)” の例文
旧字:
何人なんぴとが進んでそのしょくに応ずるかはの知る限りでない。余はただ文壇のために一言して諸君子の一考いっこうわずらわしたいと思うだけである。
文芸委員は何をするか (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
太古たいこ遺跡ゐせき發掘はつくつに、はじめてくだしたのは、武藏むさし權現臺ごんげんだいである。それは品川しながはたくからきはめてちかい、荏原郡えばらぐん大井おほゐ小字こあざこと
みのをやち○笠をてつか○人の死をまがつた又はへねた○男根なんこんをさつたち○女陰ぢよいんくまあな。此あまたあり、さのみはとてしるさず。
不知庵主人フチアンシユジンやくりしつみばつたいする批評ひゝやう仲々なか/\さかんなりとはきゝけるが、病氣びやうき其他そのたことありて今日こんにちまでにたるはわづか四五種しごしゆのみ
「罪と罰」の殺人罪 (旧字旧仮名) / 北村透谷(著)
此書このしよ全部ぜんぶ六巻、牧之老人ぼくしらうじんねふりかる漫筆まんひつあづさまたざるの稿本かうほんなり。ゆゑ走墨乱写そうぼくらんしやし、また艸画さうぐわなり。老人らうじんしめして校訂かうていふ。
原文はほど長いものであるから、今そのようつまんでに紹介する。で、その中にわたしとあるのは、即ちの目撃者たる画工自身の事だ。
画工と幽霊 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
かつ如此かくのごとき事をこゝろみし事なし、こゝろみてそのはなは馬鹿気ばかげきつたる事をみとめたれば全然ぜん/\之を放棄はうきせり、みちおこなことみちく事なり
問答二三 (新字旧仮名) / 内村鑑三(著)
「ええ、ええ、もうこれから百もあって、くだけに十日とおかあまりかかって、かえりにもやはりそれだけかかるのですからね。」
松山鏡 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
おし入の暗闇くらがりで赤色とう現像皿げんぞうさらをかざしてみながら、いかにわたし歡喜くわんきの笑みをかべたことであらうか?それからけふまでもう二十
は何者か、われに近くあゆみ寄る跫音あしおと、続いて何事か囁く声を聞き侯ふが、少時しばらくにして再び歩みいだせば、……あゝ何処いづこにて捕へられしや。
夜あるき (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
は既に頭巾と覆面ふくめんとの事に付きて言ひしが如く遮光器の存在そんざいに關しても當時たうじ氣候きかう寒冷かんれいなりしならんとの事を想像さうざうするなり。(續出)
コロボックル風俗考 (旧字旧仮名) / 坪井正五郎(著)
彼が、これを最後として作りにかかっているのは、窯焚かまたきの百助ももすけが、自分をののしった言葉に着想を得た、増長天王ぞうちょうてんのう二尺の像である。
増長天王 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「ひどいことをやりやがったな。かねて、こういう危険があるかもしれないと思い、は、注意を願うよう、上申しておいたのに」
二、〇〇〇年戦争 (新字新仮名) / 海野十三(著)
カスチリヤの使と、支那の使とを引見したるは、すなわこのとしにして、の翌年ただちに馬首を東にし、争乱のの支那に乱入せんとしたる也。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
それらの人々が宿を引揚げて行ってからも、浜屋の主人だけは、お島の世話で部屋借をしていた家から、一月のも病院へ通っていた。
あらくれ (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
殿とのよツくきこし、呵々から/\わらはせたまひ、たれぢやと心得こゝろえる。コリヤ道人だうじんなんぢ天眼鏡てんがんきやうたがはずとも、草木くさきなびかすわれなるぞよ。
妙齢 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
さく三十七ねん十二ぐわつ某夜ばうやことなりき、れいごと灌水くわんすゐへてじよくねむりきしもなく、何者なにものきたりて七福しちふくあたふとげたりとゆめむ。
命の鍛錬 (旧字旧仮名) / 関寛(著)
のこの地に進入せしは勇敢なる冒険家諸士になろうて、探検の功を全うし、広く世界の文明に資せんとの大志願ありしに非ず。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
学校の机のふたの裏側に、は偉大なる落伍者となっていつの日か歴史の中によみがえるであろうと、キザなことをってきた。
いずこへ (新字新仮名) / 坂口安吾(著)
余にはこの翁ただ何者をか秘めいてたれ一人開くことかなわぬ箱のごとき思いす。こはがいつもの怪しきこころ作用はたらきなるべきか。
源おじ (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
で、チチコフはそのあっさりした玉子入りのピローグに手をつけて、いきなり半分のも食ってから、それを褒めそやした。
ると、室内しつないには白衣びゃくいた五十さいおもわるる一人ひとり修験者しゅけんじゃらしい人物じんぶつて、鄭重ていちょうこしをかがめて私達わたくしたちむかえました。
村田清風の詩は、嘉永かえい四年が叔父徳富一義かずよし、小楠翁にばいして天下を周遊するに際し、親しく村田翁に授りたるもの、今や蔵して余の家にり。
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
と。(一五)なにもつしようせられたる。(一六)太史公たいしこういはく、箕山きざんのぼりしに、其上そのうへけだ許由きよいうつかりとふ。
翁に向ってその名を問うとくびを振って決して答えない。又親や、兄弟があるかと問うても、ただ「無い。」といってのことは語らなかった。……
(新字新仮名) / 小川未明(著)
っぽど現実世界でいじめられてる人じゃないかしら。普通ならお墓へ来れば気が引締まるのに。お墓へ来て気がゆるんでおならをする人なんて。
