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延
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のば
ふりがな文庫
“
延
(
のば
)” の例文
細くて
徹
(
とお
)
つたきいきいといふ鳴声を挙げる。「ほい
畜生
(
ちくしょう
)
」と云つて平太郎は
巧
(
たくみ
)
に操りながら、噛みつかれないやうに翅を
延
(
のば
)
して避ける。
蝙蝠
(新字旧仮名)
/
岡本かの子
(著)
古木
(
こぼく
)
の
樣
(
やう
)
な
醜
(
みにく
)
き
腕
(
うで
)
を
延
(
のば
)
して、
鐵車
(
てつしや
)
の
檻
(
おり
)
を
引握
(
ひきつか
)
み、
力任
(
ちからまか
)
せに
車
(
くるま
)
を
引倒
(
ひきたほ
)
さんとするのである。
猛犬稻妻
(
まうけんいなづま
)
は
猛然
(
まうぜん
)
として
其
(
その
)
手
(
て
)
に
噛
(
か
)
み
付
(
つ
)
いた。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
「ほんとさ。お前さん。」お豊は首を長く
延
(
のば
)
して、「私の
僻目
(
ひがめ
)
かも知れないが、実はどうも長吉の様子が心配でならないのさ。」
すみだ川
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
「おゝ
厭
(
や
)
なこつた、
要
(
え
)
らねえよ」おつぎは
少
(
すこ
)
し
身
(
み
)
を
屈
(
かが
)
めて
手桶
(
てをけ
)
の
柄
(
え
)
を
攫
(
つか
)
んで
其
(
そ
)
の
儘
(
まゝ
)
身
(
み
)
を
延
(
のば
)
すと
手桶
(
てをけ
)
の
底
(
そこ
)
が三
寸
(
ずん
)
ばかり
地
(
ち
)
を
離
(
はな
)
れた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
君長は卑弥呼を見ると、獣慾に声を失った笑顔の中から今や手を
延
(
のば
)
さんと思われるばかりに、その
肥
(
こ
)
えた
体躯
(
たいく
)
を揺り動かして彼女にいった。
日輪
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
▼ もっと見る
突かれて男はよろめきながら
左手
(
ゆんで
)
を
延
(
のば
)
して槍先を
引抜
(
ひきぬ
)
きさまグッと
突返
(
つきかえ
)
す。突かれて孝助たじ/\と石へ
躓
(
つまず
)
き尻もちをつく。
怪談牡丹灯籠:04 怪談牡丹灯籠
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「倅の云うには、それが為に忠一さんを
態々
(
わざわざ
)
呼び戻すにも及ぶまい。どうで
歳暮
(
くれ
)
には帰郷するのだから、
其
(
その
)
時まで
延
(
のば
)
しても
差支
(
さしつかえ
)
はあるまいと……。」
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
延
(
のば
)
して貰ひし
恩義
(
おんぎ
)
は城重の
蔭
(
かげ
)
で
有
(
あら
)
うな然れば
師匠
(
ししやう
)
なり義理有る養父なり實父よりは猶更
大切
(
たいせつ
)
に致さねば相成まじ然るを
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
往来
(
おうらい
)
の真中に立ち留って、首を
延
(
のば
)
してこの白い者をすかしているうちに、白い者は容赦もなく余の方へ進んでくる。
琴のそら音
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
彼は朝になってもう二三日帰りを
延
(
のば
)
す
工風
(
くふう
)
はないかと考えたが、そのうちに
停車場
(
ていしゃば
)
へ往く自動車が迎えに来たので、しかたなしにそれに乗って出発した。
草藪の中
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
こう手を
延
(
のば
)
して、グルグルと、彼らの頭の上の方へ、一つ大きな円を画いたら、刀を持った十人も、藪の向うの十人も、そのまま
居縮
(
いすく
)
んでしまったのじゃ。
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
それから
青芒
(
あおすすき
)
の線を
延
(
のば
)
して、左へ離れた一方に、
一叢立
(
ひとむらだち
)
の
藪
(
やぶ
)
があって、夏中日も当てまい陰暗く、涼しさは緑の風を雲の峰のごとく、さと
揺出
(
ゆりだ
)
し、揺出す。
沼夫人
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
まあまあと
一寸
(
いっすん
)
延
(
のば
)
しにしていたが、いつまで
擲
(
ほう
)
って置くわけにも行かないので、遂に決心してそれを伐った。
俳句はかく解しかく味う
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
何日に戦争がある
抔
(
など
)
と云う評判、その二十日の期間も
既
(
すで
)
に
過去
(
すぎさっ
)
て、又十日と云うことになって、
始終
(
しじゅう
)
