なる)” の例文
重兵衛 なるほど、だれか歌いながら来るようだ。聞き慣れねえ声だから、ここらのわけえ者じゃあるめえ。旅の人でも迷って来たかな。
影:(一幕) (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
しかし姉はいつになく、沈んでいるように見えたので、自分も口をつぐんでなるたけ話をせまいものと黙って歩るいていたのである……。
稚子ヶ淵 (新字新仮名) / 小川未明(著)
申さば父の越度をちどとなりまたいはずば吉三郎は殺さるべし兩方まつたきやうには何事もゆかざれども能々よく/\かんがへてこゝろしづかに双方さうはう無事になるやうの御答おこたへ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
第六 毎日まいにち一度いちど冷水ひやみづあるひ微温湯ぬるゆにて身體からだ清潔きれいぬぐひとり、肌着はだぎ着替きかへべし。入浴ふろは六七日目にちめごとなるたけあつからざるるべきこと
養生心得草 (旧字旧仮名) / 関寛(著)
さうして育つて行くうちにも仲好しの母親同志は越す先々の家をなるたけ近所同志にえらび、お互ひの生活を接近させてゐました。
秋の夜がたり (新字旧仮名) / 岡本かの子(著)
手持てもち品物しなものならばなるたけはやこれさばかう、また手持てもち品物しなものなるたけすくなくしよう、ふことは當然たうぜん結果けつくわはなくてはならぬ。
金解禁前後の経済事情 (旧字旧仮名) / 井上準之助(著)
等々々だから何でもいいからなるべく実際的なものを入れてくれればいい。小説はこの頃余り読みたくないよ。よっぽど面白いのでなければ。
なるほど、それぢやア、マアたいしたおねつぢやアないおみやくはうは。「みやくはうおほうございます、九でうから一でうでう出越でこくらゐな事で。 ...
牛車 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
「大丈夫だよ……。それよりもお前の方が心配だ。なるたけ崖に崖にとつくやうにして徐かに歩いて行かなければ駄目だよ」
山間の旅舎 (新字旧仮名) / 田山花袋田山録弥(著)
まことみませぬがおとほしなすつてくださりまし、なるたけお昼寝ひるね邪魔じやまになりませぬやうにそツ通行つうかういたしまする。
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
其味なまなるにかはる事なく、母もよろこび大方おほかたならず、いかなる人のここに落せしや、是又ひとつのふしぎ也。
案頭の書 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
れもはあ廿七になるんだかららもこんでまあ心配しんぺえはしてたんだが、自分じぶんでもそれんねえの心配しんぺええねえもんだから、おもつちやてもねえのよ
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
槻落葉つきのおちばでタカツキノムラと訓み、「高く槻の木の生たる木群こむらをいふなるべし」といって学者多くそれに従ったが、生田耕一氏が、高は山城国綴喜つづき郡多賀郷のタカで
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
なるるべくはなし筋道すじみちとおるよう、これからすべてを一とまとめにして、わたくしなが年月としつきあいだにやっとまとめげた、守護霊しゅごれいかんするおはなし順序じゅんじょよく申上もうしあげてたいとぞんじます。
猶予ゆうよもせずに立上り「なるほど、血の文字は此老人が書いたので無い」と言い怪む判事警察官が猶お一言ひとことも発せぬうち又せくゞみて死体しがいの手を取り其左のみ汚れしをげ示すに
血の文字 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
唯自分の殺した女学生のいる場所からなるたけ遠く逃げようとしているのである。跡には草原の中には赤い泉が湧き出したように、血を流して、女学生の体がよこたわっている。
女の決闘 (新字新仮名) / 太宰治(著)
小利口こりこうなるはるき性根せうねをやしなうてめんかぶりの大變たいへんものになるもあり、しやんとせし氣性きせうありて人間にんげんたち正直せうぢきなるは、すねもの部類ぶるいにまぎれて其身そのみれば生涯せうがいそんおもふべし
ゆく雲 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
おとねさんという名をきくと、静枝は故郷の新潟にいがた花柳界さかりばを思いだした。静枝の踊の師匠は、市川の名取りで、九代目団十郎の妹のおなるさんという浅草聖天町しょうてんちょうにいた人の弟子だった。
