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張
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はり
ふりがな文庫
“
張
(
はり
)” の例文
其處
(
そこ
)
へ
風呂敷
(
ふろしき
)
を
肱
(
ひぢ
)
なりに
引挾
(
ひつぱさ
)
んだ、
色
(
いろ
)
の
淺黒
(
あさぐろ
)
い、
目
(
め
)
に
張
(
はり
)
のある、きりゝとした
顏
(
かほ
)
の、
鬢
(
びん
)
を
引緊
(
ひきし
)
めて、おたばこ
盆
(
ぼん
)
はまた
珍
(
めづら
)
しい。……
松の葉
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
アウレリアはこよひも此樂曲の主人公に扮したり。一
張
(
はり
)
の「コントルバス」に
氣壓
(
けお
)
さるゝ若干の管絃なれど、聽衆は喝采の聲を惜まざりき。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
おかあさんの
張
(
はり
)
のある
綺麗
(
きれい
)
な笑ひ声……むすこも、むすめも、勇ましいおかあさんの男姿に引き
入
(
いれ
)
られようとした想像からまた引戻されました。
秋の夜がたり
(新字旧仮名)
/
岡本かの子
(著)
この演奏も代表的なもので、コルトーの手堅いテクニックと、その行き届かざるなき叡知が、四
張
(
はり
)
のゴブラン織の絵柄を見せるような荘重さである。
名曲決定盤
(新字新仮名)
/
野村胡堂
、
野村あらえびす
、
野村長一
(著)
そこには独立して生きる者の
張
(
はり
)
と自覚があったから、松室での生活に比べれば遙かに気楽でもあるし、伸びのびと解放された気持でいることができた。
柘榴
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
▼ もっと見る
とにかく一人の男が泥絵具と金紙で作った
張
(
はり
)
ぼての蛸を頭から
被
(
かぶ
)
るのだ、その相棒の男は、大刀を
振翳
(
ふりかざ
)
しつつ
めでたき風景
(新字新仮名)
/
小出楢重
(著)
お綱がうわべにまとっている、
張
(
はり
)
だの
侠
(
きゃん
)
だの意気地だの、そんな
虚勢
(
きょせい
)
はみんな脱がして裸のお綱にしてみせる。
鳴門秘帖:01 上方の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
あの
宿駕籠
(
しゅくかご
)
二十五
挺
(
ちょう
)
、山駕籠五挺、駕籠
桐油
(
とうゆ
)
二十五枚、馬桐油二十五枚、駕籠
蒲団
(
ぶとん
)
小五十枚、中二十枚、
提灯
(
ちょうちん
)
十
張
(
はり
)
と言ったはもはや宿場全盛の昔のことで
夜明け前:04 第二部下
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
天皇之を聞こしめして、
悽然
(
せいぜん
)
として告げて曰く、
一
(
ひと
)
へに我が子の啓す所有り、誠に以て然りと
為
(
な
)
すと、
諸
(
もろもろ
)
の
采女
(
うねめ
)
等に勅して
繍帷
(
ぬひかたびら
)
二
張
(
はり
)
を造らしめ
給
(
たま
)
ふ。(後略)
大和古寺風物誌
(新字新仮名)
/
亀井勝一郎
(著)
気の
張
(
はり
)
が少し
弛
(
ゆる
)
んで、次第に
涌
(
わ
)
いて来る涙が
溢
(
あふ
)
れそうになるので、
袂
(
たもと
)
からハンカチイフを出して押えた。胸の内には只悔やしい、悔やしいと云う叫びが聞える。
雁
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
着し座す其
形勢
(
ありさま
)
いと
嚴重
(
げんぢう
)
にして先本堂には
紫縮緬
(
むらさきちりめん
)
に
白
(
しろ
)
く十六の
菊
(
きく
)
を
染出
(
そめいだ
)
せし
幕
(
まく
)
を張り渡し表門には
木綿地
(
もめんぢ
)
に白と
紺
(
こん
)
との三
筋
(
すぢ
)
を染出したる幕を
張
(
はり
)
惣門
(
そうもん
)
の内には
箱番所
(
はこばんしよ
