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許
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ふりがな文庫
“
許
(
ばかり
)” の例文
あなたが
何
(
ど
)
んな動機から神話を譯して御覽になつたかはまだ解らないが、恐らく文學を研究する人の
手引草
(
てびきぐさ
)
として
許
(
ばかり
)
ではないでせう。
『伝説の時代』序
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
やがてニコ/\笑って居る
恵比須顔
(
えびすがお
)
の六十
許
(
ばかり
)
の爺さんが来た。石山氏は彼を爺さんに紹介して、組頭の浜田さんであると彼に告げた。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
刈安峠を踰えブナ坂を下り、
平
(
だいら
)
の小屋へは立ち寄らずに、越中沢(ヌクイ谷)を
徒渉
(
としょう
)
して黒部川の河原に出で、十五分
許
(
ばかり
)
り休憩した。
黒部川奥の山旅
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
その内大君の利益は五十万元
即
(
すなわ
)
ち一週
毎
(
ごと
)
に一万元
許
(
ばかり
)
なり。一週間この利益なしと
雖
(
いえど
)
も御老中その不都合を覚ゆることなきを得べしや
尊攘戦略史
(新字新仮名)
/
服部之総
(著)
吾等
(
われら
)
も
喫驚
(
びつくり
)
して
其方
(
そなた
)
を
振向
(
ふりむ
)
くと、
此時
(
このとき
)
、
吾等
(
われら
)
の
立
(
た
)
てる
處
(
ところ
)
より、
大約
(
およそ
)
二百ヤード
許
(
ばかり
)
離
(
はな
)
れた
森
(
もり
)
の
中
(
なか
)
から、
突然
(
とつぜん
)
現
(
あら
)
はれて
來
(
き
)
た
二個
(
ふたり
)
の
人
(
ひと
)
がある。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
▼ もっと見る
兵卒は、巓近し、今一息に候と叫びて、我等を
勵
(
はげま
)
したり。されど仰ぎ視れば山の高きこと始に異ならず。一時
許
(
ばかり
)
にして僅に巓に到りぬ。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
十五分
許
(
ばかり
)
してから京子が書斎に入って来た時千世子は待ちくたびれた様にぼんやりした顔をしてつるした額の絵の女を見て居た。
千世子(三)
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
それから先は両側の松林が幹を
差替
(
さしか
)
わす
許
(
ばかり
)
に遠くつづいて石畳の路を
掩
(
おお
)
うている、奥にはほんのり暗くて何のあるのも判らない
八幡の森
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
彼は、今二階に寝させて来た
許
(
ばかり
)
の病身の妻と、病気上りの痩せて浅黒い小さな我子の上に、少しの間でも気をゆるすことが出来なかった。
秋は淋しい
(新字旧仮名)
/
素木しづ
(著)
山地向陽の草間に生じて一株に一条ないし三条
許
(
ばかり
)
の茎が出て直立し斜めに縦脈のある狭長葉を互生し茎と共に手ざわり
糙
(
あ
)
らき毛を生ずる。
植物記
(新字新仮名)
/
牧野富太郎
(著)
生中
(
なまなか
)
いぢくらずに置けば美しい火の色
丈
(
だけ
)
でも見られたものを、
下手
(
へた
)
に詩に
為
(
し
)
た
許
(
ばかり
)
に
本
(
もと
)
の面白い感情が失はれたのと同じ様な失望を感じた。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
袋中大徳
(
たいちゅうたいとく
)
