さん)” の例文
旧字:
……で、寸時なとお顔を見せて上げていただけたらと、じいの左近も申しますゆえ、差出がましいことながら、こうお願いにさんじました
私本太平記:07 千早帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
折角せっかく御親切ごしんせつでおますが、いったんおかえししょうと、ってさんじましたこのおび、また拝借はいしゃくさせていただくとしましても、今夜こんやはおかえもうします
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
「でも、ゆっくりしていいとおっしゃるのはうれしい。わたしもじつはこの間から聞いていただきたいと思っていることもある。では、すぐに行ってさんじましょ」
四十八人目 (新字新仮名) / 森田草平(著)
孔子は曰く、さんよ、(孔子の弟子の子路のこと)それはなんたる言であるのか、なんたる言であるのか。
けだしさんしんとの花火芸術の最高を極め精を尽くししんらしたものであった。
木曾川 (新字新仮名) / 北原白秋(著)
私事恥を恥とも思はぬ者との御さげすみをかへりみず、先頃して御許おんもとまでさんし候胸の内は、なかなか御目もじの上のことばにも尽しがたくと存候ぞんじさふらへば、まして廻らぬ筆にはわざと何もしるし申さず候まま
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
世を忍ぶ身を隠匿かくまいれたる志、七生忘れられず、官軍にはせさんぜんと、決心した我すら曇り声にいだせし時も、愛情の涙はまぶたあふれながら義理のことば正しく、かねての御本望わたくしめまでうれしゅう存じますと
風流仏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
振り向くと、「波屋」のさんちゃんだった。「波屋」は千日前と難波を通ずる南海通りの漫才小屋の向いにある本屋で、私は中学生の頃から「波屋」で本を買うていて、参ちゃんとは古い馴染だった。
神経 (新字新仮名) / 織田作之助(著)
あとからあとからさんじてたちま大軍たいぐんになったともうします。
さん
(新字新仮名) / 森鴎外(著)
これへ、秋月寂心の兵数千も味方にさんじ、日和見ひよりみだった深堀、龍造寺、相良さがら、杉、富光とみみつなどの小武族も、ぞくぞく陣へとうじて来る。
私本太平記:11 筑紫帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
御大切おたいせつなおしなゆえ、粗相そそうがあってはならんよって、はようおかえもうすが上分別じょうふんべつと、おもってさんじました」
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
「どうもありがとう存じます、行ってさんじました」と、もう一度門番に挨拶あいさつをして、街の上へ出た。
四十八人目 (新字新仮名) / 森田草平(著)
当社とうしゃ神主かんぬし長谷川右近はせがわうこんどのにお目にかかりたくさんじました。——じぶんは、京都きょうと菊亭公きくていこう雑掌ざっしょう園部一学そのべいちがくというものです」
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「非力不才の者が、御陣の扶翼ふよくさんじなどしては、かえって乱を大きくし、宮方のわざわいを深うするのみでございますれば」
私本太平記:04 帝獄帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
もし、それだけの党の舟軍でも相違なく御味方にさんじてくれるものならば——と、正成は祈りにも似る一縷いちるの希望をそれにかけずにはいられない。
私本太平記:12 湊川帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ましてご服喪ふくもの折、野駈けに出て、洛外で密談に寄り合うなどはまずいでしょう。……それよりは新田と二人で、こよいひそかに御所へさんじまする。
「や。これはいかん。節堂は軍の機密を議するところで、枢機すうきさんずる高官のほか立入りならぬところと聞いておる。えらいところへ迷い込んだもの」
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「ではお時間もせまりますから、外に待たせてある衆僧をひきつれ、改めて、ご法莚ほうえんさんじ直すといたしましょう」
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「落ち行く身には、これでもまだ多い。わしは山伏となって、伊賀伊勢吉野にわたるつわものをつのり、ややあとより笠置へさんじる。——笠置で会おうぞ」
私本太平記:04 帝獄帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
いまごろのさんじさえ、ちと懈怠けたいと思われるのに、ぼッと出の河内の新守護などが、何の策を持ちましょうや。なるほど、金剛千早ではめざましい善戦を
私本太平記:12 湊川帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ひそかにおうわさのあとをしたって、遠き小太郎山のとりでより、ここまでお迎えにさんじましてござります。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「はい。……いや観心寺の法師らなどは、寺中でおこなわれた激論の座を蹴って、十数名の法師が、笠置へさんじたとやら聞きおよびます。それも、一昨夜のこととか」
私本太平記:04 帝獄帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
しかし、龍造寺党や深堀、杉党などの大族の系類もあり、また、千葉氏や宇都宮氏のように、尊氏の将にしてこの筑紫つくしに領地のある者もいたので、当然、それらもさんじた。
私本太平記:11 筑紫帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
近日、お迎えとして、正季が兄に代ってさんじますから、諸事、お物語りは、そのせつに。
私本太平記:05 世の辻の帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
この修行は彼としてはすでに久しいもので、いま始まったことでもない。師の疎石そせき夢窓国師の許へは、在京中にも折あるごとにさんじていたし、その師を都へ迎えたのも彼であった。
私本太平記:10 風花帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
日吉山王ひえさんのう二十一社の“彼岸所ひがんしょ”とよぶ空院に、それぞれ一夜をやっとしのがれたが、玉座のおかれた一院でさえ、氷の床、氷柱つらら御簾みす、吹き騒ぐ枯葉こようのほかはさんずる人もなかったらしい。
私本太平記:10 風花帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
また、供奉ぐぶの公卿も、若きはあらかた甲冑かっちゅう弓箭きゅうせんをおびて前線へ出払っていたし——吉田大納言定房が牛車くるまをとばしてさんじたほか、老殿上ろうてんじょう十数人、滝口、蔵人のやからなど、寒々さむざむしいばかりである。
私本太平記:10 風花帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「足利殿の稚子大将も御在陣と聞き、合力にさんじ申した」
私本太平記:08 新田帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
いやこれはすでに、ここへさんじている者どもだが
私本太平記:06 八荒帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「吉野城へはせさんぜよ」
私本太平記:07 千早帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
すぐさんじろ。
私本太平記:08 新田帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
急ぎさんそうら
私本太平記:11 筑紫帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)