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さかひ
ふりがな文庫
“
境
(
さかひ
)” の例文
而も名辞以前の「面白いから面白い」
境
(
さかひ
)
のことは、その面白さを人は人為的に増減することは困難だから茲に宿命性が在ると云へる。
芸術論覚え書
(新字旧仮名)
/
中原中也
(著)
今
(
いま
)
敵國
(
てきこく
)
深
(
ふか
)
く
侵
(
をか
)
して、
邦内
(
はうない
)
騷動
(
さうどう
)
し、
士卒
(
しそつ
)
、
境
(
さかひ
)
に
(一七)
暴露
(
ばくろ
)
す。
君
(
きみ
)
寢
(
い
)
ねて
席
(
せき
)
を
安
(
やす
)
んぜず、
食
(
くら
)
うて
味
(
あぢはひ
)
を
甘
(
あま
)
しとせず。百
姓
(
せい
)
の
命
(
めい
)
皆
(
みな
)
君
(
きみ
)
に
懸
(
か
)
かる。
国訳史記列伝:04 司馬穰苴列伝第四
(旧字旧仮名)
/
司馬遷
(著)
同
(
おな
)
じ
時
(
とき
)
、
賈雍將軍
(
かようしやうぐん
)
は
蒼梧
(
さうご
)
の
人
(
ひと
)
、
豫章
(
よしやう
)
の
太守
(
たいしゆ
)
として
國
(
くに
)
の
境
(
さかひ
)
を
出
(
い
)
で、
夷賊
(
いぞく
)
の
寇
(
あだ
)
するを
討
(
たう
)
じて
戰
(
たゝかひ
)
に
勝
(
か
)
たず。
遂
(
つひ
)
に
蠻軍
(
ばんぐん
)
のために
殺
(
ころ
)
され
頭
(
かうべ
)
を
奪
(
うば
)
はる。
唐模様
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
エニンは昔のエンガンニム、海抜約六百五十
呎
(
フイート
)
、人口二千
左右
(
さう
)
の
小邑
(
せういふ
)
、サマリヤの山尽き
下
(
しも
)
ガリラヤの平原起る所の
境
(
さかひ
)
にあり。
馬上三日の記:エルサレムよりナザレへ
(新字旧仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
九州
(
きゆうしゆう
)
や
山陰
(
さんいん
)
、
山陽地方
(
さんようちほう
)
、
畿内諸國
(
きないしよこく
)
も
山
(
やま
)
が
低
(
ひく
)
いので
暖帶林
(
だんたいりん
)
の
上部界
(
じようぶかい
)
の
上部
(
じようぶ
)
はすべて
頂上
(
ちようじよう
)
までこの
帶
(
たい
)
に
屬
(
ぞく
)
し、
四國
(
しこく
)
では
六千五百尺
(
ろくせんごひやくしやく
)
のところを
境
(
さかひ
)
とし
森林と樹木と動物
(旧字旧仮名)
/
本多静六
(著)
▼ もっと見る
レモンを日に焼けぬまじなひに買ひ申し
候
(
さふら
)
へど、おそらく君いまさぬ日にさるたしなみを続け
得
(
う
)
べしと思はれぬ
境
(
さかひ
)
に
候
(
さふらふ
)
。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
用人の川前市助に案内されて、いきなり庭へ入つて行くと、
境
(
さかひ
)
の塀の切戸を開けて、一歩酒屋の庭へ行つて見ました。
銭形平次捕物控:204 美女罪あり
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
かれの今までの経験は、何も
彼
(
か
)
もその「偶然」で解釈された。考へて不思議の
境
(
さかひ
)
に至ると、「これも偶然の事実だ。」と考へて、そして片を附けた。
ある僧の奇蹟
(新字旧仮名)
/
田山花袋
(著)
波浪を蹴つて進んで行く汽船の機関の
一呼吸
(
ひとこきふ
)
する
響毎
(
ひびきごと
)
に、自分の心は
其身
(
そのみ
)
と共に遠い未知の
境
(
さかひ
)
に運ばれて行く。
海洋の旅
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
六時を
境
(
さかひ
)
にして昼夜の花に
為切
(
しきり
)
がつく、お糸さんは決して六時前にはあちらへ案内をしなかつた。客にむだなおあしを使はせないやうに考へてるからである。
二黒の巳
(新字旧仮名)
/
