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このごろ
ふりがな文庫
“
此頃
(
このごろ
)” の例文
御前様
(
おんまへさま
)
には
追々
(
おひおひ
)
暑
(
あつさ
)
に向ひ候へば、いつも夏まけにて御悩み
被成候事
(
なされさふらふこと
)
とて、
此頃
(
このごろ
)
は
如何
(
いか
)
に
御暮
(
おんくら
)
し
被遊候
(
あそばされさふらふ
)
やと、
一入
(
ひとしほ
)
御案
(
おんあん
)
じ
申上参
(
まをしあげまゐ
)
らせ候。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
『
何
(
なに
)
が
何
(
なん
)
でも
望遠鏡
(
ばうゑんきやう
)
のやうに
篏
(
は
)
め
込
(
こ
)
まれては
堪
(
たま
)
らない!
些
(
ちよツ
)
と
始
(
はじ
)
めさへ
解
(
わか
)
ればもう
占
(
し
)
めたものだ』
此頃
(
このごろ
)
では
身
(
み
)
にふりかゝる
種々
(
いろ/\
)
の
難事
(
なんじ
)
を
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
「お父つぁんはいるよ。でもね、
此頃
(
このごろ
)
機嫌が悪いから、気をつけるがいいよ。まあ兎に角、そんな所に立っていないで、お上りな」
孤島の鬼
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
大方の冬木立は
赤裸
(
あかはだか
)
になった今日
此頃
(
このごろ
)
でも、
樅
(
もみ
)
の林のみは
常磐
(
ときわ
)
の緑を誇って、一丈に余る高い梢は灰色の空を
凌
(
しの
)
いで
矗々
(
すくすく
)
と
聳
(
そび
)
えていた。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
又
(
また
)
かや
此頃
(
このごろ
)
折
(
をり
)
ふしのお
宿
(
とま
)
り、
水曜會
(
すゐようくわい
)
のお
人達
(
ひとたち
)
や、
倶樂部
(
ぐらぶ
)
のお
仲間
(
なかま
)
にいたづらな
御方
(
おかた
)
の
多
(
おほ
)
ければ
夫
(
そ
)
れに
引
(
ひ
)
かれて
自
(
おの
)
づと
身持
(
みもち
)
の
惡
(
わる
)
う
成
(
な
)
り
給
(
たま
)
ふ
われから
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
▼ もっと見る
商売は其の日の運不運だから、それはまあよいとして、
此頃
(
このごろ
)
頻りに手詰まって来た金の運転には暗い気持の中に嫌な
脅
(
おび
)
えさえ感じられた。
とと屋禅譚
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
参
(
まゐ
)
りました
処
(
ところ
)
は
堺町
(
さかひちやう
)
三
条
(
でう
)
北
(
きた
)
に
入
(
い
)
る
町
(
まち
)
といふ、
大層
(
たいそう
)
六
(
む
)
づかしい
町名
(
ちやうめい
)
でございまして、
里見
(
さとみ
)
忠
(
ちう
)
三
郎
(
らう
)
といふ
此頃
(
このごろ
)
新築
(
しんちく
)
をした
立派
(
りつぱ
)
な
家
(
うち
)
で
牛車
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
如何
(
どう
)
考
(
かんが
)
へても
聖書
(
バイブル
)
よりは
小説
(
せうせつ
)
の
方
(
はう
)
が
面白
(
おもしろ
)
いには
違
(
ちが
)
ひなく、
教師
(
けうし
)
の
眼
(
め
)
を
窃
(
ぬす
)
んでは「よくッてよ」
派
(
は
)
小説
(
せうせつ
)
に
現
(
うつゝ
)
を
抜
(
ぬ
)
かすは
此頃
(
このごろ
)
の
女生徒
(
ぢよせいと
)
気質
(
かたぎ
)
なり。
為文学者経
(新字旧仮名)
/
内田魯庵
、
三文字屋金平
(著)
此頃
(
このごろ
)
は
体
(
からだ
)
がだるいと
見
(
み
)
えてお
