“漆喰”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
しっくい79.6%
しつくひ12.6%
しっく2.9%
たゝき1.0%
じっくい1.0%
たたき1.0%
コンクリイト1.0%
スタッコ1.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
漆喰しっくいの割目から生え伸びているほどで、屋根は傾き塗料は剥げ、雨樋あまどいは壊れ落ちて、蛇腹じゃばらや破風は、海燕の巣で一面に覆われていた。
潜航艇「鷹の城」 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
漆喰しつくひの重々しい扉は、頑固に閉ぢてあり、その上窓の直ぐ下には、石や木材が轉がつて居て、人間が近づけさうもありません。
銭形平次捕物控:260 女臼 (旧字旧仮名) / 野村胡堂(著)
人間わざではない。別に足場とてもない漆喰しっくいの円柱だ。それを彼は一匹のねこのすばやさで、みるみる天井へと姿を消してしまった。
人間豹 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
「こんなに洋服なんかに着換へるのは厄介だけど、私はあの銀座の通りなぞの漆喰たゝきになつてるやうなところを靴でさつさと歩くのが好きだものだから。」
桑の実 (新字旧仮名) / 鈴木三重吉(著)
と腰障子を開けるとやっと畳は五畳ばかり敷いてあって、一間いっけん戸棚とだながあって、壁とへッついは余り漆喰じっくいで繕って、商売手だけに綺麗に磨いてあります。
業平文治漂流奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
入口が漆喰たたきで、いきなり三畳。次が、五畳半に八畳六畳という妙な間取り。その奥が勝手になって、裏口から露路へ出られるようになっている。
顎十郎捕物帳:06 三人目 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
かれは漆喰コンクリイトの冷却したやうすがかれをいやな感じの色に、引きもどして來るのを感じた。
(旧字旧仮名) / 室生犀星(著)
天井のアメリカの漆喰スタッコに生臭い味噌汁の湯気を吹きつけるころ、破れ褞袍を前ひろげに着た石田氏が、寝起きの悪い蒼ざめた顔で起きてきて、毛のない瘠せ脛でチャブ台をひっ挾み
我が家の楽園 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)