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燦
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さん
ふりがな文庫
“
燦
(
さん
)” の例文
驚きの声が、多勢の口を
衝
(
つ
)
いて出ました。井戸の底にあるのは、——
燦
(
さん
)
たる大判小判?——いやそんな生優しいものではありません。
銭形平次捕物控:049 招く骸骨
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
「あれ、あの
煌々
(
こうこう
)
とみゆる将星が、予の宿星である。いま滅前の一
燦
(
さん
)
をまたたいている。見よ、見よ、やがて落ちるであろう……」
三国志:11 五丈原の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
春の寒い
夕
(
ゆうべ
)
、電灯の
燦
(
さん
)
たる光に対して、白く匂いやかなるこの花を見るたびに、K君の忰の魂のゆくえを思わずにはいられない。
二階から
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
人性の
燦
(
さん
)
として輝くところ、そこに幸福があり、悦楽がある。人性の光輝を発揚せしめんとするところ、そこに努力があり、希望がある。
愛と認識との出発
(新字新仮名)
/
倉田百三
(著)
月の光を浴びて身辺
処々
(
ところどころ
)
燦
(
さん
)
たる
照返
(
てりかえし
)
を
見
(
み
)
するのは
釦紐
(
ぼたん
)
か武具の光るのであろう。はてな、
此奴
(
こいつ
)
死骸かな。それとも
負傷者
(
ておい
)
かな?
四日間
(新字新仮名)
/
フセヴォロド・ミハイロヴィチ・ガールシン
(著)
▼ もっと見る
前に言う如く、この夜は、月光
燦
(
さん
)
として鏡の如き宵であったから、敵も味方も、ありありとたがいの面を見ることができる。
大菩薩峠:40 山科の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
これこそは、文明人の特権、近代に寄せられた信篤き敬称、廿世紀の頭上に
燦
(
さん
)
として君臨する、光栄の月桂冠ではないか。
二十歳のエチュード
(新字新仮名)
/
原口統三
(著)
燈光
(
とうくわう
)
燦
(
さん
)
として
眩
(
まば
)
ゆき所、地中海の汐風に吹かれ来しこの友の
美髯
(
びせん
)
、如何に
栄々
(
はえ/″\
)
しくも嬉しげに輝やきしか、我は
実
(
げ
)
になつかしき詩人なりと思ひぬ。
閑天地
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
ここに
燦
(
さん
)
として輝くのは、
旭日
(
あさひ
)
に映る白菊の、清香
芳
(
かん
)
ばしき明治大帝の皇后宮、
美子
(
はるこ
)
陛下のあれせられたことである。
明治美人伝
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
その権威は厳として宇宙に
磅礴
(
ほうはく
)
し、その光輝は
燦
(
さん
)
として天地を照破し、その美徳は
杳
(
よう
)
として万生を薫化しております。
鼻の表現
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
文明を刺激の袋の底に
篩
(
ふる
)
い寄せると博覧会になる。博覧会を鈍き
夜
(
よ
)
の砂に
漉
(
こ
)
せば
燦
(
さん
)
たるイルミネーションになる。
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
ただ人一倍たけが高く、肩に
燦
(
さん
)
と白髪が波打っているのが見て取れた。老人かな? それにしては、ヌッと伸びた腰つきが、そうではないと裏切っている。
剣侠受難
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
それだのに彼はなお
莞爾
(
かんじ
)
として、天の栄光をたたえているのだ、彼の上にはシメオンという教名が、イルミネーションの
如
(
ごと
)
く、空に
燦
(
さん
)
として私の眼を射る。
雲仙岳
(新字新仮名)
/
菊池幽芳
(著)
忽
(
たちま
)
ち壁は開かれて、其の中に
燦
(
さん
)
として一基の真珠塔が輝いて居るではないか。突如佐瀬は
卓上
(
テーブル
)
の花瓶を取って怒れる眼鋭くハッシと許り橋本目がけて投げつけた。
真珠塔の秘密
(新字新仮名)
/
甲賀三郎
(著)
しかもその軍隊が無かったら安寧秩序が保てなかったろうと考えさせられるのだから、この際、御同様、礼讃すべきものはやはり威光
燦
(
さん
)
たるサーベルではあるまいか。
サーベル礼讃
(新字新仮名)
/
佐藤春夫
(著)
野も林も寂として声がない、対岸の灯が蛍火のように明滅する——アルプスの群山は濃い闇に吸いこまれて、空に星は
燦
(
さん
)
として輝いているが、氷の片影すら認め難い。
続スウィス日記(千九百二十三年稿)
(新字新仮名)
/
辻村伊助
(著)
燦
(
さん
)
とした黄金づくりのお顔のこまやかな刻み目にも、もはや古い
埃
(
ほこり
)
がつやをつくって沈んでみえ、筒井は両のたなごころに
据
(
す
)
えてしばらく、じっと拝するがごとく
見恍
(
みほ
)
れた。
津の国人
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
背皮に
黄金
(
おうごん
)
の文字を
刷
(
お
)
した
洋綴
(
ようとじ
)
の
書籍
(
ほん
)
が、ぎしりと並んで、
燦
(
さん
)
として
蒼
(
あお
)
き光を放つ。
貴婦人
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