十日と二十日の期限を
以
(
もっ
)
て次第々々に
返辞
(
へんじ
)
を
延
(
のば
)
して行く。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
ロミオ
幸
(
さいは
)
ひ
夜
(
よる
)
の
衣
(
ころも
)
を
被
(
き
)
てゐる、
見附
(
みつ
)
けらるゝ
筈
(
はず
)
はない。とはいへ
卿
(
そもじ
)
に
愛
(
あい
)
せられずば、
立地
(
たちどころ
)
に
見附
(
みつ
)
けられ、
憎
(
にく
)
まれて、
殺
(
ころ
)
されたい、
愛
(
あい
)
されぬ
苦
(
くるし
)
みを
延
(
のば
)
さうより。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
それが斜に枝を
延
(
のば
)
いた檜のうらに上つたれば、とんとその樹は四十雀が実のつたやうぢやとも申さうず。
きりしとほろ上人伝
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
或年
(
あるとし
)
の住僧此塔の出たる時天を拝していのる、我
法華
(
ほつけ
)
千部
読経
(
どくきやう
)
の
願
(
ぐわん
)
あり、今一年にして
満
(
みて
)
り、何とぞ命を今一年
延
(
のば
)
し玉へと念じて、かの塔を川中の
淵
(
ふち
)
に
投
(
なげ
)
こみたり。
北越雪譜:06 北越雪譜二編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
肩幅の広い、ガッシリした六十余歳の、常に鼠色の洋服を着て、半ば白くなった
顎髭
(
あごひげ
)
をもじゃもじゃと
延
(
のば
)
して、両手でこれを
披
(
ひら
)
いている。会堂の両側は
硝子窓
(
ガラスまど
)
である。
点
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
「下へ置いて、よく
延
(
のば
)
して見るのだ、——おや、おや、大分切り取られて、
巾
(
きれ
)
がなくなつてゐるぜ」
銭形平次捕物控:311 鬼女
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
ただ敷石の道が白く長く帯を
延
(
のば
)
した様に奥深く通じて居るのが見える
許
(
ばか
)
りである、予等二人が十五六
間
(
けん
)
も進んで
這入
(
はい
)
ってゆくと
漸
(
ようや
)
く前面にぼんやり
萱葺
(
かやぶき
)
の門が見えだした。
八幡の森
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
矮
(
ひく
)
い天井に只一つ小さな
硝子
(
がらす
)
窓があつて寝ながら手を
延
(
のば
)
せば
開閉
(
あけたて
)
が出来る。昼は
其
(
その
)
窓から日光が直射し、雨の晩などは
直
(
す
)
ぐ顔の上へ音を立てて降り
掛
(
かゝ
)
る様で眠られない
相
(
さう
)
である。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
三人が帰ると急に寒い気がしだした。服部
嘉香
(
よしか
)
さんへ書く返事を
明日
(
あす
)
に
延
(
のば
)
して寝た。
六日間:(日記)
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
ああして
捏
(
こね
)
たり
延
(
のば
)
したりしているところを見ると、まるで餅屋だな。……おい、見ろ、むこうの鞴のそばでは、金を
水引
(
みずひき
)
のように細長く引きのばして遊んでいる。……さあ、帰ろう。
顎十郎捕物帳:07 紙凧
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
折
(
をり
)
しもモイセイカは
外
(
そと
)
から
歸
(
かへ
)
り
來
(
きた
)
り、
其處
(
そこ
)
に
前院長
(
ぜんゐんちやう
)
のゐるのを
見
(
み
)
て、
直
(
すぐ
)
に
手
(
て
)
を
延
(
のば
)
し
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
アノ傷は決して不意打で無く随分闘った者だから夫は
最
(
も
)
う男には違い無い(大)サア既に男とすれば誰が一尺余りの
髪
(
け
)
を
延
(
のば
)
して居ますか代言人の中には
有
(
ある
)
とか言いますけれど夫は論外
無惨
(新字新仮名)
/
黒岩涙香
(著)
運
(
うん
)
よくは
萬
(
まん
)
の
身代
(
しんだい
)
十
萬
(
まん
)
に
延
(
のば
)
して
山梨縣
(
やまなしけん
)
の
多額納税
(
たがくのうぜい
)
と
銘
(
めい
)
うたんも
斗
(
はか
)
りがたけれど、
契
(
ちぎ
)
りし
詞
(
ことば
)
はあとの
湊
(
みなと
)
に
殘
(
のこ
)
して、
舟
(
ふね
)
は
流
(
なが
)
れに
隨
(
した
)
がひ
人
(
ひと
)
は
世
(
よ
)
に
引
(
ひ
)
かれて、
遠
(
とほ
)
ざかりゆく
事
(
こと
)
千
里
(
り
)
、二千
里
(
り
)
、一萬
里
(
り
)
ゆく雲
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
氣分が惡いやうだけれど——この續きはまた別の日に
延
(
のば
)
しませうか?
