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灰色
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はいいろ
ふりがな文庫
“
灰色
(
はいいろ
)” の例文
彼
(
かれ
)
は、
懐中
(
かいちゅう
)
から、スケッチ
帖
(
ちょう
)
を
出
(
だ
)
して、
前方
(
ぜんぽう
)
の
黄色
(
きいろ
)
くなった
田圃
(
たんぼ
)
や、
灰色
(
はいいろ
)
にかすんだ
林
(
はやし
)
の
景色
(
けしき
)
などを
写生
(
しゃせい
)
しにかかったのであります。
丘の下
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
書窓
(
しょそう
)
から眺めると、
灰色
(
はいいろ
)
をした
小雨
(
こさめ
)
が、
噴霧器
(
ふんむき
)
で
噴
(
ふ
)
く様に、
弗
(
ふっ
)
——
弗
(
ふっ
)
と北から
中
(
なか
)
ッ
原
(
ぱら
)
の杉の森を
掠
(
かす
)
めて
斜
(
はす
)
に
幾
(
いく
)
しきりもしぶいて通る。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
灰色
(
はいいろ
)
の
土塊
(
どかい
)
が長く
幾畦
(
いくあぜ
)
にもなっているかと思うと、急にそれが動きだしたので、よく見ると
羊
(
ひつじ
)
の群れの
背
(
せ
)
が見えていたのでした。
真夏の夢
(新字新仮名)
/
アウグスト・ストリンドベリ
(著)
たださいぜんから明らかに知っていて、べつに気にも
止
(
と
)
めなかったのは、
鳥居
(
とりい
)
の
横木
(
よこぎ
)
にうずくまっている一
羽
(
わ
)
の
灰色
(
はいいろ
)
の鳥だった。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「でも
今夜
(
こんや
)
、グリンミンゲ城は
灰色
(
はいいろ
)
ネズミの手におちてしまうでしょう。」と、コウノトリはため息をつきながら言いました。
ニールスのふしぎな旅
(新字新仮名)
/
セルマ・ラーゲルレーヴ
(著)
▼ もっと見る
このロボというのは、
灰色
(
はいいろ
)
の大きなおおかみで、カランポー
狼群
(
ろうぐん
)
の王といわれるだけにとても
知恵
(
ちえ
)
がはたらき、毒薬にもわなにもかからない。
動物物語 狼の王ロボ
(新字新仮名)
/
アーネスト・トンプソン・シートン
(著)
身長
(
みのたけ
)
七
尺
(
しやく
)
に
近
(
ちか
)
く、
灰色
(
はいいろ
)
の
毛
(
け
)
は
針
(
はり
)
の
如
(
ごと
)
く
逆立
(
さかだ
)
ち、
鋭
(
するど
)
き
爪
(
つめ
)
を
現
(
あら
)
はして、スツと
屹立
(
つゝた
)
つた
有樣
(
ありさま
)
は、
幾百十年
(
いくひやくじふねん
)
の
星霜
(
せいさう
)
を
此
(
この
)
深林
(
しんりん
)
に
棲暮
(
すみくら
)
したものやら
分
(
わか
)
らぬ。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
東の
灰色
(
はいいろ
)
の
山脈
(
さんみゃく
)
の上を、つめたい風がふっと通って、大きな
虹
(
にじ
)
が、明るい
夢
(
ゆめ
)
の
橋
(
はし
)
のようにやさしく空にあらわれました。
めくらぶどうと虹
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
ムスメはつひに
俯
(
うつむ
)
いたまヽ、いつまでも/\
私
(
わたし
)
の
記臆
(
きおく
)
に
青白
(
あをじろ
)
い
影
(
かげ
)
をなげ、
灰色
(
はいいろ
)
の
忘却
(
ばうきやく
)
のうへを
銀
(
ぎん
)
の
雨
(
あめ
)
が
降
(
ふ
)
りしきる。
桜さく島:見知らぬ世界
(新字旧仮名)
/
竹久夢二
(著)
けれどもそれがどうでしょう、もう
決
(
けっ
)
して
今
(
いま
)
はあのくすぶった
灰色
(
はいいろ
)
の、
見
(
み
)
るのも
厭
(
いや
)
になる
様
(
よう
)
な
前
(
まえ
)
の
姿
(
すがた
)
ではないのです。いかにも
上品
(
じょうひん
)
で
美
(
うつく
)
しい
白鳥
(
はくちょう
)
なのです。
醜い家鴨の子
(新字新仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
ぐるりと
一廻
(
ひとまは
)
りして、
一
(
いつ
)
ヶ
所
(
しよ
)
、
巌
(
いはほ
)
を
抉
(
えぐ
)
つたやうな
扉
(
とびら
