“さん”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:サン
語句割合
14.8%
11.1%
10.0%
9.3%
6.4%
5.9%
5.2%
5.0%
4.5%
4.1%
3.6%
3.0%
2.3%
1.6%
1.6%
1.2%
1.1%
0.9%
0.9%
0.7%
0.7%
0.5%
0.5%
0.5%
0.5%
0.4%
0.4%
0.4%
0.4%
0.4%
美人0.2%
0.2%
0.2%
一餐0.2%
前様0.2%
0.2%
神社0.2%
0.2%
0.2%
0.2%
衫衣0.2%
0.2%
0.2%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
また掛け合いばなしになる。——黙って聴け。痣の熊吉は雨戸を外したり、さんを切り取ったり、かなり器用なことをして忍び込むようだ。
銭形平次捕物控:124 唖娘 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
「あれ、あの煌々こうこうとみゆる将星が、予の宿星である。いま滅前の一さんをまたたいている。見よ、見よ、やがて落ちるであろう……」
三国志:11 五丈原の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「さう? でもうちぢや小供こどもがないから、夫程それほどでもなくつてよ」とこたへた御米およねのりふくました刷毛はけつてとん/\とんとさんうへわたした。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
『え。渡辺さんといふお友達の家に参りましたが、その方の兄さんとお親い方だとかで……アノ、ちよつとお目に懸つたんで御座います。』
鳥影 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
例の太刀たちのごとくそっくりかえった「朝日」を厚いくちびるの間にくわえながら、あの角張かどばった顔をさんほど自分の方へ向けて
坑夫 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
側面攻撃に出た曹軍の夏侯惇かこうじゅん曹洪そうこうの両大将は、急に、軍を転回するいとまもなく、さんざんに討ちなされて潰乱かいらんまた潰乱のさんを呈した。
三国志:06 孔明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
石疊いしだたみ穿下ほりおろした合目あはせめには、のあたりにさんするなんとかいふかに甲良かふら黄色きいろで、あしあかい、ちひさなのが數限かずかぎりなくむらがつてうごいてる。
星あかり (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
沈丁花ちんちょうげの花のしたのをお風呂へ入れてあげるから入りなさい。そりゃいいにおいで気がさんじるから。」母は話さなかったが
桃のある風景 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
智深ちしんは、その人をむしろに迎え、名乗りあってから、一さんけんじた。おとこおとこを知り、道は道に通ずとか。二人はたちどころに、肝胆かんたん相照あいてらして
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
されば、有馬街道から西の野末のずえでございました。ひるの合戦に、そこらは馬のかばねやら兵のむくろがさんをみだしておりまする。
私本太平記:10 風花帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
折角せっかく御親切ごしんせつでおますが、いったんおかえししょうと、ってさんじましたこのおび、また拝借はいしゃくさせていただくとしましても、今夜こんやはおかえもうします
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
四国阿波あわの国第一の峻峰しゅんぽう、つるぎさんいただきから一羽の角鷹くまたかが、バタバタバタと翼を鳴らして斜めに飛び、やがて、模糊もことしたかすみの底へ沈んで行った。
鳴門秘帖:03 木曾の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
この一枚もかくの如くしてまた書き塞げてしもうたので、例の通りさんを加えた。その歌は、おだまきの花には