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
これは、
歌
(
うた
)
ひ
延
(
のば
)
したり、
縮
(
ちゞ
)
めたりしたからでせう。
歌の話
(旧字旧仮名)
/
折口信夫
(著)
延
(
のば
)
し
横
(
よこた
)
へ、
膝節
(
ひざぶし
)
も、足も、つきいでて、
漣
(
さざなみ
)
の
海潮音
(新字旧仮名)
/
上田敏
(著)
「ほんとさ。お
前
(
まへ
)
さん。」お
豊
(
とよ
)
は首を長く
延
(
のば
)
して、「私の
僻目
(
ひがめ
)
かも知れないが、
実
(
じつ
)
はどうも
長吉
(
ちやうきち
)
の
様子
(
やうす
)
が心配でならないのさ。」
すみだ川
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
これから切出される問題に触れるのを少しでも先へ
延
(
のば
)
したい気持でありましたが、そのうちに、わたくしにも葛岡にも
生々流転
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
豊三郎は
坐
(
すわ
)
ったまま手を
延
(
のば
)
して
障子
(
しょうじ
)
を明けた。すると、つい鼻の先で植木屋がせっせと
梧桐
(
あおぎり
)
の枝をおろしている。
永日小品
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
彼
(
かれ
)
は
周圍
(
しうゐ
)
が
寂
(
さび
)
しいとも
何
(
なん
)
とも
思
(
おも
)
はなかつた。
然
(
しか
)
し
彼自身
(
かれじしん
)
は
見
(
み
)
るから
枯燥
(
こさう
)
して
憐
(
あは
)
れげであつた。
彼
(
かれ
)
は
少
(
すこ
)
しきや/\と
痛
(
いた
)
む
腰
(
こし
)
を
延
(
のば
)
して
荷物
(
にもつ
)
を
脊負
(
せお
)
つて
立
(
た
)
つた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
「
好
(
い
)
い天気だな。
何
(
ど
)
うだ。運動ながら吉岡の
家
(
うち
)
へ
一所
(
いっしょ
)
に行かないか。吉岡の
阿母
(
おっか
)
さんに逢って、お前の婚礼を
延
(
のば
)
すことを一応
断
(
ことわ
)
って置こうと思うから……。」
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
ヂュリ
大空
(
おほぞら
)
の
雲
(
くも
)
の
中
(
なか
)
にも
此
(
この
)
悲痛
(
かなしみ
)
の
底
(
そこ
)
を
見透
(
みとほ
)
す
慈悲
(
じひ
)
は
無
(
な
)
いか? おゝ、
母
(
かゝ
)
さま、わたしを
見棄
(
みす
)
てゝ
下
(
くだ
)
さりますな!
此
(
この
)
婚禮
(
こんれい
)
を
延
(
のば
)
して
下
(
くだ
)
され、せめて
一月
(
ひとつき
)
、一
週間
(
しうかん
)
。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
と手を
延
(
のば
)
して菅笠の端を
捉
(
と
)
ったが、それでも振払って逃げようとする
機
(
はず
)
みに笠の紐がぷつりと切れる。
敵討札所の霊験
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
或年
(
あるとし
)
の住僧此塔の出たる時天を拝していのる、我
法華
(
ほつけ
)
千部
読経
(
どくきやう
)
の
願
(
ぐわん
)
あり、今一年にして
満
(
みて
)
り、何とぞ命を今一年
延
(
のば
)
し玉へと念じて、かの塔を川中の
淵
(
ふち
)
に
投
(
なげ
)
こみたり。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
される度一時
延
(
のば
)
しに致し居れども
最早
(
もはや
)
此暮には是非半金も
遣
(
やら
)
ねばならず夫故
種々
(
いろ/\
)
心配致せど何分私しの
稼
(
かせぎ
)
では其日々々を暮す迄にも
引足
(
ひきたら
)
ず其中にも私しは三度の物を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
「さア、もう一度世の中へ出て参りましょう。その黒髪を
延
(
のば
)
して、振袖を着て、
貴女
(
あなた
)
の美しさを存分に見せて、
貴方
(
あなた
)
の前に
裾
(
ひざまず
)
く世間を見返してやろうではありませんか」
百唇の譜
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
待合の
襖
(
ふすま
)
の紙が
蟹
(
かに
)
のような形に破れているのを見付けると
延
(
のば
)
した足の拇指を曲げて、
件
(
くだん
)
の
破目
(
やぶれめ
)
を
湯島詣
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
イヤもう