)
へ
真黒
(
まつくろ
)
に
成
(
な
)
つて
入
(
はい
)
つたと
思
(
おも
)
ふと、
一
(
ひと
)
つよぢれた
向
(
むか
)
ふ
状
(
ざま
)
なる
階子
(
はしご
)
の
中
(
なか
)
ほどを、
灰色
(
はいいろ
)
の
背
(
せ
)
を
畝
(
うね
)
つて
上
(
のぼ
)
る、
牛
(
うし
)
は
斑
(
まだら
)
で。
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
入梅
(
つゆ
)
になッてからは
毎日
(
まいにち
)
の
雨降
(
あめふり
)
、
其
(
それ
)
が
辛
(
やつ
)
と
昨日
(
きのふ
)
霽
(
あが
)
ツて、庭
柘榴
(
ざくろ
)
の花に
今朝
(
けさ
)
は
珍
(
めづ
)
らしく
旭
(
あさひ
)
が
紅々
(
あか/\
)
と
映
(
さ
)
したと
思
(
おも
)
ツたも
束
(
つか
)
の
間
(
ま
)
、
午後
(
ごゝ
)
になると、また
灰色
(
はいいろ
)
の
雲
(
くも
)
が
空
(
そら
)
一面
(
いちめん
)
に
擴
(
ひろ
)
がり
虚弱
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
たけは六尺ばかり、
赤髪
(
あかきかみ
)
、
裸身
(
はだかみ
)
、
通身
(
みうち
)
灰色
(
はいいろ
)
にて、
毛
(
け
)
の
脱
(
ぬけ
)
たるに
似
(
に
)
たり、
腰
(
こし
)
より下に
枯
(
かれ
)
草をまとふ。此物よく人のいふことにしたがひて、のちにはよく人に
馴
(
なれ
)
しと高田の人のかたりき。
北越雪譜:06 北越雪譜二編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
大洋の中にいると同様に、わたしたちの日は遠い
秋霧
(
あきぎり
)
の中に消えている地平線まで
届
(
とど
)
いていた。ひたすら
広漠
(
こうばく
)
と
単調
(
たんちょう
)
が広がっている
灰色
(
はいいろ
)
の野のほかに、なにも目をさえぎるものがなかった。
家なき子:01 (上)
(新字新仮名)
/
エクトール・アンリ・マロ
(著)
海にきてみますと、水の色はすっかりスミレ色とあい色と
灰色
(
はいいろ
)
になっていて、おまけにどろっとしていて、もうまえのようにみどり色や黄色ではありませんでした。でも、まだおだやかでした。
漁師とそのおかみさんの話
(新字新仮名)
/
ヤーコプ・ルートヴィッヒ・カール・グリム
、
ヴィルヘルム・カール・グリム
(著)
紅茶々碗を持つた儘、書斎へ引き取つて、椅子へ
腰
(
こし
)
を懸けて、
茫然
(
ぼんやり
)
庭
(
には
)
を
眺
(
なが
)
めてゐると、
瘤
(
こぶ
)
だらけの
柘榴
(
ざくろ
)
の
枯枝
(
かれえだ
)
と、
灰色
(
はいいろ
)
の
幹
(
みき
)
の
根方
(
ねがた
)
に、
暗緑
(
あんりよく
)
と
暗紅
(
あんかう
)
を
混
(
ま
)
ぜ
合
(
あ
)
はした様な
若
(
わか
)
い芽が、一面に吹き
出
(
だ
)
してゐる。
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
この園に
鶴
(
たづ
)
はしづかに遊べればかたはらに
灰色
(
はいいろ
)
の
鶴
(
たづ
)
の
子
(
こ
)
ひとつ
つゆじも
(新字旧仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
灰色
(
はいいろ
)
黄
(
き
)
ばむ
小蒸汽
(
こじようき
)
の
温
(
ぬ
)
るく、まぶしく
邪宗門
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
山
(
やま
)
の
上
(
うえ
)
へとつづいている
道
(
みち
)
は、かすかにくさむらの
中
(
なか
)
に
消
(
き
)
えていました。そして、
山
(
やま
)
の
頂
(
いただき
)
は
灰色
(
はいいろ
)
に
曇
(
くも
)
って、
雲脚
(
くもあし
)
が、
速
(
はや
)
かったのです。
谷にうたう女
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
コウノトリは、こんどは急にガンたちにむかって、
灰色
(
はいいろ
)
ネズミのむれがグリンミンゲ
城
(
じょう
)
へ
進軍
(
しんぐん
)
しているのを見ませんでしたか、とききました。
ニールスのふしぎな旅
(新字新仮名)
/
セルマ・ラーゲルレーヴ
(著)
五日のお月さまは、この時雲と山の
端
(
は
)
とのちょうどまん中にいました。シグナルはもうまるで顔色を
変
(
か
)
えて
灰色
