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棧
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さん
ふりがな文庫
“
棧
(
さん
)” の例文
新字:
桟
「父は掃除がやかましくて、障子の
棧
(
さん
)
や、
長押
(
なげし
)
の上を一々指で撫でて見る人でした。現に昨日もその欄間をよく
掃除
(
さうぢ
)
させたばかりで」
銭形平次捕物控:175 子守唄
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「さう? でも
宅
(
うち
)
ぢや
小供
(
こども
)
がないから、
夫程
(
それほど
)
でもなくつてよ」と
答
(
こた
)
へた
御米
(
およね
)
は
糊
(
のり
)
を
含
(
ふく
)
ました
刷毛
(
はけ
)
を
取
(
と
)
つてとん/\とんと
棧
(
さん
)
の
上
(
うへ
)
を
渡
(
わた
)
した。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
ところが支倉君、その場所というのは、窓が開いている部分ではないのだよ。あの当時
棧
(
さん
)
を水平にしたままで、
鎧扉
(
よろいど
)
が半開きになっていたのを
黒死館殺人事件
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
東屋氏は一層乗気になってヨットの床を調べはじめたが、やがて今度は狭い
棧
(
さん
)
の間から、硝子瓶の
缺
(
かけ
)
らしいものを拾い上げて私に見せた。で私は
死の快走船
(新字新仮名)
/
大阪圭吉
(著)
カタ/\/\カタ、さーツ、さーツ、ぐわう/\と
吹
(
ふ
)
くなかに——
見
(
み
)
る/\うちに
障子
(
しやうじ
)
の
棧
(
さん
)
がパツ/\と
白
(
しろ
)
く
成
(
な
)
ります、
雨戸
(
あまど
)
の
隙
(
すき
)
へ
鳥
(
とり
)
の
嘴程
(
くちばしほど
)
吹込
(
ふきこ
)
む
雪
(
ゆき
)
です。
雪霊続記
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
▼ もっと見る
風呂場、
不浄
(
ふじょう
)
、水口、縁先等、いま一度、戸締りを見ろ。
掛金
(
かけがね
)
、
棧
(
さん
)
、その他に異常なきやを確めるのだ。
魔像:新版大岡政談
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
その時、小屋の
棧
(
さん
)
の隙間をとおして鋭い電燈の光が射し込んだ。雄鳩は雌の白い姿を認めた。棲り木から首をのばし彼はそっと
嘴
(
くちばし
)
で何故か自分の側にいぬ妻を突ついた。
白い翼
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
障子には
棧
(
さん
)
はあるが、棧は棧でも女郎屋の
格子
(
こうし
)
たア違いますぜ。それをいうんだ。それを!
右門捕物帖:37 血の降るへや
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
「ではいつもは、毎晩おやすみになる前に
扉
(
ドア
)
に
棧
(
さん
)
をお
下
(
おろ
)
しになりませんのですね?」
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
果して内儀さんは翌日から圭一郎等に一言も口を利かなかつた。千登世が階下へ用達しに下りて行くと
棧
(
さん
)
も
毀
(
こは
)
れよとばかり手荒く障子を閉めて家鳴りのするやうな故意の咳拂ひをした。
崖の下
(旧字旧仮名)
/
嘉村礒多
(著)
越後の中部ではこの日の行事に、米の粉を練って
小狗
(
こいぬ
)
の形をこしらえて戸の
棧
(
さん
)
に飾り、または十二支の形を作り
鴨居
(
かもい
)
長押
(
なげし
)
に引掛ける習わしがあり、犬の子正月の名はこれに基づいている。
年中行事覚書
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
今ごろは多分、古い天井の
棧
(
さん
)
に一方の手をかけたまま、もう一方の手で新しい天井の棧に飛びついていることだろう。苦しい芸当さ。はたから見ていると、みじめでもあり、気の毒でもある。
次郎物語:04 第四部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
「いや、殺しは宵だ、血があんなに固まつて、戸の
棧
(
さん
)
にさへ附かない程だ。それに夜が明けちや、八千兩の金を運び出す工夫はない」
銭形平次捕物控:156 八千両異変
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
海に面して大きく開いている
棧
(
さん
)
のはまった丸窓の横には、立派な
書架
(
しょだな
)
が据えられ、ギッシリ書物が詰っている。総じて渋い装幀の学術的なものが多い。
死の快走船
(新字新仮名)
/
大阪圭吉
(著)
彼
(
かれ
)
は
赤
(
あか
)
い
手
(
て
)
を
無言
(
むごん
)
の
儘
(
まゝ
)
働
(
はた
)
らかしながら、
馬尻
(
ばけつ
)
の
中
(
なか
)
で
雜巾
(
ざふきん
)
を
絞
(
しぼ
)
つて
障子
(
しやうじ
)
の
棧
(
さん
)
を
拭
(
ふ
)
き
出
(
だ
)
した。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
次第
(
しだい
)
に、
床
(
とこ
)
の
間
(
ま
)
の
柱
(
はしら
)
、
天井裏
(
