住居
(
こじようじゆうきよ
)
の
小屋
(
こや
)
を
描
(
か
)
いたものであります。
博物館
(旧字旧仮名)
/
浜田青陵
(著)
こうした珠数でも胸の上に
懸
(
か
)
けて幻の
栖所
(
すみか
)
のように今の生活を思うような心と、夜も
寐
(
ね
)
られぬほど血の
涌
(
わ
)
くような心とが、彼には殆ど同時にあった。
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
太陽を
懸
(
か
)
ける為にあるのである。太陽は何の為にあるか。我々蛙の背中を乾かす為にあるのである。従つて、全
大空
(
たいくう
)
は我々蛙の為にあるのではないか。
蛙
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
誰
(
たれ
)
でも
左樣
(
さう
)
だが、
戰爭
(
いくさ
)
の
首途
(
かどで
)
とか、
旅行
(
たび
)
の
首途
(
かどで
)
に
少
(
すこ
)
しでも
變
(
へん
)
な
事
(
こと
)
があれば、
多少
(
たせう
)
氣
(
き
)
に
懸
(
か
)
けずには
居
(
を
)
られぬのである。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
何か面白いことはないか、と、褒美を
懸
(
か
)
けて考え出したのが、この頃の子供達がやる「眼隠し鬼」という、およそ通や粋とは縁の遠い遊びだったのです。
銭形平次捕物控:054 麝香の匂い
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
お婆さんの部屋の
長押
(
なげし
)
にはその人の肖像が額にして
懸
(
か
)
けてある。私は一言か二言の中にその人の
俤
(
おもかげ
)
や生涯が
彷彿
(
ほうふつ
)
としてくるような言葉をきくのが好きだ。
犬の生活
(新字新仮名)
/
小山清
(著)
成吉思汗
(
ジンギスカン
)
(独り言のように)長年想いを
懸
(
か
)
けた女が来る晩に、
軍
(
いくさ
)
などと、そ、そんな殺風景なことができるか。
若き日の成吉思汗:――市川猿之助氏のために――
(新字新仮名)
/
林不忘
、
牧逸馬
(著)
朝から晩まで、
竈
(
かまど
)
の
自在鉤
(
じざいかぎ
)
に鍋が一つ
懸
(
か
)
かっている。冬は、湯がたくさんいるので、この鍋が幾度となく、いっぱいになったり、
空
(
から
)
っぽになったりする。
にんじん
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
天と地との間に
懸
(
か
)
かるところの、その法則の上におのれの魂がつくられているところの、善悪の意識そのものを否定せんとするのは近代人の自殺である。
愛と認識との出発
(新字新仮名)
/
倉田百三
(著)
御殿の様な奥まった広い座敷の
床
(
とこ
)
の
間
(
ま
)
へでもこれを立て
懸
(
か
)
けておいて御覧なさい、
随分
(
ずいぶん
)
いやな
感
(
かんじ
)
のするものだ。
二面の箏
(新字新仮名)
/
鈴木鼓村
(著)
ついこの間まで
麗
(
うら
)
らかに秋の光の輝いていたそちらの方の空には、もういつしか、わびしい
時雨雲
(
しぐれぐも
)
が古綿をちぎったように
夕陽
(
ゆうひ
)
を浴びてじっと
懸
(
か
)
かっている。
狂乱
(新字新仮名)
/
近松秋江
(著)
紀昌は再び家に
戻
(
もど
)
り、
肌着
(
はだぎ
)
の
縫目
(
ぬいめ
)
から
虱
(
しらみ
)
を一匹探し出して、これを
己
(
おの
)
が
髪
(
かみ
)
の毛をもって
繋
(
つな
)
いだ。そうして、それを南向きの窓に
懸
(
か
)
け、終日
睨
(
にら
)
み
暮
(
く
)
らすことにした。
名人伝
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
と言い、皆も縫いさした物をまとめて
几帳
(
きちょう
)
の上に
懸
(
か
)
けたりなどして、そのままそこへうたた寝のふうに横たわってしまった。姫君も少し奥のほうへはいって寝た。
源氏物語:53 浮舟
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
ここで早川の本流と別れて、この沢に沿うてなお深く入り込む、岸が尽きて危うき
梯子
(
はしご
)
を
懸
(
か
)
けたところもある。渓の上にただ一本の木を橋に渡したところもある。
白峰の麓
(新字新仮名)
/
大下藤次郎
(著)
熔巖の流れ行く先なる葡萄の幹に
聖母
(
マドンナ
)
の像を
懸
(
か
)
けたるものあり。こはその
功徳
(
くどく
)
もて熔巖の炎を避けんとのこゝろしらひなるべし。されど熔巖はその
方嚮
(
はうかう
)
を改めず。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
百姓がときどきこれを真の枝と間違えて土瓶などを
懸
(
か
)
けると、もとより柔かい虫のことゆえ、グニャリと曲がり、そのため往々土瓶を
破
(
わ
)
ってしまうことがあるので
自然界の虚偽
(新字新仮名)
/
丘浅次郎
(著)
終堆石
(
しゅうたいせき
)
は
弦
(
つる
)
の切れた半弓を掛けたように、針葉樹帯の上に、鮮明に
懸
(
か
)
かっているのみならず、そこから流下した堆石は、累々として、
山麓
(
さんろく
)
に土堤を高く築いている。
火と氷のシャスタ山
(新字新仮名)
/
小島烏水
(著)
その鳴ると同時、おばアさんからは
怨
(
うら
)
み抜かれて、そして今息を引き
懸
(
か
)
けている嫁の寝ている天井の一方に
当
(
あた
)
って、鼠ともつかず
鼬
(
いたち
)
ともつかぬ
物
(
もの
)
の
化
(
け
)
の足音が響いた。
白い光と上野の鐘
(新字新仮名)
/
沼田一雅
(著)
懸
常用漢字
中学
部首:⼼
20画
“懸”を含む語句
心懸
懸合
引懸
追懸
行懸
突懸
懸隔
出懸
手懸
言懸
云懸
一生懸命
鈴懸
凭懸
思懸
打懸
取懸
吹懸
念懸
懸崖
...