財産ざいさん)” の例文
いえうぢやないのです。』ミハイル、アウエリヤヌヰチはさら云直いひなほす。『の、きみ財産ざいさん總計そうけい何位どのくらゐふのをうかゞうのさ。』
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
「あいつはおれ財産ざいさん惹着ひきつけられてゐるんだ。」大久保おほくぼはいつかさうつてゐたけれど、竹村たけむらには其意味そのいみ全然ぜんぜん不可解ふかかいであつた。
彼女の周囲 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
お父さんがなくなる時、兄弟二人に、財産ざいさんを半分ずつに分けてくれましたので、二人は、同じような財産を持っておりました。
それからというものは、りっぱないえも、ひろ屋敷やしきも、ありあまるほどの財産ざいさんも、二人ふたりこころたすことはできませんでした。
星の子 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「さて、いよいよ、あなたさまのおうけつぎになった財産ざいさんをごらんになるときがまいりました。お父上ちちうえさまのおしろをご案内あんないいたしましょう。」
ふと思いついて、わたしは自分の財産ざいさんをマチアに見せようと思った。カバンのふたを開けて、わしは草の上に財産を広げた。
親ゆずりの財産ざいさんに、ぬくぬくあたたまっているよりも、若いものは、自分の智恵ちえと、うでを、もとでにするにかぎります。
二三の事例じれいを見ると、随分親は子供のことを考えるものらしい。将来の方針ほうしんのことから、嫁さんや住宅や財産ざいさんのことまでも考えるもののようだ。
親は眺めて考えている (新字新仮名) / 金森徳次郎(著)
しか宗助そうすけ邸宅やしきつてまうけたとはれては心持こゝろもちわるいから、これ小六ころく名義めいぎ保管ほくわんしていて、小六ころく財産ざいさんにしてる。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
後見人の位置や、この遠州屋の財産ざいさんを狙つての細工とすれば、よしや六郎が連れ出したにしても、徳太郎を殺すやうな事は萬に一つもないでせう。
いま社會しやくわいは一回轉くわいてんした。各個人かくこじん極端きよくたん生命せいめいおもんじ財産ざいさんたつとぶ、都市としは十ぶん發達はつたつして、魁偉くわいゐなる建築けんちく公衆こうしゆ威嚇ゐかくする。科學くわがくつき進歩しんぽする。
日本建築の発達と地震 (旧字旧仮名) / 伊東忠太(著)
僕は長男にして家には財産ざいさんと申すは少しばかりより無之これなきに候う。親は僕に待っていること少なからざるべく候う。
廃める (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
貧乏びんばふ所帶しよたいであれば彼等かれらいく少量せうりやうでも不足ふそくをいはぬ。しか多少たせう財産ざいさんいうしてると彼等かれらみとめてうちでそれををしめば彼等かれら不平ふへいうつたへてまぬ。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
日本につぽんける地震學ぢしんがくのこれまでの發達はつたつおも人命じんめい財産ざいさんかんする方面ほうめん研究けんきゆうであつた。しかるに最近さいきん二十年にじゆうねんあひだ歐米おうべいける地震學ぢしんがく方面ほうめん發達はつたつした。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
そして容貌ようぼうもけっして最上の美人ということはできない。その他素性すじょうの点からいっても財産ざいさんの点からいっても、あの女はお前の未来の妻にはふさわしくない。
おしどり (新字新仮名) / 新美南吉(著)
さしも大金持だった商人が、ふとしたつまづきで、いっぺんに財産ざいさんをなくしてしまい、のこったものは、いなかのささやかな住居すまいばかりということになりました。
さア、財産ざいさんをどう処分しょぶんしていやがつたか、そいつはわたしにやわかりませんや。が、ともかくたいへんなおやじでした。こないだ、ひよつくりきましてね。わたし利息りそくがたまつている。