市川九女八 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
一 女は我親の家をばつがず、舅姑の跡を継ぐ故に、我親よりも嫜を大切に思ひ孝行をなすべし。嫁して後は我親の家にゆくこともまれなるべし。まして他の家へは大方は使をつかわして音問いんもんなすべし。
女大学評論 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
御母おつかさんの云ふ事はなるべくいてげるがい。近頃の青年は我々時代の青年と違つて自我の意識が強過ぎて不可いけない。吾々の書生をして居る頃には、する事す事いつとしてひとを離れた事はなかつた。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
「貴方は画家になるのですか?」
傲慢な眼 (新字旧仮名) / 坂口安吾(著)
土木の葉となり木の葉土となる
鶴彬全川柳 (新字旧仮名) / 鶴彬(著)
いふ心夢しんむとはつね平生へいぜいこゝろに思ふ事を見るをいふなりこの時奧方おくがたの見給ふは靈夢れいむにして天下の主將しゆしやうなるべきさが後々のち/\思ひしられたり
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
帳元へ這入らねえとあきねえは出来ねえ訳でごぜえますが、それを御存じねえから、なるたけやすく売るので、遠くから買いに来るようになったので
老夫婦はなるたけ日暮方の寒い風に当らないようにしている。自分で枯木のような体だと思って大事にしている。どうせ老い先は余り長くない。
不思議な鳥 (新字新仮名) / 小川未明(著)
お前さんの鑑違かんちがいだよ。なるほど、あたしう云ったけれども、若旦那が手をおろしてお前の阿母おっかさんを殺したんじゃアない。
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
なるほどその時分には昼間掃除夫が一つ一つ石油をついで行って夕方になると、長いかねの棒の先に火のついたのを持った点火夫が小走りに走りながら
日本橋附近 (新字新仮名) / 田山花袋(著)
なるほど外部ぐわいぶからひと生活状態せいくわつじやうたいると至極しごく景氣けいきいやうにえるけれども其状態そのじやうたいがどれだけつゞくかとふことをかんがへてると、到底たうていながつゞるものではない。
金解禁前後の経済事情 (旧字旧仮名) / 井上準之助(著)
小利口なるはるき性根をやしなうてめんかぶりの大変ものになるもあり、しやんとせし気性ありて人間のたちの正直なるは、すね者の部類にまぎれてその身に取れば生涯せうがいの損おもふべし
ゆく雲 (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
そうしてなるべく皆と仲よくつきあって、好い友人を沢山拵えてくれ、そのうち段々現在の環境を脱け出すようにすることだ。——兄さんにはあまり楯ついちゃいけない、彼は病人だから。
母親 (新字新仮名) / 若杉鳥子(著)
民弥は、その途端に、ひたと身を寄せたお三輪にたずねた。……遠慮をしながら、なるたけこの男のそばに居て、先刻さっきから人々の談話はなしの、すご可恐おそろしい処というと、そっすがり縋り聞いていたのである。
吉原新話 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
つぎ御小姓組おこしやうぐみなる勤仕きんしこうあらは有章公いうしやうこうの御代に御徒頭おかちがしらとなり其後伊勢山田奉行ぶぎやう仰付られ初て芙蓉ふよう御役人のれつに入りけるなり
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
白「おみねや、事柄の済むまでは二人でよく気を付けて居て、なるたけ人に云わないようにしてくれ、己は是から幡随院へ行って話をして来る」
で、念の為に手拭をあらためると、三筋と思つたのは此方こっち過失あやまりで、一つのくぎに二筋の手拭が重ねて掛けてつて、都合つごう四筋といふのがなるほど本当だ。これにはいずれも敬服したと云ふ。
雨夜の怪談 (新字旧仮名) / 岡本綺堂(著)
御新造ごしんぞおどきたるやうのあきがほして、れはまあなんことやら、なるほどおまへ伯父おぢさんの病氣びやうき、つゞいて借金しやくきんはなしもきゝましたが、いまいまわたしのうちから立換たてかへようとははなかつたはづ
大つごもり (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
なるたけ、はっきりと分るように……。」と翁は、いって黒板に書かれたボチを睨んで言った。で、自分は足許の椅子に腰を下して、眤と眼をつぶって、両手を広い額に当てて瞑想に耽ったのである。
(新字新仮名) / 小川未明(著)
