さん)” の例文
それからその死骸を丸裸体はだかにして肢体を整え、香華こうげさん神符しんぷを焼き、屍鬼しきはらい去った呉青秀は、やがて紙をべ、丹青たんせいを按配しつつ、畢生ひっせいの心血を注いで極彩色の写生を始めた
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
呉青秀はその中を踏みわけて、自分のへやに来て見るには見たものの、サテどうしていいかわからない。妻の姿はおろかからすの影さえ動かず。錦繍きんしゅう帳裡ちょうり枯葉こようさんず。珊瑚さんご枕頭ちんとう呼べども応えずだ。
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)