此等これら)” の例文
むろん此等これらの人達は、すでに地上とはきれいに絶縁してしまい、彼等の墓石の上に、哀悼の涙をそそぐものなどは、最早もはやただの一人もない。
此等これらの山脈は北アルプスと呼ばれている飛騨山脈よりは、概して高さに於て優っているにかかわらず、登山者の数はかえって甚だ少ないのである。
大井川奥山の話 (新字新仮名) / 木暮理太郎(著)
そして此等これら損失そんしつほとんど全部ぜんぶ地震後ぢしんご火災かさいるものであつて、被害民ひがいみん努力どりよく次第しだいによつては大部分だいぶぶんまぬかられるべき損失そんしつであつた。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
此等これらの人物の事蹟の上に多少の光明を投射する一篇の文章に、史料としての價値があると云ふことは、何人も否定することが出來ぬであらう。
寿阿弥の手紙 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
蜜蜂は二度って二度逃げられ、今は空箱だけ残って居る。天井てんじょうの鼠、物置の青大将あおだいしょう、其他無断同居のものも多いが、此等これら眷族けんぞくの外である。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
先生せんせい此等これら言葉ことば其實そのじつ平凡へいぼんせつですけれど、ぼく先生せんせい生活せいくわつ此等これらせつくと平凡へいぼん言葉ことば清新せいしんちからふくんでることをかんじました。
日の出 (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
うさ、一つくらゐ!』と福鼠ふくねずみ焦心ぢれッたさうにつて、またはなつゞけました、『其故それゆゑ此等これらにん姉妹きやうだいは——みんなでえがくことをまなんでました——』
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
自分は此等これら縁邊のものを代る/″\喰ひ𢌞つて、そして、高等小學から中學と、漸々だん/\文の林の奧へと進んだのであつた。
葬列 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
此等これら樣々さま/″\化物思想ばけものしさう具體化ぐたいくわするのにどういふ方法はうはふもつてしてるかといふに、ときにより、くにによつて各々おの/\ことなつてゐて、一がい斷定だんていすること出來できない。
妖怪研究 (旧字旧仮名) / 伊東忠太(著)
かつ性來せいらい記憶力きおくりよくとぼしきは、此等これら病症びやうしやうためます/\その※退げんたいするをかんじ、治療法ちれうはふ苦心くしんせるときたま/\冷水浴れいすゐよくしてかみ祷願たうぐわんせばかなら功驗こうけんあるしとぐるひとあり。
命の鍛錬 (旧字旧仮名) / 関寛(著)
二度とはても見るやうなことはあるまい、と思つて、つい入つて見る気になつた。三年前の其の時の自分の心の有様などが此等これらの見せ物によつて回想された。
煤煙の匂ひ (新字旧仮名) / 宮地嘉六(著)
此等これらの事を考へなければ本当の智識ちしきとは言へんとふ事ださうでございます。随分ずゐぶん悟道さとりはうには
明治の地獄 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
ふうときて取出とりいだせば一尋ひとひろあまりにふでのあやもなく、有難ありがたこと數々かず/\かたじけなきこと山々やま/\おもふ、したふ、わすれがたし、なみだむねほのほ此等これら文字もじ縱横じゆうわうらして
軒もる月 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
これに反して一助詞がどう一動詞がどう第三句が奈何いかん結句が奈何というようなことを繰返している。読者諸氏は此等これらの言に対してしばらく耐忍せられんことをのぞむ。
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
その満足まんぞくかおひと見下みさげるような様子ようすかれんで同僚どうりょうことばふか長靴ながぐつ此等これらみな気障きざでならなかったが、ことしゃくさわるのは、かれ治療ちりょうすることを自分じぶんつとめとして
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
彼は此等これらの光景が見えなくなろうとする前、今一度振向いて最後の瞥見べっけんをなした。操人形あやつりにんぎょうの様な紳士は降り立っても同じ事を繰返して居た。刑事と車掌は何か云ってった。