の『神道記』を見ると、ヲウチキウという海神がある。長は一丈
許
(
ばかり
)
、きん大なり。縄を結んで肩に
掛
(
か
)
く。初めに
那婆
(
なは
)
の町に現ず。
海上の道
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
よく母が町への
出入
(
ではい
)
りにこの家へ立寄るのである。いつしかその桶屋の前へ来た。五つ
許
(
ばかり
)
の頭に
腫物
(
はれもの
)
の出来た子が立っていた。
越後の冬
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
と、思ふと、向ふの低い
窪地
(
くぼち
)
に
簇々
(
むら/\
)
と十五六人
許
(
ばかり
)
の人数が
顕
(
あら
)
はれて、其処に辛うじて運んで来たらしいのは昼間見たその新調の喞筒である。
重右衛門の最後
(新字旧仮名)
/
田山花袋
(著)
以上長四尺
許
(
ばかり
)
の半紙の巻紙に書いた
書牘
(
しよどく
)
の全文である。
蠧蝕
(
としよく
)
の処が少しあるが、幸に文字を損ずること甚しきに至つてゐない。
伊沢蘭軒
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
夏中上総の
湊
(
みなと
)
海岸で廿名
許
(
ばかり
)
の子供
連
(
れん
)
を遊ばせてゐる少年臨海団といふ一つの団体がある。団長は例の裸頭跣足主義で名高い高木兼寛氏である。
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
と
硝盃
(
コツプ
)
へ
先
(
さき
)
に水を
入
(
い
)
れて、ポタリ/\と
壜
(
びん
)
の口を
開
(
あ
)
けながら
滴
(
たら
)
すのだが、
中々
(
なか/\
)
素人
(
しろうと
)
にはさう
旨
(
うま
)
く
出来
(
でき
)
ない、二十
滴
(
てき
)
と思つた
奴
(
やつ
)
が六十
滴
(
てき
)
許
(
ばかり
)
出た。殿
華族のお医者
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
梅子さん、ほんとに幸福と思つたのは、結婚後の一年
許
(
ばかり
)
でしたの、私の心が
静実
(
おちつく
)
に連れて、次第に私を
軽蔑
(
けいべつ
)
する様になるんですよ——折々はネ
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
保胤の兄保憲は十歳
許
(
ばかり
)
の童児の時、
法眼
(
ほうげん
)
既に明らかにして鬼神を見て父に注意したと語り伝えられた其道の天才であり
連環記
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
就中
(
なかんずく
)
、丈、約七寸
許
(
ばかり
)
の美しい女の、袖には桜の枝をのせて、ちょっとうつむいた、
慄然
(
ぞっと
)
するような、京人形。……髪は
日本橋
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
『嫌悪感——というもんは
非道
(
ひど
)
いもんだな、鱗粉が触っただけで、皮膚が
潰瘍
(
かいよう
)
する
許
(
ばかり
)
か、心臓麻痺まで起すんですね』
鱗粉
(新字新仮名)
/
蘭郁二郎
(著)
しかし、その
大
(
おおき
)
さは
矢張
(
やは
)
り五
寸
(
すん
)
許
(
ばかり
)
、
蒼味
(
あおみ
)
がかった
茶
(
ちゃ
)
っぽい
唐服
(
からふく
)
を
着
(
き
)
て、そしてきれいな
羽根
(
はね
)
を
生
(
は
)
やして
居
(
い
)
るのでした。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
先づ、雲に隠れた巨人の
頭
(
かしら
)
を染め、ついで、其金色の衣を目も
眩
(
くらめ
)
く
許
(
ばかり
)
に彩り、
軈
(
やが
)
て、
普
(
あま
)
