さん)” の例文
とおさんどんが案内に連れられ、奥へ参りますと、晋齋は四畳半の茶座敷で庭をながめて、勝五郎の参るのを待って入っしゃるところでございますから
おかん 尻つ尾をふつて來るどころか、あたしなんぞはこんな家へ來て、女房の役からおさんどんの役まで勤めてゐるんぢやあないか。それでも可愛くないのかよ。
権三と助十 (旧字旧仮名) / 岡本綺堂(著)
台所のおさんどんまで時間制を高唱して労働運動に参加しようとする今日の思潮は世間の大勢で如何ともする事が出来ないのを、官僚も民間も切支丹破天連の如く呪咀じゅそして
朝夕さんかしぐ米、よしや一年を流し元に捨てたればとて、それ眼立つべき内証にもあらず。
移民学園 (新字旧仮名) / 清水紫琴(著)
『アヽ姉さんとこに一生おさんどんをして居たらいでせうけれどね……。』
絶望 (旧字旧仮名) / 徳田秋声(著)
示しがつかないでございましょうとおさんどんでさえいうのだ。
六十のおばアさんまでが牛に牽かれて善光寺詣りで娘と一緒にダンスの稽古に出掛け、おさんどんまでが夜業よなべ雑巾刺ぞうきんさしめにして坊ちゃんやお嬢さんを先生に「イット、イズ、エ、ドッグ」を初めた。
さんは台所で、夕飯の後始末をしていた。
足迹 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)