(
はいいろ
)
の
幽霊
(
ゆうれい
)
みたいになって言いました。
シグナルとシグナレス
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
一切の
人慾
(
じんよく
)
、一切の理想が恐ろしい火の如く
衷
(
うち
)
に燃えて
闘
(
たたこ
)
うた先生には、
灰色
(
はいいろ
)
にぼかした生や死は問題の外なのです。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
私
(
わたし
)
は
翌朝
(
よくちょう
)
早く
胸
(
むね
)
をおどらして北の谷へとでかけた。わなをしかけておいた場所へくると、
突然
(
とつぜん
)
大きな
灰色
(
はいいろ
)
の
姿
(
すがた
)
が、むくりと立って
逃
(
に
)
げ出そうともがいた。
動物物語 狼の王ロボ
(新字新仮名)
/
アーネスト・トンプソン・シートン
(著)
実際は
灰色
(
はいいろ
)
でも野は緑に空は
蒼
(
あお
)
く、世の中はもう夏のとおりでした。おばあさんはこんなふうで、
魔術
(
まじゅつ
)
でも使える気でいるとたいくつをしませんでした。そればかりではありません。
真夏の夢
(新字新仮名)
/
アウグスト・ストリンドベリ
(著)
たけは六尺ばかり、
赤髪
(
あかきかみ
)
、
裸身
(
はだかみ
)
、
通身
(
みうち
)
灰色
(
はいいろ
)
にて、
毛
(
け
)
の
脱
(
ぬけ
)
たるに
似
(
に
)
たり、
腰
(
こし
)
より下に
枯
(
かれ
)
草をまとふ。此物よく人のいふことにしたがひて、のちにはよく人に
馴
(
なれ
)
しと高田の人のかたりき。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
大沼
(
おほぬま
)
の
水
(
みづ
)
は
唯
(
たゞ
)
、
風
(
かぜ
)
にも
成
(
な
)
らず
雨
(
あめ
)
にも
成
(
な
)
らぬ、
灰色
(
はいいろ
)
の
雲
(
くも
)
の
倒
(
たふ
)
れた
広
(
ひろ
)
い
亡体
(
なきがら
)
のやうに
見
(
み
)
えたのが、
汀
(
みぎは
)
からはじめて、ひた/\と
呼吸
(
いき
)
をし
出
(
だ
)
した。ひた/\と
言
(
い
)
ひ
出
(
だ
)
した。
幽
(
かすか
)
にひた/\と
鳴出
(
なりだ
)
した。
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
灰色
(
はいいろ
)
の
暗
(
くら
)
き壁、見るはただ
邪宗門
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
疲
(
つか
)
れているような、また、
眠
(
ねむ
)
いように
見
(
み
)
える
砂漠
(
さばく
)
は、かぎりなく、うねうねと
灰色
(
はいいろ
)
の
波
(
なみ
)
を
描
(
えが
)
いて、はてしもなくつづいていました。
砂漠の町とサフラン酒
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
あくる朝、ガンたちは、とある小さな島へ
飛
(
と
)
んでいって、たべものをひろいました。そこでみんなは、二、三
羽
(
ば
)
の
灰色
(
はいいろ
)
ガンに、出あいました。
ニールスのふしぎな旅
(新字新仮名)
/
セルマ・ラーゲルレーヴ
(著)
灰色
(
はいいろ
)
の
霧
(
きり
)
が
速
(
はや
)
く速く
飛
(
と
)
んでいます。そして、牛が、すぐ
眼
(
め
)
の前に、のっそりと立っていたのです。その眼は
達二
(
たつじ
)
を
怖
(
おそ
)
れて、
横
(
よこ
)
の方を
向
(
む
)
いていました。達二は
叫
(
さけ
)
びました。
種山ヶ原
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
濠
(
ほり
)
を
越
(
こ
)
して
遥
(
はる
)
かな
石垣
(
いしがき
)
の
只中
(
たゞなか
)
へも
叩
(
たゝ
)
きつけさうだつた
勢
(
いきほひ
)
も
失
(
う
)
せて——
猶予
(
ためら
)
ふ
状
(
さま
)
して……ト
下
(
した
)
を
見
(
み
)
る
足許
(
あしもと
)
を、
然
(
さ
)
まで
下
(
くだ
)
らず、
此方
(
こなた
)
は
低
(
ひく
)
い
濠
(
ほり
)
の
岸
(
きし
)
の、すぐ
灰色
(
はいいろ
)
の
水
(
みづ
)
に
成
(
な
)
る、
角組
(
つのぐ
)
んだ
蘆
(
あし
)
の
上
(
うへ
)
へ、
引上
(
ひきあ
)
げたか
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