乗合自動車 (新字新仮名) / 川田功(著)
ふのは、たゞたんどもたちのためにとばかりではく、わたしは此等これらのはなしのなか人生じんせい社會しやくわいおよびその運命うんめい生活せいくわつくわんする諸問題しよもんだい眞摯まじめにとりあつかつてみたからであります。
ちるちる・みちる (旧字旧仮名) / 山村暮鳥(著)
而して此等これらの物皆な平民社界の心骨より出でたるものなることを知らば、余は寧ろ我邦の如き貴族的制度の国に於て、平民社界の初声はつごゑとしては彼等を厚遇するの至当なるを認むるなり。
徳川氏時代の平民的理想 (新字旧仮名) / 北村透谷(著)
此等これらの書籍はいづれも水野越州みづのえつしう以来久しく圧迫されてゐた江戸芸術の花が、維新の革命後、如何に目覚めざましく返咲かへりざきしたかを示すものである。芝居と音曲おんぎよくと花柳界とは江戸芸術の生命である。
虫干 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
やがて不興気なるおももちにて黄色なる歯を剥き出し、低き鼻尻に皺を刻みつ。和蘭陀オランダ伝来のくれなゐの花の種子を蒔くなり。此等これらの秘蔵の種子たねにして奈美殿の此上こよなく好み給ふ花なり。
白くれない (新字新仮名) / 夢野久作(著)
其上そのうへ艇長の書いた事には嘘をく必要のない事実が多い。艇が何度の角度で沈んだ、ガソリンが室内に充ちた、チエインが切れた、電燈が消えた。此等これらの現象に自己広告は平時といへども無益である。
艇長の遺書と中佐の詩 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
此等これらを思えば、数無きに似たれども、而も数有るに似たり。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
最初此等これらの通信を、スピリチュアリスト紙に発表するに当り、通信者達は全部に修正を施したが、内容の実質には、少しの変化もなかった。
此等これらの湿地には晩春雪解の跡に無数の水芭蕉の花が葉に先んじて、簇々そうそうと白苞を抽き出し、殆ど地を掩うの奇観を呈する。
ぼく今日けふまでをんなよろこばすべく半襟はんえりはなかつたが、むすめ此等これらしなやつたら如何どんなよろこぶだらうとおもふと、ぼくもうれしくつてたまらなかつた。
湯ヶ原より (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
そしてかういふ感じが順序を追つて起つてゐる背後に、物を盗まうといふ意志が、此等これらの閾の下に潜んでゐる感じより一層かすかに潜んでゐたのである。
金貨 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
『して此等これら何者なにものか?』女王樣ぢよわうさま薔薇ばらまはりに平伏ひれふしてゐた三にん園丁えんていどもをゆびさしてまをされました、何故なぜふに、彼等かれら俯伏うつぶせにてゐるし
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
すなはち「墨染櫻すみぞめのさくら」のさくら「三十三間堂げんだう」のやなぎ、などそのれいで、此等これらすこしもこわくなく、きはめて優美いうびなものである。
妖怪研究 (旧字旧仮名) / 伊東忠太(著)
一は上祖師ヶ谷で青山あおやま街道かいどうに近く、一は品川へ行く灌漑かんがい用水の流れにうて居た。此等これらは彼がふところよりもちと反別が広過ぎた。最後に見たのが粕谷の地所じしょで、一反五畝余。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
また此等これら學問がくもんちからによつて、わが地球ちきゆう鋼鐵こうてつよりもおほきな剛性ごうせいゆうしてゐることもわかつてた。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
われ此等これらの風情を見て何となく不審に堪へず。一めぐりして庫裡くりほとりより、又も前庭に出で行かむとする時、今の籬のうちなる手水鉢のあたりに物音して人の出で来る気はひあり。この寺の和尚にやあらん。
白くれない (新字新仮名) / 夢野久作(著)
其滿足そのまんぞくかほひと見下みさげるやうな樣子やうすかれんで同僚どうれうことばふか長靴ながぐつ此等これらみな氣障きざでならなかつたが、ことしやくさはるのは、かれ治療ちれうすること自分じぶんつとめとして、眞面目まじめ治療ちれうをしてゐるつもりなのが。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
