如何いかゞ)” の例文
善「左様なまねをするから打擲したが如何いかゞ致した、汝はな此の斯様かような所へ立廻ると許さぬから左様心得ろ、痴呆たわけめ、早く帰れ/\」
敵討札所の霊験 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
殊勝しゆしようらしくきこえて如何いかゞですけれども、道中だうちうみややしろほこらのあるところへは、きつ持合もちあはせたくすりなかの、何種なにしゆのか、一包ひとつゝみづゝをそなへました。
人魚の祠 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
能因 そこで好い頃を見はからつて、能因は奧州の旅から歸つたと披露すれば、大勢の人があつまつて來て、きて道中は如何いかゞでござつた。
能因法師 (旧字旧仮名) / 岡本綺堂(著)
其方儀天一坊身分しかと相糺さず萬事ばんじ華麗くわれいていたらく有しを如何いかゞ相心得居申候やうつたへもせず役儀やくぎをもつとめながら心付ざる段不屆に付退役申付る
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
やがて私が妹から伝授の如何いかゞわしい勧進帳かんじんちょうを唸り出すと、二人とも負けない気になって義太夫やら端唄はうたやらを怒鳴り立てた。
The Affair of Two Watches (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
貪りて谷へ轉げ落ちしにあらずや此谷に落たるを救ひ上げんには三人の帶を繋ぐとも屆くまじ如何いかゞはせんと谷底を覗き見ながら雨をしのぎてのぼ
木曽道中記 (旧字旧仮名) / 饗庭篁村(著)
御身の御両親も、わが父君も家道不取締のかどを以て程なく家碌を召し放され給ひつ。そが中に御身の御両親、御兄弟の御行末は如何いかゞありけむ。
白くれない (新字新仮名) / 夢野久作(著)
貴方あなた少々せう/\ねがひつてたのですが、何卒どうぞ貴方あなたわたくしと一つ立合診察たちあひしんさつてはくださらんか、如何いかゞでせう。』と、なくハヾトフはふ。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
如何いかゞでげせう、これでも先生方のお気には召しますまいかな、あつしとしては相応かなり趣向もこらした積りなんでげすが……」
在来の如何いかゞはしい日本通とちがつて大分だいぶに精細な所まで研究がゆき届いてるらしく、貞奴さだやつこの語がヱレン氏の口から出ると「彼女あのをんなは俳優でない、芸者である」
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
先達せんだつての歌舞伎座は如何いかゞでした」と梅子がいた時、令嬢は何とも答へなかつた。代助にはそれが劇をかいしないと云ふより、劇を軽蔑してゐる様に取れた。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
しかるに今日こんにち状態ぜうたい如何いかゞであるか、外語研究ぐわいごけんきう旺盛わうせいはまことに結構けつこうであるが、一てんして漫然まんぜんたる外語崇拜ぐわいごすうはいとなり、母語ぼご輕侮けいぶとなり、理由りいうなくして母語ぼご
国語尊重 (旧字旧仮名) / 伊東忠太(著)
我口より申すは如何いかゞなものなれども、二十を越えてはや三歳にもなりたれば、家に洒掃の妻なくてはよろづことけてこゝろよからず、幸ひ時頼見定みさだめ置きし女子をなご有れば
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
「津軽屋如何いかゞ。春来は不快とやら承候。これも死なぬやまひにもや候覧さふらふらむ。何様宜奉願上候。市野翁いかが。」
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