靜
(
しづ
)
かに
足
(
あし
)
を
淨
(
きよ
)
め
了
(
をは
)
りていざとばかりに
誘
(
いざな
)
はれぬ、
流石
(
さすが
)
なり
商賣
(
しやうばい
)
がら
燦
(
さん
)
として
家内
(
かない
)
を
照
(
て
)
らす
電燈
(
でんとう
)
の
光
(
ひか
)
りに
襤褸
(
つゞれ
)
の
針
(
はり
)
の
目
(
め
)
いちじるく
見
(
み
)
えて
時
(
とき
)
は
今
(
いま
)
極寒
(
ごくかん
)
の
夜
(
よ
)
ともいはず
背
(
そびら
)
に
汗
(
あせ
)
の
流
(
なが
)
るぞ
苦
(
くる
)
しき
別れ霜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
謹んで新年を迎へ奉り併せて高堂の万福を祈上候
燦
(
さん
)
として輝く新春の光に白雪を頂くアルプスの連峰雲上遥に諸賢アルピニストの御健康を祝するが如く仰ぐも荘重の気全身に満るを覚え申候
単独行
(新字新仮名)
/
加藤文太郎
(著)
そしてその手は絶えず卓子の上を
辷
(
すべ
)
って書籍をそっと押し
除
(
の
)
けつつその間に
燦
(
さん
)
として光る短刀に近づいたが、たちまちそれをキッと握りしめた。ドーブレクはあいかわらず熱心に喋り続けている。
水晶の栓
(新字新仮名)
/
モーリス・ルブラン
(著)
八ヶ岳と蓼科山との間に奥穂高、常念、
大天井
(
おてんしょう
)
から鹿島槍、五竜に至る北アルプスの大立物が、銀光
燦
(
さん
)
として遥かの空際を天馬の如く躍っている。籠ノ塔の後には
岩菅
(
いわすげ
)
山らしいものさえも望まれた。
釜沢行
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
人間の悲願
煩悩
(
ぼんのう
)
を一つにこめて、いつ見ても
燦
(
さん
)
たる光を放っている。
つづれ烏羽玉
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
燦
(
さん
)
たる独自の芸術として、誇るべきものを持つのであります。
『お話の木』を主宰するに当たりて宣言す
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
更に鞘より鋭利なる
劔
(
つるぎ
)
を
燦
(
さん
)
と拔き放ち、 190
イーリアス:03 イーリアス
(旧字旧仮名)
/
ホーマー
(著)
燦
(
さん
)
として
音
(
おと
)
なく消えぬ。
邪宗門
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
主人の指した茶箱、簡單に掛つた繩を拂つて開けると、中には千兩箱が三つ、
蓋
(
ふた
)
を開くと、三千枚の小判が、
燦
(
さん
)
として灯の下に光ります。
銭形平次捕物控:065 結納の行方
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
ここにたれよりも百戦の功を
燦
(
さん
)
と身にあつめていたものは新田義貞で、きのう今日の彼は稀世の名将みたいにあつかわれていた。
私本太平記:10 風花帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
雲は墨よりも黒く、金色は
燦
(
さん
)
として輝いている。太陽の光線がどういう反射作用をするのか知らないが、見るところ、まさに描ける龍である。
綺堂むかし語り
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
吾れに従う人々の安息の地を求むべく、
燦
(
さん
)
たる北斗星の光を心あてに、沙漠をうれいさまようた鼻がありました。
鼻の表現
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
燦
(
さん
)
たる
金剛石
(
ダイヤモンド
)
がぎらりと痛く、小野さんの眼に飛び込んで来る。小野さんは
竹箆
(
しっぺい
)
でぴしゃりと
頬辺
(
ほおぺた
)
を
叩
(
たた
)
かれた。同時に頭の底で見られたと云う音がする。
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
かくして帰還した川上夫妻の胸には、仏蘭西の芸術家が重く見るオフシェ・ダカジメ三等勲章が
燦
(
さん
)
としていた。
マダム貞奴
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
勇美子はこういって、
猶予
(
ためら
)
って
四辺
(
あたり
)
を見たが、手をその頬の
辺
(
あたり
)
へ
齎
(
もた
)
らして唇を指に触れて、
嫣然
(
えんぜん
)
として
微笑
(
ほほえ
)
むと
斉
(
ひと
)
しく、
指環
(
ゆびわ
)
を抜き取った。玉の透通って
紅
(
あか
)
い、
金色
(
こんじき
)
の
燦
(
さん
)
たるのをつッと出して
黒百合
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
改札口を出て先ず仰ぐ南方の天には、
羅馬
(
ローマ
)
の滅亡を予知して色を変じたといわれている
天狼星
(
シリウス
)
の閃光が、叢の奥から覗いている狼の目玉のように凄い。其上にはオリオン星座が
燦
(
さん
)
として輝いている。
奥秩父の山旅日記
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
主人の指した茶箱、簡単に掛った縄を払って開けると、中には千両箱が三つ、
蓋
(
ふた
)
を開くと、三千枚の小判が、
燦
(
さん
)
として
灯
(
ひ
)
の下に光ります。
銭形平次捕物控:065 結納の行方