陰々
(
いんいん
)
と、
灰色
(
はいいろ
)
重き
曇日
(
くもりび
)
を
邪宗門
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
また、
灰色
(
はいいろ
)
に
曇
(
くも
)
ったまま
暮
(
く
)
れてゆくときもあります。またあるときは、
風
(
かぜ
)
が
吹
(
ふ
)
いて、
海
(
うみ
)
の
上
(
うえ
)
があわだって
見
(
み
)
えるときもありました。
ろうそくと貝がら
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
キッコはまだ
涙
(
なみだ
)
をぼろぼろこぼしながら見ましたらその鉛筆は
灰色
(
はいいろ
)
でごそごそしておまけに心の色も黒でなくていかにも
変
(
へん
)
な
鉛筆
(
えんぴつ
)
でした。キッコはそこでやっぱりしくしく泣いていました。
みじかい木ぺん
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
このとき、どこからか、さっと
雲
(
くも
)
のような
灰色
(
はいいろ
)
の
影
(
かげ
)
が、
眼前
(
がんぜん
)
をさえぎったかと
思
(
おも
)
うと、たちまち
網
(
あみ
)
が
頭
(
あたま
)
からかかってしまいました。
すずめ
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
そのとき、
母親
(
ははおや
)
のやせた
姿
(
すがた
)
が、
西日
(
にしび
)
を
受
(
う
)
けて、
屋根
(
やね
)
へ
灰色
(
はいいろ
)
の
長
(
なが
)
い
影
(
かげ
)
をひきました。
毛
(
け
)
のつやもなく、
脾腹
(
ひばら
)
のあたりは
骨立
(
ほねだ
)
っていました。
どこかに生きながら
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
「そんなら、いってきます。」といって、
若
(
わか
)
いうぐいすは、
灰色
(
はいいろ
)
の
空
(
そら
)
をあちらへと、
町
(
まち
)
の
方
(
ほう
)
をさして
姿
(
すがた
)
を
消
(
け
)
してしまったのであります。
春がくる前
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
灰色
(
はいいろ
)
の
着物
(
きもの
)
を
着
(
き
)
た
姉
(
あね
)
は、べつに
姿
(
すがた
)
を
変
(
か
)
える
必要
(
ひつよう
)
もなかったので、ある
星
(
ほし
)
の
光
(
ひかり
)
ももれない
真
(
ま
)
っ
暗
(
くら
)
な
真夜中
(
まよなか
)
に
下界
(
げかい
)
へ
降
(
お
)
りてきたのです。
消えた美しい不思議なにじ
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
いまにも、
降
(
ふ
)
ってきそうな、
灰色
(
はいいろ
)
に
曇
(
くも
)
った
空
(
そら
)
を
気
(
き
)
にしながら、
父親
(
ちちおや
)
が
大
(
おお
)
またに
歩
(
あゆ
)
むのを、
小太郎
(
こたろう
)
は
小
(
ちい
)
さな
足
(
あし
)
で
追
(
お
)
いかけたのです。
けしの圃
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
「
早
(
はや
)
く、
春
(
はる
)
にならないかなあ。」と、
灰色
(
はいいろ
)
に、ものかなしく、くもった
冬
(
ふゆ
)
の
空
(
そら
)
をながめて、いくたび
思
(
おも
)
ったことでしょう。
雲のわくころ
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
海
(
うみ
)
の
方
(
ほう
)
は、いつものように
暗
(
くら
)
く、おどる
波
(
なみ
)
だけが
白
(
しろ
)
かった。
屋根
(
やね
)
の
上
(
うえ
)
には、
灰色
(
はいいろ
)
、きつね
色
(
いろ
)
、だいだい
色
(
いろ
)
、さまざまの
雲
(
くも
)
が、かさなりあっていた。
おかまの唄
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
いつしか、
冬
(
ふゆ
)
となりました。あたりは、
灰色
(
はいいろ
)
となって、
雪
(
ゆき
)
がちらちらと
降
(
ふ
)
って、
森
(
もり
)
や、
林
(
はやし
)
に、
白
(
しろ
)
く、
綿
(
わた
)
をちぎって、かけたような
日
(
ひ
)
でありました。
熊さんの笛
