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折角
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せつかく
ふりがな文庫
“
折角
(
せつかく
)” の例文
折角
(
せつかく
)
鶴吉の骨折りで、泥の中から頭を持ち上げかけた鶴床は、他愛もなくずる/\と元にも増した不景気の深みに引きずり込まれた。
お末の死
(新字旧仮名)
/
有島武郎
(著)
そんで
娵
(
よめ
)
持
(
も
)
たせるにしても
折角
(
せつかく
)
こつちに
居
(
ゐ
)
て
働
(
はたら
)
いてんだから
俺
(
お
)
ら
自分
(
じぶん
)
の
處
(
とこ
)
へは
連
(
つ
)
れて
行
(
ゆ
)
く
譯
(
わけ
)
にや
行
(
い
)
かねえと
思
(
おも
)
つてな
何
(
なん
)
ちつてもそれ
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
「
折角
(
せつかく
)
錢形の親分が來ても、あの通りだ。武家の馬鹿息子が、十九の可愛い娘を殺しても町方の御用聞には縛る繩はなかつたんだ」
銭形平次捕物控:199 蹄の跡
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「お気の毒だが、わたしの力には及ばない。しかし、
折角
(
せつかく
)
たび/\お出でになつたのであるから、もう一度ためして御覧になるがよい。」
影を踏まれた女:近代異妖編
(新字旧仮名)
/
岡本綺堂
(著)
そればかりか、
折角
(
せつかく
)
のごちさう はとみれば、その
間
(
あひだ
)
に、これはまんまと、
穴
(
あな
)
へ
逃
(
に
)
げこんでしまつてゐるのです。そして
穴
(
あな
)
の
口
(
くち
)
から
頭
(
あたま
)
をだして
ちるちる・みちる
(旧字旧仮名)
/
山村暮鳥
(著)
▼ もっと見る
『でせう。大変に
快
(
よ
)
く
御成
(
おなん
)
なすつたでせう。ですから
猶々
(
なほ/\
)
大切にして下さいと言ふんです。
折角
(
せつかく
)
快く成りかけて、
復
(
ま
)
た
逆返
(
ぶりかへ
)
しでもしたら——』
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
アー
大
(
おほ
)
きに
御苦労
(
ごくらう
)
、
折角
(
せつかく
)
の
思召
(
おぼしめ
)
しだから
受納
(
じゆなふ
)
いたしまする。先「
中々
(
なかなか
)
旨
(
うま
)
いねえ……
是
(
これ
)
で
帰
(
かへ
)
りましても
宜
(
よろ
)
しうございますか。 ...
西洋の丁稚
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
これを一読するに
惜
(
おし
)
むべし論者は
幕末
(
ばくまつ
)
外交の
真相
(
しんそう
)
を
詳
(
つまびらか
)
にせざるがために、
折角
(
せつかく
)
の評論も全く事実に
適
(
てき
)
せずして
徒
(
いたずら
)
に一篇の
空文字
(
くうもんじ
)
を
成
(
な
)
したるに過ぎず。
瘠我慢の説:04 瘠我慢の説に対する評論について
(新字新仮名)
/
石河幹明
(著)
「
折角
(
せつかく
)
親爺
(
おやぢ
)
の
記念
(
かたみ
)
だと
思
(
おも
)
つて、
取
(
と
)
つて
來
(
き
)
た
樣
(
やう
)
なものゝ、
仕樣
(
しやう
)
がないね
是
(
これ
)
ぢや、
場塞
(
ばふさ
)
げで」と
零
(
こぼ
)
した
事
(
こと
)
も一二
度
(
ど
)
あつた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
爲
(
し
)
遂
(
とげ
)
たし然ども
隱
(
かく
)
して
遣
(
やり
)
たる病氣が一日二日の中に起らば
折角
(
せつかく
)
なしゝ
婚姻
(
こんいん
)
も
破談
(
はだん
)
になりて
寶
(
たから
)
の山へ入ながらにして手を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
