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蒙
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かうむ
ふりがな文庫
“
蒙
(
かうむ
)” の例文
将門
謹
(
つゝし
)
み
言
(
まを
)
す。
貴誨
(
きくわい
)
を
蒙
(
かうむ
)
らずして、星霜多く改まる、渇望の至り、
造次
(
ざうじ
)
に
何
(
いか
)
でか
言
(
まを
)
さん。伏して高察を賜はらば、恩幸なり恩幸なり。
平将門
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
「恐れ入りますが親分さん、私は此處で御免を
蒙
(
かうむ
)
ります——明るいうちに歸らないと、婆アが心配をいたしますので。へ、へ、へ」
銭形平次捕物控:173 若様の死
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「可けない!
那処
(
あすこ
)
に居て下さらなければ可けませんな。何、御免を
蒙
(
かうむ
)
る? ——可けない! お手間は取せませんから、どうぞ」
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
正直をもて商売するものに不正の損失を
蒙
(
かうむ
)
らせ、真面目に道を歩むものに突当りて荷を損ずるやうの事、
漸
(
やうや
)
く多くなれりと覚ゆ。
鬼心非鬼心:(実聞)
(新字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
今異數の
拔擢
(
ばつてき
)
を
蒙
(
かうむ
)
つてゐる十太夫は、心底の知れぬものなので、若し右の第二に當るものではなからうかと、三人は朝夕目を附けてゐた。
栗山大膳
(旧字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
▼ もっと見る
群馬栃木両県の間を通ずる渡良瀬川沿岸の各郡村に年々巨万の損害を被らしめ、田畑は勿論飲用水を害し、堤防草木に至るまで其害を
蒙
(
かうむ
)
り
政治の破産者・田中正造
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
蒙
(
かうむ
)
り度此上は我々共御家來の
末
(
すゑ
)
に召し出さるれば身命を
抛
(
なげう
)
つて
守護仕
(
しゆごつかまつ
)
るべし御心安く思し召さるべし然れども我々は
是迄
(
これまで
)
惡逆
(
あくぎやく
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
返忠
(
かへりちゆう
)
の者といはれん事口惜しく候、又申さぬ時は、重恩を
蒙
(
かうむ
)
り候主君へ弓を引くべし、此旨を存じ、我名を隠して
斯
(
か
)
くの如し
聞書抄:第二盲目物語
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
さうした調法な機械が発明された為めに人間の労力と技術がどれほど
侮蔑
(
ぶべつ
)
を
蒙
(
かうむ
)
つてゐるかを私は少しもまだ感ずるだけの頭はなかつたのである。
ある職工の手記
(新字旧仮名)
/
宮地嘉六
(著)
もつと書きたい事もないではないが、何しろ原稿を受け取りに来た人が、玄関に待つてゐる
始末
(
しまつ
)
だから、今度はまづこの
辺
(
へん
)
で
御免
(
ごめん
)
を
蒙
(
かうむ
)
る事にする。
西洋画のやうな日本画
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
參詣人
(
さんけいにん
)
へも
愛想
(
あいそ
)
よく
門前
(
もんぜん
)
の
花屋
(
はなや
)
が
口惡
(
くちわ
)
る
嚊
(
かゝ
)
も
兎角
(
とかく
)
の
蔭口
(
かげぐち
)
を
言
(
い
)
はぬを
見
(
み
)
れば、
着
(
き
)
ふるしの
浴衣
(
ゆかた
)
、
總菜
(
そうざい
)
のお
殘
(
のこ
)
りなどおのずからの
御恩
(
ごおん
)
も
蒙
(
かうむ
)
るなるべし
たけくらべ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
まるで悪名を
蒙