病牀苦語 (新字新仮名) / 正岡子規(著)
原口はらぐちたき、いはれあり、さんぬる八日やうか大雨たいう暗夜あんや、十ぎて春鴻子しゆんこうしきたる、くるまよりづるに、かほいろいたましくひたりて、みちなる大瀧おほたきおそろしかりきと。
逗子だより (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
黒犬の絵にさんしてんだ句である。闇夜やみよに吠える黒犬は、自分が吠えているのか、闇夜の宇宙が吠えているのか、主客の認識実体が解らない。
郷愁の詩人 与謝蕪村 (新字新仮名) / 萩原朔太郎(著)
おかん 尻つ尾をふつて來るどころか、あたしなんぞはこんな家へ來て、女房の役からおさんどんの役まで勤めてゐるんぢやあないか。それでも可愛くないのかよ。
権三と助十 (旧字旧仮名) / 岡本綺堂(著)
一人住居の相手なしに毎日毎夜さびしくつて暮して居るなれば手すきの時には遊びにも來て下され、私は此樣ながら/\した氣なれば吉ちやんの樣な暴れさんが大好き
わかれ道 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
「いろいろですね。金銀きんぎん、ニッケルやコバルトなどの化合物かごうぶつ、そしてさんやアルカリです」
金魚は死んでいた (新字新仮名) / 大下宇陀児(著)
仙人は流霞りゅうかさんし、朝沆ちょうこうを吸う。詩人の食物は想像である。美くしき想像にふけるためには余裕がなくてはならぬ。美くしき想像を実現するためには財産がなくてはならぬ。
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
さんたる蕾の姿は霰や餅米のやうに小粒で美しい、どこか庭のすみの方に二三株、目立たぬほどに植ゑて置く心がけをすすめるくらゐで、ぢみな花である。
冬の庭 (新字旧仮名) / 室生犀星(著)
〔評〕南洲城山にる。官軍さくゑて之を守る。山縣やまがた中將書を南洲に寄せて兩軍殺傷さつしやうさん極言きよくげんす。南洲其の書を見て曰ふ、我れ山縣にそむかずと、斷然だんぜん死にけり。
玉涙、さんとして、頬をながれ、嗚咽おえつする朝臣の声とともに、しばしそこは雨しげき暮秋の池のようであった。
三国志:10 出師の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
大阪の路地にはたいてい石地蔵がまつられていて、毎年八月の末に地蔵さんの年中行事が行われたが、お君の住んでいる地蔵路地は名前からして、他所よその行事に負けられなかった。
青春の逆説 (新字新仮名) / 織田作之助(著)
古典的本文の前後の文章、又は同じ著者乃至同じ原本の異った多くの本文の間の、矛盾のさん除が、所謂内在的批評であるかのように見られているのが事実である。
イデオロギーの論理学 (新字新仮名) / 戸坂潤(著)
僕は新しいさんを着け、そうして新しいを穿いて、懐中に短刀——鎧通よろいどおしさ、兼定かねさだ鍛えの業物だ、そいつを呑んで轎に乗った。
鴉片を喫む美少年 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
千々岩さんも悪い、悪いがそこをねエ若旦那。こんな事がおもてざたになって見ると、千々岩さんの立身もこれぎりになりますから。ねエ若旦那
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
帷幄ゐあくさんして、蝶貝蒔繪てふがひまきゑ中指なかざし艷々つや/\しい圓髷まるまげをさしせてさゝやいたはかりごとによれば——のほかにほ、さけさかなは、はしのさきで、ちびりと醤油しやうゆ鰹節かつをぶしへてもいゝ、料亭れうてい持出もちだし)
九九九会小記 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
職業クウルチザンヌ、一。——俳優、二——。以上の内、未婚の婦人は二人。……ガイタンヌ・ド・グウマンヴィルさん、スュジイ・リセット嬢。
墓地展望亭 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
四面高くして中央平坦へいたん、ここに家宅を構えるものは、富貴延命六ちくさん、加増されて名誉の達人起こり、君には忠、親には孝、他に類少なき上相となす——家相にピッタリとはまっております。
娘煙術師 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