「
多
(
おほ
)
からうが。
多
(
おほ
)
いぞ。お
返
(
かへ
)
し
申
(
まを
)
せ。——
折角
(
せつかく
)
ですが、かやうな
事
(
こと
)
は
癖
(
くせ
)
になりますで、
以来
(
いらい
)
悪例
(
あくれい
)
になりますでな。」
十和田湖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
折角
(
せつかく
)
樂しい
昨日
(
きのふ
)
は夢、せつない
今日
(
けふ
)
が
現
(
うつつ
)
かと、つい
煩惱
(
ぼんなう
)
も
生
(
しやう
)
じるが、世の戀人の身の上を
何
(
なん
)
で雲めが思ふであらう。
牧羊神
(旧字旧仮名)
/
上田敏
(著)
折角
(
せつかく
)
釣れ盛つて来たら三人の小船頭が綸を
縺
(
もつ
)
らかした責任の
塗
(
なす
)
り合ひを始め、『お前がねや』『わしがねや』と語尾にねやねやとつけ乍ら喧嘩を始めた。
坊つちやん「遺蹟めぐり」
(新字旧仮名)
/
岡本一平
(著)
厭
(
いや
)
な顔をして、
折角
(
せつかく
)
楽しげに遊んで居たのも直ぐ止めて帰つて了ふやうになつたといふ事位のものであるさうな。
重右衛門の最後
(新字旧仮名)
/
田山花袋
(著)
長吉
(
ちやうきち
)
は
一度
(
ひとたび
)
別れたお
糸
(
いと
)
とは
互
(
たがひ
)
に異なる
其
(
そ
)
の
境遇
(
きやうぐう
)
から
日
(
ひ
)
一
日
(
にち
)
と
其
(
そ
)
の心までが
遠
(
とほざ
)
かつて行つて、
折角
(
せつかく
)
の
幼馴染
(
をさなゝじみ
)
も
遂
(
つひ
)
にはあかの他人に
等
(
ひと
)
しいものになるであらう。
すみだ川
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
懐かしさうに私の手を取つたのは、
年老
(
としよ
)
つた主婦のお文さんであつた。この人が生きてゐてくれなかつたら、
折角
(
せつかく
)
訪ねて来ても、私には取附端がないのである。
念仏の家
(新字旧仮名)
/
小寺菊子
(著)
余
(
よ
)
は
折角
(
せつかく
)
着込
(
きご
)
んで
行
(
い
)
つた
探檢服
(
たんけんふく
)
に、
少
(
すこ
)
しも
泥
(
どろ
)
を
附
(
つ
)
けずして
宅
(
たく
)
へと
引揚
(
ひきあ
)
げた。
大學連中
(
だいがくれんぢう
)
は
皆
(
みな
)
泊
(
とま
)
り
込
(
こ
)
みである。
探検実記 地中の秘密:29 お穴様の探検
(旧字旧仮名)
/
江見水蔭
(著)
主命
(
しゆうめい
)
に
依
(
よ
)
りて
糸子
(
いとこ
)
縁談
(
えんだん
)
の申し
込
(
こみ
)
なるべし、
其時
(
そのとき
)
雪三
(
せつざう
)
决然
(
けつぜん
)
とせし
聲音
(
こわね
)
にて、
折角
(
せつかく
)
の
御懇望
(
ごこんもう
)
ながら
糸子
(
いとこ
)
さま
御儀
(
おんぎ
)
他家
(
たけ
)
へ
嫁
(
か
)
したまふ
御身
(
おんみ
)
ならねばお
心
(
こゝろ
)
承
(
うけたまは
)
るまでもなし
たま襻
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
「ハア、
折角
(
せつかく
)
の日曜も姉さんの
行
(
いら
)
つしやらぬ教会で、長谷川の寝言など聞くのは馬鹿らしいから、今朝篠田
様
(
さん
)
を訪問したのです、——非常に
憤慨
(
ふんがい
)
してでしたよ」
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
しかし其と同時に、余り自分を卑下しすぎたり、彼の心の確実さを疑ひすぎるやうな気がして、
折角
(
せつかく
)
嚮
(
む
)
いて来た幸運を、取逃してしまつたやうな寂しさを感じた。
或売笑婦の話
(新字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
けれども
勿論
(
もちろん
)
穩
(
おだや
)
かな