平出修
(著)
ひとり探景の詩文のみに就きて云ふにあらず、
凡
(
すべ
)
ての文章が
神
(
しん
)
に入ると神に入らざるとは、即ち此
境
(
さかひ
)
にあり。
松島に於て芭蕉翁を読む
(新字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
菩提樹下と訳するときは、幽静なる
境
(
さかひ
)
なるべく思はるれど、この大道
髪
(
かみ
)
の如きウンテル、デン、リンデンに来て両辺なる石だゝみの人道を行く
隊々
(
くみ/″\
)
の士女を見よ。
舞姫
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
これ千年の深林を
滅
(
めつ
)
し、人力を以て自然に
打克
(
うちかた
)
んが為めに、殊更に
無人
(
ぶじん
)
の
境
(
さかひ
)
を撰んで作られたのである。
空知川の岸辺
(新字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
吾がために教を
遺
(
のこ
)
せとあるに、叔座いふ。
一三一
商鞅
(
しやうあう
)
年少しといへども
一三二
奇才
(
きさい
)
あり。
王
(
きみ
)
若
(
も
)
し此の人を用ゐ給はずば、これを殺しても
一三三
境
(
さかひ
)
を出すことなかれ。
雨月物語:02 現代語訳 雨月物語
(新字新仮名)
/
上田秋成
(著)
糞
(
こやし
)
をのする
輴哥
(
そり
)
あり、これをのするほどに
小
(
ちひさ
)
く作りたる物なり。二三月のころも地として雪ならざるはなく、
渺々
(
びやう/\
)
として
田圃
(
たはた
)
も
是下
(
このした
)
に
在
(
あ
)
りて
持分
(
もちぶん
)
の
境
(
さかひ
)
もさらにわかちがたし。
北越雪譜:06 北越雪譜二編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
三四郎は画室へ
導
(
みちび
)
かれた時、
霞
(
かすみ
)
の
中
(
なか
)
へ這入つた様な気がした。
丸卓
(
まるテーブル
)
に
肘
(
ひぢ
)
を
持
(
も
)
たして、此
静
(
しづ
)
かさの
夜
(
よ
)
に
勝
(
まさ
)
る
境
(
さかひ
)
に、
憚
(
はばか
)
りなき
精神
(
こゝろ
)
を溺れしめた。此
静
(
しづ
)
かさのうちに、美禰子がゐる。
三四郎
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
これが、此の
廢殘
(
はいざん
)
の
境
(
さかひ
)
にのさばつて
尤
(
もつと
)
も人の目を
刺戟
(
しげき
)
する
物象
(
ぶつしやう
)
だ………何うしたのか、此の樹の
梢
(
こずえ
)
に
赤
(
あか
)
い
絲
(
いと
)
が
一筋
(
ひとすじ
)
絡
(
から
)
むで、スーツと
大地
(
だいち
)
に落ちかゝツて、フラ/\
軟
(
やはらか
)
い風に
揺
(
ゆら
)
いでゐた。
平民の娘
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
馬籠
(
まごめ
)
の
村
(
むら
)
はづれには、
杉
(
すぎ
)
の
木
(
き
)
の
生
(
は
)
えた
澤
(
さは
)
を
境
(
さかひ
)
にしまして、
別
(
べつ
)
に
峠
(
たうげ
)
といふ
名前
(
なまへ
)
の
小
(
ちい
)
さな
村
(
むら
)
があります。この
峠
(
たうげ
)
に、
馬籠
(
まごめ
)
に、
湯舟澤
(
ゆぶねざは
)
と、それだけの
三
(
さん
)
ヶ
村
(
そん
)
を
一緒
(
いつしよ
)
にして
神坂村
(
みさかむら
)
と
言
(
い
)
ひました。
ふるさと
(旧字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
併し其の
境
(
さかひ
)
に至るには愛か
捨
(
しや
)
かを體得せねばならぬ、然らざれば三
阿僧
(
あそう
)
祗劫
(
ぎごふ
)
の間なりとも努力せねばならぬ。愛の道、捨の道を此の册には説いて居らぬ、よつて猶且努力論と題してゐる。
努力論
