まつり)” の例文
呂宋兵衛の部下なるがゆえに、ことわりなしにまつりをもよおした神主かんぬしをこらしめるとか、かけ合うとか、ほざいていたではないか。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
で、三浦家みうらけではいつも社殿しゃでん修理しゅうりそのこころをくばり、またまつりでももよおされる場合ばあいには、かなら使者ししゃてて幣帛へいはくささげました。
氏神うぢがみ祭禮さいれいは、四五月頃しごぐわつごろと、九十月頃くじふぐわつごろと、春秋しゆんじう二度にどづゝあり、小兒こども大喜おほよろこびなり。あきまつりはうにぎはし。祇園囃子ぎをんばやし獅子ししなどづるはみなあきまつりなり。
寸情風土記 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
その途中とちゅうにある本村の氏神さまへは、毎年のまつりに、歩いたり、船にのったりしてゆくのだが、そこから先がどのくらいなのか、だれも知らない。
二十四の瞳 (新字新仮名) / 壺井栄(著)
といってちょっとポケットから椰子やしの実をのぞかしてむこうへ行った。多分たぶんモンマルトルのまつり射的しゃてきででも当てたのだろう。
売春婦リゼット (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
洪武十七年、やまいを得て死するや、太祖親しく文をつくりてまつりを致し、岐陽王きようおうに追封し、武靖ぶせいおくりなし、太廟たいびょう配享はいきょうしたり。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
たなばたさまのおまつりかざたけは、あれは外國ぐわいこく田舍家ゐなかやかざるといふクリスマスのにもくらべてたいやうなものです。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
所がはゝが生憎まつり知己ちかづきうちばれて留守である。父は二人ふたりに切腹をさせる前、もう一遍はゝはしてやりたいと云ふ人情から、すぐはゝを迎にやつた。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
「女の子はお半、おふさ、お六、おはぎまつり——こいつは年の順ですが、二十一から十七まで、それにお女将かみのお余野よのが入るんだから、その賑やかさということは」
ぞろ/\とホテルへはいつてつた。ちやうどクリスマスの翌夜よくやでパイントリイが物々もの/\しくかざられ、食堂しよくどう舞踊ぶようがあつたりして、まるでおまつりのやうなさわぎであつた。
微笑の渦 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
ズドン、ズドン! 警官たちの手から、いっせいにピストルが火をふいたが、もうこうなればあとまつりだ。
少年探偵長 (新字新仮名) / 海野十三(著)
まへまつり姿なり大層たいそうよく似合にあつて浦山うらやましかつた、わたしをとこだとんなふうがしてたい、れのよりもえたとめられて、なんれなんぞ、おまへこそうつくしいや
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
まつりれて友達ともだちのうちへとまつた一分始終いちぶしヾう祖母ばヾはなしてきかせました。すると、祖母ばヾをみはつて、そのかたはちヽ最初まへの「つれあひ」だつたとおどろかれました。
桜さく島:見知らぬ世界 (新字旧仮名) / 竹久夢二(著)
あゝ、がもどかしい、まつりまへばんをいらつ子供こどものやうに、こしらへてもらうた晴着はれぎはあっても、ることがらぬので。……おゝ、あれ、乳母うばが。きっと消息しらせぢゃ。
ぼくらは、せみが雨のように鳴いているいつもの松林まつばやしを通って、それから、まつりのときの瓦斯ガスのようなにおいのむっとする、ねむの河原かわらいそいでけて、いつものさいかちぶちに行った。
さいかち淵 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
可哀相かあいさうに!それはあとまつりでした!あいちやんは段々だん/\おほきくなるばかり、ゆかうへひざまづかなければならなくなつて、其爲そのため部屋へやたちまち一すん隙間すきまもないほどになりました
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
しかしです、新生活しんせいくわつあかつきかゞやいて、正義せいぎかちせいするやうになれば、我々われ/\まちでもおほいまつりをしてよろこいはひませう。が、わたし其迄それまでたれません、其時分そのじぶんにはもうんでしまひます。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
ことに老木などのおおしげったものもない小松林の平山だから狗賓餅にも及ぶまいと思って、何のまつりもせずに寄合って伐り始めると、誰も彼もの斧の頭がいつのまにかなくなり
山の人生 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
逾越すぎこしと云へる「たね入れぬ麺包パンまつり」近づけり。祭司さいしをさ学者たち、如何いかにしてかイエスを殺さんとうかがふ。ただ民をおそれたり。さて悪魔十二のうちのイスカリオテととなふるユダにきぬ。
LOS CAPRICHOS (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
くて八月十八日施餓鬼まつりを致しますと、観音寺の弟子宗觀が方丈の前へ参りまして
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
木戸銭御無用、千客万来の芝居、お神楽かぐら、其れが出来なければ詮方せんかた無しのお神酒みきまつり
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
貧乏びんばふ勘次かんじ村落むらでも以前いぜんからの慣例くわんれい村落むら相應さうおうした方法はうはふもつまつりおこなはれた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
五穀豊熟ごこくほうじゆくしてとしみつぎ心易こゝろやすさゝげ、諸民しよみん鼓腹はらつゞみの春にあひし時、氏神のまつりなどにあひしを幸に地芝居を興行こうぎやうする㕝あり。役者は皆其処の素人しろうとあるひは近村きんそんえきよりも来るなり。師匠ししやうは田舎芝居の役者やくしややとふ。