日和
(
ひより
)
ばかりは
續
(
つづ
)
きません、ある時は
烏
(
からす
)
が來て
折角
(
せつかく
)
生
(
は
)
えかけたその芽をついばみ、ある時は恐ろしい
嵐
(
あらし
)
があれて、
根柢
(
こんてい
)
から何も
彼
(
か
)
もを
覆
(
くつがへ
)
してしまひます。
冬を迎へようとして
(旧字旧仮名)
/
水野仙子
(著)
折角
(
せつかく
)
暖かになつた二人の身体はまた凍り付くかと思はれた。種田君は
梢
(
やや
)
確
(
たしか
)
な歩調を運ばせ乍ら
二黒の巳
(新字旧仮名)
/
平出修
(著)
「
折角
(
せつかく
)
の
御越
(
おこし
)
やさかい、
山中
(
やまぢう
)
捜
(
さが
)
しましたが
唯
(
たつた
)
一
本
(
ぽん
)
ほか
見附
(
みつか
)
りまへなんので、
甚
(
えら
)
い
鈍
(
どん
)
な
事
(
こと
)
とす」
茸の香
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
が、その祝宴が開かれた時、鴉は白鳥と舞踏する
拍子
(
ひやうし
)
に
折角
(
せつかく
)
の羽根を残らず落してしまつた。
翻訳小品
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
全體
(
ぜんたい
)
旅
(
たび
)
をしながら
何物
(
なにもの
)
をも
見
(
み
)
ず、
見
(
み
)
ても
何等
(
なんら
)
の
感興
(
かんきよう
)
も
起
(
おこ
)
さず、
起
(
おこ
)
しても
其
(
それ
)
を
折角
(
せつかく
)
の
同伴者
(
つれ
)
と
語
(
かた
)
り
合
(
あつ
)
て
更
(
さら
)
に
興
(
きよう
)
を
増
(
ま
)
すこともしないなら、
初
(
はじ
)
めから
其人
(
そのひと
)
は
旅
(
たび
)
の
面白
(
おもしろ
)
みを
知
(
し
)
らないのだ
湯ヶ原ゆき
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
氣絶
(
きぜつ
)
する
程
(
ほど
)
甲板
(
かんぱん
)
の
上
(
うへ
)
に
投倒
(
なげたふ
)
されて、
折角
(
せつかく
)
高
(
たか
)
まつた
私
(
わたくし
)
の
鼻
(
はな
)
も
無殘
(
むざん
)
に
拗折
(
へしを
)
られてしまつた。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
兀
(
もつと
)
も周三は
近頃
(
ちかごろ
)
恐
(
おそ
)
ろしい
藝術的
(
げいじゆつてき
)
頬悶
(
ほんもん
)
に
陥
(
おちい
)
ツて、何うかすると、
折角
(
せつかく
)
築上
(
つきあ
)
げて來た藝術上の
信仰
(
しんかう
)
が
根底
(
こんてい
)
からぐらつくのであツた、此のぐらつきは、藝術家に
取
(
と
)
りて、
最
(
もつと
)
も恐るべき
現象
(
げんしやう
)
で
平民の娘
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
『あれが東光院だらう。
折角
(
せつかく
)
行かうと思つたんだから、
彼處
(
あすこ
)
へ行つて見やう。』
東光院
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
何時
(
いつ
)
でも、僕は死ぬ事には自信がつきましたよ。でも、何ですな、まア、
折角
(
せつかく
)
、神より頂戴した生命なンだから、一日でも生きのびた方が、死んで灰になるよりは、いくらかましですから……
浮雲
(新字旧仮名)
/
林芙美子
(著)
冬に
至
(
いた
)
りて
帰蟄
(
きちつ
)
する者なればなり、
且
(
か
)
つ一行二十七名の多勢なれば、如何なる
動物
(
どうぶつ
)
と雖も皆
遁逃
(
とんとう
)
して
直
(
ただ
)
ちに
影
(
かげ
)
を
失
(
しつ
)
し、
敢
(
あへ
)
て
害
(
がい
)
を
加
(
くわ
)
ふるものなかりき、
折角
(
せつかく
)
携帯
(
けいたい
)
せる三尺の
