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昨夜
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さくや
ふりがな文庫
“
昨夜
(
さくや
)” の例文
法師はれいのとおり、
寝間
(
ねま
)
の前の、えんがわにいると、
昨夜
(
さくや
)
のとおり、
重
(
おも
)
い足音が
裏門
(
うらもん
)
からはいって来て、法師をつれていきました。
壇ノ浦の鬼火
(新字新仮名)
/
下村千秋
(著)
むら
雨
(
さめ
)
を
吹通
(
ふきとほ
)
した
風
(
かぜ
)
に、
大火鉢
(
おほひばち
)
の
貝殼灰
(
かひがらばひ
)
——これは
大降
(
おほぶり
)
のあとの
昨夜
(
さくや
)
の
泊
(
とま
)
りに、
何
(
なん
)
となく
寂
(
さみ
)
しかつた——それが
日
(
ひ
)
ざかりにも
寒
(
さむ
)
かつた。
十和田の夏霧
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
「お
姫
(
ひめ
)
さまは、
昨夜
(
さくや
)
、
海
(
うみ
)
の
中
(
なか
)
に
沈
(
しず
)
んでしまわれたのだもの。いくら
探
(
さが
)
したって
見
(
み
)
つかるはずがない。」と、
人々
(
ひとびと
)
は
思
(
おも
)
っていました。
赤い姫と黒い皇子
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
此度錢屋四郎右衞門方へ
聖護院宮樣
(
しやうごゐんのみやさま
)
の
御配下
(
ごはいか
)
天一坊樣御旅舍の儀明家の儀なれば貸申候に
昨夜
(
さくや
)
御到着
(
ごたうちやく
)
の
後
(
のち
)
玄關
(
げんくわん
)
へは御紋付きの御幕を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
主「はい/\心得ましたが、
昨夜
(
さくや
)
はどうも、
商
(
あきない
)
にお出でなすって多分のお茶代を戴いて済みません、
何卒
(
どうぞ
)
明年も御心配なくなア」
塩原多助一代記
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
▼ もっと見る
昨夜
(
さくや
)
も、
一昨夜
(
いつさくや
)
も、
夕食
(
ゆふしよく
)
果
(
は
)
てゝ
後
(
のち
)
は
部室
(
へや
)
の
窓
(
まど
)
を
開放
(
あけはな
)
して、
海
(
うみ
)
から
送
(
おく
)
る
凉
(
すゞ
)
しき
風
(
かぜ
)
に
吹
(
ふ
)
かれながら、さま/″\の
雜談
(
ざつだん
)
に
耽
(
ふけ
)
るのが
例
(
れい
)
であつた。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
昨夜
(
さくや
)
ちらしおきたる
苧幹
(
をがら
)
寸断
(
ずた/\
)
に
折
(
をれ
)
てあり、
是
(
これ
)
人
(
ひと
)
散
(
さんじ
)
てのち
諸神
(
しよじん
)
こゝに
集
(
あつま
)
りて
踊
(
をどり
)
玉ふゆゑ、をがらを
踏
(
ふみ
)
をり玉ふなりといひつたふ。
北越雪譜:06 北越雪譜二編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
昨夜
(
さくや
)
村境
(
むらざかい
)
で発見した惨殺死体は、
面
(
つら
)
の皮を
剥
(
は
)
がれているので何者か判らぬ。この男も言語不通であるから何者か
未
(
ま
)
だ判らぬ。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
五月十四日、
昨夜
(
さくや
)
父が
晩
(
おそ
)
く帰って来て、僕を修学旅行にやると云った。母も嬉しそうだったし祖母もいろいろ
向
(
むこ
)
うのことを聞いたことを云った。
或る農学生の日誌
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
それから
昨夜
(
さくや
)
中央停車場で見かけたのは、
大井篤夫
(
おおいあつお
)
じゃなかったのかしらと思った。が、すぐにまた、いや、やはり大井に違いなかったと思い返した。