(旧字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
意富本杼
(
おほほど
)
の王が妹、
忍坂
(
おさか
)
の
大中津
(
おほなかつ
)
比賣の命に娶ひて、生みませる御子、
木梨
(
きなし
)
の
輕
(
かる
)
の王、次に長田の
大郎女
(
おほいらつめ
)
、次に
境
(
さかひ
)
の黒日子の王、次に
穴穗
(
あなほ
)
の命、次に輕の大郎女、またの御名は
衣通
(
そとほし
)
の郎女
古事記:02 校註 古事記
(その他)
/
太安万侶
、
稗田阿礼
(著)
飛騨
(
ひだ
)
と
信濃
(
しなの
)
の
境
(
さかひ
)
を
走
(
はし
)
る
峻嶺
(
しゆんれい
)
を「
日本
(
にほん
)
アルプス」などと
得意顏
(
とくいがほ
)
に
唱
(
とな
)
へ、
甚
(
はなは
)
だしきは
木曾川
(
きそがは
)
を「
日本
(
にほん
)
ライン」といひ、
更
(
さら
)
に
甚
(
はなは
)
だしきは、その
或
(
ある
)
地點
(
ちてん
)
を「
日本
(
にほん
)
ローレライ」などといつたものがある。
国語尊重
(旧字旧仮名)
/
伊東忠太
(著)
人この
裏
(
うち
)
に立ちて
寥々冥々
(
りようりようめいめい
)
たる四望の間に、
争
(
いかで
)
か
那
(
な
)
の世間あり、社会あり、都あり、町あることを想得べき、
九重
(
きゆうちよう
)
の天、
八際
(
はつさい
)
の地、始めて
混沌
(
こんとん
)
の
境
(
さかひ
)
を
出
(
い
)
でたりといへども、万物
未
(
いま
)
だ
尽
(
ことごと
)
く
化生
(
かせい
)
せず
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
ぽかりと
目
(
め
)
を
開
(
あ
)
いたら、
朝
(
あさ
)
が
待
(
ま
)
ち
構
(
かま
)
へたやうに
硝子
(
ガラス
)
の
外
(
そと
)
から
私
(
わたし
)
を
覗
(
のぞ
)
いてゐた。
夢
(
ゆめ
)
と
現
(
うつゝ
)
の
境
(
さかひ
)
ごろに、
近
(
ちか
)
くで一
發
(
ぱつ
)
の
獵銃
(
れふじう
)
の
音
(
おと
)
が
響
(
ひゞ
)
いたやうだつけ、その
響
(
ひゞき
)
で一
層
(
そう
)
あたりが
靜
(
しづ
)
かにされたやうな
朝
(
あさ
)
である。
日の光を浴びて
(旧字旧仮名)
/
水野仙子
(著)
それは、行きかへりの旅行もなく、イングラム・
莊園
(
パアク
)
への訪問もないことであつた。確かに隣の州の
境
(
さかひ
)
にある莊園までは二十
哩
(
マイル
)
は隔つてゐる。しかし熱烈な愛人にとつてはそんなこと位何であらう。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
貌
(
かほばせ
)
めでたく膚
褐
(
かち
)
いろなる
裸裎
(
らてい
)
の一童子の、傍に立ちてこれを看るさま、
愛
(
アモオル
)
の神童に
彷彿
(
はうふつ
)
たり。人の説くを聞くに、この
境
(
さかひ
)
寒
(
さむさ
)
を知らず、數年前
祁寒
(
きかん
)
と稱せられしとき、塞暑針は猶八度を指したりといふ。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
あかあかと
濁
(
にご
)
れる海と
黯湛
(
かぐろ
)
くも澄みたる海と
境
(
さかひ
)
をぞする
つゆじも
(新字旧仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
春まさに国の
境
(
さかひ
)
の大き河氷とどろけば冬果てしなり
夢殿
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
去年
(
こぞ
)
とやいはむ今年とや年の
境
(
さかひ
)
もみえわかぬ
海潮音
(旧字旧仮名)
/
上田敏
(著)
何
(
なん
)
と
御覽
(
ごらん
)
じて
何
(
なん
)
とお
恨
(
うら
)
みなさるべきにや
過
(
す
)
ぎし
雪
(
ゆき
)
の
夜
(
よ
)
の
邂逅
(
かいごう
)
に
二
(
ふた
)
つなき
貞心
(
ていしん
)
嬉
(
うれ
)
しきぞとてホロリとし