此等これら七福しちふくこと/″\灌水くわんすゐとくするものなり。
命の鍛錬 (旧字旧仮名) / 関寛(著)
此等これらの通信の現れた形式などは、深く論ずるにも足りないであろう。その価値を決するものは、主としてその内容如何である。
此等これらの各部落の人達が互に交通するには、山路に依る外に捷径はないから、従って峠が無数に存在するのは当然である。
(新字新仮名) / 木暮理太郎(著)
此等これら一人ひとりのこらず數多あまた菱形金剛石ダイアモンド鏤刻ちりばめて、さき兵士へいしおなじやうに二れつになつてあるいてました。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
貸座敷の高楼大厦とそのうちにある奴婢ぬひ臧獲ぞうかくとは、おいらんを奉承し装飾する所以ゆえんの具で、貸座敷の主人はいかに色をさかんにし威を振うとも此等これらの雑輩に長たるものに過ぎない。
細木香以 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
しかし今夜は此等これらの光景も彼を誘引いういんする力が少しもない。机の上に置いてある彼が不在中に来た封書や葉書はがきを手早く調べた。其中そのうちに一通差出人さしだしにんの姓名の書いてない封書があつた。
節操 (新字旧仮名) / 国木田独歩(著)
はたしてしからば、ロアイヤルこうや、むかしベスンバぞくのゐた部落ぶらくみぎ現象げんしようおこすにもつと適當てきとう場所ばしよであつて、此等これら地方ちほう大地震だいぢしんによつてふたゝ同樣どうよう現象げんしようおこすこともあるであらう。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
勿論山の順礼に経験ある村の古老といわれる人でも、ことごと此等これらの山を的確に名指し得る訳ではなかったので、後になって私が確めたものもあります。
登山談義 (新字新仮名) / 木暮理太郎(著)
この部屋で此等これらの人の口からこの議論が出たのは、決して今夜が初めではない。
独身 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
如何どうして此等これらの事実が僕に知れたか、その手続を簡単に言えば、母が鎌倉に来てから一月後ひとつきのち、僕は訴訟用で長崎にゆくこととなり、其途中山口、広島などへ立寄る心組でましたから
運命論者 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
此等これらの六峰が次第に高まる裾野の上に根張り大きくどっしりと横たわって如何にもすわりが好い。殊に荒山から少しの弛みもなく左に曳いた線の美事さ。
みちはたゞやまばかり、さかあり、たにあり、溪流けいりうあり、ふちあり、たきあり、村落そんらくあり、兒童じどうあり、はやしあり、もりあり、寄宿舍きしゆくしやもん朝早あさはやくれうちくまでのあひだ自分じぶん此等これらかたちいろひかり
画の悲み (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
即ち千七百米の圏を有する峰で、其右の肩ともいうき南に在る同じ等高線の一隆起よりは十五、六米は高いであろう。此等これらを中心として藪がひどい。
利根川水源地の山々 (新字新仮名) / 木暮理太郎(著)
其処そこで養父と僕とは此等これらの秘密をくまで人にもらさぬ約束をし、た僕がこの先何かの用事で山口にゆくとも、たゞ他所よそながら父母の墓にもうで、決して公けにはせぬということを僕は養父に約しました。
運命論者 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
朝日岳から小沢岳に至る間の国境山脈の諸山に就ても遺憾ながら同様である。それで此等これらは総て実査の後に取扱うことにして、ここには省略することにした。
利根川水源地の山々 (新字新仮名) / 木暮理太郎(著)
此等これらの図にりて地形の正確なる説明を大要なりとも知らんとするが如きは、欲する者の無理なるは言う迄もなく、だ山川都邑道路等に就て其概念を得ばもって満足す可き也。
古図の信じ得可き程度 (新字新仮名) / 木暮理太郎(著)
此等これらの記事は同時に此峠がかなり古くから通行されたものであることを暗示している。『新編会津風土記』には、清水口の番守安部弥左衛門の家に伝えた古文書というのが数通載っている。
利根川水源地の山々 (新字新仮名) / 木暮理太郎(著)
此等これらの山が其伝えを失えば、様々な誤った説が出ることになる。
二、三の山名について (新字新仮名) / 木暮理太郎(著)