ねく地上の物又物を照し出した。朝日が山の端を離れたのである。
葬列
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
玉を烹たるもの、そのゆゑを
聞
(
きゝ
)
て
釜
(
かま
)
の
蓋
(
ふた
)
を
啓
(
ひらき
)
て
視
(
み
)
れば
已
(
すで
)
に玉は
半
(
なかば
)
枯
(
かれ
)
たり。其
珠
(
たま
)
径
(
わたり
)
一寸
許
(
ばかり
)
、
此
(
これ
)
真
(
しん
)
に
夜光
(
やくわう
)
明月の
珠
(
たま
)
なり。
俗子
(
ぞくし
)
に
厄
(
やく
)
せられたる事
悲夫
(
かなしきかな
)
と
記
(
しる
)
せり。
北越雪譜:06 北越雪譜二編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
ぱっと点く電灯、ばらばらと走りこんだ警官十名
許
(
ばかり
)
、驚き呆れている理学士に手錠をはめてしまった。——松川博士の幽霊は? 幽霊はぽんと
抛
(
ほう
)
り出された。
幽霊屋敷の殺人
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
偽勅使で一杯引ッ掛けたタア
真逆
(
まさか
)
に気も付くめエ、智慧の足り無エ癖に口
許
(
ばかり
)
達者にベラベラ喋りやがって、今に其舌の根ッ子オ引ン抜いてやるから待ってろヨ。
監獄部屋
(新字新仮名)
/
羽志主水
(著)
今朝与謝野氏来訪、
不折
(
ふせつ
)
書林太郎君墓銘数葉持参致し、誠によき出来に候。礼金は先づ筆墨料として×円
許
(
ばかり
)
投じては
奈何
(
いかん
)
との事に候。三十余枚も書き試みたる趣に候。
鴎外の思い出
(新字新仮名)
/
小金井喜美子
(著)
因
(
そこ
)
で、
今迄
(
いまゝで
)
は
毎月
(
まいげつ
)
三銭
(
さんせん
)
かの
会費
(
くわいひ
)
であつたのが、
俄
(
にはか
)
に十
銭
(
せん
)
と
引上
(
ひきあ
)
げて、四六
版
(
ばん
)
三十二
頁
(
ページ
)
許
(
ばかり
)
の
雑誌
(
ざつし
)
を
拵
(
こしら
)
へる
計画
(
けいくわく
)
で、
猶
(
なほ
)
広
(
ひろ
)
く社員を
募集
(
ぼしう
)
したところ、
稍
(
やゝ
)
百
名
(
めい
)
許
(
ばかり
)
を
得
(
え
)
たのでした
硯友社の沿革
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
そうしてなお位田と位禄の対比から、「一町を封八戸
許
(
ばかり
)
に
較
(
こう
)
したる
(1)
」ことを認めている。
日本精神史研究
(新字新仮名)
/
和辻哲郎
(著)
今の庵主は五十
許
(
ばかり
)
の品のよい老女で、この老女がこの頃になって何か胸に思い余ることがありげに、しきりに心を苦しめているのが、そう思って見れば
他目
(
よそめ
)
にも見えます。
大菩薩峠:15 慢心和尚の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
五年
許
(
ばかり
)
以前のことだが、某官省の不用銅鉄品払下げの見積の時、市治郎が贈賄の嫌疑で拘引されたことがある。このことには権右衛門も三亀雄も関係無しとはいえなかった。
俗臭
(新字新仮名)
/
織田作之助
(著)
ぐたぐたとなってしまった
許
(
ばかり
)
ではなく、令嬢の愛が自分にないと知ると、自分の身を犠牲にして、恋の
敵手
(
あいて
)
と云ってもよい高田と、自分の恋人とを、仲介しようとするような
神の如く弱し
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
黒縮
(
くろちり
)
つくりで
裏
(
うら
)
から出て来たのは、
豈斗
(
あにはか
)
らんや
車夫
(
くるまや
)
の女房、一
町
(
てう
)
許
(
ばかり
)
行
(
ゆ
)
くと
亭主
(
ていし
)
が待つて
居
(
ゐ
)
て、そらよと
梶棒
(
かぢぼう
)
を
