緑色みどりいろ)” の例文
それから二人ふたりが、くさうえへこしをおろしました。じっと、かわのおもてをみつめていると、あおみずうえへ、緑色みどりいろそらがうつりました。
花かごとたいこ (新字新仮名) / 小川未明(著)
かく緑色みどりいろ植物しよくぶつの、とく固有こゆういろで、われ/\はといへば、すぐにみどりいろおもさずにゐられないくらゐしたしいいろです。
森林と樹木と動物 (旧字旧仮名) / 本多静六(著)
この蛙は緑色みどりいろです。まるで青い木の葉のような恰好かっこうをしています。そうして、そういう恰好かっこうをしているので、なんだか素晴すばらしくみえます。
母の話 (新字新仮名) / アナトール・フランス(著)
雨のこうにはお日さまが、うすい緑色みどりいろのくまをって、まっ白に光っていましたが、そのこちらで宝石ほうせきの雨はあらゆる小さなにじをあげました。
時に厚いくちが、急に煮染にじむ様に見えて、しばらく眺めてゐるうちに、ぽたりと椽におとがした。切口きりくちあつまつたのは緑色みどりいろの濃いおもしるであつた。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
それは、若竹わかたけが、あちこちのそらに、かぼそく、ういういしい緑色みどりいろをのばしている初夏しょかのひるで、松林まつばやしでは松蝉まつぜみが、ジイジイジイイといていました。
花のき村と盗人たち (新字新仮名) / 新美南吉(著)
そして、それがどうしてこんな市松もように見え、いろんな色に見えるかも、だんだん、のみこめてきました。あかるい緑色みどりいろの四角が、まっさきに目につきました。
そのほか玉類たまるいには棗玉なつめだま丸玉まるだま平玉ひらだま小玉こだまなど、いろ/\の種類しゆるいがありますが、これらのちひさいたまおほ紺色こんいろ、あるひは緑色みどりいろのがらすでつくつてあるのが普通ふつうであります。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
針の頭のようにをちっちゃくしてのぞきこんでいる画のや、がちょうとおばあさんが空をけているのや、緑色みどりいろ牧草まきぐさの中に金の卵をおとしている白いめんどりのがちょうのや
まざあ・ぐうす (新字新仮名) / 作者不詳(著)
アンドレイ、エヒミチはアツとつたまゝ、緑色みどりいろ大浪おほなみあたまから打被うちかぶさつたやうにかんじて、寐臺ねだいうへいてかれたやうな心地こゝちくちうちには鹽氣しほけおぼえた、大方おほかたからの出血しゆつけつであらう。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
車も歳月の力と人の力とにらされて、繩が辛而やつとはまツてゐる位だ。井戸の傍に大株おほかぶ無花果いちゞくがコンモリとしてゐる。馬鹿に好く葉がしげツてゐるので、其の鮮麗せんれい緑色みどりいろが、むし暗然あんぜんとして毒々どく/\しい。
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
ぼくは、まえから、いい時計とけいだなとおもっていたのでした。かたちがめずらしく、長方形ちょうほうけいをして、緑色みどりいろのガラスが、はまっていました。
緑色の時計 (新字新仮名) / 小川未明(著)
これで若葉わかばうつくしいいろや、新緑しんりよく緑色みどりいろのこともおわかりになつたとおもひますから、ぎには樹木じゆもく生活せいかつについてすこしおはなしをしませう。
森林と樹木と動物 (旧字旧仮名) / 本多静六(著)
達二たつじは、一生懸命けんめい、うちへ走りました。うつくしい緑色みどりいろの野原や、小さなながれを、一心に走りました。野原は何だかもくもくして、ゴムのようでした。
種山ヶ原 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
なにをそんなに一生いつしやうけんめいにはなしていらつしやるのですか。」と緑色みどりいろかへるきました。そして、牝牛めうし小鳥ことりからそのわけをくと、かへるをまんまるくして
お母さん達 (旧字旧仮名) / 新美南吉(著)