「毛利君如何いかゞです?」と、いかにも皮肉な口調で、幾度も先生に迫ったものだ。けれども、人間に直接実験して見せて貰わないうちは、先生もかぶとをぬぐことが出来ない。
闘争 (新字新仮名) / 小酒井不木(著)
御機嫌ごきげん如何いかゞらせられますか、陛下へいかよ!』公爵夫人こうしやくふじんひく脾弱ひよわこゑでおうかゞ申上まをしあげました。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
其處そこで、貴方あなたすゝめるのです貴方あなた石炭焚せきたんたきだの、料理方れうりかただのつて、其樣そん馬鹿ばか眞似まね出來できるものでいから、それよりは、この鐵檻車てつおりぐるま製造せいぞうにお着手かゝりなすつては如何いかゞです
如何いかゞでした? あなた、車ではさぞ御退屈でしたらうねえ。ジョンは、それはゆつくり走らせますから。お寒うございましたでせう、さ、どうぞ火の傍へお出で下さいまし。」
ゆうしは浪のうえ御帰おんかえ御館おんやかた首尾しゅび如何いかゞ此方こなたにてはわすれねばこそおもいださずそろかしく
松の操美人の生埋:01 序 (新字新仮名) / 宇田川文海(著)
最初はじめいひいでときにやふやながら結局つまりしとあり言葉ことばたのみに、また機嫌きげんむつかしければ五月蠅うるさくいひてはかへりて如何いかゞ今日けふまでも我慢がまんしけれど、約束やくそく今日けふ大晦日おほみそかのひるまへ
大つごもり (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
品川しながは住居じうきよからとほくもあらぬきりむら其所そこ氷川神社ひがはじんじや境内けいだいに、たきぶも如何いかゞであるが、一にちしよけるにてきして靜地せいちに、清水しみづ人造瀧じんざうたきかゝつてるので
如何いかゞなもんでござんせうねれは」内儀かみさんは微笑びせうふくんで巡査じゆんさむかつていつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
引返して駅前から電車で大仏、観音、それだけで三時間位はかゝるだらうと思ふから、江の島へ廻つては余程急いでも夕方になるでせうと思ひますから、さう云ふ順序になさつては如何いかゞですかと
椎の若葉 (新字旧仮名) / 葛西善蔵(著)
摺沢 (大きな鞄を抱へて上つて来る)如何いかゞです。益々御盛大で……。
雅俗貧困譜 (新字旧仮名) / 岸田国士(著)
兩國の如何いかゞはしい見世物の看板かんばんを、口を開いて眺めて居る、田舍の人の財布などをねらふのは、面白くも何んともないばかりでなく、折角かせぎ溜めて江戸見物に來た人達の、大事な旅費まで盜るのは
『お衣服めしをお着更きかへになつてから召上めしあがつたら如何いかゞ御座ございます。』とふさは主人の窮屈さうな様子を見て、恐る/\言つた。御気慊ごきげんを取るつもりでもあつた。何故なぜ主人が不気慊ふきげんであるかもほゞ知つて居るので。
節操 (新字旧仮名) / 国木田独歩(著)
先刻判事が向いにやりしと云いたる医官二名出張し来りて此時までも共々とも/″\に手を取りて老人の死骸をあらため居たれば余は一方に気の揉めるうちにも又一方に医官が検査の結果如何いかゞほとんど心配の思いに堪えず
血の文字 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
この材料に依つて何か面白い探偵小説を作つてみては如何いかゞ
探偵小説の魅力 (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
如何いかゞですか? 少しは躯が軽くなりましたか?」
浮雲 (新字旧仮名) / 林芙美子(著)
「その後如何いかゞでせうか」
愚かな父 (新字旧仮名) / 犬養健(著)
ヘイ、色々いろ/\介抱かいはういたしましたがきませぬ、此上このうへ如何いかゞいたしませう。殿「イヤ、まつた生体しやうたいなければさひはひぢやて、今度こんど解剖ふわけぢや。 ...