てんじやううら
)
、
鴨居
(
かもゐ
)
、
障子
(
しやうじ
)
の
棧
(
さん
)
、
疊
(
たゝみ
)
のへり。
三人の盲の話
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
「私は部屋の扉に
棧
(
さん
)
を
下
(
おろ
)
しましたわ。」
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
何處からでも入れるのに、わざとお勝手口の戸をコジ開け
棧
(
さん
)
をこはして入つた、
尤
(
もつと
)
も輪鍵は宵のうちに内から外して置いたのだらう。
銭形平次捕物控:170 百足屋殺し
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
夫
(
それ
)
は板の上へ細い
棧
(
さん
)
を十文字に渡した
洒落
(
しやれ
)
たもので、小使が毎朝拭掃除をするときには、下から鍵を持つて來て、一々此戸を開けて行くのが例になつてゐた。自分は立つて敷居の上に立つた。
変な音
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
今迄私は度々
棧
(
さん
)
を
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
又掛け合ひ
噺
(
ばなし
)
になる。——默つて聽け。痣の熊吉は雨戸を外したり、
棧
(
さん
)
を切り取つたり、かなり器用なことをして忍び込むやうだ。
銭形平次捕物控:124 唖娘
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
見廻ります、——私が出たのは、奧の六疊の前の縁側ですが、雨戸は上下の
棧
(
さん
)
もおり、その上心張棒までしつかり掛つてをりました
銭形平次捕物控:210 飛ぶ女
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
八五郎は椽側の中へ入ると、雨戸を念入りに締めた上、上下の
棧
(
さん
)
をおろして、もう一つ側にあつた心張棒まで當ててしまひました。
銭形平次捕物控:225 女護の島異変
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「へエ——、まア、さう言つたわけで、外の大扉には
海老錠
(
ゑびぢやう
)
がおりて居りますから、中の二つの戸の
棧
(
さん
)
は内からでも開けられますが——」
銭形平次捕物控:154 凧の詭計
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
お勝手の敷居がひどく
腐
(
くさ
)
つて居る上、
鑿
(
のみ
)
か何にかでコジ開けられたらしく、戸は外れたまゝで、
棧
(
さん
)
などはひどく痛んで居ります。
銭形平次捕物控:170 百足屋殺し
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
仲間の者に八千兩の小判を持出させて、内から
潜戸
(
くゞり
)
を閉めて置けるのもあの女だ。雨戸は外から締めただけでも、下の
棧
(
さん
)
がひとりでおりる
銭形平次捕物控:156 八千両異変
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
入口の
樫
(
かし
)
の大戸には嚴重な鐵の
棧
(
さん
)
がおりるやうになつてをりますが、それは藏の中にお喜代といふ者がゐるので、上げたまゝになつてをり
銭形平次捕物控:231 鍵の穴
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「
棧
(
さん
)
が
澁
(
しぶ
)
くて、暫らくガヂヤガチヤやつてゐたやうですから間違ひは御座いません。——何んでしたら、お仲を呼びませうか」
銭形平次捕物控:130 仏敵
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「こいつを
外
(
はづ
)
すのは骨が折れました。後で家の中へ入つて見ると、念入りに
棧
(
さん
)
をおろした上、心張棒まで掛けてあつたんです」
銭形平次捕物控:182 尼が紅
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
近づいた平次、粗末な三尺の木戸を押して見ましたが、中から
棧
(
さん
)
がおりて居ると見えて、力づくでは開きさうもありません。
銭形平次捕物控:042 庚申横町
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「へエー、内から
棧
(
さん
)
をおろしてある筈ですが、不思議に雨戸が一枚開いてゐたさうです。戸を閉め忘れるなどといふことのない御主人ですが」
銭形平次捕物控:105 刑場の花嫁
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「變りはございませんでした。縁側の雨戸の
棧
(
さん
)
も落ちて居りましたし、お勝手も、入口も何んの異状もなかつたと存じます」
銭形平次捕物控:203 死人の手紙
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
可哀想に布團で蒸し殺してそつと谷中へ歸つたのさ、
尤
(
もつと
)
も雨戸は閉めたが外から
棧
(
さん
)
を下ろしたり輪鍵をかける工夫はなかつた
銭形平次捕物控:169 櫛の文字
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「夜中にそつと忍んで來て、主人を殺した上、何にかうまい工夫で障子を締め、外から
棧
(
さん
)
をおろして、そつと引揚げたかも知れないぢやないか」