路上
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
場長
(
じょうちょう
)
が
同僚
(
どうりょう
)
と話をしているのに、声が
低
(
ひく
)
くてよく聞きとれないと、
胸騒
(
むなさわ
)
ぎがする。そのかんにも
昨夜
(
さくや
)
考えたことをきれぎれに思いださずにはいられない。
老獣医
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
「やあ
昨夜
(
さくや
)
は。
今
(
いま
)
御歸
(
おかへ
)
りですか」と
氣輕
(
きがる
)
に
聲
(
こゑ
)
を
掛
(
か
)
けられたので、
宗助
(
そうすけ
)
も
愛想
(
あいそ
)
なく
通
(
とほ
)
り
過
(
す
)
ぎる
譯
(
わけ
)
にも
行
(
ゆ
)
かなくなつて、
一寸
(
ちよつと
)
歩調
(
ほてう
)
を
緩
(
ゆる
)
めながら、
帽子
(
ばうし
)
を
取
(
と
)
つた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
昨夜
(
さくや
)
起ったそのパチノ墓地事件の知らせは、雁金検事からの電話となって、ジリジリと
喧
(
やかま
)
しく鳴るベルが、課長のラジオ体操を
無遠慮
(
ぶえんりょ
)
に中止させてしまった。
恐怖の口笛
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
どりゃ、
太陽
(
ひ
)
が
其
(
その
)
燃
(
も
)
ゆるやうな
眼
(
まなこ
)
を
擧
(
あ
)
げて
今日
(
けふ
)
の
晝
(
ひる
)
を
慰
(
なぐさ
)
め、
昨夜
(
さくや
)
の
濕氣
(
しっき
)
を
乾
(
かわか
)
す
前
(
まへ
)
に、
毒
(
どく
)
ある
草
(
くさ
)
や
貴
(
たふと
)
い
液
(
しる
)
を
出
(
だ
)
す
花
(
はな
)
どもを
摘
(
つ
)
んで、
吾等
(
われら
)
の
此
(
この
)
籃
(
かご
)
を一
杯
(
ぱい
)
にせねばならぬ。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
なんでも
昨夜
(
さくや
)
遲
(
おそ
)
く
野
(
の
)
らから
歸
(
かへ
)
るものが
有
(
あ
)
つたといふがそれぢや
其
(
そ
)
れに
相違
(
さうゐ
)
ないだらうといふことが
傳
(
つた
)
へられた。
勘次
(
かんじ
)
も
畑
(
はたけ
)
へ
出
(
で
)
て
居
(
ゐ
)
て
騷
(
さわ
)
ぎに
成
(
な
)
りはじめたのを
知
(
し
)
つた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
初霜
(
はつしも
)
を
避
(
さ
)
けて、
昨夜
(
さくや
)
縁
(
えん
)
に
上
(
あ
)
げられた
白菊
(
しらぎく
)
であろう、
下葉
(
したは
)
から
次第
(
しだい
)
に
枯
(
か
)
れてゆく
花
(
はな
)
の
周囲
(
しゅうい
)
を、
静
(
しず
)
かに
舞
(
ま
)
っている一
匹
(
ぴき
)
の
虻
(
あぶ
)
を、
猫
(
ねこ
)
が
頻
(
しき
)
りに
尾
(
お
)
を
振
(
ふ
)
ってじゃれる
影
(
かげ
)
が、
障子
(
しょうじ
)
にくっきり
映
(
うつ
)
っていた。
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
それは
昨夜
(
さくや
)
見たのと寸分違わない、男の手先の大映しになったものでした。
湖畔亭事件
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
其中
(
そのうち
)
に日が暮れて又
昨夜
(
さくや
)
の様な清らかな月の光りがさし昇りました。
金銀の衣裳
(新字旧仮名)
/
夢野久作
(著)
旦那さんは
昨日
(
きのふ
)
からずつとだし、奥さんも、
昨夜
(
さくや
)
遅くお出掛けさ。
五月晴れ
(新字旧仮名)
/
岸田国士
(著)
「
昨夜
(
さくや
)
、酔っぱらって、溝に落ちこみました」
花と龍
(新字新仮名)
/
火野葦平
(著)
「
昨夜
(
さくや
)
は
大
(
おおき
