九重こゝのへ)” の例文
威風堂々としてあんつて顧眄こべんするの勇を示す、三十余年以前は西国の一匹夫いちひつぷ、今は国家の元老として九重こゝのへ雲深きあたりにも、信任浅からぬ侯爵何某なにがしの将軍なりとか
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
去年こぞ九重こゝのへの雲に見し秋の月を、八重やへ汐路しほぢ打眺うちながめつ、覺束なくも明かし暮らせし壽永二年。
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
桓武天皇九代の皇胤と列べ立てゝは緞帳どんちやうの台詞染みて笑止をかしくないが、御歴代の天皇様から御鐘愛を蒙むつて恐れ多くも九重こゝのへ咫尺しせきし奉つたためしは君達も忠君無二の日本人だから御存じだらう。
犬物語 (新字旧仮名) / 内田魯庵(著)
雲むらさきの九重こゝのへ
藤村詩抄:島崎藤村自選 (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
紫雲しうん揺曳たなびく九重こゝのへ
全都覚醒賦 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)