秘密ひみつ)” の例文
旧字:祕密
わたし自分じぶん不安ふあん苦痛くつううつたへたが、それかひはなく、このまゝ秘密ひみつにしてくれとつま哀願あいぐわんれて、此事このことは一そのまゝにはふむることにした。
背負揚 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
左樣さやうわたくしきみ確信くわくしんします、きみ我等われら同志どうしとして、永久えいきゆう秘密ひみつまもこと約束やくそくたまはゞ、誠心せいしんより三度みたびてんちかはれよ。
いや私が書生仲間しょせいなかまには随分ずいぶんかようなる事に常々つねづね注意ちゅういし、当時の秘密ひみつさぐり出し、互にかたり合いたることあり、なおれたる事柄ことがらも多かるべし
それをみて、ぼくは、ほっとしたね。これでぼくの秘密ひみつ安全あんぜんだ——そう考えると同時に、なにか新しい勇気ゆうきがわいてくるような気がしたんだ
「きみ、お母さんに、ぼくが秘密ひみつをよく守ったことを話してくれたまえ」とマチアがわたしのそばにって来てこう言った。
源三がお浪にもお浪の母にも知らせない位であるから無論誰にも知らせないで、自分一人でいだいている秘密ひみつはこうである。
雁坂越 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
あの、白無垢しろむく常夏とこなつ長襦袢ながじゆばん浅黄あさぎゑりして島田しまだつた、りやう秘密ひみつかくした、絶世ぜつせ美人びじんざうきざんだかたは、貴下あなた祖父様おぢいさんではいでせうか。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
しかし、この用事はひじょうに秘密ひみつを守らなければならないものでしたから、アッカはフクロウのおくさんの耳もとに、このことをそっとささやきました。
そんなとき土中のその小さな花のかたまりは私の心の中のたのしい秘密ひみつであって、母にもたれにも話さない。
花をうめる (新字新仮名) / 新美南吉(著)
しかし、地中ちちゅう秘密ひみつや、人間にんげん運命うんめいは、ひっきょう、だれにもわかるものでありません。一ねんとたたぬうちに、金持かねもちは、財産ざいさんつかいはたしてしまいました。
そもそ此氷川このひがは境内けいだいひろつた一破片はへんいまでも保存ほぞんしてあるが)これが地中ちちう秘密ひみつさぐはじめた最初さいしよかぎで、石器時代せききじだい研究けんきうおもつた動機どうきとはなつたのだ。
とたんに、呂宋兵衛るそんべえのからだは、邪法じゃほう秘密ひみついんをむすびながら、ヒラリと駕籠かご屋根やねびうつっていた。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
おとうさんとおかあさんも、もうこれいじょう、この秘密ひみつをかくしておくわけにはいきません。そこで
家族の者にあってると、秘密ひみつがもれたり、勇気がくじけたりするからだ。そんなわけで、マリイの姿を見かけても、声もかけなかった。許してくれ、おれが悪いんだ。
街の少年 (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
こまつたひとだな種々いろ/\秘密ひみつがあるとえる、おとつさんはとけばはれませぬといふ、おつかさんはとへばれもおなじく、これまでの履歴りれきはといふに貴君あなたにははれぬといふ
にごりえ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
なんでも露西亞ロシア秘密ひみつようがあつたんださうです」と小六ころく眞面目まじめかほをしてつた。御米およね
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
我等をして之にしんかしむる勿れ、実行上の一致のみがたのむに足るの一致なり、自身じしん主義しゆぎ実行じつかうし得ざる人は人情にんじやう秘密ひみつ会得くわいとくし得ざるが故に他をるゝ雅量がりようを有せず
時事雑評二三 (新字旧仮名) / 内村鑑三(著)
云わば Delphi の巫女みこである。道の上の秘密ひみつもとうの昔に看破かんぱしているのに違いない。保吉はだんだん不平の代りにこのふたすじの線に対する驚異の情を感じ出した。
少年 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
父兄代表者が、原地げんち見舞をしての報告にも、童児どうじたちは元気よく生活していると聞いて安心していた。が、あるとき、見舞に行ったよその人に、一封書を秘密ひみつにことずけて来た。
親は眺めて考えている (新字新仮名) / 金森徳次郎(著)
四馬路スマロ菜館さいくわん廣東料理くわんとんれうり舌皷したつゞみち、外國人ぐわいこくじんのバアでリキユウルをすすり、日本料理屋にほんれうりや藝者達げいしやたち長崎辯ながさきべんき、さらにフランス租界そかい秘密ひみつ阿片窟あへんくつ阿片あへんまでつてみた。
麻雀を語る (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
自分はここまでひと息に考えて来て、われ知らずああと嘆声たんせいをもらした。同時にかさかさとをふんで人の来たのに気づいた。自分は秘密ひみつを人に見られたでもしたようにびっくらした。
落穂 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
かれなに大切たいせつ秘密ひみつものをもっているとうようなふうをしている。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
欲破休糧秘密方 かてちし秘密ひみつほうやぶらんとほつ
一夕 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