(
かうむ
)
つたかのやうに、頑固に黙りこんでゐたから、治療をうけに通はせるやうに説き伏せるのに骨を折つた。
医師高間房一氏
(新字旧仮名)
/
田畑修一郎
(著)
左樣
(
さやう
)
さ、
一旦
(
いつたん
)
は
無事
(
ぶじ
)
に
本國
(
ほんごく
)
へ
歸
(
かへ
)
つて
來
(
き
)
たが、
法律
(
ほふりつ
)
と、
社會
(
しやくわい
)
の
制裁
(
せいさい
)
とは
許
(
ゆる
)
さない、
嚴罰
(
げんばつ
)
を
蒙
(
かうむ
)
つて、
酷
(
ひど
)
い
目
(
め
)
に
逢
(
あ
)
つて、
何處
(
いづく
)
へか
失奔
(
しつぽん
)
してしまいましたよ。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
初
(
はじ
)
めは
人皆
(
ひとみな
)
懊惱
(
うるさゝ
)
に
堪
(
た
)
へずして、
渠等
(
かれら
)
を
罵
(
のゝし
)
り
懲
(
こ
)
らせしに、
爭
(
あらそ
)
はずして
一旦
(
いつたん
)
は
去
(
さ
)
れども、
翌日
(
よくじつ
)
驚
(
おどろ
)
く
可
(
べ
)
き
報怨
(
しかへし
)
を
蒙
(
かうむ
)
りてより
後
(
のち
)
は、
見
(
み
)
す/\
米錢
(
べいせん
)
を
奪
(
うば
)
はれけり。
蛇くひ
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
日本植物圖鑑ではすいばと云ふのが普通の名稱として認められてゐる。今はさう云ふ事が
億劫
(
おくくふ
)
であるから、此植物に關する
本草學
(
ほんざうがく
)
的の詮索は御免を
蒙
(
かうむ
)
る。
すかんぽ
(旧字旧仮名)
/
木下杢太郎
(著)
其
(
そ
)
の
時
(
とき
)
は
幾多
(
いくた
)
の
民家
(
みんか
)
が
猶且
(
やつぱり
)
非常
(
ひじやう
)
な
慘害
(
さんがい
)
を
蒙
(
かうむ
)
つて、
村落
(
むら
)
の
凡
(
すべ
)
ては
自分
(
じぶん
)
の
凌
(
しの
)
ぎが
漸
(
やつ
)
とのことであつたので、
殆
(
ほと
)
んど
無用
(
むよう
)
である
寮
(
れう
)
の
再建
(
さいこん
)
を
顧
(
かへり
)
みるものはなかつた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
「どうも堪らん暑さですな。さ、
主人
(
あるじ
)
の私から御免を
蒙
(
かうむ
)
つて着物を脱ぎましたから、貴方もお取りになつたら
何
(
ど
)
うです、暑い折には何よりこれですからね。」
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
よしや一
斗
(
と
)
の「モルヒ子」に
死
(
し
)
なぬ
例
(
ためし
)
ありとも
月夜
(
つきよ
)
に
釜
(
かま
)
を
抜
(
ぬ
)
かれぬ
工風
(
くふう
)
を
廻
(
めぐ
)
らし
得
(
う
)
べしとも、
当世
(
たうせい
)
小説
(
せうせつ
)
の
功徳
(
くどく
)
を
授
(
さづ
)
かり
少
(
すこ
)
しも其
利益
(
りやく
)
を
蒙
(
かうむ
)
らぬ事
曾
(
かつ
)
て
有
(
あ
)
るべしや。
為文学者経
(新字旧仮名)
/
内田魯庵
、
三文字屋金平
(著)
折角だけど、ごめん
蒙
(
かうむ
)
るわ。あんたは、さうもいかないだらう、なんかの義理があるんだらうから——なんて、いぢめるんぢやないよ。本音を吐け、本音を……。
双面神
(新字旧仮名)
/
岸田国士
(著)
われ君侯二代に仕へ、その
恩寵
(
おんちよう
)
を
蒙
(
かうむ
)
ること
頗
(
すこぶ
)
るふかし。願はくば、死せむ後も、太守が江戸表参覲の節には、御行列を地下にて拝し、御武運を護らんと思ふなれ。
随筆 宮本武蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
身に染み込んだ
罪業
(
ざいごふ
)
から、又梟に生れるぢゃ。
斯
(
かく
)
の
如
(
ごと
)
くにして百
生
(
しゃう
)
、二百生、
乃至
(
ないし
)
劫
(
こふ
)
をも
亙
(
わた
)
るまで、この梟身を免れぬのぢゃ。
審
(
