をの)” の例文
むかしひとは、今日こんにち田舍ゐなかきこり農夫のうふやまときに、かまをのこしけてゐるように、きっとなに刃物はものつてゐたものとおもひます。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
『すると、あのいしをのいしやぢりや、あれ同時代どうじだい製作せいさくですか』といてると。『うです、三千ねんぜんのコロボツクル人種じんしゆ遺物ゐぶつです。 ...
「なんだと、にせものだからにせものと云つたんだ。生意気いふと、あしたをのをもつてきて、片つぱしからつてしまふぞ。」
かしはばやしの夜 (新字旧仮名) / 宮沢賢治(著)
をののみわすれたものが、木曾きそ碓氷うすひ寐覚ねざめとこも、たびだかうちだか差別さべつで、なんやまたにを、神聖しんせい技芸ぎげいてん芸術げいじゆつおもはう。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
松さんが隠して持つて来たをのをば、薪を割らうとするやうに振りあげたときには、栄蔵はまだ、松さんが何をするつもりなのか、わからなかつた。
良寛物語 手毬と鉢の子 (新字旧仮名) / 新美南吉(著)
恩人は恩をかせ如此かくのごとせまれども、我はこの枷の為に屈せらるべきも、彼は如何いかなるをのを以てか宮の愛をば割かんとすらん。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
藍微塵あゐみぢんの意氣な袷を着て居りますが、身體も顏も泥だらけ、左の手に龕燈を提げ、右の手に一梃のをのを持つて居るのは一體何をしようと言ふのでせう。
「こうれ、うめえものろえまあ」といつてけてると一すんばかりの蟷螂かまきりをのもたげてちよろちよろとあるした。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
樵夫きこりをのが深く幹にひ込むやうになると、急にばた/\と音がして、洞穴うろのなかから何か飛び出した物がある。
「何もおつしやつて下ださいますな」と篠田は目を閉ぢつ「現社会の基礎にをのを置きつゝある私共が、其の反撃にふのは、すこしも怪むに足らぬことで御座います」
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
たま/\花さくも花やかならず茎太くきふとけれどもをのにあたらず、かの山中不材ふさい類木るゐぼくにたぐへてその性よし。
やがて、種牛の眉間みけんを目懸けて、一人の屠手がをの(一方に長さ四五寸のくだがあつて、致命傷を与へるのはこの管である)を振翳ふりかざしたかと思ふと、もう其が是畜生の最後。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
をのげて大路おほぢに出づれば、一七九明けたるといひし夜はいまだくらく、一八〇月は中天なかぞらながら影らう々として、風ひややかに、さて正太郎が戸は明けはなして其の人は見えず。
いつたい「さくらその」にはだいまく車のおとだいまくのギタアの音色、だいまくをはりのさくらの木を切りたふをのひゞきなどと、塲面ばめん々々のかんじとあひ俟つて音響おんけう効果こうくわじつたくみもちゐられてゐるが
文壇球突物語 (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
それがふるくから火事かじかれたり、をのられたりして、天然てんねんにあつたそれ樹木じゆもく大抵たいていえてなくなつてしまひ、つひに今日こんにちるような茫々ぼう/\として、はてしもないような草原くさはらになつたのです。
森林と樹木と動物 (旧字旧仮名) / 本多静六(著)
或時あるときにね、カンタイといふ人が、孔子様を憎んで、をの斬殺きりころさうとしたのさ。所が孔子様は、(天、徳をわれせり、カンタイわれ奈何いかん。)とおつしやつて、泰然自若としてすわつていらしたんだ。
愚助大和尚 (新字旧仮名) / 沖野岩三郎(著)
神のさだめ命のひびきつひの我世ことをのうつ音ききたまへ
みだれ髪 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
丁々とうとう白檀びやくだんをのおと
邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
乾鮭や琴にをのうつ響あり
俳人蕪村 (新字新仮名) / 正岡子規(著)
ふまでもく、面影おもかげ姿すがたは、古城こじやう天守てんしゆとりこつた、最惜いとをしつまのまゝ、と豁然くわつぜんとしてさとると同時どうじに、うでにはをのちからこもつて
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
