母親ははおや
みを子が会社を馘(くび)になってから、時々、母親の全く知らない青年が訪ねて来た。 朝早くやってくることもあれば、昏れてからくることもあった。青年は一度でも、「こんちは」とか、「御めん下さい」とかいったためしがない。人の出てくるまで、のっそり …
題名が同じ作品
母親 (新字新仮名)豊島与志雄 (著)