生前せいぜんの日の遺言状ゆゐごんじやう秘密ひみつのごとくに刺草いらくさあひだに沈み
東京景物詩及其他 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
七二鳥の秘密ひみつの山のしげみかな
そこに秘密ひみつの鍵あらむ。
天地有情 (旧字旧仮名) / 土井晩翠(著)
他人ひとかくした秘密ひみつ
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
秘密ひみつあな
少年探偵長 (新字新仮名) / 海野十三(著)
やま秘密ひみつ
探偵夜話 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
部屋へやには箪笥たんすほかに、鏡台きやうだいもある。針函はりばこもある。手文庫てぶんこもある。秘密ひみつがあるとすれば、其等それらなかにもいとはしがたい。
背負揚 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
『これが、わたくし秘密ひみつ製造せいざうしつゝある、海底戰鬪艇かいていせんとうていです。』と、櫻木海軍大佐さくらぎかいぐんたいさおもむろに右手ゆんでげて、その船體せんたいゆびざした。
「そうだ。だが、それで安心はしていられないよ。そこで永久えいきゅうにぼくの研究けんきゅう秘密ひみつにしておく方法を考えだしたんだ」
これはほんとうは秘密ひみつなんですがね、沼フクロウさん、でも、あなたのことですから、お話しするんですよ。小人が言うのには、もしその子がガチョウのせわを
なお、われわれがおらぬも、われわれがいるように見せかけて、こよい、三人が小太郎山こたろうざんをぬけだしたことは、かならず、てきにも味方みかたにも秘密ひみつにしておくように
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ときことふのは、ちゝ土地とちほこらからつてかへつた、あの、てのひら秘密ひみつかくした木像もくざうです。」
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
わづかに五六ねん地上ちじやう此變化このへんくわである。地中ちちう秘密ひみつはそれでも、三千餘年よねんあひだたもたれたとおもふと、これを攪亂くわんらんした余等よらは、たしかに罪惡ざいあくであるとかんがへずにはられぬのである。
しかし、その秘密ひみつはこは、どこにうずもれているかわからなかった。若者わかものは、そのから、このむかし城跡しろあとやこの付近ふきんまちをたずねあるいて、黄金こがねはこはなしそうとしました。
三つのかぎ (新字新仮名) / 小川未明(著)
何故なぜはがきでもよこしはせぬ、馬鹿ばかやつがとしかりつけて、母親はゝおや無病むびやう壯健そうけんひととばかりおもふてたが、しやくといふははじめてかとむつましうかたひて、らう何事なにごと秘密ひみつありともらざりき。
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
わたしがあの男の秘密ひみつを知ったのは、ほんのぐうぜんのことでした
「しっ、秘密ひみつ、秘密。うまくけること、大事です」
金の目銀の目 (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
かくてまた遠きおやよりつたヘこし秘密ひみつ聖磔くるす
邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
しかしその秘密ひみつすぐわかるのである。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
其他そのた利己心りこしんおほ人々ひと/″\覬覦きゆから、完全くわんぜんその秘密ひみつたもたんがめに、みづか此樣こん孤島はなれじましのばせて、その製造せいぞうをもきわめて内密ないみつにして次第しだいだが——。
博士は、ちつきをとりもどしていた。科学者かがくしゃらしく、ちみつに頭を働かし、このふしぎな透明人間とうめいにんげん秘密ひみつをできるかぎりさぐりだしてやろうと考えていた。
ふと、あるひわらひとがあるかもれぬ。が、それ秘密ひみつがなかつたをりのことで、つたら、それこそ大事だいじだ。わたしむし此不安このふあんすために、そつと四畳半でふはん忍込しのびこんだ。
背負揚 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
して、秘密ひみつひとらせまいために、てんくとせて、ふねをおかくしなさるんでせう。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
蠻勇ばんゆうちからもつて、地中ちちう秘密ひみつあばき、學術上がくじゆつじやう疑問ぎもん解决かいけつあたへねば、まぬのである。
秀吉ひできちは、双眼鏡そうがんきょうというものを、はじめて、のぞいたのでした。しかしつき世界せかい秘密ひみつ肉眼にくがん以上いじょうに、わからなかったのでした。いくらか、はっきりするぐらいなものです。
さか立ち小僧さん (新字新仮名) / 小川未明(著)
ふたたびめきられた裏門うらもんは、秘密ひみつをのんでものいわぬ口のようにかたくふうじられた。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
さとしもとより築山つきやまごしにをがむばかりのねがひならず、あはれ此君このきみ肺腑はいふりて秘密ひみつかぎにしたく、時機をりあれかしとつま待遠まちどほや、一月ひとつきばかりをあだくらしてちかづく便たよりのきこそは道理だうりなれ
暁月夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)