惰
(
なま
)
けさんになんなすつたよ、
否
(
いゝえ
)
、
宛
(
まる
)
で
愚
(
おろか
)
なのではございません、
何
(
なん
)
でもちやんと
心得
(
こゝろえ
)
て
居
(
を
)
ります。
高野聖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
その
鰹船
(
かつをぶね
)
が
一
(
ひと
)
つ
宛
(
づゝ
)
此
(
この
)
器械
(
きかい
)
を
具
(
そな
)
へ
付
(
つ
)
ける
樣
(
やう
)
になつたら、
莫大
(
ばくだい
)
な
利益
(
りえき
)
だつて
云
(
い
)
ふんで、
此頃
(
このごろ
)
は
夢中
(
むちゆう
)
になつて
其方
(
そのはう
)
ばつかりに
掛
(
かゝ
)
つてゐる
樣
(
やう
)
ですよ。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
這麼事
(
こんなこと
)
を考へながら茸を味つてゐると、今日
此頃
(
このごろ
)
ついぞ物を味ひしめるといふ程の
余裕
(
ゆとり
)
が無くなつてゐたのに気が付いた。
茸の香
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
此頃
(
このごろ
)
に
於
(
おい
)
て
日本地震學界
(
につぽんぢしんがつかい
)
は
解散
(
かいさん
)
の
止
(
や
)
むなきに
至
(
いた
)
つたが、
新
(
あら
)
たにわが
政府事業
(
せいふじぎよう
)
として
起
(
おこ
)
された
震災豫防調査會
(
しんさいよぼうちようさかい
)
が
之
(
これ
)
に
代
(
かは
)
つた。
地震の話
(旧字旧仮名)
/
今村明恒
(著)
而
(
さう
)
して
彼
(
かれ
)
は
此頃
(
このごろ
)
見
(
み
)
たり、
聞
(
き
)
いたりした
事
(
こと
)
を
考
(
かんが
)
へやうと
思
(
おも
)
ふたが、
如何
(
どう
)
したものか
猶且
(
やはり
)
、ミハイル、アウエリヤヌヰチが
頭
(
あたま
)
から
離
(
はな
)
れぬので
有
(
あ
)
つた。
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
此頃
(
このごろ
)
の
空癖
(
そらくせ
)
で空は低く
鼠色
(
ねずみいろ
)
に
曇
(
くも
)
り、あたりの
樹木
(
じゆもく
)
からは
虫噛
(
むしば
)
んだ青いまゝの
木葉
(
このは
)
が絶え間なく落ちる。
烏
(
からす
)
や
鶏
(
にはとり
)
の
啼声
(
なきごゑ
)
鳩
(
はと
)
の
羽音
(
はおと
)
が
爽
(
さはや
)
かに力強く
聞
(
きこ
)
える。
すみだ川
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
今
(
いま
)
や
本島
(
ほんとう
)
の
主人公
(
しゆじんこう
)
なる
櫻木海軍大佐
(
さくらぎかいぐんたいさ
)
の
健康
(
けんこう
)
は
言
(
い
)
ふ
迄
(
まで
)
もなく、
此頃
(
このごろ
)
では
殆
(
ほとん
)
ど
終日
(
しうじつ
)
終夜
(
しうや
)
を、
秘密造船所
(
ひみつぞうせんじよ
)
の
中
(
なか
)
で
送
(
おく
)
つて
居
(
を
)
る。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
髪を洗はせて
瓦斯
(
ガス
)
の火力で
煽
(
あふ
)
られて乾かし、そして
直
(
す
)
ぐ髪を結はせる人もある。自分は
此頃
(
このごろ
)
マガザンで毛網を買つて来て独りで結ふ事が多くなつた。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
記者パイク「そうかなあ。しかし僕はユダヤ人組合——“影”の委員会の実力をそんなに下算したくない。大統領は、
此頃
(
このごろ
)
すこし頭がどうかしているね」
諜報中継局
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
「ねえ、
此頃
(
このごろ
)
はどうしたものか、
誰
(