銭形平次捕物控:130 仏敵
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「少しも變つたところもございませんでした。
棧
(
さん
)
をおろして、輪鍵をかけて、その上場所によつて
閂
(
かんぬき
)
を差して居ります」
銭形平次捕物控:179 お登世の恋人
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
戸は閉つて下の
棧
(
さん
)
がおりて外からは開かないやうになつて居りましたが、上の棧が上つたまゝきかなくなつて居りました、そんな筈は無いのですが
銭形平次捕物控:277 和蘭の銀貨
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
上下の
棧
(
さん
)
は、落ちてゐなかつたかも知れないが、この頑丈な鐵の輪鍵は、夜になると、いつでも掛けて置くものらしい。
銭形平次捕物控:314 美少年国
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
部屋の中は少しの取亂した樣子もなく、雨戸も
明
(
あきら
)
かに内から開けたもので、敷居にも
棧
(
さん
)
にも、何んの傷もありません。
銭形平次捕物控:217 歎きの幽沢
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
瀧縞
(
たきじま
)
の光線が漏るやうなことはなく、そのうへ一枚々々
印籠
(
いんろう
)
ばめになつて、
棧
(
さん
)
がおりた上に輪鍵をかけてしまへば、外からは簡單に開けられません。
銭形平次捕物控:314 美少年国
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
貸金の抵當に取つた不動樣とたつた二人、戸にも障子にも嚴重に
棧
(
さん
)
をおろして、中でそつと殺されてゐたんですぜ。
銭形平次捕物控:130 仏敵
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
泥棒の入つたのは、南の縁側、僅かばかりの隙から
鋸
(
のこぎり
)
を入れて、かなり大きい穴を二つまで開けた上、
輪鍵
(
わかぎ
)
も
棧
(
さん
)
も易々と外したことはよくわかります。
銭形平次捕物控:014 たぬき囃子
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「閉つて居りました。私が開けたのですから間違ひ御座いません。——閉つては居りましたが、上下の
棧
(
さん
)
も下りず、輪鍵も掛つては居りませんでした」
銭形平次捕物控:169 櫛の文字
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
八五郎も板戸に手を掛けましたが、これは思ひの外嚴重で、
引手
(
ひきて
)
も
棧
(
さん
)
もなく、力のほどこしやうもありません。
銭形平次捕物控:282 密室
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
雨戸の
棧
(
さん
)
が敷居の穴の血にこびり附いては居なかつたぜ。——棧は穴の中の血の乾いた上へそつと落ちて居た。
銭形平次捕物控:156 八千両異変
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「洗濯物を風呂場へ持込むのに、戸に
棧
(
さん
)
をおろすのはどういふわけだ。宜い加減なことをいふと承知しないよ」
銭形平次捕物控:159 お此お糸
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
鈴川主水は、さり氣なく、二度の凶變に
備
(
そな
)
へさせました。
棧
(
さん
)
の左右に開けられた穴を
塞
(
ふさ
)
ぎ、このうへ妙な仕構けはさせないやうにして置きたかつたのです。
銭形平次捕物控:314 美少年国
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
格子戸と
樫
(
かし
)
の板戸と
漆喰
(
しつくひ
)
の大扉と三重になつて、中の二枚の戸はそれ/″\の
棧
(
さん
)
がひとりでおりますが、一番外の大扉のは
海老錠
(
ゑびぢやう
)
で、その鍵は別にあります。
銭形平次捕物控:154 凧の詭計
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
北窓——三尺四方ほどの小窓は閉したまゝですが、これは上の
棧
(
さん
)
が馬鹿になつて居る上、下の棧もアヤフヤで
鑿
(
のみ
)
が一梃あれば、素人でも樂に雨戸を外されます。
銭形平次捕物控:205 権三は泣く
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
勘兵衞は夢中になつて
絡
(
から
)
みつくお關を振りもぎる樣に焔の來る方とは反對の、北向きの腰高窓に飛び付き、障子を開けて雨戸の
棧
(
さん
)
を上げましたが、どうしたことか
銭形平次捕物控:215 妾の貞操
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「さうとも言へませんよ。戸締りは嚴重なやうだが、雨戸の
棧
(
さん
)
に細工がしてあつて、内では締めたつもりでも、外から何んの造作もなく開くやうになつて居るから」
銭形平次捕物控:305 美しき獲物
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
棧
部首:⽊
12画
“棧”を含む語句
棧敷
棧橋
唐棧
棧道
棧留
棧敷席
黒棧腰高
蔦葛木曾棧
糧棧
立棧
横棧
棧径
棧俵法師
棧俵
星棧
小棧
唐棧格子
唐棧揃