“撒散”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
まきちら60.0%
まきち40.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
人が立騒いで邪魔したら、撒散まきちらかいて払い退きょうと、お前に預けた、金貨銀貨が、その懐中ふところ沢山たんとある。
南地心中 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
あの貰った莨を一口吸った時から、心臓が咽喉につかえ、体は押潰されるようにテーブルの上に前倒のめって、四辺あたりは黝く霞み、例えようもない苦痛が、全身に激しいカッタルサを撒散まきちらながら駈廻った。
孤独 (新字新仮名) / 蘭郁二郎(著)
並んだ小屋は軒別に、声を振立て、手足を揉上もみあげ、躍りかかって、大砲の音で色花火を撒散まきちらすがごとき鳴物まじりに人を呼ぶのに。
革鞄の怪 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
ところで、姫様ひいさまのお乳母どの、湯尾峠ゆのおとうげ万年姥まんねんうばが、それがしへ内意==降らぬ雨なら降るまでは降らぬ、向後汚いものなど撒散まきちらすにおいてはその分に置かぬ==と里へ出て触れい、とある。
夜叉ヶ池 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)