秋水
(
しうすゐ
)
も
空
(
むな
)
しく伐木刀と
変
(
へん
)
じ
利根水源探検紀行
(新字旧仮名)
/
渡辺千吉郎
(著)
誰とも近づきがないから
折角
(
せつかく
)
あんたの持つて生れた火を打つて出すものがない。あんたは病氣だ。何故なら男の人に與へる最高の感情、最も高く、最も
優
(
やさ
)
しいものがあんたから遠く隔つてゐるから。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
「くみちやん、
折角
(
せつかく
)
のが冷たくなつたわ。」
桑の実
(新字旧仮名)
/
鈴木三重吉
(著)
「まあ
其麽
(
そんな
)
ことゆはねえで
折角
(
せつかく
)
のことに、
勘次
(
かんじ
)
さんも
惡
(
わる
)
い
料簡
(
れうけん
)
でしたんでもなかんべえから」と
宥
(
なだ
)
めても
到頭
(
たうとう
)
卯平
(
うへい
)
は
聽
(
き
)
かなかつた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
「
折角
(
せつかく
)
お美乃が嫁入りするんだぜ、その
扮
(
なり
)
で高砂やアでもあるめエ。——これで間に合はなきや、又何んとかするぜ」
銭形平次捕物控:120 六軒長屋
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「
折角
(
せつかく
)
、お
大事
(
だいじ
)
になせえよ。
俺
(
おい
)
らは、これでやつと
蘇生
(
いきかへ
)
つた
譯
(
わけ
)
さ。まるで
火炮
(
ひあぶ
)
りにでもなつてゐるやうだつたんでね」
ちるちる・みちる
(旧字旧仮名)
/
山村暮鳥
(著)
折角
(
せつかく
)
祭の仕度が出來た、仲直りがてらお霜婆に見せて來るが好からう、と兄が言つて、嫌がる私を無理やりに背中に乘せ婆さんの家へ
舁
(
かつ
)
ぎ込みました。
幼き日:(ある婦人に与ふる手紙)
(旧字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
立て一
旦
(
たん
)
惠
(
めぐ
)
み遣はしたる金子を今受取ては一分立ずと申して何分
請取
(
うけとり
)
申さず是に依て私し儀も
折角
(
せつかく
)
娘
(
むすめ
)
まで賣たる金を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
買
(
か
)
つて
行
(
い
)
つて
遣
(
や
)
らうかといふ
氣
(
き
)
が
一寸
(
ちよつと
)
起
(
おこ
)
るや
否
(
いな
)
や、そりや五六
年前
(
ねんぜん
)
の
事
(
こと
)
だと
云
(
い
)
ふ
考
(
かんがへ
)
が
後
(
あと
)
から
出
(
で
)
て
來
(
き
)
て、
折角
(
せつかく
)
心持
(
こゝろもち
)
の
好
(
い
)
い
思
(
おも
)
ひ
付
(
つき
)
をすぐ
揉
(
も
)
み
消
(
け
)
して
仕舞
(
しま
)
つた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
さりながら
應
(
おう
)
が
影
(
かげ
)
をも
止
(
とゞ
)
めざる
時
(
とき
)
だに、
厭
(
いと
)
ふべき
蛇喰
(
へびくひ
)
を
思
(
おも
)
ひ
出
(
いだ
)
さしめて、
折角
(
せつかく
)
の
愉快
(
ゆくわい
)
も
打消
(
うちけ
)
され、
掃愁
(
さうしう
)
の
酒
(
さけ
)
も
醒
(
さ
)
むるは、
各自
(
かくじ
)
が
伴
(
ともな
)
ひ
行
(
ゆ
)
く
幼
(
をさな
)
き
者
(
もの
)
の
唱歌
(
しやうか
)
なり。
蛇くひ
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
私
(
わたし
)
は
何
(
ど
)
うしても
斯
(
か
)
うと
決心
(
けつしん
)
して
居
(
ゐ
)
るのだからそれは
折角
(
せつかく
)
だけれど
肯
(
きか
)
れないよと
言
(
い
)
ふに、
吉
(
きち
)
は
涙
(
なみだ
)
の
