さん)” の例文
高蔵人の膝から抱き起こすように、男を引き寄せて、頬と頬を、娘の涙はさん々として、手負の唇を濡らします。
玉涙、さんとして、頬をながれ、嗚咽おえつする朝臣の声とともに、しばしそこは雨しげき暮秋の池のようであった。
三国志:10 出師の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
市十郎は、首を垂れ、さんとして、涙の流るるにまかせたまま、両手をかたく膝についていた。
大岡越前 (新字新仮名) / 吉川英治(著)