給
(
たま
)
ひし
涙
(
なみだ
)
の
顏
(
かほ
)
今
(
いま
)
も
眼
(
め
)
の
前
(
さき
)
に
存
(
のこ
)
るやうなりさりながら
思
(
おも
)
ふ
心
(
こゝろ
)
は
幽冥
(
ゆうめい
)
の
境
(
さかひ
)
にまでは
通
(
つう
)
ずまじきにや
無情
(
つれな
)
く
悲
(
かな
)
しく
引止
(
ひきと
)
められし
命
(
いのち
)
を
別れ霜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
わたづみ
境
(
さかひ
)
を
領
(
し
)
らす。さればこの日
春鳥集
(旧字旧仮名)
/
蒲原有明
(著)
幽渺
境
(
さかひ
)
窮みなし
天地有情
(旧字旧仮名)
/
土井晩翠
(著)
田圃
(
たんぼ
)
が
湖
(
みづうみ
)
にならぬが
不思議
(
ふしぎ
)
で、どう/\と
瀬
(
せ
)
になつて、
前途
(
ゆくて
)
に一
叢
(
むら
)
の
藪
(
やぶ
)
が
見
(
み
)
える、
其
(
それ
)
を
境
(
さかひ
)
にして
凡
(
およ
)
そ二
町
(
ちやう
)
ばかりの
間
(
あひだ
)
宛
(
まる
)
で
川
(
かは
)
ぢや。
高野聖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
「さうですな。すつかり感心させられて了ひました。とても、私達にはあの
境
(
さかひ
)
はまだわからない。普通の催眠術などと言ふものよりはもつとぐつと奥ですな。」
ある僧の奇蹟
(新字旧仮名)
/
田山花袋
(著)
何故なれば類推なるものは、先に云ふ「面白いから面白い
境
(
さかひ
)
」にもともとあるものではないから、例へば詩に於ては語が語を生み、行が行を生まなければならぬ。
芸術論覚え書
(新字旧仮名)
/
中原中也
(著)
日頃あるにかひなき自分をば慰め
劬
(
いたは
)
り、教へ
諭
(
さと
)
してくれる
凡
(
すべ
)
ての親しい人達から遠く離れて全く気儘になつた一身をば
偶然
(
たま/\
)
かうした静な淋しい
境
(
さかひ
)
に休息させると
海洋の旅
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
平次はさう言はれて二軒長屋の
境
(
さかひ
)
の壁を見ました。成程多の市の部屋の柱寄り、丁度疊から五六寸上が、向うから
壞
(
こは
)
されたやうに、ポコリと土が落ちて居るのです。
銭形平次捕物控:064 九百九十両
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
糞
(
こやし
)
をのする
輴哥
(
そり
)
あり、これをのするほどに
小
(
ちひさ
)
く作りたる物なり。二三月のころも地として雪ならざるはなく、
渺々
(
びやう/\
)
として
田圃
(
たはた
)
も
是下
(
このした
)
に
在
(
あ
)
りて
持分
(
もちぶん
)
の
境
(
さかひ
)
もさらにわかちがたし。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
それ
驕
(
おごり
)
をもて治めたる世は、
往古
(
いにしへ
)
より久しきを見ず。人の守るべきは倹約なれども、
一五二
過ぐるものは
卑吝
(
ひりん
)
に
陥
(
お
)
つる。されば倹約と卑吝の
境
(
さかひ
)
よくわきまへて
務
(
つと
)
むべき物にこそ。
雨月物語:02 現代語訳 雨月物語
(新字新仮名)
/
上田秋成
(著)
其癖
(
そのくせ
)
彼
(
かれ
)
の
性質
(
せいしつ
)
として、
兄夫婦
(
あにふうふ
)
の
如
(
ごと
)
く、
荏苒
(
じんぜん
)
の
境
(
さかひ
)
に
落付
(
おちつ
)
いてはゐられなかつたのである。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
やや
眠
(
ねむり
)
が浅い
境
(
さかひ
)
へ帰つて来た頃、
良人
(
をつと
)
は
誰
(
たれ
)
かと
頻
(
しき
)
りに話して居た。目を
開
(
あ
)
いても見たが、
良人
(
をつと
)
と並んで
向
(
むか
)
ふ側に黒い人が一人居るのを知つて居た。汽車が徐行しかかつたと思つた時