引寄
(
ひきよ
)
すれば、
衣紋
(
えもん
)
もつんと
他人行儀
(
たにんぎようぎ
)
に
澄
(
す
)
まし返りて急いでおくれ。
もゝはがき
(新字旧仮名)
/
斎藤緑雨
(著)
夢
(
ゆめ
)
に
一個
(
ひとり
)
の
風采
(
ふうさい
)
堂々
(
だう/\
)
たる
丈夫
(
ますらを
)
が
現
(
あらは
)
れて、自分は
石清虚
(
せきせいきよ
)
といふものである、
決
(
けつ
)
して
心配
(
しんぱい
)
なさるな、君と
別
(
わか
)
れて居るのは一年
許
(
ばかり
)
のことで、明年八月二日、
朝
(
あさ
)
早
(
はや
)
く
海岱門
(
かいたいもん
)
に
詣
(
まう
)
で
見給
(
みたま
)
へ
石清虚
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
盛
(
さか
)
りと
咲亂
(
さきみだ
)
れえも云れぬ
景色
(
けしき
)
に寶澤は
茫然
(
ばうぜん
)
と暫し
木蔭
(
こかげ
)
に
休
(
やす
)
らひて
詠
(
なが
)
め居たり此時
遙
(
はるか
)
の
向
(
むかう
)
より年頃四十
許
(
ばかり
)
の男
身
(
み
)
に
編綴
(
へんてつ
)
といふを
纏
(
まと
)
ひ
歩行
(
あゆみ
)
來りしが
怪
(
あや
)
しやと思ひけん寶澤に向ひて名を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
間も無く、「万歳」
声裡
(
せいり
)
に、又一本を挙げたる者ありしが、少しも喜べる色なく、「何だ緋鯉か。誰にかやらう」といふ声の下より、十歳
許
(
ばかり
)
の小児、「伯父さん私に頂戴」と乞ふ。
東京市騒擾中の釣
(新字旧仮名)
/
石井研堂
(著)
黄袗
(
くわうしん
)
は古びて
赭
(
あか
)
く、四合目辺にたなびく
一朶
(
いちだ
)
の雲は、
垂氷
(
たるひ
)
の如く
倒懸
(
たうけん
)
して満山を
冷
(
ひ
)
やす、別に風より
迅
(
はや
)
き雲あり、大虚を
亘
(
わた
)
りて、不二より高きこと百尺
許
(
ばかり
)
なるところより、
之
(
これ
)
を
翳
(
かざ
)
し
霧の不二、月の不二
(新字旧仮名)
/
小島烏水
(著)
此処
(
ここ
)
で聞いた
談
(
はなし
)
に、
或
(
ある
)
時その近在のさる
豪家
(
ごうか
)
の娘が病気で、
最早
(
もう
)
危篤という時に、その
家
(
や
)
の若者が、
其処
(
そこ
)
から十町
許
(
ばかり
)
もある遠野町へ薬を買いに行った、時はもう夜の九時頃のことで
テレパシー
(新字新仮名)
/
水野葉舟
(著)
夜引
(
よびき
)
すつ
時
(
とき
)
にや
人間
(
にんげん
)
も
眠
(
ねむ
)
つたく
成
(
な
)
りや
馬
(
うま
)
も
眠
(
ねむ
)
つたく
成
(
な
)
つてな、
石坂
(
いしざか
)
だから
畜生等
(
ちきしやうら
)
がくたり/\はあ、なんぼにも
歩
(
ある
)
かねえな、そん
時
(
とき
)
にや、おうい一つどうだね
遣
(
や
)
つゝけちやあと
許
(
ばかり
)
でなあ
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
このお
温習
(
さらい
)
程私の嫌いな事はなかったが、之をしないと、
直
(
じき
)
ポチを
棄
(
すて
)
ると言われるのが辛いので、渋々内へ入って、
形
(
かた
)
の如く本を取出し、少し
許
(
ばかり
)
おんにょごおんにょごと
行
(
や
)
る。それでお
終
(
しまい
)
だ。
平凡
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
其間
凡
(
およ
)
そ一里
許
(
ばかり
)
。尤も往きと帰りとでは、同じ一里が近く思はれるもので、北国街道の
平坦
(
たひら
)
な長い道を独りてく/\やつて行くうちに、いつの間にか丑松は
広濶
(
ひろ/″\
)
とした
千曲川
(
ちくまがは