つまびらか
)
に諸の患難を
蒙
(
かうむ
)
りて又尽くることなし。
二十六夜
(新字旧仮名)
/
宮沢賢治
(著)
三十七
年
(
ねん
)
一
月
(
げつ
)
大雪
(
おほゆき
)
の
害
(
がい
)
と、
其
(
その
)
七月
(
しちぐわつ
)
疫疾
(
えきしつ
)
の
爲
(
ため
)
に、
牛馬
(
ぎうば
)
其
(
その
)
半
(
なかば
)
を
失
(
うしな
)
ひたるの
災厄
(
さいやく
)
あり。
其他
(
そのた
)
天災
(
てんさい
)
人害
(
じんがい
)
蝟集
(
ゐしふ
)
し
來
(
きた
)
り、
損害
(
そんがい
)
を
蒙
(
かうむ
)
る
事
(
こと
)
夥
(
おびたゞ
)
しく、
余
(
よ
)
が
心
(
こゝろ
)
を
惱
(
なやま
)
したる
事
(
こと
)
實
(
じつ
)
に
尠
(
すくな
)
からざるなり。
命の鍛錬
(旧字旧仮名)
/
関寛
(著)
是
(
これ
)
は
皆様
(
みなさま
)
も
御案内
(
ごあんない
)
のことでござりますが、
其時
(
そのとき
)
豊公
(
ほうこう
)
の
御寵愛
(
ごちようあい
)
を
蒙
(
かうむ
)
りました、
鞘師
(
さやし
)
の
曾呂利新左衛門
(
そろりしんざゑもん
)
といふ人が、
此事
(
このこと
)
を
聴
(
き
)
いて、
私
(
わたくし
)
も一つやつて見たうござる、と
云
(
い
)
ふので
落語の濫觴
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
赤痢病の襲来を
蒙
(
かうむ
)
つた
山間
(
やまなか
)
の
荒村
(
あれむら
)
の、重い恐怖と
心痛
(
そこびえ
)
に充ち満ちた、目もあてられぬ、そして、不愉快な
状態
(
ありさま
)
は、一度その境を実見したんで無ければ、
迚
(
とて
)
も想像も及ぶまい。
赤痢
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
国銅を尽して象を
鎔
(
とか
)
し、大山を削りて以て堂を構へ、広く
法界
(
ほつかい
)
に及ぼして朕が
智識
(
ちしき
)
となす、
遂
(
つひ
)
に同じく
利益
(
りやく
)
を
蒙
(
かうむ
)
りて共に
菩提
(
ぼだい
)
を致さしめん、
夫
(
そ
)
れ天下の富を
有
(
も
)
つ者は朕なり
大和古寺風物誌
(新字新仮名)
/
亀井勝一郎
(著)
行親 北條殿の密旨を
蒙
(
かうむ
)
り、近寄つて討ちたてまつらんと今宵ひそかに伺候したるが、
流石
(
さすが
)
は上樣、早くもそれと覺られて、われに油斷を見せたまはねば、無念ながらも仕損じた。
修禅寺物語
(旧字旧仮名)
/
岡本綺堂
(著)
N君の家は東京の郊外にあるから、これはどうにか損害を
蒙
(
かうむ
)
らずにゐるらしい。併し
親戚
(
しんせき
)
知己は幾人も東京の
殷昌
(
いんしやう
)
区域内に住んでゐる。それらの人々は到底駄目だらうといふことを話しあふ。
日本大地震
(新字旧仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
「
別
(
べつ
)
によい
器量
(
きりよう
)
でもありませぬから、お
使
(
つか
)
ひに
逢
(
あ
)
ふことは
御免
(
ごめん
)
を
蒙
(
かうむ
)
ります」
竹取物語
(旧字旧仮名)
/
和田万吉
(著)
この塵を
蒙
(
かうむ
)
らざる美の影圖は、その
氣高
(
けだか
)
きこと彼「ワチカアノ」なるアポルロンの神の像の如く、
儼然
(
げんぜん
)
として我前に立てり。嗚呼、この影圖よ。今これを知りたるものは、唯だ神と我とのみ。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
嘸
(
さぞ
)
あの二人も心配して居るであらう、もし自分の
噂
(
うはさ
)
が姫子沢へ伝つたら、其為に叔父夫婦は
奈何
(
どん
)
な迷惑を
蒙
(
かうむ
)
るかも知れない、ひよつとしたら
彼村
(
あのむら
)
には居られなくなる——
奈何
(
どう
)
したものだらう。
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
〔評〕徳川
慶喜
(
よしのぶ
)
公は
勤王
(
きんわう
)
の臣たり。
幕吏
(