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
且
(
かつ
)
は
我子
(
わがこ
)
を育てんという気の
張
(
はり
)
あればおのずから弟子にも親切あつく良い
御師匠
(
おししょう
)
様と世に用いられて
爰
(
ここ
)
に
生計
(
くらし
)
の糸道も明き細いながら
炊煙
(
けむり
)
絶
(
たえ
)
せず安らかに日は送れど
風流仏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
心臓の
大提燈
(
おおぢょうちん
)
をかいくぐり、
張
(
はり
)
ボテ肺臓を押し分けて、食道の方へ、トンネルの様な暗闇の細道へ。
地獄風景
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
筍
(
たけのこ
)
を輪切りにすると、こんな風になる。
張
(
はり
)
のある
眉
(
まゆ
)
に風を起して、これぎりでたくさんだと締切った口元になお
籠
(
こも
)
る何物かがちょっと
閃
(
はため
)
いてすぐ消えた。母は
相槌
(
あいづち
)
を打つ。
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
ひたすら
良人
(
をつと
)
に逢ひたいと云ふ
望
(
のぞみ
)
で
張
(
はり
)
詰めた心が自分を
巴里
(
パリイ
)
へ
齎
(
もたら
)
した。
而
(
さう
)
して自分は妻としての愛情を満足させたと同時に母として悲哀をいよいよ痛切に感じる身と成つた。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
お
廢
(
よ
)
しよ、
斷
(
ことわ
)
つてお
仕舞
(
しまひ
)
なと
言
(
い
)
へば、
困
(
こま
)
つたねとお
京
(
きやう
)
は
立止
(
たちど
)
まつて、それでも
吉
(
きつ
)
ちやん
私
(
わたし
)
は
洗
(
あら
)
ひ
張
(
はり
)
に
倦
(
あ
)
きが
來
(
き
)
て、もうお
妾
(
めかけ
)
でも
何
(
なん
)
でも
宜
(
よ
)
い、
何
(
ど
)
うで
此樣
(
こん
)
な
詰
(
つま
)
らないづくめだから
わかれ道
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
欧州にて
和蘭
(
オランダ
)
、
白耳義
(
ベルギー
)
のごとき小国が、仏独の間に
介在
(
かいざい
)
して小政府を維持するよりも、大国に
合併
(
がっぺい
)
するこそ
安楽
(
あんらく
)
なるべけれども、なおその独立を
張
(
はり
)
て動かざるは小国の瘠我慢にして
瘠我慢の説:02 瘠我慢の説
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
その芝居へ出てくる、
葛城太夫
(
かつらぎたゆう
)
と、
丁山
(
ちょうざん
)
という二人の遊女が、吉原全盛期の、おなじ
張
(
はり
)
と
意気地
(
いきじ
)
をたっとぶ女を出して、太夫と二枚目、品位と
伝法
(
でんぽう
)
との型を対立させて見せてくれた。
田沢稲船
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
それから気の
張
(
はり
)
がなくなったというのか、めっきり弱くなられましたが、三、四月頃からは
米寿
(
べいじゅ
)
の祝をして上げるといわれたのをひどく喜んで、いつもその気分でいられるのでした。
鴎外の思い出
(新字新仮名)
/
小金井喜美子
(著)
薄絹張
(
うすきぬばり
)
の
雪洞
(
ぼんぼり
)
に西洋
蝋燭
(
ろうそく
)
を燈したるものが二十四
張
(
はり
)
ばかり吊してある。
輦輿
(
みこし
)
の中にシナの立派なる官服を着け、頭にはいわゆる位階を表わしたる帽子を被ってジーッと坐り込んで居る。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
これに
登
(
のぼ
)
るべき
階
(
だん
)
をも雪にて作り、
頂
(
いたゞき
)
を
平坦
(
たひら
)
になし松竹を四
隅
(
すみ
)
に立、しめを
張
(