)
の
畔
(
ほとり
)
へ出て来た。
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
一行が
準備
(
じゆんび
)
せらるる十日間の
食糧
(
しよくれう
)
到底
(
とうてい
)
其目的
(
そのもくてき
)
を達せず、
殊
(
こと
)
に五升
許
(
ばかり
)
の米を
負
(
お
)
ふを
命
(
めい
)
ぜられて此
深山
(
しんざん
)
険崖
(
けんがい
)
を
攀躋
(
はんさい
)
する如きは、拙者の
堪
(
た
)
へ
能
(
あた
)
はざる所なりと、
断
(
だん
)
じて随行を
拒
(
こば
)
む、衆相
顧
(
かへり
)
みて
愕然
(
がくぜん
)
たり
利根水源探検紀行
(新字旧仮名)
/
渡辺千吉郎
(著)
遣
(
つか
)
はさるべくは
遣
(
つか
)
はしたけれど、
七萬石
(
ひちまんごく
)
の
先祖
(
せんぞ
)
が
勳功
(
くんこう
)
に
對
(
たひ
)
し、
皇室
(
くわうひつ
)
の
藩屏
(
はんべい
)
といふ
名
(
な
)
に
對
(
たい
)
し、
此
(
この
)
こと
許
(
ばかり
)
はなし
難
(
がた
)
きに
表立
(
おもてだ
)
ちては
姫
(
ひめ
)
も
邸
(
やしき
)
に
置
(
おき
)
がたけれど、
我
(
わ
)
れには
一人
(
ひとり
)
の
妹
(
いもと
)
、ことに
兩親
(
りやうしん
)
老後
(
らうご
)
の
子
(
こ
)
にて
暁月夜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
不思議と時計を見ると
成程
(
なるほど
)
最早
(
もう
)
十二時二十分
許
(
ばかり
)
過ぎていたのだ。
死神
(新字新仮名)
/
岡崎雪声
(著)
此上の事
許
(
ばかり
)
ハ先、幕か蘭か小倉か其罪をうけずしてハすまず。
手紙:016 慶応元年九月七日 坂本権平、乙女、おやべあて
(新字旧仮名)
/
坂本竜馬
(著)
どうも、
宗
(
そう
)
さんも
餘
(
あん
)
まり
近頃
(
ちかごろ
)
は
御出
(
おいで
)
でないし、
私
(
わたし
)
も
御無沙汰
(
ごぶさた
)
許
(
ばかり
)
してゐるのでね、つい
御前
(
おまへ
)
の
事
(
こと
)
は
御話
(
おはなし
)
をする
譯
(
わけ
)
にも
行
(
い
)
かなかつたんだよ
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
右に折れて下り気味に一町
許
(
ばかり
)
行くと、広い鞍部が竜バミ谷の方面へ豁然と開けて、程よく配置された若い唐松の林などが目を
怡
(
よろこ
)
ばせる。
秩父の奥山
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
客は柱文銀(「コロンナアトオ」といふ、その
文樣
(
もんやう
)
に依りて名づく、我二圓十五錢
許
(
ばかり
)
に當る)一塊若くは數塊を一色の上に置く。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
或
(
あ
)
る裏町にある
小橋
(
こばし
)
の四方を雑多な形の旧い
煤
(
すゝ
)
ばんだ家が囲んで、橋の欄干の上に十人
許
(
ばかり
)
腰を掛けて長い釣竿を差出した光景が面白かつた。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
空は
飽迄
(
あくまで
)
灰色であった、三尺
許
(
ばかり
)
上は灰色の厚い布で張詰られているような気がした。外へ出たが誰を
探
(
たず
)
ねて見ようという考えは別になかった。
不思議な鳥
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
許
常用漢字
小5
部首:⾔
11画
“許”を含む語句
幾許
少許
許多
其許
御許
許嫁
許可
心許
許婚
聴許
許容
許諾
許六
許婚者
奥許
免許
国許
耳許
勝手許
差許
...