しかしなるたけ、表沙汰にしたくない、不都合でもあつた時に困る。かう言つて、分家や別家の人達は町の警察に行つても頼めば、役場に行つても頼んだ。それを聞いた人々は皆な驚愕おどろきの目をみはつた。
ある僧の奇蹟 (新字旧仮名) / 田山花袋(著)
彼地あちらの若い衆は顔を出して皆後方うしろへ冠ります、なるたけ顔を見せるように致しますから、髷の先と月代さかやきとが出て居ります。
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
「あなた、の人に逢った事がありますか。それは百年も以前まえの人です、アハハハハ」と、う云われて私も気が付いた、なるほどの仔細を知らぬ主人あるじが不思議に思うも道理もっとも
画工と幽霊 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
うれしいとはおもひもせでよしなき義理ぎりだてにこゝろぐるしくよしさまのおあとふてとおもひしはいくたびかさりとてはいのちふたつあるかのやうに輕々かる/″\しい思案しあんなりしと後悔こうくわいしてればいままでのこと口惜くちをしくこれからの大切たいせつになりました阿房あほうらしいんだひとへのみさをだてなになることでもなきを
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
なるほど、いもくわゐもおいてゆかつし、其外そのほかなにかまだ長いものが見えるぢやアねえか。「へい、あれは助高すけたかやもので、おほたばの若菜わかなひめでございます。 ...
狂言の買冠 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
う云われると、此方こっち記憶おぼえが無いでもない。なるほど過日いつかそんなことも有ったようである。
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
ういたしまして、うも遠方ゑんぱうところ恐入おそれいります、いづれも稼業人かげふにんばかりですからなるたけ早くいたしてしまひたいとぞんじます。「其方そのはうい、机やなに立派りつぱ出来できたね。 ...
黄金餅 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
その場合には矢張やはり一般の盗賊ぬすびとの如くに、なるべく白昼ひるを避けて夜陰に忍び込み、鶏や米や魚や手当り次第にさらって行く。素捷すばやいことは所謂いわゆるましらの如くで、容易にその影を捕捉することはできぬ。
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
なるほど、わかなひめけつこう、こゝへさつし。「へいこれでござります。「イヤこれは助高屋すけたかやものできれいごとだと思つたら、ごみとかれで、梅幸おとはや世話物せわものでつかひさうだ。 ...
狂言の買冠 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
久「何方様どなたさまで、藤野屋様で、是は誠に有難いことで、なるたけお直段ねだんを宜く頂戴致しますから、外へお払いにならず、わたくしが頂戴致しとうございます、えゝ樽はお幾つございます」
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
ナニよろしうがす、わたしひとり脊負しよつきます、なるたけ入費ものかゝらぬはうよろしうがすから。「いかえ。金「エヽうがすとも。と早桶はやをけ脊負しよ焼場鑑札やきばかんさつもらつてドン/\焼場やきばまして。 ...
黄金餅 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
伯父は、なんでも法事供養をよくなければいかないから、墓参りにけよ/\と云うけれども、新吉は墓所はかしょくのは怖いから、なるたけ昼間こうと思って、昼ばかり墓参りにきます。
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
村の者も今迄はかてえ人だったが、う言う訳だがな泊り歩くが、役柄もしながらハアよくねえこッたア年老としとった親を置いて、なんて悪口わるくちく者もあるで、なるだけ他人ひとには能く云わしたいが
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
なるほど、みやくはうおほうございますな、みやくわりにするとねついんにこもつてりますな。「モウ/\わたしとても助かるまいと思ひます。「そんな事をおつしやつちやアいけませんよ、どうかしつかりなさい。 ...
牛車 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)