はり
)
わたす(広さは心にまかす)内には居るべきやうにむしろをしきならべ、
小童等
(
こどもら
)
こゝにありて物を
喰
(
く
)
ひなどして
遊
(
あそ
)
び
北越雪譜:06 北越雪譜二編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
「私も四ツ谷の方から取って来れば二タ
張
(
はり
)
もあるんですがね。」
黴
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
気象
(
きしやう
)
が大きくておほまかで、
張
(
はり
)
があつて、
派出
(
はで
)
で。
お月さまいくつ
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
(
張
(
はり
)
のなき声にて、ようよう。)恐しく。
家常茶飯 附・現代思想
(新字新仮名)
/
ライネル・マリア・リルケ
(著)
その時、
漲
(
みなぎ
)
る心の
張
(
はり
)
に、島田の
元結
(
もとゆい
)
ふッつと切れ、肩に崩るる緑の黒髪。水に乱れて、灯に
揺
(
ゆら
)
めき、畳の海は
裳
(
もすそ
)
に澄んで、
塵
(
ちり
)
も
留
(
とど
)
めぬ
舞振
(
まいぶり
)
かな。
歌行灯
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
三味線一挺あれば、
孤身
(
こしん
)
を養うにはことも欠かないし、身を切るような夜風にふき
曝
(
さら
)
されても、
撥
(
ばち
)
を飯の種と思って
張
(
はり
)
をこめれば、寒さなどは忘れている。
松のや露八
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
結うことはお
牧
(
まき
)
婆
(
ば
)
あやの髪を、前髪に
張
(
はり
)
のない、小さい
祖母子
(
おばこ
)
に結ったのが
手始
(
てはじめ
)
で、後には母の髪、妹の髪、女中たちの髪までも結い、我髪は
固
(
もと
)
より自ら結った。
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
押立
(
おしたて
)
玄關には
紫
(
むらさ
)
き縮緬の幕を
張
(
はり
)
威儀
(
ゐぎ
)
嚴重
(
げんぢう
)
に構へたり此時下の本陣には
播州
(
ばんしう
)
姫路
(
ひめぢ
)
の城主酒井雅樂頭
殿
(
どの
)
歸國の折柄にて御旅宿なりしが
雅樂頭
(
うたのかみ
)
殿上の本陣に天一坊旅宿の由を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
出京
(
しゆつきやう
)
の
當座
(
たうざ
)
は、
大分
(
だいぶん
)
身體
(
からだ
)
が
衰
(
おと
)
ろへてゐたので、
御米
(
およね
)
は
勿論
(
もちろん
)
、
宗助
(
そうすけ
)
もひどく
其所
(
そこ
)
を
氣遣
(
きづか
)
つたが、
今度
(
こんど
)
こそはといふ
腹
(
はら
)
は
兩方
(
りやうはう
)
にあつたので、
張
(
はり
)
のある
月
(
つき
)
を
無事
(
ぶじ
)
に
段々
(
だん/\
)
と
重
(
かさ
)
ねて
行
(
い
)
つた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
盆
(
ぼん
)
に
入
(
い
)
りては
仕事
(
しごと
)
に
出
(
いづ
)
る
張
(
はり
)
もなく、お
前
(
まへ
)
さん
夫
(
そ
)
れではならぬぞへと
諫
(
いさ
)
め
立
(
た
)
てる
女房
(
にようぼう
)
の
詞
(
ことば
)
も
耳
(
みゝ
)
うるさく、エヽ
何
(
なに
)
も
言
(
い
)
ふな
默
(
だま
)
つて
居
(
ゐ
)
ろとて
横
(
よこ
)
になるを、
默
(
だま
)
つて
居
(
ゐ
)
ては
此日
(
このひ
)
が
過
(
すぐ
)
されませぬ
にごりえ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
意気地も
張
(
はり
)
もない多与里に、さして魅力を感ずる筈もなく、心の
中
(
うち
)
では入山形に二つ星の、
