)” の例文
むかし、金太郎きんたろうというつよ子供こどもがありました。相模国さがみのくに足柄山あしがらやま山奥やまおくまれて、おかあさんの山うばといっしょにくらしていました。
金太郎 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
「なんというおそろしいところだ。どうしてこんなところにまれてきたろう。」と、ちいさなあかはなは、自分じぶん運命うんめいをのろいました。
小さな赤い花 (新字新仮名) / 小川未明(著)
正面より見ればまれての馬の子ほどに見ゆ。うしろから見れば存外ぞんがい小さしといえり。御犬のうなる声ほど物凄ものすごく恐ろしきものはなし。
遠野物語 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
かれ憎惡ぞうを嫉妬しつととを村落むらたれからもはなかつた。憎惡ぞうを嫉妬しつともない其處そこ故意わざ惡評あくひやうほど百姓ひやくしやう邪心じやしんつてなかつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
あめのつれ/″\に、ほとけをしへてのたまはく、むかしそれくに一婦いつぷありてぢよめり。をんなあたか弱竹なよたけごとくにして、うまれしむすめたまごとし。
妙齢 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
わたしはおまえさんのためをおもってそうってげるんだがね。とにかく、まあ出来できるだけはやたまごことや、のどならことおぼえるようにおし。
諭吉ゆきちは、そのおとうさんのすえっとして大阪おおさかまれました。いちばんうえにいさんの三之助さんのすけで、そのしたに三にんのねえさんがありました。
何の目的も無く生まれたからツて………何さ、むでもらツたからと謂ツて、其れがかならずしも俺の尊嚴そんげんどろを塗るといふわけではあるまい。
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
ただ自分の吐く息のみが白く見え、その息もまた、口のまわりのぶ毛にたかるとすぐ霜にるかと疑われるほど冷たいのである。
宮本武蔵:04 火の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「およそ人心じんしんうちえてきのこと、夢寐むびあらわれず、昔人せきじんう、おとこむをゆめみず、おんなさいめとるをゆめみず、このげんまことしかり」
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
『ジャン・クリストフ』の作者さくしゃロマン・ローランは、西暦せいれき千八百六十六ねんフランスにまれて、現在げんざいではスウィスの山間さんかんんでいます。
ジャン・クリストフ (新字新仮名) / ロマン・ロラン(著)
いのきちは、山でまれた。みずうみの上をながれるきりをおっぱいとしてのみ、谷をわたるカッコウの声を、もりうたにきいて、大きくなった。
ラクダイ横町 (新字新仮名) / 岡本良雄(著)
しかし、一休いっきゅうさんをんだ伊予局いよのつぼねは、后宮きさきのみや嫉妬しっとのため、危険きけんがせまったので、自分じぶんから皇居こうきょをのがれることになりました。
先生と父兄の皆さまへ (新字新仮名) / 五十公野清一(著)
「それは、あつたことでせう。あの通りの氣性者で、どうかすると、みの母親の私でさへ、側へ寄れないこともあつたくらゐですから」
まずの女すなわち石婦うまずめかあるいは何時も弱々しい子供しか生み得ぬ婦人かが粧いを凝し嫣然えんぜんと笑って媚を呈しているようなものである。
植物記 (新字新仮名) / 牧野富太郎(著)
依つて更に還つて、但馬たじまの國に船てをし、その國に留まつて、但馬のマタヲの女のマヘツミと結婚してんだ子はタヂマモロスクです。
生々せいせい又生々。営々えいえいかつ営々。何処どこを向いてもすさまじい自然の活気かっき威圧いあつされる。田圃たんぼには泥声だみごえあげてかわずが「めよえん」とわめく。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
「そ、そうだ。う、う、おれの親父おやじが、う、う、まれたとしにできた、げな。お、お、親父おやじ安永あんえいの、う、う、うまれだ。」
ごんごろ鐘 (新字新仮名) / 新美南吉(著)
度目どめのおかみさんには、おんなまれました。はじめのおかみさんのは、のようにあかく、ゆきのようにしろおとこでした。
また私のむねやはらぎの芽をゑそめたものは、一頻ひとしきり私のはらわたきざんでゐたところの苦惱くなうんだ、ある犧牲的ぎせいてきな心でした。
冬を迎へようとして (旧字旧仮名) / 水野仙子(著)
「しつ、あななかたまごみつけてゐるんだよ。そしてね、來年らいねんはるになつてたまごがかへると蜘蛛くもはち子供こども御飯ごはんになるのさ」
画家とセリセリス (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
みのおやのこともわすれて、こゝのお二人ふたりしたしみましたので、わたしはおそばはなれてくのが、ほんとうにかなしうございます
竹取物語 (旧字旧仮名) / 和田万吉(著)
されどもてん美人びじんんで美人びじんめぐまずおほくは良配りやうはいざらしむとかいへり、彌生やよひはなかぜかならずさそひ十五夜じふごやつきくもかゝらぬはまことにまれなり
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
羅子らし水滸すいこせんして、三世唖児あじみ、紫媛しゑん源語げんごあらはして、一旦悪趣につるは、けだごふのためにせまらるるところのみ。
すると宗助そうすけ何時いつでも、わかはずだ、あのとしになるまで子供こどもをたつた一人ひとりしかまないんだからと説明せつめいした。御米およね實際じつさいさうかもれないとおもつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