ばくり
)
の要する所となりて
朝敵
(
てうてき
)
となる。猶南洲勤王の臣として終りを
克
(
よ
)
くせざるごとし。公は
罪
(
つみ
)
を
宥
(
ゆる
)
し位に
敍
(
じよ
)
せらる、南洲は永く
反賊
(
はんぞく
)
の名を
蒙
(
かうむ
)
る、悲しいかな。
南洲手抄言志録:03 南洲手抄言志録
(旧字旧仮名)
/
秋月種樹
、
佐藤一斎
(著)
……ま、ともかくも
若
(
わか
)
に
逢
(
あ
)
はうわ、さうぢゃ、はて、
速
(
はや
)
う
往
(
い
)
て
彼
(
か
)
の
人
(
ひと
)
を
伴
(
つ
)
れて
來
(
こ
)
いといふに。……さてはや、
實
(
じつ
)
に
高徳
(
かうとく
)
のあの
上人
(
しゃうにん
)
、
此
(
この
)
市中
(
まちぢゅう
)
の
者
(
もの
)
で、
誰
(
た
)
れ
一人
(
ひとり
)
、
彼
(
か
)
の
人
(
ひと
)
の
庇
(
かげ
)
を
蒙
(
かうむ
)
らぬものはないわい。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
一旦事あれば
鼠糞
(
そふん
)
梁上
(
りやうじやう
)
より
墜
(
お
)
ちてだに消魂の種となる、自ら口惜しと思へど
詮
(
せん
)
なし、源氏征討の
宣旨
(
せんじ
)
を
蒙
(
かうむ
)
りて、
遥々
(
はる/″\
)
富士川迄押し寄せたる七万余騎の大軍が、水鳥の羽音に
一矢
(
いつし
)
も射らで逃げ帰るとは
人生
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
人間は、何処で、かうした災難を
蒙
(
かうむ
)
るかも知れないのだ。
浮雲
(新字旧仮名)
/
林芙美子
(著)
トロイア軍にアキリュウス艱難憂苦
蒙
(
かうむ
)
らす。 525
イーリアス:03 イーリアス
(旧字旧仮名)
/
ホーマー
(著)
かういふ非難を
蒙
(
かうむ
)
つたことは一度や二度ではない。
社会劇と印象派
(新字旧仮名)
/
田山花袋
、
田山録弥
(著)
「御免
蒙
(
かうむ
)
らうよ。どうせ山師坊主の興行に極つてゐるやうなものだ。行つて見るとまた飛んだ殺生をすることになるかも知れねエ」
銭形平次捕物控:111 火遁の術
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
未だ報裁を
蒙
(
かうむ
)
らず、
欝包
(
うつはう
)
の際、今年の夏、同じく平貞盛、将門を召すの官符を奉じて常陸国に
到
(
いた
)
りぬ。
仍
(
よ
)
つて国内
頻
(
しき
)
りに将門に
牒述
(
てふじゆつ
)
す。
平将門
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
相違
仕
(
つかま
)
つり候ては御役儀も
輕
(
かろ
)
く
相成
(
あひなり
)
候故私しの内意仕つり候に付私再吟味御免を
蒙
(
かうむ
)
り其後病氣と
披露
(
ひろう
)
仕つり
引籠
(
ひきこも
)
り
中
(
ちう
)
家來
(
けらい
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
私は
小鹿野
(
をかの
)
の奥の
権作
(
ごんさく
)
と申しますもので、長左衛門様には
何程
(
どれほど
)
御厚情を
蒙
(
かうむ
)
りましたとも知れませぬ、——
彼
(
あ
)
の
騒
(
さわぎ
)
で旦那様は
彼
(
あゝ
)
した御最後——が
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
しかしいざ書かうとなると、
匇忙
(
そうばう
)
の際でもあり、どうも気乗りがしませんから、この手紙で
御免
(
ごめん
)
を
蒙
(
かうむ
)
りたいと思ひます。
大正十二年九月一日の大震に際して
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
参詣人
(
さんけいにん
)
へも愛想よく門前の花屋が口悪る
嚊
(
かか
)
もとかくの
蔭口
(
かげぐち
)
を言はぬを見れば、着ふるしの
裕衣
(
ゆかた
)
、
総菜
(
そうざい
)
のお残りなどおのづからの御恩も
蒙
(
かうむ
)
るなるべし
たけくらべ