)
に失敬しました」
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
昨夜
(
さくや
)
の氷は解けはじめた。
詩集夏花
(新字旧仮名)
/
伊東静雄
(著)
と、
自在鉤
(
じざいかぎ
)
の
掛
(
か
)
かっている下には、つい
昨夜
(
さくや
)
焚火
(
たきび
)
をしたばかりのように新しい
灰
(
はい
)
が
積
(
つ
)
もり、木の
枝
(
えだ
)
の
燃
(
も
)
えさしが
散
(
ち
)
らばっていた。
鬼退治
(新字新仮名)
/
下村千秋
(著)
彼女
(
かのじょ
)
は、
昨夜
(
さくや
)
のことを
思
(
おも
)
い
出
(
だ
)
しました。
目
(
め
)
に
見
(
み
)
ることはできなかったけれども、それは、たしかにあのときの
少女
(
しょうじょ
)
でありました。
ある冬の晩のこと
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
昨夜
(
さくや
)
ちらしおきたる
苧幹
(
をがら
)
寸断
(
ずた/\
)
に
折
(
をれ
)
てあり、
是
(
これ
)
人
(
ひと
)
散
(
さんじ
)
てのち
諸神
(
しよじん
)
こゝに
集
(
あつま
)
りて
踊
(
をどり
)
玉ふゆゑ、をがらを
踏
(
ふみ
)
をり玉ふなりといひつたふ。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
造船所
(
ざうせんじよ
)
内
(
ない
)
の
一部
(
いちぶ
)
に
貯藏
(
ちよぞう
)
されてあつたのだが、あゝ、
昨夜
(
さくや
)
の
大海嘯
(
おほつなみ
)
では
其
(
その
)
一個
(
いつこ
)
も
無事
(
ぶじ
)
では
居
(
を
)
るまい、イヤ、
决
(
けつ
)
して
無事
(
ぶじ
)
で
居
(
を
)
る
筈
(
はづ
)
はありません。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
夜が明けると、雨は止んだ。けれども、
麓
(
ふもと
)
では
昨夜
(
さくや
)
の殺人事件の詮議が厳しかろうと推察されるので、彼は
直
(
ただ
)
ちに山を
降
(
くだ
)
るほどの勇気は無かった。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
此
(
こ
)
の
汽車
(
きしや
)
は
新橋
(
しんばし
)
を
昨夜
(
さくや
)
九時半
(
くじはん
)
に
発
(
た
)
つて、
今夕
(
こんせき
)
敦賀
(
つるが
)
に
入
(
はい
)
らうといふ、
名古屋
(
なごや
)
では
正午
(
ひる
)
だつたから、
飯
(
めし
)
に
一折
(
ひとをり
)
の
鮨
(
すし
)
を
買
(
かつ
)
た。
高野聖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
又々
改
(
あらた
)
め
新
(
あらた
)
に
立直
(
たてなほ
)
し
奉行所
(
ぶぎやうしよ
)
へ申上て
昨夜
(
さくや
)
御成門へ
徒
(
いたづら
)
仕りしが
南無阿彌陀佛
(
なむあみだぶつ
)
と書しは
淨土宗
(
じやうどしう
)
のともがらねたみしと
相見
(
あひみ
)
え申候如何計申べしや
何卒
(
なにとぞ
)
公儀
(
こうぎ
)
御
威光
(
ゐくわう
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
その瞬間俊助の頭の中には、
昨夜
(
さくや
)
汽車の窓で
手巾
(
ハンケチ
)
を振っていた大井の姿が、ありありと浮び上って来た。
路上
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
「いや
出來
(
でき
)
たてぢやありません」と
主人
(
しゆじん
)
が
又
(
また
)
云
(
い
)
つた。「
實
(
じつ
)
は
昨夜
(
さくや
)
ある
所
(
ところ
)
へ
行
(
い
)
つて、
冗談
(
じようだん
)
半分
(
はんぶん
)
に
賞
(
ほ
)
めたら、
御土産
(
おみやげ
)
に
持
(
も
)
つて
入
(
い
)
らつしやいと
云
(
い
)
ふから
貰
(
もら
)
つて
來
(
き
)
たんです。 ...