某
(
なにがし
)
太夫の強靭な恋の技巧を考え乍ら、この娘を一つ
沸
(
たぎ
)
らせて見ようと言った、悪魔的な遊び心と
奇談クラブ〔戦後版〕:02 左京の恋
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
話をしている間に深味のある
張
(
はり
)
をもった眼が幾度も涙でいっぱいになる。
平塚明子(らいてう)
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
あれは
張
(
はり
)
ぼての岩だったけれど、何かを包み隠している点で、やっぱり一種の箱と云ってもいい。その箱の中から、短剣が飛出したのじゃ。丁度今この秘密函から蠍が飛出した様にね。どうだね。
妖虫
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
これに
登
(
のぼ
)
るべき
階
(
だん
)
をも雪にて作り、
頂
(
いたゞき
)
を
平坦
(
たひら
)
になし松竹を四
隅
(
すみ
)
に立、しめを
張
(
はり
)
わたす(広さは心にまかす)内には居るべきやうにむしろをしきならべ、
小童等
(
こどもら
)
こゝにありて物を
喰
(
く
)
ひなどして
遊
(
あそ
)
び
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
張
(
はり
)
のない
痲痺
(
まひ
)
しきつた
笑
(
わらひ
)
を洩らしながら
東京景物詩及其他
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
なあ姉さん、
己
(
おら
)
が嫁さんだって何だぜ、己が漁に出掛けたあとじゃ、やっぱり、
張
(
はり
)
ものをしてくんねえじゃ己
厭
(
いや
)
だぜ。
海異記
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
加番は各
物頭
(
ものがしら
)
五人、
徒目付
(
かちめつけ
)
六人、
平士
(
ひらざむらひ
)
九人、
徒
(
かち
)
六人、
小頭
(
こがしら
)
七人、
足軽
(
あしがる
)
二百二十四人を
率
(
ひき
)
ゐて入城する。其内に
小筒
(
こづゝ
)
六十
挺
(
ちやう
)
弓二十
張
(
はり
)
がある。又
棒突足軽
(
ぼうつきあしがる
)
が三十五人ゐる。
大塩平八郎
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
催
(
もよほ
)
しける
然
(
され
)
ど始めて宿り心も知れざる家なれば吉兵衞は氣を
張
(
はり
)
居
(
を
)
れども我
知
(
しら
)
ず
頻
(
しき
)
りに
居眠
(
ゐねぶ
)
りけるを
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
(最低保証の定給制もいくらか有ったのかもしれないが)——たとえば、写経一
張
(
はり
)
で
銭
(
ぜに
)
五
文
(
もん
)
、四十張で布一
端
(
たん
)
、八十張で
紲
(
あしぎぬ
)
一匹、といった程度。そして食物は一切精進だ。
美しい日本の歴史
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
忘れてしまへ
諦
(
あきら
)
めてしまへと思案は
極
(
き
)
めながら、去年の盆には
揃
(
そろ
)
ひの
浴衣
(
ゆかた
)
をこしらへて二人一処に
蔵前
(
くらまへ
)
へ
参詣
(
さんけい
)
したる事なんど思ふともなく胸へうかびて、盆に入りては仕事に
出
(
いづ
)
る
張
(
はり
)
もなく
にごりえ
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
梅子は
張
(
はり
)
の強い
眼
(
め
)
を据ゑて、代助を見た。さうして
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
兩人
(
りやうにん
)
の
裾
(
すそ
)
の
所
(
ところ
)
が、
床
(
とこ
)
の
間
(
ま
)
横
(
よこ
)
、
一間
(
いつけん
)
に
三尺
(
さんじやく
)
、
張
(