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
ここには、
明
(
あか
)
るい、
清
(
きよ
)
らかな、
空
(
そら
)
の
喜
(
よろこ
)
びはなく、すべてが
灰色
(
はいいろ
)
をして、ほこりがかかっているような
気持
(
きも
)
ちがしました。
雲と子守歌
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
そして、
氷山
(
ひょうざん
)
が、
気味悪
(
きみわる
)
く
光
(
ひか
)
って、
魔物
(
まもの
)
の
牙
(
きば
)
のように
鋭
(
するど
)
く、ところどころに、
灰色
(
はいいろ
)
の
空
(
そら
)
をかもうとしていたからです。
白いくま
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
夜
(
よる
)
になったらどうなるであろう。
姫
(
ひめ
)
はとても
命
(
いのち
)
が
助
(
たす
)
からないと
思
(
おも
)
って、
心細
(
こころぼそ
)
さに
震
(
ふる
)
えていましたとき、
灰色
(
はいいろ
)
の
海
(
うみ
)
の
上
(
うえ
)
に一そうの
赤
(
あか
)
い
船
(
ふね
)
が
見
(
み
)
えました。
黒い塔
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
雪
(
ゆき
)
が
降
(
ふ
)
りそうな
寒
(
さむ
)
い
空合
(
そらあ
)
いでした。
日
(
ひ
)
も
射
(
さ
)
さなければ、
風
(
かぜ
)
も
吹
(
ふ
)
かずに、
灰色
(
はいいろ
)
の
雲
(
くも
)
が、
林
(
はやし
)
の
上
(
うえ
)
にじっとしていました。
雪の降った日
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
それからも
毎日
(
まいにち
)
、
情
(
つれ
)
ない
風
(
かぜ
)
は
木
(
き
)
を
揺
(
ゆ
)
すりました。
雪
(
ゆき
)
は、
舞
(
ま
)
ってきて
枝
(
えだ
)
にかかりました。そして、
明
(
あ
)
けても
暮
(
く
)
れても、
灰色
(
はいいろ
)
の
雲
(
くも
)
は、
頭
(
あたま
)
の
上
(
うえ
)
をゆきました。
山の上の木と雲の話
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
妹
(
いもうと
)
は、つねに
桃色
(
ももいろ
)
の
着物
(
きもの
)
をきていました。きわめて
快活
(
かいかつ
)
な
性質
(
せいしつ
)
でありますが、
姉
(
あね
)
は
灰色
(
はいいろ
)
の
着物
(
きもの
)
をきて、きわめて
沈
(
しず
)
んだ、
口数
(
くちかず
)
の
少
(
すく
)
ない
性質
(
せいしつ
)
でありました。
灰色の姉と桃色の妹
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
なるほど、
猟師
(
りょうし
)
は
脊
(
せ
)
に
大
(
おお
)
きな
灰色
(
はいいろ
)
をしたわしを
負
(
お
)
っていました。
青年
(
せいねん
)
は、
毎日
(
まいにち
)
のように
大空
(
おおぞら
)
を
高
(
たか
)
く
飛
(
と
)
んでいった
鳥
(
とり
)
は、このわしであったかと
思
(
おも
)
いました。
三つのかぎ
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
「えっ、
雪
(
ゆき
)
が。」と、
弟
(
おとうと
)
はこう
聞
(
き
)
くと、すぐに
戸口
(
とぐち
)
までとびでました。
灰色
(
はいいろ
)
の
空
(
そら
)
をあおぐと、やわらかな
白
(
しろ
)
いものがおちて、つめたく
顔
(
かお
)
にあたりました。
ペスときょうだい
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
“灰色”の意味
《名詞:かいしょく》
「はいいろ」に同じ。
《名詞:はいいろ》
「はいいろ」を参照。
(出典:Wiktionary)
“灰色”の解説
灰色(はいいろ、カイショク、en: gray / grey)は物を燃やした際に出る灰のような色。例えば、白と黒の着色材の混合によって作ることができる。無彩色もしくは白と黒の中間色と呼ばれるが、普通は若干の色味を有する。鼠色と呼ぶこともある(ただし、灰色と鼠色は厳密には異なる)。
(出典:Wikipedia)
灰
常用漢字
小6
部首:⽕
6画
色
常用漢字
小2
部首:⾊
6画
“灰色”で始まる語句
灰色化
灰色目
灰色脚