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九重
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ここのえ
ふりがな文庫
“
九重
(
ここのえ
)” の例文
まさしく
九重
(
ここのえ
)
の
御階
(
みはし
)
に立ち匂い、彼の臣子一片の忠誠は、はしなくもこのありがたい
宣
(
のり
)
に浴して、
千載
(
せんざい
)
、国土とともにあるものとなった。
新書太閤記:08 第八分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
九重
(
ここのえ
)
の筑紫の真綿軽く入れた風よけの
目深頭巾
(
まぶかずきん
)
にすっぽり
面
(
おもて
)
をつつむと、やがて対馬守は何ごともなかったように、静かな深夜の街へ出ていった。
老中の眼鏡
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
台坐には、十一坐、
九重
(
ここのえ
)
坐、
七重
(
ななえ
)
坐、蓮坐、
荷葉
(
かよう
)
坐、
多羅葉
(
たらよう
)
坐、
岩
(
いわ
)
坐、雲坐、
須弥
(
しゅみ
)
坐、
獅子吼
(
ししく
)
坐、円坐、
雷盤
(
らいばん
)
坐等で、壇には護摩壇、須弥壇、円壇等がある。
幕末維新懐古談:07 彫刻修業のはなし
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
こうして、かつては
九重
(
ここのえ
)
の奥深く、顔さえみることもできなかった平家の
公達
(
きんだち
)
の首が、都大路を幾万という観衆に見世物にされて渡されることになったのであった。
現代語訳 平家物語:10 第十巻
(新字新仮名)
/
作者不詳
(著)
東夷
(
あずまえびす
)
の住む草の武蔵の真中の宮柱に、どうやら
九重
(
ここのえ
)
の大宮の古き御殿の
面影
(
おもかげ
)
がしのばれて、そこらあたりに須磨や明石の浦吹く風も漂い、刈り残された雑草のたぐいまでが
大菩薩峠:21 無明の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
▼ もっと見る
小臣らはいずれも
田舎侍
(
いなかざむらい
)
で、
九重
(
ここのえ
)
の
御作法
(
ごさほう
)
にははなはだ心得が
薄
(
うす
)
いもののみでござりまする。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
しかも当人時ならず、春風
胎蕩
(
たいとう
)
として、今日
九重
(
ここのえ
)
ににおい来る、菊や、菊や——酒の銘。
式部小路
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
九重
(
ここのえ
)
の奥にまします帝でさえも、此れほどの人を
後宮
(
こうきゅう
)
に持ってはおられないであろう。
少将滋幹の母
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
九重
(
ここのえ
)
の
大宮人
(
おおみやびと
)
もかしはもち今日はをすかも
賤
(
しず
)
の
男
(
お
)
さびて
墨汁一滴
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
九重
(
ここのえ
)
安信神社の杉森。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
「世は
戦塵濛々
(
せんじんもうもう
)
、
九重
(
ここのえ
)
の
奥
(
おく
)
もなんとなくあわただしく、日ごとご
君側
(
くんそく
)
の
奉仕
(
ほうし
)
に、少しのおひまもないていにお見うけ申しまする」
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「まあ、お話を聞けば
勿体
(
もったい
)
ないようなことで御座いますね。すると、この狆を見本にしてお彫りになれば、この狆の姿が
九重
(
ここのえ
)
のお奥へ参るわけで御座いますね」
幕末維新懐古談:53 葉茶屋の狆のはなし
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
「昔、
九重
(
ここのえ
)
という全盛の太夫さんが、ここで自害をなされました」
大菩薩峠:03 壬生と島原の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
「
九重
(
ここのえ
)
さん」
旗本退屈男:09 第九話 江戸に帰った退屈男
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
このおれさまはどうだ! 日本中クロを乗りまわしてきて、いまは、
天子
(
てんし
)
さまと同じ
都
(
みやこ
)
の土をふんでいるんだ。
九重
(
ここのえ
)
の都をよ!
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
彼らの
挙止
(
きょし
)
の礼は、
九重
(
ここのえ
)
の
清涼
(
せいりょう
)
と何ら変らないが、二人の衣冠は、ぼろぼろだった。鼠の巣を鼠の影がちょろちょろ出入りしているようであった。
私本太平記:04 帝獄帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
世が世なら竹屋
三位卿
(
さんみきょう
)
も、
九重
(
ここのえ
)
の
歌会
(
うたげ
)
、
王廟
(
おうびょう
)
の
政治
(
まつり
)
に参じる身分、まさか、見張番まで勤めるのでもあるまいが、朝廷の
御衰微
(
ごすいび
)
今より甚しきはなく
鳴門秘帖:01 上方の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
木樵
(
きこり
)
や炭焼き小屋を
窺
(
うかが
)
っては、持ちあわせの
物代
(
ものしろ
)
を食に
換
(
か
)
えて来たり、
野葡萄
(
のぶどう
)
だのあけびのツルなども曳いて、かつて
九重
(
ここのえ
)
の大膳寮では見もされぬ奇異な物も
私本太平記:04 帝獄帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
今とて一天万乗の君と仰がれて
九重
(
ここのえ
)
に
宮居
(
みやい
)
し給うお方が、御謀反とは、たれへたいしての御謀反なのか。
私本太平記:02 婆娑羅帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
こんなとき、天皇も、御微笑されたり、お妃も、女官たちも、笑みこぼれて、ときならぬ百花らんまんの雲が
揺
(
ゆ
)
らぐ。
実
(
げ
)
にや、雲の上といい、
九重
(
ここのえ
)
の
大宮人
(
おおみやびと
)
というのも、誇張ではない。
新・平家物語:02 ちげぐさの巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「途々の敵を払って、めでたく元の
九重
(
ここのえ
)
の内に、
帝駕
(
ていが
)
の還幸を計らねばならんが」
私本太平記:06 八荒帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
されば、輿論が先走って、
九重
(
ここのえ
)
の内のおしたくの方が、おくれがちだ。
私本太平記:02 婆娑羅帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
ここは
開封
(
かいほう
)
東京
(
とうけい
)
の首都、
汴城
(
べんじょう
)
の
九重
(
ここのえ
)
。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
なお
九重
(
ここのえ
)
はこいしきものを
日本名婦伝:小野寺十内の妻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
“九重”の意味
《名詞》
いくつにも重なること。
宮中。禁裏。
《固有名詞》
地名など。
(出典:Wiktionary)
九
常用漢字
小1
部首:⼄
2画
重
常用漢字
小3
部首:⾥
9画
“九重”で始まる語句
九重山