はり
)
だしの
半戸
(
はんと
)
だな、
下
(
した
)
が
床張
(
ゆかば
)
り、
突當
(
つきあた
)
りがガラス
戸
(
ど
)
の
掃
(
はき
)
だし
窓
(
まど
)
で、そこが
裏山
(
うらやま
)
に
向
(
むか
)
つたから、
丁
(
ちやう
)
どその
窓
(
まど
)
へ
木菟俗見
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
けれど、かの女自身にしてみれば、
乳
(
ち
)
ぶさは、つかんでみても
張
(
はり
)
がないし、乳くびは、
杏
(
あんず
)
の
種子
(
たね
)
みたいに黒い。なんとしても、四人の男の子を
産
(
う
)
み
養
(
はぐく
)
んだ泉の
涸
(
か
)
れが皮膚にもある。
新・平家物語:02 ちげぐさの巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
身
(
み
)
の
丈
(
たけ
)
五尺五六寸の、
面長
(
おもなが
)
な、色の白い男で、四十五歳にしては老人らしい所が無い。濃い、細い
眉
(
まゆ
)
は
弔
(
つ
)
つてゐるが、
張
(
はり
)
の強い、鋭い目は眉程には弔つてゐない。広い
額
(
ひたひ
)
に
青筋
(
あをすぢ
)
がある。
大塩平八郎
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
張
(
はり
)
も意気地もない愚うたらの奴、それからして気に入らぬと仰しやりまする、さうかと言つて少しなりとも私の
言条
(
いひでう
)
を立てて負けぬ気に御返事をしましたらそれを
取
(
とつ
)
てに出てゆけと言はれるは必定
十三夜
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
その声には力も
張
(
はり
)
もなかった。
行人
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
……眉は
鮮麗
(
あざやか
)
に、目はぱっちりと
張
(
はり
)
を持って、
口許
(
くちもと
)
の
凜
(
りん
)
とした……やや
強
(
きつ
)
いが、
妙齢
(
としごろ
)
のふっくりとした、濃い
生際
(
はえぎわ
)
に
白粉
(
おしろい
)
の際立たぬ、色白な娘のその顔。
陽炎座
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
御自分
(
ごじぶん
)
の
口
(
くち
)
から
出
(
で
)
てゆけとは
仰
(
おつ
)
しやりませぬけれど
私
(
わたし
)
が
此樣
(
このやう
)
な
意久地
(
いくぢ
)
なしで
太郎
(
たらう
)
の
可愛
(
かわゆ
)
さに
氣
(
き
)
が
引
(
ひ
)
かれ、
何
(
ど
)
うでも
御詞
(
おことば
)
に
異背
(
いはい
)
せず
唯々
(
はい/\
)
と
御
(
お
)
小言
(
こごと
)
を
聞
(
き
)
いて
居
(
お
)
りますれば、
張
(
はり
)
も
意氣地
(
いきぢ
)
もない
愚
(
ぐ
)
うたらの
奴
(
やつ
)
十三夜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
がばと、筋肉へ
張
(
はり
)
を入れて、
刎
(
は
)
ね起きた。
御鷹
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
お蔦 でも、
偶
(
たま
)
には一所に連れて出て下さいまし。
夫婦
(
いっしょ
)
になると
気抜
(
きぬけ
)
がして、意地も
張
(
はり
)
もなくなって、ただ
附着
(
くッつ
)
いていたがって、困った田舎嫁でございます。
湯島の境内
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
“張(張(姓))”の解説
張(ちょう)は、漢姓の一つ。中華圏で多い姓の1つである。
(出典:Wikipedia)
張
常用漢字
小5
部首:⼸
11画
“張”を含む語句
矢張
引張
緊張
出張
突張
威張
誇張
見張
硝子張
鯱張
頬張
張合
薩張
葭簀張
大威張
縄張
主張
高張提灯
弓張提灯
繩張
...