愉快ゆくわい)” の例文
しかしあのたくましいムツソリニも一わんの「しるこ」をすゝりながら、天下てんか大勢たいせいかんがへてゐるのはかく想像さうぞうするだけでも愉快ゆくわいであらう。
しるこ (旧字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
それで他國たこく立派りつぱ堂々だう/\たる小學校せうがくかうきふ其樣そんなすぼらしい學校がくかうぼく子供心こどもごころにもけつして愉快ゆくわい心地こゝちなかつたのです。
日の出 (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
勘次かんじには主人しゆじんうち愉快ゆくわいはたらくことが出來できた。かれ體躯からだむし矮小こつぶであるが、そのきりつとしまつた筋肉きんにく段々だん/″\仕事しごと上手じやうずにした。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
武村兵曹たけむらへいそうその仲間なかまつて、しきりに愉快ゆくわいだ/\とさはいでつたが、何時いつ何處どこから聞知きゝつけたものか、れい轟大尉とゞろきたいゐ虎髯とらひげはぬつとすゝ
「そら今度こんだこさ雪子ゆきこかちだ」とつて愉快ゆくわいさうに綺麗きれいあらはした。子供こどもひざそばにはしろだのあかだのあゐだのゝ硝子玉がらすだま澤山たくさんあつた。主人しゆじん
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
なにたのしみに轅棒かぢぼうをにぎつて、なにのぞみに牛馬うしうま眞似まねをする、ぜにもらへたらうれしいか、さけまれたら愉快ゆくわいなか、かんがへればなに悉皆しつかいやで
十三夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
でつかんしよに、愉快ゆくわいぶし、妓夫臺ぎふだい談判だんぱん破裂はれつして——すゝめツ——いよう、御壯ごさかん、どうだい隊長たいちやうと、わめふ。——どうも隊長たいちやう。……まことに御壯ごさかん
麻を刈る (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
はじめのびん二人共ふたりとも無言むごんぎやう呑乾のみほしてしまふ。院長ゐんちやう考込かんがへこんでゐる、ミハイル、アウエリヤヌヰチはなに面白おもしろはなしやうとして、愉快ゆくわいさうになつてゐる。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
しかし、いろ/\あはせて、もう千まいを數へる印畫いんぐわのアルバムを時をり繰眺くりながめるのは、たのし愉快ゆくわいである。
くして翌朝よくあさ起出おきいでたときには、のう爽快さうくわいなることぬぐへるかゞみごとく、みがけるたまごとく、腦漿のうしやう透明たうめいであるかのやうかんじるので、きはめて愉快ゆくわい其日そのひ業務げふむれるのである。
而も其のうかゝツたところは、かれみづか神來しんらいひゝきと信じてゐたので、描かぬ前の彼の元氣と内心の誇と愉快ゆくわいと謂ツたら無かツた。彼の頭に描かれた作品は確に立派りつぱなものであツたのだ。
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
大に愉快ゆくわいの色をあらはし、つ未だみみにだもせざる「ぶらんでー」の醇良じゆんりやうを味ふを得、勇気いうきとみに百倍したり、じつに其愉快ゆくわいなる人をして雪点せつてんちかき山上にありて露宿ろしゆくするなるかをわすれしむ。
利根水源探検紀行 (新字旧仮名) / 渡辺千吉郎(著)
んだり ねたり 愉快ゆくわいだなあ!
一方ひとかたならず愉快ゆくわいかんじました。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
彼等かれらむし自分じぶんうちつくつたものゝはう佳味うまいにもかゝわらず大勢おほぜいともさわぐのが愉快ゆくわいなので、水許みづばかりのやうな甘酒あまざけ幾杯いくはいかたむけるのである。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
愉快ゆくわい々々、世界一せかいいち王樣わうさまだつて、此樣こん面白おもしろられるものでない。』と水兵すいへいども雀躍じやくやくした。日出雄少年ひでをせうねん猛狒ゴリラ死骸しがい流盻ながしめやりて
アンドレイ、エヒミチはやつと一人ひとりになつて、長椅子ながいすうへにのろ/\と落着おちついてよこになる。室内しつない自分じぶん唯一人たゞひとり、と意識いしきするのは如何いか愉快ゆくわいつたらう。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
さりながらおうかげをもとゞめざるときだに、いとふべき蛇喰へびくひおもいださしめて、折角せつかく愉快ゆくわい打消うちけされ、掃愁さうしうさけむるは、各自かくじともなをさなもの唱歌しやうかなり。
蛇くひ (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
かれかしらげては水車みづぐるままた畫板ゑばんむかふ、そしてり/\愉快ゆくわいらしい微笑びせうほゝうかべてかれ微笑びせうするごとに、自分じぶん我知われしらず微笑びせうせざるをなかつた。
画の悲み (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
けれど、實際じつさいはそれこそ麻雀マージヤン人達ひとたち魅惑みわくする面白おもしろさなので、だれしもすこしそれにしたしんでくるといつとなくそのそのとき縁起えんぎまでかつぐやうになるのも愉快ゆくわいである。
麻雀を語る (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
朝之助とものすけころんで愉快ゆくわいらしくはなしをかけるを、おりきはうるさゝうに生返事なまへんじをしてなにやらんかんがへて樣子やうす、どうかしたか、また頭痛づゝうでもはじまつたかとかれて
にごりえ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
かれうしてあたらしいところつて、あたらしいものせつするのが、用向ようむき成否せいひかゝはらず、今迄いままでかずにぎたきた世界せかい斷片だんぺんあたまやうがしてなんとなく愉快ゆくわいであつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
このにち運動うんどうは、ほねずいまで疲勞ひろうするやうかんじるのであるが、そのあらげたる破片はへん食卓しよくたくの一ぐうならべて、うして、一ぱいやるとき心持こゝろもちといふものは、んともはれぬ愉快ゆくわいである。
此処にちやくしてはじめて社会にでたるの心地ここちせられ、其愉快ゆくわいじつに言ふべからず。
利根水源探検紀行 (新字旧仮名) / 渡辺千吉郎(著)
やあ 愉快ゆくわい愉快
おほきな藏々くら/″\建物たてものむなしくほどさい傭人やとひにん桃畑もゝばたけに一にち愉快ゆくわいつくすやうになれば病氣びやうきもけそりとわすれるのがれいであつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
いま無上むじやう愉快ゆくわいときだぞ、いま一層いつそうのぞみには、あらたきたへたこの速射砲そくしやほうで、彼奴等きやつらつくき海賊かいぞくども鏖殺みなごろしにしてれんに。
愉快ゆくわい! 電車でんしや景氣けいきよくはしす、函嶺はこね諸峰しよほうおくゆかしく、おごそかに、おもてあつしてちかづいてる! かるい、淡々あは/\しいくもおきなるうみうへたゞよふてる、かもめぶ、なみくだける
湯ヶ原より (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
貧窮ひんきゆう友人いうじん扶助たすけあたへぬのをはぢとしてゐたとか、愉快ゆくわい行軍かうぐんや、戰爭せんさうなどのつたこと、面白おもしろ人間にんげん面白おもしろ婦人ふじんつたこと、また高加索カフカズところじつ土地とち
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
せきひろいは金城館きんじやうくわん愉快ゆくわい、おなやの奧座敷おくざしき一寸ちよつと二次會にじくわい
火の用心の事 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
たるべからずといつた愉快ゆくわいさだつた。
文壇球突物語 (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
やあ 愉快ゆくわい愉快