それらのをのには横側よこがはゑぐりをれたものがおほいのであります。これらの石斧せきふみなよくみがいてなめらかにひかるように出來できて、非常ひじよう精巧せいこうつくかたであります。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
終生の失望と遺恨とはみだり断膓だんちようをのふるひて、死苦のかざる絶痛を与ふるを思ひては、彼はよし天に人に憤るところあるも、おそるべき無しとるならん。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
たま/\花さくも花やかならず茎太くきふとけれどもをのにあたらず、かの山中不材ふさい類木るゐぼくにたぐへてその性よし。
「なにを。証拠はちやんとあるぢや。また帳面にもつとるぢや。貴さまの悪いをののあとのついた九十八の足さきがいまでもこの林の中にちやんと残つてゐるぢや。」
かしはばやしの夜 (新字旧仮名) / 宮沢賢治(著)
異人いじんとの掛け合ひに骨を折つて居るのに、駒形の留守宅では、叔父の深田琴吾きんごといふのが、家來の山家をの三郎と腹を合せ、おめかけのお新といふ女を立てて、奧方の浪乃なみの樣を
山の井はをののくつ
泣菫詩抄 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫(著)
……つきから、かつらがこぼれ/\、いしるやうなをのはひつて、もつとけ、もつとけると、やがて二十六夜にじふろくやつきらう、……二十日はつかばかりのつき
浅茅生 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
なかにはながさが一寸いつすんぐらゐもない、ちひさいうつくしいいしつくつたをのがありますが、それは實際じつさいやくつものとはおもはれません。多分たぶん大切たいせつ寶物ほうもつるいであつたのでせう。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
熊の穴居こもりたる所をみつくれ目幟めじるしをのこして小屋にかへり、一れんの力をあはせてこれをる。その道具だうぐの長さ四尺斗りの手槍てやりあるひ山刀やまがたな薙刀なぎなたのごとくに作りたるもの、銕炮てつはう山刀をのるゐ也。
野人やじん蟷螂たうらうあり、をのげて茄子なすかたきをつ、ひゞきさときぬたにこそ。朝夕あさゆふそらみ、みづきよく、きりうす胡粉ごふんめ、つゆあゐく、白群青びやくぐんじやうきぬ花野原はなのばらに、ちひさき天女てんによあそべり。
五月より (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
又は人の父を喰殺くひころしてその父にばけて年をたるに、一日その子山に入りてくはるに、おほかみきたりて人の如く立其裾そのすそくはへたるゆゑをのにて狼のひたひきり、狼にげりしゆゑ家にかへりしに
くもる、はなる。や、さいながいぞ。うちをのち、玉手箱たまてばこやぶれうもれぬが。わかひとさいを……さいさつしやい。うつかり見惚みとれてわしわすれた。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
これをきゝてをのをもつて打砕うちくだきしを竹やぶの中へすてたり、其夜竹林一面に光る事数万の螢火の如し。翌朝よくてう近里の人きゝつたへてあつまり来り、竹林をたづねみるに少しのくづまでも一石も有る事なし。
抵抗てむかひらずはだかにされて、懷中くわいちうものまで剥取はぎとられたうへ親船おやぶね端舟はしけも、をので、ばら/\にくだかれて、帆綱ほづな帆柱ほばしらはなれたくぎは、可忌いまはし禁厭まじなひ可恐おそろし呪詛のろひように、みんなられてしまつたんです。
印度更紗 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
これをきゝてをのをもつて打砕うちくだきしを竹やぶの中へすてたり、其夜竹林一面に光る事数万の螢火の如し。翌朝よくてう近里の人きゝつたへてあつまり来り、竹林をたづねみるに少しのくづまでも一石も有る事なし。
立處たちどころ手足てあしあぶるべく、炎々えん/\たる炭火すみびおこして、やがて、猛獸まうじうふせ用意よういの、山刀やまがたなをのふるつて、あはや、そのむねひらかむとなしたるところへ、かみ御手みてつばさひろげて、そのひざそのそのかたそのはぎ
雪の翼 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
ひそかにおもふ。みづうみ全景ぜんけいは、月宮げつきうよりして、みきむらさきみどりなる、たまえだより、金色こんじきをのつてなげうつたる、おほいなる胡桃くるみの、割目われめあをつゆたゝへたのであらう。まつたく一寸ちよつと胡桃くるみる。
十和田湖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)