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長谷川右近
「
当社の
神主、
長谷川右近どのにお目にかかりたく
参じました。——じぶんは、
京都菊亭公の
雑掌、
園部一学というものです」
話しているうちに
神主長谷川右近の顔が、
発作的な病気でもおこしたように、ワナワナと
唇をふるわせて、まったく
土気色になってしまった。——と
急に
座をたって
一足おくれて、
御岳の
奥の
院からここへ越えてきた人々があった。それは、
神主の
長谷川右近を
道案内として
忍剣健在なりや
否や——と一
刻をあらそって、
迎えに見えた一
党の
朋友たちである。