なしけるうち亭主申けるは一昨年のなつ祇園祭ぎをんまつりの時にて候ひしが私し方へ年頃としごろ廿歳ばかりの男と十六七の女中の御武家方ごぶけがたと見ゆる人とまつり見物に登られ二夜泊りて歸られしが其日の晝頃ひるごろ立戻られて大切の印籠いんろう
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
われ病みて旅に起臥おきふしありしかば諏訪すはまつりにけふ逢ひにける
つゆじも (新字旧仮名) / 斎藤茂吉(著)
暖かにのこりたるまつりのお囃子はやしにききふける…………
思ひ出:抒情小曲集 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
えうこそしか、水無月みなづきまつりのひと
白羊宮 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫薄田淳介(著)
ほしまつりえんなれば
孔雀船 (旧字旧仮名) / 伊良子清白(著)
秀吉ひでよしさまは、合戦かっせんのまッただ中、町人ちょうにんのくせに、まつりなどとはもってのほか、さッ、店や小屋こやはドシドシとたたんでしまえ!」
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
とし押詰おしつまつて師走しはす幾日いくにちかは、當邸たうやしき御前ごぜん服部式部はつとりしきぶどの誕生日たんじやうびで、邸中やしきぢうとり/″\支度したくいそがしく、なんとなくまつりちかづいたやうにさゞめきつ。
片しぐれ (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
その性根で用意したまつりおどりに行く時の一張羅いっちょうらを二人はひっぱって来た。白いものも洗濯したてを奮発ふんぱつして来た。
売春婦リゼット (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
ぐわつ、五ぐわつのお節句せつくは、たのしい子供こどものおまつりです。五ぐわつのお節句せつくには、とうさんのおうちでもいしせた板屋根いたやね菖蒲しやうぶをかけ、ぢいやが松林まつばやしはうからつてさゝちまきをつくりました。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
逾越すぎこしまつり来りし時、イエス弟子と共に食に就けり。悪魔三度みたびユダに云ひけるは
LOS CAPRICHOS (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
しかしです、新生活しんせいかつあかつきかがやいて、正義せいぎかちせいするようになれば、我々われわれまちでもおおいまつりをしてよろこいわいましょう。が、わたしはそれまではたれません、その時分じぶんにはもうんでしまいます。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
彼等かれらあひだにはういふときに、さうしてふゆ本當ほんたうにまだ彼等かれらうへいてせないうちあひ前後ぜんごして何處どこ村落むらにも「まち」がるのである。れは村落毎むらごとてられてあるやしろまつりのことである。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
五穀豊熟ごこくほうじゆくしてとしみつぎ心易こゝろやすさゝげ、諸民しよみん鼓腹はらつゞみの春にあひし時、氏神のまつりなどにあひしを幸に地芝居を興行こうぎやうする㕝あり。役者は皆其処の素人しろうとあるひは近村きんそんえきよりも来るなり。師匠ししやうは田舎芝居の役者やくしややとふ。
と、叫んだが、もうあとまつりだった。
未来の地下戦車長 (新字新仮名) / 海野十三(著)
まつりの日、美くしき人も來ましき。
思ひ出:抒情小曲集 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
夏のまつりのゆふべより
どんたく:絵入り小唄集 (新字旧仮名) / 竹久夢二(著)
きのうのおまつりに、氏子うじこがあげた物であろう。三方さんぽうの上に、うずたかく、大げさにいえば、富士ふじの山ほどんであった。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
とし寛政くわんせいねん押詰おしつまつて師走しはす幾日いくにちかは當邸たうてい御前ごぜん服部式部はつとりしきぶどの誕生日たんじやうびとあつて、邸中やしきぢうが、とり/″\支度したくいそがしくなんとなくまつりちかづいたやうにさゞめきつ。
二た面 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
ぐわつになりますと、また、たなばたさまのおまつりやまなかむらへもました。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
まつりの日、むつかしきことのかずかず
思ひ出:抒情小曲集 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
○ さいの神のまつり
心身を潔斎けっさいしてゆくことは、常例であるが、上杉謙信は、神式にのっとって神をまつりし、武田信玄は、その出陣となるや、かならずこの烈石山雲峰寺に祈願をこめて進発した。
上杉謙信 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
それから、「お獅子ししは? みいちやん。」とくと、引掛ひつかけて半纏はんてん兩袖りやうそで引張ひつぱつて、つてはかぶり、つてはかぶりしたさうである。いや、おまつりうれしいものだ。
祭のこと (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
あつちもまつりだ、こつちもまつりだ。
とんぼの眼玉 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
○ さいの神のまつり
……消防手かしら御免ごめんよ。兄哥あにいおこるな。金屏風きんびやうぶつるまへに、おかめ、ひよつとこ、くりからもん/\のはだぬぎ、あぐら、なかには素裸すつぱだかるではないか。其處そこ江戸えどだい。おまつりだ。
祭のこと (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
子供こどもまつりだ、まつりだ、まつり
とんぼの眼玉 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)