だれ
)
もこの立派なおヒゲをほめなくなつたが、一体、どうしたもんだらう。」
風邪をひいたお猫さん
(新字旧仮名)
/
村山籌子
(著)
めっきり
此頃
(
このごろ
)
、衰弱なさったそうだ。いつ、どんな事になるか、わかりやしませんよ。その時、このままの関係でいたんじゃ、まずい。事がめんどうですよ。
帰去来
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
この次に、「
淡海路
(
あふみぢ
)
の
鳥籠
(
とこ
)
の山なるいさや川
日
(
け
)
の
此頃
(
このごろ
)
は恋ひつつもあらむ」(巻四・四八七)という歌があり、上半は序詞だが、やはり古調で佳い歌である。
万葉秀歌
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
して居るに長兵衞は長八に向ひ
此頃
(
このごろ
)
は
此方
(
こつち
)
の娘がさつぱり見えぬが風にても引しかと問ければ長八は今の
噂
(
うはさ
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
「えつ! お
母
(
つか
)
あにさ。お
母
(
つか
)
あは
此頃
(
このごろ
)
、すこし
病氣
(
びやうき
)
してゐるんだ」とは
言
(
ゆ
)
つたものの、
心
(
こゝろ
)
の
中
(
なか
)
では「すまない、すまない」と
手
(
て
)
をあはせるばかりでありました。
ちるちる・みちる
(旧字旧仮名)
/
山村暮鳥
(著)
おさやんは手紙などをちつとも書かない人ですからどうして
此頃
(
このごろ
)
は居るのか私は知りません。もう堺には居ないのでせうか、気の
好
(
い
)
い遊び相手だつたおさやん。
私の生ひ立ち
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
それが
動
(
やや
)
もすれば
幽婉
(
ゆうえん
)
の天地と同化して情熱の高潮に達し易い
此頃
(
このごろ
)
の人の心を表わしているようだ。
釜沢行
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
此頃
(
このごろ
)
は談話の校正をさせて貰う約束をしても、ほとんど全くその約束が履行せられないことになって来ました。話には順序や語気があって、それで意味が変って来ます。
Resignation の説
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
此頃
(
このごろ
)
になって、おれの踏んで来た道が、つくづく間違って居るのでは無いかと思われて仕様が無い……おれの脈管には、猿や熊と一緒になって、山から山、谷から谷と飛び廻った
判官三郎の正体
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
あれ程
有
(
あり
)
し雪も大抵は
消
(
きえ
)
て
仕舞
(
しまい
)
ました、
此頃
(
このごろ
)
の天気の
快
(
よ
)
さ、旅路もさのみ苦しゅうはなし
其道
(
そのみち
)
勉強の
為
(
ため
)
に諸国
行脚
(
あんぎゃ
)
なさるゝ身で、今の時候にくすぶりて
計
(
ばか
)
り居らるるは損という者
風流仏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
此頃
(
このごろ
)
は実に不快な天候が続く。重苦しく蒸熱くいやに湿り気をおんだ、強い南風だ。
大雨の前日
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
けふ
此頃
(
このごろ
)
の
酉
(
とり
)
の
市
(
まち
)
に
参
(
まゐ
)
りて、エンギを
申候
(
まうじそろ
)
ものにこの
意義
(
いぎ
)
ありや、この
愛敬
(
あいきやう
)
ありや。
もゝはがき
(新字旧仮名)
/
斎藤緑雨
(著)
此頃
(
このごろ
)
の六月の
夜
(
よ
)
の薄明りの、
褪
(
さ
)
めたような色の光線にも、また翌日の朝焼けまで
微
(
かす
)
かに光り
止
(
や
)
まない、空想的な、不思議に優しい調子の、薄色の夕日の景色にも、また
暴風
(
あらし
)
の来そうな
冬の王
(新字新仮名)
/
