さん)” の例文
常の衣の上に粗𣑥あらたへ汗衫じゆばんを被りたるが、そのさんの上に縫附けたる檸檬リモネからは大いなるぼたんまがへたるなり。肩とくつとには青菜を結びつけたり。
僕は新しいさんを着け、そうして新しいを穿いて、懐中に短刀——鎧通よろいどおしさ、兼定かねさだ鍛えの業物だ、そいつを呑んで轎に乗った。
鴉片を喫む美少年 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
汗はさん(上着)のうえにまでみ出ている。道は暗い。不気味な月がぼやっとあった。一体どれほど馳けて来たろうか。しかもそのうちに大勢の足音もして。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)