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
いずれにせよ、
彫梁
(
ちょうりょう
)
の美、
華棟
(
かとう
)
の
妍
(
けん
)
、
碧瓦
(
へきが
)
の
燦
(
さん
)
、
金磚
(
きんせん
)
の麗、目も
綾
(
あや
)
なすばかりである。豪奢雄大、この世に
譬
(
たと
)
えるものもない。
三国志:12 篇外余録
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
ただの夢ではない。
糢糊
(
もこ
)
たる夢の大いなるうちに、
燦
(
さん
)
たる一点の
妖星
(
ようせい
)
が、死ぬるまで我を見よと、紫色の、
眉
(
まゆ
)
近く
逼
(
せま
)
るのである。女は紫色の着物を着ている。
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
斯
(
こ
)
う云いながら、巡査は無闇に松明を
振廻
(
ふりまわ
)
すと、火の光は
偶中
(
まぐれあた
)
りに岩蔭へ落ちて、
燦
(
さん
)
たる
金色
(
こんじき
)
の星の如きものが
暗
(
やみ
)
に
浮
(
うか
)
んだ。が、あれと云う間に又
朦朧
(
もうろう
)
と消えて
了
(
しま
)
った。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
と、油断を
戒
(
いまし
)
め合う一部もあった。事実、信長の見まわしている天地の一方に、謙信の存在はなお
北斗
(
ほくと
)
のような
光芒
(
こうぼう
)
を
燦
(
さん
)
として持っていた。
新書太閤記:05 第五分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
其處には、八五郎に頼まれて、若い手代の金之助が一人、部屋の中に取り降したボロ片の中に、
燦
(
さん
)
として輝く小判の小山を見張つてゐるのでした。
銭形平次捕物控:311 鬼女
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
どうしても
堪
(
た
)
えられぬと云う一念の結晶して、
燦
(
さん
)
として
白日
(
はくじつ
)
を射返すものである。
草枕
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
然らば、たとい鳶がいずこの果てへ追いやられても、あるいはその種族が絶滅に
瀕
(
ひん
)
しても、その雄姿は
燦
(
さん
)
として永久に輝いているのである。鳶よ、憂うる
勿
(
なか
)
れ、悲しむ勿れと云いたくもなる。
綺堂むかし語り
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
燦
(
さん
)
として、二人の具足や太刀金具が光を放つ。それにつけて満身の雪も
滴々
(
てきてき
)
としずくして落ちた。いや二人の涙はそれにまさるものがあった。
源頼朝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
は『御藥草』と書いた御用の
唐櫃
(
からびつ
)
、力任せに
蓋
(
ふた
)
をハネると、中から
燦
(
さん
)
として
金色
(
こんじき
)
無垢
(
むく
)
の
處女
(
をとめ
)
の姿が現はれます。
銭形平次捕物控:001 金色の処女
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
上は
大穹窿
(
おおまるがた
)
の
天井
(
てんじょう
)
で
極彩色
(
ごくさいしき
)
の濃く眼に
応
(
こた
)
える中に、
鮮
(
あざや
)
かな
金箔
(
きんぱく
)
が、胸を
躍
(
おど
)
らすほどに、
燦
(
さん
)
として輝いた。自分は前を見た。前は
手欄
(
てすり
)
で尽きている。手欄の外には
何
(
な
)
にもない。大きな穴である。
永日小品
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
と枯れ草の根をつかみ、
滅前
(
めつぜん
)
の一
燦
(
さん
)
ともいうべき断末苦を、ピクリ、ピクリ、と四肢の先に脈うたせているばかり
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
畳の上へ飛散ったのは、
燦
(
さん
)
たる山吹色。かき集めると、小判でちょうど三十枚あるではありませんか。
銭形平次捕物控:036 八人芸の女
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
女は
燦
(
さん
)
たるものを、細き肉に
戴
(
いただ
)
いている。
野分
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
燦
(
さん
)
として、朝空に誇っている
馬印
(
うまじるし
)
の一つは、明らかに、敵方の将校、木下藤吉郎の陣地を証明しているものだった。
新書太閤記:04 第四分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
受取って見ると、まさに小判で五十両、紙包は少し破れましたが、
燦
(
さん
)
として山吹色に輝きます。
銭形平次捕物控:142 権八の罪
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
“燦”の解説
『燦』(さん)は、あさのあつこによる日本の時代小説のシリーズ。文春文庫より書き下ろしで刊行される。
(出典:Wikipedia)
燦
漢検準1級
部首:⽕
17画
“燦”を含む語句
燦然
燦爛
金色燦爛
燦々
燦光
金色燦然
燦燗
金光燦爛
甲鎧燦爛
一燦
燦燦
燦鬱
金簾燦風
金鱗燦
金碧燦爛
閃々燦々
金碧燦然
鮮紅燦々
金毛燦然
豪華燦爛
...