華族のお医者 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
御調べ願ひ夫の惡名あくみやうすゝぐべし忠兵衞殿には何處迄も證據しようこと成て下されとすぐにも駈出かけだすお光が氣色此有樣に忠兵衞は如何いかゞなことを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
すると秀次の返辞には、扨も存知も寄らざる事を承り候ものかな如何いかゞして斯様なる企を可存立候哉、かく当城に在事も御芳恩之外に他なし。
聞書抄:第二盲目物語 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
「実は居士にお目に懸けたいと思つて、天よりも大きい編笠を持参いたしてござるが、如何いかゞ取り計らひませう。」
時にお孃樣、なんだかお天氣がをかしくなつて參りましたから、そろ/\お歸りになつては如何いかゞでございます。
箕輪の心中 (旧字旧仮名) / 岡本綺堂(著)
随分如何いかゞはしい飜刻物ほんこくものまじつて居るが、是丈これだけ多数に蒐集せられたところは英仏は勿論本国の日本にも無い事である。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
みだりに外語ぐわいご濫用らんようして得意とくいとするのふうが、一にちは一にちよりはなはだしきにいたつては、その結果けつくわ如何いかゞであらう。
国語尊重 (旧字旧仮名) / 伊東忠太(著)
あのものをおあそばし、鸚鵡あうむなぞをお問合とひあはせなさいましては如何いかゞでせうか、とこしもとべたんです。
印度更紗 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
とき丁度ちやうど時過じすぎ。いつもなら院長ゐんちやう自分じぶんへやからへやへとあるいてゐると、ダリユシカが、麥酒ビール旦那樣だんなさま如何いかゞですか、と刻限こくげん戸外こぐわいしづか晴渡はれわたつた天氣てんきである。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
われ何となく心危ぶみて、自身に藤倉大和殿御夫婦をおとなひ、お奈美殿は藩内随一の御綺倆きりやうとこそ承れ。いまだ一度の御見合ひを遂げざるに御本人の御心如何いかゞあらむ。
白くれない (新字新仮名) / 夢野久作(著)
御氣分おきぶん如何いかゞ御座ございます」ときよ御給仕おきふじをしながら、しきりにいた。御米およね大分だいぶやうだつたので、とこげてもらつて、火鉢ひばちつたなり、宗助そうすけかへりをけた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
最期さいご用意よういあはれみじかちぎりなるかな井筒ゐづゝにかけしたけくらべふりわけがみのかみならねばくとも如何いかゞしらかみにあねさまこさへてあそびしころこれはきみさまこれはわれ今日けふ芝居しばゐくのなりいや花見はなみはうれはしとたはむはせしそれひとつもねがひのかなひしことはなくまちにまちし長日月ちやうじつげつのめぐりれば果敢はかなしや
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
左様さやうでげすな、四品よしなで七ゑんぐらゐでは如何いかゞでげせう。士「ヤ、しからぬことをふ、かまばかりでもおまへ十五りやううたのだぜ。 ...
士族の商法 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
きり/\と卷上まきあぐれば御城代堀田相摸守殿平伏へいふくいたされ少しかしらを上て恐れ乍ら今般如何いかゞなる事ゆゑ御上坂ごじやうはん町奉行へ御屆おんとゞけもなく理不盡りふじん御紋付ごもんつきの御幕を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
「三万円! つかまつりまして、これだけの書物が三万やそこいらの金銭かねはれるものぢやございません。如何いかゞでせう、四万円といふ事に致しましては?」
先生せんせい……(みづ)……」「なに。」「蛤鍋はまなべへおともは如何いかゞで。」「馬鹿ばかへ。」「いゝえ、大分だいぶ女中ねえさんがこがれてりますさうでございまして。」かたはらから
春着 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
大阪の骨董商山中氏の店を一寸ちよつと訪ねて見たが今は日本品よりも支那の骨董品を主として売つて居る。日本の如何いかゞはしい美術品が売行うれゆかなくなつたのは自ごふ自得であらう。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
なにか一つ如何いかゞですか」と云ひながら令嬢を顧みた。令嬢は固より席を動かなかつた。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
角助 お孃樣、これで鳥渡ちよつとお休みなされては如何いかゞでございます。
箕輪の心中 (旧字旧仮名) / 岡本綺堂(著)
『では一つかたへて御覽ごらんになつたら如何いかゞです。』
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)