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
家のひとたちのあてがうものをこころよく
食
(
く
)
い
飲
(
の
)
みして、なんのこともなく
昨夜
(
さくや
)
まで
過
(
す
)
ごしてきたところ、けさは
何時
(
なんじ
)
になっても起きないから、はじめて
不審
(
ふしん
)
をおこし
告げ人
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
どう致しまして
昨夜
(
さくや
)
も重三へ申しまするに何ともお礼の申そうようはないが、何うか其の伊皿子とやらのお宅へ参って、しみ/″\お礼を申し上げたいと申して居たのですが
粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分):02 粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
けれどもぼくは
昨夜
(
さくや
)
からよく
寝
(
ね
)
ないのでつかれた。書かないでおいたってあんなうつくしい
景色
(
けしき
)
は
忘
(
わす
)
れない。それからひるは
過燐酸
(
かりんさん
)
の工場と
五稜郭
(
ごりょうかく
)
。過燐酸
石灰
(
せっかい
)
、
硫酸
(
りゅうさん
)
もつくる。
或る農学生の日誌
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
隆夫はなにをかんちがいしているのであろうかと、三木はそれからいくどもくりかえして、
昨夜
(
さくや
)
姉があばれたり泣いたり、叫んだりして、ほとんど一睡もしなかったことを語り
霊魂第十号の秘密
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
次
(
つぎ
)
の
日
(
ひ
)
おつたは
復
(
また
)
來
(
き
)
た。おつたは
自分
(
じぶん
)
が
無意識
(
むいしき
)
に
種
(
たね
)
を
蒔
(
ま
)
いた
昨夜
(
さくや
)
の
騷
(
さわ
)
ぎを
知
(
し
)
つてる
筈
(
はず
)
がないので、
昨日
(
きのふ
)
の
如
(
ごと
)
く
威勢
(
ゐせい
)
がよかつた。
勘次
(
かんじ
)
は
睡眠
(
すゐみん
)
の
不足
(
ふそく
)
から
更
(
さら
)
に
餘計
(
よけい
)
に
不快
(
ふくわい
)
の
目
(
め
)
を
蹙
(
しか
)
めた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
お
母
(
かあ
)
さんは、
昨夜
(
さくや
)
、
物置
(
ものおき
)
の
前
(
まえ
)
に、
釣
(
つ
)
りざおが一
本
(
ぽん
)
立
(
た
)
てかけてあり、その
下
(
した
)
に、
小
(
ちい
)
さなバケツとみみず
箱
(
ばこ
)
が、
置
(
お
)
いてあるのをごらんになって
お母さん
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
斯
(
か
)
うなると
昨夜
(
さくや
)
の
暖
(
あたゝか
)
な「スープ」や、
狐色
(
きつねいろ
)
の「フライ」や、
蒸氣
(
じようき
)
のホカ/\と
立
(
た
)
つて
居
(
を
)
る「チツキンロース」などが、
食道
(
しよくだう
)
の
邊
(
へん
)
にむかついて
來
(
く
)
る。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
八千八谷
(
はつせんやたに
)
を
流
(
なが
)
るゝ、
圓山川
(
まるやまがは
)
とともに、
八千八聲
(
はつせんやこゑ
)
と
稱
(
とな
)
ふる
杜鵑
(
ほとゝぎす
)
は、ともに
此地
(
このち
)
の
名物
(
めいぶつ
)
である。それも
昨夜
(
さくや
)
の
按摩
(
あんま
)
が
話
(
はな
)
した。
其時
(
そのとき
)
、
口
(
くち
)
で
眞似
(
まね
)
たのが
此
(
これ
)
である。
城崎を憶ふ
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
昨夜
(
さくや
)
彼が
𤢖
(
わろ
)
と共に山を降って、七兵衛と闘い、安行を
奪
(
うば
)
ったのは、市郎に対する恋の
恨
(
うらみ
)
と母の恨とであった。が、そんなことは
既
(