それがやや俯向うつむきになった、血色のい頬に反射している。心もち厚い唇の上の、かすかなにも反射している。
(新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
懐疑に伴う寂しさや悩しさは、それゆえに、意識されたもしくは意識されないみの悩みである。私のこの考察はまだ間違っているのではなかろうか。
語られざる哲学 (新字新仮名) / 三木清(著)
いつかのように、この国でまれた人間ですからというような調子ちょうしに、人世上じんせいじょうのことになんらか考えてやしまいか。
(新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
嗚呼過てり/\、弓矢ゆみやの家にまれし身の、天晴あつぱれ功名手柄して、勇士の譽を後世に殘すこそ此世に於ける本懷なれ。
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
女なんかでも顔はパヤパヤとしただらけで身体からだ中は鳥の毛をむしったようにブツブツだらけでゲス。傍へ寄ると動物園臭くって遣り切れませんがね。
人間腸詰 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
こんなことをするのは、まれてはじめてですが、そのわりには、なかなかうまく、すばやくやってのけました。
この犯罪は更に他に戦慄すべきそれ以上の犯罪をむだ。そればかりではない、更にまた血みどろの自殺者を二人まで出して了つた。一家族の全滅である。
神童の死 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
七八つの時分じぶんから、からすんだつるだといわれたくらい、いろしろいが自慢じまんれていたものの、半年はんとしないと、こうもかわるものかとおどろくばかりのいろっぽさは
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
祖母おばあさんもなく、かあさんもなく、だれってかせるもののないような家庭かていで、まれてはじめて袖子そでこ経験けいけんするようなことが、おもいがけないときにやってた。
伸び支度 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
但し、斯うして次から次へと故知らずみ出されて來る言葉共を後々のちのち迄も傳へるべき文字といふ道具があつてもいい筈だといふことに、彼は未だ思ひ到らない。
狐憑 (旧字旧仮名) / 中島敦(著)
中味は生のままだね。まだ……だから巴里の砥石といしにかけるんだ。い/\しい上品な娘に充分なりそうだよ。
巴里祭 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
そんなことをいながら、みぎからひだりからしげしげとわたくし姿すがたまもるのでした。これもみのははなればこそ、とおもえば、おのずと先立さきだつものはなみだでございました。
かれは千八百六十三ねんペテルブルグでまれた。ちちはポルタワけん出身しゅっしん仕立屋したてやで、はは農婦のうふあがりだった。
身体検査 (新字新仮名) / フョードル・ソログープ(著)
「そのとおり。だがわしはおまえのみのおやとして、おまえを殺す、ただ一つの方法を知っている——」
超人間X号 (新字新仮名) / 海野十三(著)
「あの、何卒どうぞお構いなく」娘はあかくなって下を向いた。そのぶな優しさがフリント君の心を捕えた。
夜汽車 (新字新仮名) / 牧逸馬(著)
ですがわたしは、そのひとわたしの「みのはヽ」であるといふことをたしかめるのをおそれました。やつぱりよそのおばさんです。私は、さう思つてゐねばなりませんでした。
桜さく島:見知らぬ世界 (新字旧仮名) / 竹久夢二(著)
その後またちょっと帰ってきては一人ましたのだ。……がさて、明日からどうして自力でもってこれだけの妻子どもを養って行こうかという当は、やっぱしつかなかった。
贋物 (新字新仮名) / 葛西善蔵(著)
その高濱たかはまさんの御領分ごりようぶん俳句はいく同樣どうように、短歌たんかといふものは、ほんとうに、日本國民につぽんこくみん自身じしんしたもので、とりわけ、きはめてふる時代じだいに、出來上できあがつてゐたものであります。
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
寺寺てらでら女餓鬼めがきまをさく大神おほみわ男餓鬼をがきたばりてまはむ 〔巻十六・三八四〇〕 池田朝臣
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
ナポレオンに対抗して、もっと古典的なぶ髯をウエリントン風に染めぬいた頃には
にんじん——でも、もしかして、卵をんだら? 巣をこさえたら? え、父さん?
にんじん (新字新仮名) / ジュール・ルナール(著)
我をみしもののため、我に淑徳を立つるもののため、我は我の尊敬せざる人にも服従せざるを得ず、貧より来る苦痛の中に食のために他人に腰をかがめざるを得ずこれ悲歎の第三なり。
基督信徒のなぐさめ (新字新仮名) / 内村鑑三(著)
セルマ・ラーゲルレーヴさんは、一八五八年、スウェーデンのヴェルムランドという地方にまれました。足がすこし不自由だったせいもあって、小さいときから本を読むことが大すきでした。
ことしは千にん黄金色きんいろどもがまれたのです。
いちょうの実 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
人は自己の光よりこれらをみし事を忘れ
牧羊神 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)