ハンス・ランド
(著)
女は向側に
坐
(
すわ
)
って、男の様子を見ている。心持ちは割合に落ち着いている。ただ気の毒だという、軽い同情がある。男の顔は
如何
(
いか
)
にも青い。それに
此頃
(
このごろ
)
めっきり更けて見えるようになった。
みれん
(新字新仮名)
/
アルツール・シュニッツレル
(著)
彼にはこれから入梅へかけての間が、一年中での一番
堪
(
た
)
へ難い季節になつてゐた。彼は
此頃
(
このごろ
)
の気候の圧迫を軽くしよう為めに、例年のやうに、午後からそこらを出歩くことにしようと思つた。
哀しき父
(新字旧仮名)
/
葛西善蔵
(著)
『
湯
(
ゆ
)
ヶ
原
(
はら
)
か。
湯
(
ゆ
)
ヶ
原
(
はら
)
も
可
(
い
)
いが
此頃
(
このごろ
)
の
天氣
(
てんき
)
じやアうんざりするナア』
湯ヶ原ゆき
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
其所に近き
辺
(
ほと
)
りの
友人
(
いうじん
)
が
此頃
(
このごろ
)
の事とてさきのとし物がたりせり。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
私
(
わたし
)
が
此頃
(
このごろ
)
計画
(
けいくわく
)
しつゝある
画室
(
ぐわしつ
)
の
事
(
こと
)
など
話
(
はな
)
して
居
(
ゐ
)
るであらう。
背負揚
(新字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
麻刈れと夕日
此頃
(
このごろ
)
斜なる
俳人蕪村
(新字新仮名)
/
正岡子規
(著)
彼は喉元で自分を
叱
(
しか
)
つた。宗右衛門にとつては
最早
(
もは
)
や
此頃
(
このごろ
)
の二人の娘は妄鬼であつた。離れ家はまさしく妄者の
棲家
(
すみか
)
であつた。
老主の一時期
(新字旧仮名)
/
岡本かの子
(著)
角川の家では
未
(
ま
)
だ眠らなかった。市郎の傷も
漸
(
ようや
)
く
癒
(
い
)
えて、
此頃
(
このごろ
)
は床の上に起き直られる
様
(
よう
)
になったので、看病の冬子は一旦わが家へ帰った。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
此頃
(
このごろ
)
無闇
(
むやみ
)
に
金子
(
かね
)
が
失
(
な
)
くなつて
仕
(
し
)
やうが
無
(
な
)
いから、これ/\
斯
(
か
)
う
云
(
い
)
ふ事にして
来
(
き
)
た、
是
(
これ
)
で
誰
(
たれ
)
が取ると
云
(
い
)
ふのがチヤンと
解
(
わか
)
るね。
(洋)金の勘定を仕ずに来た
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
何分
(
なにぶん
)
此頃
(
このごろ
)
飛出
(
とびだ
)
しが
始
(
はじ
)
まつて
私
(
わし
)
などは
勿論
(
もちろん
)
太吉
(
たきち
)
と
倉
(
くら
)
と
二人
(
ふたり
)
ぐらゐの
力
(
ちから
)
では
到底
(
たうてい
)
引
(
ひき
)
とめられぬ
働
(
はたら
)
きをやるからの、
萬一
(
まんいち
)
井戸
(
ゐど
)
へでも
懸
(
かゝ
)
られてはと
思
(
おも
)
つて
うつせみ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
此關係
(
このかんけい
)
は
關東大地震
(
かんとうだいぢしん
)
、
但馬地震
(
たじまぢしん
)
、
丹後地震
(
たんごぢしん
)
に
於
(
おい
)
て、
此頃
(
このごろ
)
證據立
(
しようこだ
)
てられた
所
(
ところ
)
であつて、
別段
(
べつだん
)
な
説明
(
せつめい
)
を
要
(
よう
)
しない
事實
(
じじつ
)
である。
地震の話
(旧字旧仮名)
/
今村明恒
(著)
あゝ、
泉君
(
いづみくん
)
ですか。……
先生
(
せんせい
)
からうかゞつて
存
(
ぞん
)
じて
居
(
を
)
ります。
何
(
ど
)
うも
然
(
さ
)
うらしいと
思
(
おも
)
ひました。
僕
(
ぼく
)