も
)
う忘れて
了
(
しま
)
ったらしい。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
夢のような罪人に宣告を下した
後
(
あと
)
の彼は、すぐ心の調子を入れ代えて、紙入の中から一枚の名刺を出した。その裏に万年筆で、「僕は静養のため
昨夜
(
さくや
)
ここへ来ました」
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
そのせいでございましょうか、
昨夜
(
さくや
)
も御実検下さらぬと聞き、女ながらも無念に存じますと、いつか
正気
(
しょうき
)
を失いましたと見え、何やら口走ったように承わっております。
古千屋
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
なんにも知らぬ新吉が見ても、象はたいへんよろこんでいることがわかりました。
昨夜
(
さくや
)
一晩
(
ひとばん
)
、同じ
貨車
(
かしゃ
)
の中ですごしたので、象は新吉を友だちのように思っている
風
(
ふう
)
なのです。
曲馬団の「トッテンカン」
(新字新仮名)
/
下村千秋
(著)
雲源
(
うんげん
)
と申十五
歳
(
さい
)
の
時
(
とき
)
出家仕
(
しゆつけつかま
)
つり候へども
幼少
(
えうせう
)
より
盜
(
ぬす
)
み
心
(
こゝろ
)
あり
成人
(
せいじん
)
なすに
付
(
つけ
)
尚々
(
なほ/\
)
相募
(
あひつの
)
り
既
(
すで
)
に一
昨夜
(
さくや
)
伊勢屋
(
いせや
)
へ
忍
(
しの
)
び
入
(
いり
)
て金五百兩
盜
(
ぬす
)
み取其隣の
金屋
(
かなや
)
とやらんへも
忍入
(
しのびいつ
)
て
盜
(
ぬす
)
み
致
(
いた
)
し出る處を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
お助けなさるという其のお志というものは、実に尊い神様のようなお方だッて、
昨夜
(
さくや
)
もね番頭と貴方のお噂を致しましたなれども、お名前が知れず、誠に心配致しておりましたが
文七元結
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
そうだよ。彼は
昨夜
(
さくや
)
十二時、ここへ忍びこんだそうだ。すると、例の恐怖の口笛を聞きつけた。これはいけないと思う途端に、おそろしい悲鳴が聞えた。近づいてみると、痣蟹が自分の服装を
恐怖の口笛
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
とこなつの
花
(
はな
)
は、一
昨夜
(
さくや
)
、
黄色
(
きいろ
)
な
蛾
(
が
)
がきたことを
語
(
かた
)
りました。すると、みつばちは、
花
(
はな
)
のいうことを
半分
(
はんぶん
)
も
聞
(
き
)
かずに
公園の花と毒蛾
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
漫
(
そゞろ
)
に
昨夜
(
さくや
)
を
憶起
(
おもひおこ
)
して、
転
(
うた
)
た恐怖の念に
堪
(
た
)
へず、斯くと知らば日の
中
(
うち
)
に辞して斯塾を去るべかりし、よしなき好奇心に駆られし身は臆病神の犠牲となれり。
妖怪年代記
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
「明十五日は、殿の
御身
(
おんみ
)
に大変があるかも知れませぬ。
昨夜
(
さくや
)
天文を見ますと、将星が落ちそうになって居ります。どうか御慎み第一に、御他出なぞなさいませんよう。」
忠義
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
それ
程
(
ほど
)
眞劍
(
しんけん
)
にやるべきものをと、
宗助
(
そうすけ
)
は
昨夜
(
さくや
)
からの
自分
(
じぶん
)
が、
何
(
なん
)
となく
耻
(
は
)
づかしく
思
(
おも
)
はれた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
“昨夜”の意味
《名詞》
昨日の夜。
(出典:Wiktionary)
昨
常用漢字
小4
部首:⽇
9画
夜
常用漢字
小2
部首:⼣
8画
“昨夜”で始まる語句
昨夜来
昨夜処
昨夜方
昨夜一夜
昨夜一晩
昨夜間潭夢落花
昨夜雨爾将懲鴨