眼
(
め
)
に
見
(
み
)
つめて、お
京
(
きやう
)
さん
後生
(
ごしやう
)
だから
此肩
(
こゝ
)
の
手
(
て
)
を
放
(
はな
)
しておくんなさい。
わかれ道
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
折角
(
せつかく
)
こゝまで来た以上、すぐに帰つてしまふわけにも行かないので、病人の枕もとで看病の手つだひなどをしてゐるうちに、師走のみじかい日はいつか暮れてしまつて
影を踏まれた女:近代異妖編
(新字旧仮名)
/
岡本綺堂
(著)
それは
水害
(
すゐがい
)
のためにもし
船
(
ふね
)
が
転覆
(
ひつくりか
)
へると
蘇生
(
よみがへ
)
る
亡者
(
やつ
)
が多いので、それでは
折角
(
せつかく
)
開
(
ひら
)
けようといふ
地獄
(
ぢごく
)
の
衰微
(
すゐび
)
だといふので、
此
(
こ
)
の
通
(
とほ
)
り
鉄橋
(
てつけう
)
になつちまいました、それ
御覧
(
ごらう
)
じろ
明治の地獄
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
今日
(
こんにち
)
この日本に起つた事としては書きこなし
悪
(
にく
)
い、もし
強
(
しひ
)
て書けば、多くの場合不自然の感を読者に起させて、その結果
折角
(
せつかく
)
のテエマまでも犬死をさせる事になってしまふ。
澄江堂雑記
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
気が進まないからつて
断
(
ことわ
)
つてしまつた。
折角
(
せつかく
)
きてくれた両人には心外であつた。
畜生道
(新字旧仮名)
/
平出修
(著)
折角
(
せつかく
)
、寺の復活を考へて
伴
(
つ
)
れて来たが、これでは駄目だ……。しかし、一人あゝして
放
(
はふ
)
つて置くといふことが間違つてゐるのである。何処の寺でも、今では女房子を持たないものはない。
ある僧の奇蹟
(新字旧仮名)
/
田山花袋
(著)
『こんなとこへ、もう一生來ることあれへん。
折角
(
せつかく
)
來たんやよつて、まア
東光院
(
とうくわうゐん
)
へでも寄つて行きまへう。』と、お
光
(
みつ
)
は、銀貨を取り出して、東光院へ行く
停車場
(
ステーシヨン
)
までの切符を女房に買はせた。
東光院
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
ながめて微笑しつ「婆や、私だつて、今日此頃外へ出るなど少しも好みはしませんがネ、
折角
(
せつかく
)
母様がお誘ひ下ださるのだから、
御伴
(
おとも
)
するんです——けれど、婆や、別に心配なこと無いぢやないかネ」
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
「
勘次
(
かんじ
)
さんそんでも
入
(
せ
)
えんなよ、
毒
(
どく
)
だつちんだから、
俺
(
おれ
)
折角
(
せつかく
)
別
(
べつ
)
にしてたんだから」お
品
(
しな
)
は
少
(
すこ
)
し
身
(
み
)
を
起
(
おこ
)
し
掛
(
か
)
けていつた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
「でも
折角
(
せつかく
)
御供をして参りましたのに……『何だつて病院まで行かないんだ、何の為に
随
(
つ
)
いて行つたんだ』なんて、
必
(
きつ
)
とまた私が旦那様に叱られます——」
灯火
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
却説
(
かくて
)
傳吉は
酒宴
(
しゆえん
)
の席へ出で扨々
折角
(
せつかく
)
御招ぎ申しても何も進ずる物もなし
併
(
しか
)
し今日の
座興
(
ざきよう
)
に
歸國
(
きこく
)
なす道中の物語を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
折
常用漢字
小4
部首:⼿
7画
角
常用漢字
小2
部首:⾓
7画
“折角”で始まる語句
折角村