金魚は死んでいた (新字新仮名) / 大下宇陀児(著)
しかるうちに少々せう/\なりともやかましき財産ざいさんなどのれば、みす/\他人たにんなるれにひきわたすことをしくもるべく、また縁者ゑんじやうちなるよくばりどもたゞにはあらで運動うんだうすることたしかなり
ゆく雲 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
まつた水泡すいほうしたとおもはれたので、いまは、その愛兒あいじをばくにさゝぐること出來できかはりに、せめては一艘いつそう軍艦ぐんかん獻納けんなうして、くにつく日頃ひごろこゝろざしげんものと、その財産ざいさん一半いつぱんき、三年さんねん日月じつげつ
加之それに自分の分としては財産ざいさんも幾分別になツて、生活の安全も保證ほしようされてあるから、夫人に取ツては、何方がツてもけてもカラ平氣だ。そこでらざるおせツかいをせぬ事としてまし返ツてゐた。
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
いえ、そうじゃないのです。』ミハイル、アウエリヤヌイチはさら云直いいなおす。『その、きみ財産ざいさん総計そうけい何位どのくらいうのをうかがうのさ。』
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
あには、一つ、二つとかぞえました。しまいには、ゆびつかれ、つかれましたけれど、我慢がまんをして、「財産ざいさんがもらえるのだ。」とおもって、かぞえました。
星と柱を数えたら (新字新仮名) / 小川未明(著)
それからまた、らくらくとこの財産ざいさんをつくり上げたと思っても、いけませんよ。これまでになるには、何年も何年も、全く命がけでかせいだからなんです。
どうかしておっと財産ざいさんのこらず自分じぶんむすめにやりたいものだが、それには、このおとこ邪魔じゃまになる、というようなかんがえが、始終しじゅうおんなこころをはなれませんでした。
いまでは自分があいし愛される母親や兄弟があるだけではない、その国で名誉めいよのある先祖せんぞ名跡みょうせきをついで、ばくだいな財産ざいさん相続そうぞくする身の上になったのである。
すえのむすこは、こんなつまらない財産ざいさんを分けてもらったので、すっかりしょげかえってしまいました。
すなは人命じんめい損失そんしつ實際じつさい幾倍いくばいし、財産ざいさん損失そんしつ幾十倍いくじゆうばいにもおよんだであらう。じつにその村民そんみん行動こうどう震災しんさいたいしてわれ/\の理想りそうとするところ實行じつこうしたものといへる。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
だい一は、國民こくみん眞劍しんけん生命せいめい財産ざいさん尊重そんてうするにいたることである。生命せいめい毫毛こうもうよりもかろんじ、財産ざいさん塵芥ぢんかいよりもけがらはしとする時代じだいにおいては、地震ぢしんなどは問題もんだいでない。
日本建築の発達と地震 (旧字旧仮名) / 伊東忠太(著)
佐伯さへきから電報でんぱうつて、ひさりに出京しゆつきやうした宗助そうすけは、葬式さうしきましたうへうち始末しまつをつけやうおもつて段々だん/\調しらべてると、るとおもつた財産ざいさん案外あんぐわいすくなくつて
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
金魚屋きんぎょや申立もうしたちゅうにあつた老人ろうじん財産ざいさんについてのはなしと、平松刑事ひらまつけいじ地金屋ぢがねやから聞込ききこみとをらしあわせてみて、だれむねにもピーンとひびくものがあつた。いこんだ金塊きんかい古小判ふるこばんである。
金魚は死んでいた (新字新仮名) / 大下宇陀児(著)
おまえは、そとあるくことがきらいだから、よるになったら、そらほしかずかぞえてみれ。えるのだけ、いくつあるか、てたなら財産ざいさんけてやる。
星と柱を数えたら (新字新仮名) / 小川未明(著)
日本にほん國民こくみんしん生命せいめいたふときをり、財産ざいさんおもんずべきをつたのは、ツイちかごろのことである。