既
(
すで
)
に印度洋から軍艦を増発して何千の兵士は
唯
(
ただ
)
今支度最中、
然
(
しか
)
るにこの戦争の時期を
延
(
のば
)
して待つなどゝは
謂
(
いわ
)
れのない話だ
云々
(
うんぬん
)
と、思うさま
威嚇
(
おど
)
して聞きそうな
顔色
(
がんしょく
)
がない。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
折
(
おり
)
しもモイセイカは
外
(
そと
)
から
帰
(
かえ
)
り
来
(
きた
)
り、そこに
前院長
(
ぜんいんちょう
)
のいるのを
見
(
み
)
て、
直
(
すぐ
)
に
手
(
て
)
を
延
(
のば
)
し
六号室
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
艇尾
(
ていび
)
には
色
(
いろ
)
淺黒
(
あさぐろ
)
く、
虎髯
(
こぜん
)
を
海風
(
かいふう
)
に
吹
(
ふ
)
かせたる
雄風
(
ゆうふう
)
堂々
(
どう/″\
)
たる
海軍大尉
(
かいぐんたいゐ
)
あり、
舵柄
(
だへい
)
を
握
(
にぎ
)
れる
身
(
み
)
を
延
(
のば
)
して、『やゝ、
貴下等
(
きから
)
も
日本人
(
につぽんじん
)
ではないか。』とばかり、
私
(
わたくし
)
と
武村兵曹
(
たけむらへいそう
)
の
面
(
おもて
)
を
見詰
(
みつ
)
めたが
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
延
(
のば
)
し
横
(
よこた
)
へ、
膝節
(
ひざぶし
)
も足も、つきいでゝ、
漣
(
さゞなみ
)
の
海潮音
(旧字旧仮名)
/
上田敏
(著)
或樹
(
あるき
)
は
髯
(
ひげ
)
を垂れ、
百手
(
ひやくしゆ
)
を
延
(
のば
)
し
南洋館
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
(著)
彼等は習慣と道徳の雨に散りたる一片の花にして、刑罰と懲戒の暴風に
萎
(
しを
)
れず、死と破滅の空に向ひて、悪の蔓を
延
(
のば
)
し、罪の葉を広ぐる毒草の気概を欠き居り候。
夜あるき
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
今の俳優の中で
延
(
のば
)
そうという者も見当らないが、
先
(
ま
)
ず
宗之助
(
そうのすけ
)
であろう、あの人は
女役
(
おやま
)
が適当であると自信して、かなりいい立役が附いても喜ばぬ
風
(
ふう
)
であるが、とにかく年は若し
当今の劇壇をこのままに
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
到
(
いた
)
る
處
(
ところ
)
荒
(
あ
)
れた
藪
(
やぶ
)
の
端
(
はし
)
や
土手
(
どて
)
の
瘠
(
や
)
せた
篠
(
しの
)
の
梢
(
こずゑ
)
に
乘
(
の
)
り
掛
(
かゝ
)
つて、
之
(
これ
)
を
噛
(
か
)
めば
齒
(
は
)
がこぼれるといはれて
居
(
ゐ
)
る
毒
(
どく
)
な
仙人草
(
せんにんさう
)
が
其
(
そ
)
の
手
(
て
)
を
幾
(
いく
)
らでも
延
(
のば
)
して
思
(
おも
)
ひ
切
(
き
)
つて
蟠
(
わだかま
)
つた
蔓
(
つる
)
が
白
(
しろ
)
い
花
(
はな
)
を一
杯
(
ぱい
)
につけて
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
且
(
かつ
)
又
(
また
)
これまでの
暦
(
こよみ
)
にはつまらぬ
吉凶
(
きつきやう
)
を
記
(
しる
)
し
黒日
(
くろび
)
の
白日
(
しろび
)
のとて
譯
(
わけ
)
もわからぬ
日柄
(
ひがら
)
を
定
(
さだめ
)
たれば、
世間
(
せけん
)
に
暦
(
こよみ
)
の
廣
(
ひろ
)
く
弘
(
ひろま
)
るほど、
迷
(
まよひ
)
の
種
(
たね
)
を
多
(
おほ
)
く
増
(
ま
)
し、
或
(
あるひ
)
は
婚禮
(
こんれい
)
の
日限
(
にちげん
)
を
延
(
のば
)
し、
或
(
あるひ
)
は
轉宅
(
てんたく
)
の
時
(
とき
)
を
縮
(
ちゞ
)
め
改暦弁
(旧字旧仮名)
/
福沢諭吉
(著)
如意で刄物を打落し、
猿臂
(
えんぴ
)
を
延
(
のば
)
して逆に
押
(
おさ
)
え付け、片膝を曲者の脊中へ
乗掛
(
のっか
)
け
菊模様皿山奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
“延”の解説
延(のび)とは中世日本において枡の大小差から発生する計量上の増加分のこと。斗出(はかりだし/とだし)とも。
(出典:Wikipedia)
延
常用漢字
小6
部首:⼵
8画
“延”を含む語句
蔓延
延長
延々
延引
背延
身延
生延
延宝
夜延
延暦寺
延暦
延享
延金
延若
保延
延期
間延
延棒
銀延
引延
...