さんへたり光景くわうけい
孔雀船 (旧字旧仮名) / 伊良子清白(著)
慌てて抱き止めようとする西村さんを突き飛ばすと、踊りを止めてボンヤリ突立っているハイカラ美人さんに、ヨロヨロとよろめきかかった。
いなか、の、じけん (新字新仮名) / 夢野久作(著)
それを西村さんが一生懸命に引き離して、ハイカラ美人さんの手を取りながら、自動車に乗ってドンドン逃げて行った。
いなか、の、じけん (新字新仮名) / 夢野久作(著)
それからその死骸を丸裸体はだかにして肢体を整え、香華こうげさん神符しんぷを焼き、屍鬼しきはらい去った呉青秀は、やがて紙をべ、丹青たんせいを按配しつつ、畢生ひっせいの心血を注いで極彩色の写生を始めた
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
呉青秀はその中を踏みわけて、自分のへやに来て見るには見たものの、サテどうしていいかわからない。妻の姿はおろかからすの影さえ動かず。錦繍きんしゅう帳裡ちょうり枯葉こようさんず。珊瑚さんご枕頭ちんとう呼べども応えずだ。
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
便りにさがし廻る中大井川の彼方なる岡の方に何やら犬のくはへて爭ひ居していゆゑ立寄たちよりしに犬は其品を置て一さんにげ行しまゝ右の品を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
見渡すに夜中の事ゆゑ夫なりと目當めあては知ねど女の聲ヤヨ人殺し/\助け給へと叫ぶにぞさてこそ惡漢御參んなれと猶一さん馳着はせつきて用意の延棒のべぼうを追取直してをどりこみて女房をおさへたる惡漢どもを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
忽ち舊誼の絲に手繰たぐり寄せられて、一餐さんの惠に頭を垂れ、再びもとのカムパニアの孤となるも我なり。恩人夫婦はわが昔の罪をゆるして我を食卓につらならしめ、我を遊山ゆさんに伴はんとす。あに慈愛に非ざらんや。
前様さんは何しに来たのだ。問われて醜顔むくつけき巌丈男の声ばかり悪優しく。「へいへい、お邪魔様申します。ちとお見舞みめえ罷出つんでたんで。「知己ちかづきのお方かね。 ...
活人形 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
花嫁は第一さんを取って作法どおりに飲む、静かに足打へ返すこれが花婿へ移った。成木持助殿は神妙にいま佳麗なる人の唇に触れた盃を取り、より神妙にそれを自分の口へ持っていった。
もう嫌味いやみたっぷりに、——高津神社さん境内けいだいにある安井稲荷いなりは安井さん(安い産)といって、お産の神さんだのに、この子の母親は安井さんのすぐ傍で生みながら、産の病で死んでしまったとは
アド・バルーン (新字新仮名) / 織田作之助(著)
道衍どうえんの一生を考うるに、えんたすけてさんを成さしめし所以ゆえんのもの、栄名厚利のためにあらざるがごとし。しか名利めいりの為にせずんば、何をくるしんでか、紅血を民人に流さしめて、白帽を藩王にいただかしめしぞ。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
嘿斎ぼくさいいはく、すべて祭礼に用ふる傘矛かさぼこといへる物はいにし羽葆葢うほかいの字をよめり、所謂いはゆるさんにして(きぬかさとよむ)神輿鳳輦しんよほうれんおほたてまつるべき錦蓋きんかい也といへり。なほせつありしが長ければはぶく。
徒歩かちで走り出す者、馬上へとび乗る者、列なくさんなく、わっと、またどっと、主人のあとを追って一斉に発した。
新書太閤記:09 第九分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
衫衣さんわせた 吾亦紅われもこう
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
懷中くわいちうに入れし事なれば若し見咎みとがめられては大變たいへんと早々迯出にげいだす向ふより火附盜賊改め役奧田主膳殿おくだしゆぜんどのくみの與力同心を二三十人連て此處へ來らるゝ故喜八は夫と見るより一さん駈拔かけぬけんとしけるを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
ある記事には、隠者の窟に年老いた隠者が繩の帯をしめて、旅客に食をさんし、酒を飲ませるところなどが書いてある。
ヴエスヴイオ山 (新字旧仮名) / 斎藤茂吉(著)