アンドレイ、エヒミチはアッとったまま、緑色みどりいろ大浪おおなみあたまから打被うちかぶさったようにかんじて、寐台ねだいうえいてかれたような心地ここちくちうちには塩気しおけおぼえた、大方おおかたからの出血しゅっけつであろう。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
たゞ不思議な緑色みどりいろ液体えきたいに支配されて、比較的世間せけんに関係のない情調のもとうごいてゐた。それが平岡の名を聞くや否や、すぐ消えて仕舞つた。さうして、何だか逢ひたくない様な気持がした。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
(このほん口繪くちえ御覽ごらんなさい)このかんむりはまったく純金作じゆんきんづくりでありまして、その五本ごほん前立まへたてにはちひさなまるいぴら/\や、うつくしい緑色みどりいろ翡翆ひすいちひさい勾玉まがたま七十しちじゆうばかりもぶらさがつてをりまして
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
そうして、緑色みどりいろのあいだから、金色きんいろひかりがもれて、したのしめったうえに、ふしぎな模様もようをかいていました。
夢のような昼と晩 (新字新仮名) / 小川未明(著)
やまざくらのように緑色みどりいろ若葉わかばをもつもの、がきおほいかなめもちのように紅色べにいろのうつくしい若芽わかめをもつものもあり
森林と樹木と動物 (旧字旧仮名) / 本多静六(著)
「ええ、王子さま。あなたのきものは草のでいっぱいですよ」そして王子の黒いびろうどの上着うわぎから、緑色みどりいろのぬすびとはぎのを一ひらずつとりました。
日本につぽんないうつくしい緑色みどりいろいし硬玉こうぎよく)でつくつたものがすくなくありません。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
それはにしきふくろ這入はいつた一しやくばかりのかたなであつた。さやなにともれぬ緑色みどりいろ雲母きらゝやうなもので出來できてゐて、その所々ところ/″\が三ヶしよほどぎんいてあつた。中身なかみは六すんぐらゐしかなかつた。したがつてうすかつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
女神めがみらは、って、素足すあしで、ながい、緑色みどりいろ裳裾すそをひきずって、みだれていました。また、男神おがみは、声高こえたからかに
海の踊り (新字新仮名) / 小川未明(著)
小藪こやぶのそばを通るとき、さるとりいばらが緑色みどりいろのたくさんのかぎを出して、王子の着物きものをつかんで引きめようとしました。はなそうとしてもなかなかはなれませんでした。
また、遠近おちこちにこんもりとしたはやしもりなどが、緑色みどりいろのまりをころがしたようにおちついていて、せみのこえこえていました。
白い影 (新字新仮名) / 小川未明(著)
そして、うす緑色みどりいろそらした、どこかとおくのほうで、かなしい、ほそいこえがして、わたくしたちをよぶようにもきこえました。
どこかで呼ぶような (新字新仮名) / 小川未明(著)
源吉げんきちは、茫然ぼうぜん台風たいふうっていったあとの、はるかの地平線ちへいせんをながめていると、緑色みどりいろそらから、龍夫たつおが、にっこりとわらって
台風の子 (新字新仮名) / 小川未明(著)
そこは、ずっとあるしまみなみはしでありまして、気候きこうあたたかでいろいろなたか植物しょくぶつが、緑色みどりいろしげっていました。
お姫さまと乞食の女 (新字新仮名) / 小川未明(著)
同時どうじしたると、すぐちかおおきなはいり、四ほうったえだやわらかな緑色みどりいろ毛氈もうせんひろげたように、こまかなが、微風びふうにゆれていました。
僕はこれからだ (新字新仮名) / 小川未明(著)
さっそくあけてみると、いつか、おじさんが、ぼくにやくそくをした、緑色みどりいろのガラスのはまった、長方形ちょうほうけい時計とけいでした。
緑色の時計 (新字新仮名) / 小川未明(著)
うす緑色みどりいろそらに、あたまをならべている木々きぎのこずえは、いくらかいろづいているようにえました。いろいろのが、もうようとしているのです。
引かれていく牛 (新字新仮名) / 小川未明(著)