かの女の朝 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
再びヨボヨボと歩き出すと、ひとしきりの風が驀地まっしぐらに道の砂を捲いて老翁を包んだ時は深き深き空想を呼起こした。
(新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
来る十五日夜閣下の邸宅に開かるる貴国実業家代表歓迎大夜会には、も招かれざる客として、必ず出席致すべくそうろう
黄金仮面 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
およそ二百ページのものであったと思う。それを写すについては誰にも言われぬのは勿論もちろん、写す処を人に見られては大変だ。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
この篇の稿るや、先生一本を写し、これをふところにして翁を本所ほんじょの宅におとないしに、翁は老病の、視力もおとろえ物をるにすこぶる困難の様子なりしかば
瘠我慢の説:01 序 (新字新仮名) / 石河幹明(著)
料理番れうりばんまをしつけて、玄竹げんちく馳走ちそうをしてらせい。もともに一こんまう。』と、但馬守たじまのかみは、こつならせた。
死刑 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
会長は茶谷金弥ちゃたにこんや、四十年輩の脂切った身体と、皮肉な微笑と、聡明らしい眼を持った男で、社会的地位はわかりませんが、ぽど金を持って居るらしく
法悦クラブ (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
小「これはしからん、これ政七、の品とは違い、当家伝来の御宝剣ごほうけんを失って只相済みませんでは置かれんぞ」
こりゃ六兵衛、なんじ盗人ぬすっとでない証拠しょうこを見せるために、の手のひらに書いた文字を当ててみよ。うまくはんじ当てたならば、のぞみ通りの褒美ほうびをとらせよう。
とんまの六兵衛 (新字新仮名) / 下村千秋(著)
▼同席者 呉一郎(十八歳)被害者千世子の実子、伯母八代子(三十七歳)福岡県早良さわらめい浜町はままち一五八六番地居住、農業——(W氏)——以上三人——
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
「旗本のめんめんはわれと共にしんがりせよ、の隊は浜松までひけ、しんがりは旗本にてひきうけたぞ」
死処 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
「他あやんもっとほかの話してんか。ペンケトの話ばっかしや。しめさんの話の方がぽどおもろいぜ。」
わが町 (新字新仮名) / 織田作之助(著)
同益社どうえきしやへは卅円さんぢうゑん月賦げつぷかにした二百円ひやくゑん借用証文しやくようしやうもんを入れて、それで中坂なかさかの店を閉ぢて退転たいてんしたのです
硯友社の沿革 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
『それよりいそ新客しんきやく部室へや仕度したくをせよ、部室へや二階にかい第二號室だいにがうしつ——讀書室どくしよしつ片付かたづけて——。』と。
かしこくも天の下しろしめす皇帝、ピョートル一世陛下の御名代ごみょうだいとして、本癲狂院ほんてんきょういん査閲さえつを宣す!」
旦那は英語よりシュウィーツェル・ドイッチの方がっぽどうまいやなんて、感心されてた位である。
スウィス日記 (新字新仮名) / 辻村伊助(著)
そしてしまいには何がなんだか夢中になって、宅に出入りするお医者さんのひざまくらに、泣き寝入りに寝入って、夜中よなかをあなた二時間のも寝続けてしまいましたわ。
或る女:1(前編) (新字新仮名) / 有島武郎(著)
で、今我部屋へ来て床のってあるのを見ると、もう気もそぞろになって、の事なぞは考えられん。
平凡 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
正して居竝ゐならびたり越前守は見知人みしりにんの甚左衞門善助を御近習きんじふ仕立したて寶澤に相違なくはたもとを引べし夫を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
花がくのに支柱があっては見っともないとうのだけれども桜が咲くにはまだ一月もそのもある。菊池先生は春になったのでただ面白おもしろくてあれを取ったのだとおもう。
或る農学生の日誌 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
中等室のつくえのほとりはいと静かにて、熾熱燈しねつとうの光の晴れがましきもあだなり。今宵こよいは夜ごとにここにつどい来る骨牌カルタ仲間も「ホテル」に宿りて、舟に残れるは一人ひとりのみなれば。
舞姫 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
行つて見ると三つの室に、七十何点かのが並んでゐる。それが皆日本画である。しかし唯の日本画ぢやない。いづれも経営惨憺けいえいさんたんになつた、西洋画のやうな日本画である。
西洋画のやうな日本画 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
この言葉を聞き此記録を書綴る心を起しぬ、此記録を読むものは何人なんびとも悪事を働きては間職ましょくに合わぬことをさとり、算盤珠そろばんだまに掛けても正直に暮すほど利益な事は無きを知らん
血の文字 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
そのささやきには真摯しんしの響きがこもっていた。たった二度だけ。そのは、私を困らせた。
お柳は、松原からの縁談がモウ一月のもバタリと音沙汰がないのを内々心配してゐたので、密かにこの叔母に相談した。女二人の間には人知れず何事かの手筈が決められた。
鳥影 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)