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
平八郎は格之助の
遅
(
おく
)
れ
勝
(
がち
)
になるのを叱り励まして、二十二日の午後に
大和
(
やまと
)
の
境
(
さかひ
)
に入つた。それから日暮に
南畑
(
みなみはた
)
で格之助に色々な物を買はせて、身なりを整へて、駅のはづれにある寺に
這入
(
はひ
)
つた。
大塩平八郎
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
蛇おほく住める寺あり
額
(
がく
)
の文字「
恩沾無涯
(
おんてんむがい
)
」は
国
(
くに
)
境
(
さかひ
)
せず
つゆじも
(新字旧仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
わらべどち憎む
境
(
さかひ
)
の
切崖
(
きりがけ
)
は陸橋がかかり椿花むら
白南風
(旧字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
去年
(
こぞ
)
とやいはむ今年とや年の
境
(
さかひ
)
もみえわかぬ
海潮音
(新字旧仮名)
/
上田敏
(著)
已にサマリヤの
境
(
さかひ
)
に入れるなり。
馬上三日の記:エルサレムよりナザレへ
(新字旧仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
覗
(
のぞ
)
くと、
山
(
やま
)
の
根
(
ね
)
を
境
(
さかひ
)
にした
廣々
(
ひろ/″\
)
とした
庭
(
には
)
らしいのが、
一面
(
いちめん
)
の
雜草
(
ざつさう
)
で、
遠
(
とほ
)
くに
小
(
ちひ
)
さく、
壞
(
こは
)
れた
四阿
(
あづまや
)
らしいものの
屋根
(
やね
)
が
見
(
み
)
える。
城崎を憶ふ
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
運不運ではあり、幸不幸ではあるけれども、それ以上に生の力が、盲目の生の力が肯定されてゐるではないか。生死を問題にしてはゐられない
境
(
さかひ
)
があるではないか。
ある僧の奇蹟
(新字旧仮名)
/
田山花袋
(著)
「氣のついたことがあつたら、皆んな話してくれ。親の敵を討てるか討てないかの
境
(
さかひ
)
ぢやないか」
銭形平次捕物控:310 闇に飛ぶ箭
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
身内
(
みうち
)
拭ひ
居
(
を
)
る時、前の窓より外なる波に月光のひたひたと宿れるさまを見
候
(
さふらふ
)
ては、さすがに今ある
境
(
さかひ
)
の面白からざるにもあらず、絵の中のおのれかなど月並なる事をも思ふ程にて
候
(
さふら
)
ひき。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
御米
(
およね
)
も
久
(
ひさ
)
し
振
(
ぶり
)
に
綿
(
わた
)
の
入
(
い
)
つた
重
(
おも
)
いものを
脱
(
ぬ
)
ぎ
棄
(
す
)
てゝ、
肌
(
はだ
)
に
垢
(
あか
)
の
觸
(
ふ
)
れない
輕
(
かる
)
い
氣持
(
きもち
)
を
爽
(
さわ
)
やかに
感
(
かん
)
じた。
春
(
はる
)
と
夏
(
なつ
)
の
境
(
さかひ
)
をぱつと
飾
(
かざ
)
る
陽氣
(
やうき
)
な
日本
(
にほん
)
の
風物
(
ふうぶつ
)
は、
淋
(
さむ
)
しい
御米
(
およね
)
の
頭
(
あたま
)
にも
幾分
(
いくぶん
)
かの
反響
(
はんきやう
)
を
與
(
あた
)
へた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
“境”の解説
境(さかい)とは、政治、行政、言語、食文化等を区切る地理的な境目のこと。
(出典:Wikipedia)
境
常用漢字
小5
部首:⼟
14画
“境”を含む語句
境遇
境界
国境
境内
境地
環境
心境
境涯
見境
恍惚境
地境
境目
村境
國境
無人境
境川
窮境
苦境
海境
境木峠
...