そして、汽船きせんぎたあとには、しばらく白浪しらなみがあわだち、それもしずまると、海草かいそうがなよなよと、緑色みどりいろはたのごとくなごやかにゆれるのでありました。
風はささやく (新字新仮名) / 小川未明(著)
そのほしひかりはなんともいえないうつくしいひかりはなっていました。金色きんいろのもあれば、銀色ぎんいろのもある。また緑色みどりいろのもあれば、紫色むらさきいろのも、青色あおいろのもありました。
星の世界から (新字新仮名) / 小川未明(著)
そのあいだには、緑色みどりいろそられて、そのしたおおきなうみが、どさりどさりと物憂ものうげになみ岸辺きしべせてねむっているような、おだやかなもあったのです。
紅すずめ (新字新仮名) / 小川未明(著)
そらは、緑色みどりいろにすみわたっていました。朝日あさひがさして、木々きぎはいきいきとかがやいて、いい気持きもちであります。
鳥鳴く朝のちい子ちゃん (新字新仮名) / 小川未明(著)
まちなかで、こうしたかたいなかの水辺すいへんにあるような緑色みどりいろくさるのは、めずらしいといわなければなりません。
ガラス窓の河骨 (新字新仮名) / 小川未明(著)
そのは、なんのらなかったけれど、緑色みどりいろがしげっていました。そして、その緑色みどりいろの一つ一つは、青玉あおだまのようにうつくしくかがやいていました。
幾年もたった後 (新字新仮名) / 小川未明(著)
そのときの傷痕きずあとふるびてしまって、みきには、雅致がちくわわり、こまかにしげった緑色みどりいろは、ますます金色きんいろび、朝夕あさゆうきりにぬれて、疾風しっぷうすりながら
しんぱくの話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
しかし、山吹やまぶきは、この寒気かんきたたかって、ついにけませんでした。やがて、はるがめぐってきたときに、緑色みどりいろを、あわれながったえだやしたのであります。
親木と若木 (新字新仮名) / 小川未明(著)
ここにはふゆもなく、うららかな太陽たいようは、うみを、まちを、らしていました。すこしがると、ばらのはないていて、緑色みどりいろくさが、いきいきとはえていました。
船でついた町 (新字新仮名) / 小川未明(著)
また、ぶなのは、ふるをことごとくとして、そのあとから、あたらしい緑色みどりいろきざしていました。
縛られたあひる (新字新仮名) / 小川未明(著)
そしてテーブルのうえには、いろいろのはなみだれているばかりでなく、桃色ももいろのランプのほか緑色みどりいろのランプがともって、楽園らくえんにきたようなかんじがしたのであります。
青い時計台 (新字新仮名) / 小川未明(著)
みどりもりなかはいると、ちょうど緑色みどりいろ世界せかいはいったような気持きもちがいたしました。あしもとには、いろいろのちいさなくさはないていて、いい香気こうきはなっていました。
どこで笛吹く (新字新仮名) / 小川未明(著)
南洋産なんようさん緑色みどりいろなが植物しょくぶつが、おおきなはちえられて、すみのほうと、中央ちゅうおういてありました。
世の中へ出る子供たち (新字新仮名) / 小川未明(著)
つまも、そうだとおもいました。そして、それよりほかのことをば、かんがえませんでした。はるになると、緑色みどりいろそらはかすんでえました。木々きぎには、いろいろのはなきました。
ちょうと三つの石 (新字新仮名) / 小川未明(著)
むかし、ひすいが、ひじょうに珍重ちんちょうされたことがありました。この不思議ふしぎうつくしい緑色みどりいろいしは、支那しな山奥やまおくかられたといわれています。そこで、国々くにぐにへまでながれてゆきました。
ひすいを愛された妃 (新字新仮名) / 小川未明(著)
ひとりしょんぼりとして、太郎たろういえまえっていましたが、はたけには去年きょねんのこした野菜やさいなどが、あたらしく緑色みどりいろをふきましたので、それをながらほそみちあるいていました。
金の輪 (新字新仮名) / 小川未明(著)
とおくのそらが、緑色みどりいろみずのようにうるんで、そこには、ゆめのようなしろくもが、いていました。
僕が大きくなるまで (新字新仮名) / 小川未明(著)
緑色みどりいろ大空おおぞらを、二のつばめが、ままにとびまわっていました。それをていた勇吉ゆうきち
心は大空を泳ぐ (新字新仮名) / 小川未明(著)