“九重”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
ここのえ60.0%
ここのへ14.3%
こゝのへ14.3%
くじゅう5.7%
きゆうちよう2.9%
こゝのえ2.9%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
まさしく九重ここのえ御階みはしに立ち匂い、彼の臣子一片の忠誠は、はしなくもこのありがたいのりに浴して、千載せんざい、国土とともにあるものとなった。
新書太閤記:08 第八分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
九重ここのへの雲の中にいらせられる御一人さへ不思議にも近松の浄瑠璃じやうるりを愛読し給うた。それは近松の出身によるか、或は又市井の出来事に好奇心を持たれた為かも知れない。
威風堂々としてあんつて顧眄こべんするの勇を示す、三十余年以前は西国の一匹夫いちひつぷ、今は国家の元老として九重こゝのへ雲深きあたりにも、信任浅からぬ侯爵何某なにがしの将軍なりとか
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
「阿蘇外輪の九重くじゅう高原ですよ、あの辺が」と、その九重くじゅう踏破の忘れがたい思い出を、Iさんは話しぬく。
随筆 新平家 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
人このうちに立ちて寥々冥々りようりようめいめいたる四望の間に、いかでの世間あり、社会あり、都あり、町あることを想得べき、九重きゆうちようの天、八際はつさいの地、始めて混沌こんとんさかひでたりといへども、万物いまことごと化生かせいせず
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
それは私のやかたには勿論もちろん、やんごとない九重こゝのえの奥にさえないもので、御老体のお手もとにだけあるもの。———御老体に取って命より大切な、天にも地にもかけがえのないもの。
少将滋幹の母 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)