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
五年前
(
いつとせまへ
)
の事なりしが、
平生
(
ひごろ
)
の望足りて、洋行の官命を
蒙
(
かうむ
)
り、このセイゴンの港まで
来
(
こ
)
し頃は、目に見るもの、耳に聞くもの、一つとして
新
(
あらた
)
ならぬはなく
舞姫
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
さう明らさまに出しはしなかつたが、あんな女を後に入れるやうでは親類づき合ひは御免
蒙
(
かうむ
)
るとまで言つた。
鳥羽家の子供
(新字旧仮名)
/
田畑修一郎
(著)
との
豫言
(
よげん
)
は、
偶然
(
ぐうぜん
)
にも
其通
(
そのとう
)
りになつて、
是等
(
これら
)
の
寳物
(
たからもの
)
があつたばかりに、
昨夜
(
さくや
)
は
印度洋
(
インドやう
)
の
惡魔
(
あくま
)
と
世
(
よ
)
にも
恐
(
おそ
)
る
可
(
べ
)
き
大海賊
(
だいかいぞく
)
の
襲撃
(
しうげき
)
を
蒙
(
かうむ
)
り、
船
(
ふね
)
は
沈
(
しづ
)
み、
夫人
(
ふじん
)
は
行衞
(
ゆくえ
)
を
失
(
うしな
)
ひ
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
閣下の
貴誨
(
きくわい
)
を
蒙
(
かうむ
)
るなく、星霜多く改まる。常に渇望の至り、
造次
(
ざうじ
)
も忘れず、伏して、高察を給へ。
平の将門
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
大
(
いか
)
い
御恩
(
ごおん
)
を
蒙
(
かうむ
)
りましたに、いざお
家
(
いへ
)
が、と
言
(
い
)
ふ
頃
(
ころ
)
には、
碌
(
ろく
)
に
暑寒見舞
(
しよかんみまひ
)
にも
御伺
(
おうかゞ
)
ひいたしません。
手前
(
てまへ
)
が
其
(
そ
)
の
不都合
(
ふつがふ
)
な
料簡方
(
れうけんがた
)
と、お
家
(
いへ
)
の
罰
(
ばち
)
で、
此
(
こ
)
の
體裁
(
ていさい
)
でございます、へい。
月夜車
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
「私は
画家
(
ゑかき
)
だ、書はほんの道楽に過ぎないんだから、道楽のために
閑潰
(
ひまつぶ
)
しは御免を
蒙
(
かうむ
)
る。」
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
へい/\
有難
(
ありがた
)
う
存
(
ぞん
)
じます、
何
(
ど
)
うも
折角
(
せつかく
)
のお
厚情
(
なさけ
)
でございますから、
御遠慮
(
ごゑんりよ
)
申上
(
まうしあげ
)
ませぬでお
言葉
(
ことば
)
に
従
(
したが
)
つて、
御免
(
ごめん
)
を
蒙
(
かうむ
)
ります。主「どうもお
人品
(
ひとがら
)
なことだ、
違
(
ちが
)
ふのうー……さア/\
此方
(
こつち
)
へお
入
(
はい
)
り。 ...
大仏餅。袴着の祝。新まへの盲目乞食
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
黄金
(
こがね
)
を
織作
(
おりな
)
せる
羅
(
うすもの
)
にも似たる
麗
(
うるはし
)
き日影を
蒙
(
かうむ
)
りて、
万斛
(
ばんこく
)
の珠を鳴す谷間の清韻を楽みつつ、
欄頭
(
らんとう
)
の山を枕に
恍惚
(
こうこつ
)
として消ゆらんやうに覚えたりし貫一は、
急遽
(
あわただし
)
き
跫音
(
あしおと
)
の廊下を
動
(
うごか
)
し
来
(
きた
)
るに
駭
(
おどろか
)
されて
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
“蒙”の意味
《名詞》
(モウ)道理を知らないこと。無知なこと。
(出典:Wiktionary)
蒙
漢検準1級
部首:⾋
13画
“蒙”を含む語句
蒙古
蒙求
御免蒙
蒙塵
童蒙
蒙古刀
蒙古人種
蒙古王
戯場訓蒙図彙
蒙昧
啓蒙
旧阿蒙
愚蒙
呂蒙
蒙古犬
啓蒙的
蒙々
免蒙
本草綱目啓蒙
蒙古襲来
...