日本建築の発達と地震 (旧字旧仮名) / 伊東忠太(著)
むかしむかし、ハツカネズミと小鳥ことりちょうづめがなかまになって、一家いっかをもちました。長いあいだ、みんなはいいぐあいになかよくくらして、財産ざいさんもだいぶこしらえました。
したがつて人命じんめい財産ざいさん損失そんしつからるとき、これ問題もんだいかんがへにれなくとも差支さしつかへないであらう。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
そうなるとあとつぎの子どもがないので、この人がにいさんの財産ざいさん相続そうぞくするつもりでいた。
もともと、びんぼうでしたから、死んだあとで、こどもたちに分けてやる財産ざいさんといっては、粉ひき臼をまわす風車ふうしゃと、ろばと、それから、ねこ一ぴきだけしかありませんでした。
小六ころく名義めいぎ保管ほくわんされべき財産ざいさんは、不幸ふかうにして、叔父をぢ手腕しゆわんで、すぐ神田かんだにぎやかな表通おもてどほりの家屋かをく變形へんけいした。さうして、まだ保險ほけんけないうちに、火事くわじけて仕舞しまつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
貴方あなた何位どのくらゐ財産ざいさんをお所有ちですか?』
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
しかし、地中ちちゅう秘密ひみつや、人間にんげん運命うんめいは、ひっきょう、だれにもわかるものでありません。一ねんとたたぬうちに、金持かねもちは、財産ざいさんつかいはたしてしまいました。
『だがアーサがこのうえ生きようとは思えない。それができれば奇跡きせきというものだ。おれは奇跡を心配しない。あれが死ねば、あの財産ざいさん相続人そうぞくにんはおれのほかにはないのだ』
さて、青ひげには、あとつぎの子がありませんでしたから、その財産ざいさんはのこらず、奥がたのものになりました。奥がたはそれを、ねえさまやにいさまたちに分けてあげました。
青ひげ (新字新仮名) / シャルル・ペロー(著)
「こんど生まれる子どもが、もし女の子だったら、十二人の男の子はみんなころしてしまおう。そして、その女の子の財産ざいさんがたくさんになって、この国がその子ひとりだけのものになるようにしてやろう。」
貴方あなた何位どのくらい財産ざいさんをお所有ちですか?』
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
小作人こさくにんには、やかましく年貢ねんぐてるし、それでもりないので、鉱山こうざんや、相場そうばでもうけようとして、かえって、すっかり財産ざいさんくしてしまい、いえも、土地とち
武ちゃんと昔話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
その子が死んだ場合には、ジェイムズ・ミリガン財産ざいさん相続そうぞくすることになるであろう。
おまえは、毎日まいにち出歩であるくことがきだから、このむらはずれから十あちらのまちるまで、電信柱でんしんばしらかず幾本いくほんあるか、かぞえてみれ。それをてたら財産ざいさんけてやる。
星と柱を数えたら (新字新仮名) / 小川未明(著)
むかしあかぼうは、おおきくなって、いまでは、いい若者わかものとなりました。父親ちちおやは、財産ざいさんのこしてくなりました。そのあとで、若者わかものは、父親ちちおや仕事しごとをついで、よくはたらいていました。
塩を載せた船 (新字新仮名) / 小川未明(著)
はたらいて、ためましたかねも、またうち財産ざいさんもやるものがないのでかなしくおもっています。もしあなたのおうちむすめさんをもらうことができましたら、どんなにうれしいかわかりません。
二番めの娘 (新字新仮名) / 小川未明(著)
仕事しごとはみな奉公人ほうこうにんがしてくれるし、かね銀行ぎんこうあずけておけば、利子りしがついて、ますます財産ざいさんえるというものだ。もうこんなくわなどを使つかうことはあるまい。まったく不要ふようなものだ。
くわの怒った話 (新字新仮名) / 小川未明(著)