は
柳川
(
やながは
)
と
云
(
い
)
ふものです。
此頃
(
このごろ
)
から
參
(
まゐ
)
つて
居
(
を
)
ります。
麻を刈る
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
此頃
(
このごろ
)
の
巴里
(
パリイ
)
はよく深い霧が降る。
倫敦
(
ロンドン
)
の霧は陰鬱だと聞くが、
冬曇
(
ふゆぐもり
)
の続く
巴里
(
パリイ
)
では
却
(
かへ
)
つて
此
(
この
)
霧が変化を添へて好い。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
そうして
彼
(
かれ
)
は
此頃
(
このごろ
)
見
(
み
)
たり、
聞
(
き
)
いたりしたことを
考
(
かんが
)
えようと
思
(
おも
)
うたが、どうしたものかやはり、ミハイル、アウエリヤヌイチが
頭
(
あたま
)
から
離
(
はな
)
れぬのであった。
六号室
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
息子
(
むすこ
)
の
嗜好
(
すき
)
な
色々
(
いろ/\
)
の
物
(
もの
)
を
御馳走
(
ごちさう
)
して「さて、
忰
(
せがれ
)
や、お
前
(
まへ
)
は
此頃
(
このごろ
)
はどうしておいでだえ。
矢張
(
やはり
)
惡
(
わる
)
い
業
(
しわざ
)
を
改
(
あらた
)
めませんのかえ。」と
涙
(
なみだ
)
ながらに
諫
(
いさ
)
めかけると
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
「
此頃
(
このごろ
)
室中
(
しつちゆう
)
に
來
(
きた
)
つて、
何
(
ど
)
うも
妄想
(
まうざう
)
が
起
(
おこ
)
つて
不可
(
いけ
)
ない
抔
(
など
)
と
訴
(
うつた
)
へるものがあるが」と
急
(
きふ
)
に
入室者
(
にふしつしや
)
の
不熱心
(
ふねつしん
)
を
戒
(
いま
)
しめ
出
(
だ
)
したので、
宗助
(
そうすけ
)
は
覺
(
おぼ
)
えずぎくりとした。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
熟々
(
つら/\
)
考
(
かんが
)
ふるに
天
(
てん
)
に
鳶
(
とんび
)
ありて
油揚
(
あぶらげ
)
をさらひ
地
(
ち
)
に
土鼠
(
もぐらもち
)
ありて
蚯蚓
(
みゝず
)
を
喰
(
くら
)
ふ
目出度
(
めでた
)
き
中
(
なか
)
に
人間
(
にんげん
)
は
一日
(
いちにち
)
あくせくと
働
(
はたら
)
きて
喰
(
く
)
ひかぬるが
今日
(
けふ
)
此頃
(
このごろ
)
の
世智辛
(
せちがら
)
き
生涯
(
しやうがい
)
なり。
為文学者経
(新字旧仮名)
/
内田魯庵
、
三文字屋金平
(著)
漣山人
(
さゞなみさんじん
)
は
此頃
(
このごろ
)
入社したので、
夙
(
かね
)
て
一六翁
(
いちろくおう
)
の
三男
(
さんなん
)
に
其人
(
そのひと
)
有りとは聞いて
居
(
ゐ
)
たが、顔を見た事も無かつたのであつた所、社員の
内
(
うち
)
に
山人
(
さんじん
)
と
善
(
よ
)
く
識
(
し
)
る者が有つて
硯友社の沿革
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
彼は
虚勢
(
きょせい
)
を張って、快活らしく答えるのであった。
此頃
(
このごろ
)
では、何につけても虚勢が彼の習慣になっていた。
お勢登場
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
道夫も
此頃
(
このごろ
)
受験準備で、
可哀想
(
かあいそう
)
な位つかれているね。すぐ寝かしてやったとは、お前にしちゃ
大出来
(
おおでき
)
だ。
新学期行進曲
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
此
漢検準1級
部首:⽌
6画
頃
常用漢字
中学
部首:⾴
11画
“此頃”で始まる語句
此頃迄