最初さいしょ)” の例文
わたしたちが最初さいしょの村を通りぎると、大きな百姓家ひゃくしょうやの門の前へ出た。中をのぞくとおおぜいの人が晴れ着を着てめかしこんでいた。
敦子あつこさまが、こちらで最初さいしょかれた境涯きょうがい随分ずいぶんみじめなもののようでございました。これが敦子あつこさま御自身ごじしん言葉ことばでございます。——
じんをくずした小姓組こしょうぐみの者をいつのまにかとびこえたのであろう、木隠こがくれ白球はっきゅうを手に、菊池半助きくちはんすけ紅球こうきゅうを手にして、最初さいしょ位置いちに立っている。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
最初さいしょから、こんなあぶない芸当げいとうというものはできるものでありません。それには、るようなけいこをんだからです。
二人の軽業師 (新字新仮名) / 小川未明(著)
その事実をしるさんに、外国公使中にて最初さいしょ日本人にしたしかりしは米公使タオンセント・ハリスにして、ハリスは真実好意こういを以て我国わがくにに対したりしも
「そうだ。最初さいしょの坊主の姿が見えなくなったのも、二番目の坊主ぼうずほねばかりになって死んでいたのも、みなおににやられたのだ。えらいことになったものだ。」
鬼退治 (新字新仮名) / 下村千秋(著)
その楽譜がくふは、老人ろうじんの太い書体しょたいで特別にねんをいれて書いてあった。最初さいしょのところには輪や花形はながたかざりがついていた。
ジャン・クリストフ (新字新仮名) / ロマン・ロラン(著)
そして須利耶すりやさまは、たしかにその子供に見覚みおぼえがございました。最初さいしょのものは、もはや地面じめんたっしまする。
雁の童子 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
最初さいしょのうちこそおはつ不思議ふしぎそうにしていたが、袖子そでこから敷布しきふってみて、すぐにその意味いみんだ。
伸び支度 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
帳場ちょうばいそ大工だいくであろう。最初さいしょつけたほこりから、二人ふたりが一しょに、駕籠かごむこうへかけった。
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
チッバ あをさいどの、最初さいしょ同伴つれだって足下おぬしぢゃ、冥土あのよくも一しょにおきゃれ。
示現じげん最初さいしょ将軍しょうぐん
さて最初さいしょ地上ちじょううまでた一人ひとり幼児おさなご——無論むろんそれはちからよわく、智慧ちえもとぼしく、そのままで無事ぶじ生長せいちょうはずはございませぬ。
最初さいしょはなつかしいバルブレンのおっかあから、それからヴィタリス親方から、わたしは犬とさるといっしょに空腹くうふくで、みじめなままてられた。
「さあ、どちらかなあ。」と、秀吉ひできちは、くちごもって、かれかおあかくして、最初さいしょ質問しつもんに、自分じぶんがわからなくなりました。
しいたげられた天才 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「さて、最初さいしょ独楽こましらべ、小手こてしらべとしまして、からまわし三たび首尾しゅびよく相すみましたから、いよいよこれからほんまわしの初芸はつげいに取りかかります」
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
小栗の人物じんぶつは右のごとしとして、さて当時の外国人は日本国をいかに見たるやというに、そもそもの米国の使節しせつペルリが渡来とらいして開国かいこくうながしたる最初さいしょの目的は
この宿屋を開いた最初さいしょのお客は、一人の行商人ぎょうしょうにんでした。主人は、このお客を、それはそれは親切にもてなしました。主人は何よりも大事な店の評判ひょうばんをよくしたかったからです。
神様の布団 (新字新仮名) / 下村千秋(著)
最初さいしょにおむらが、こえをかけた。が、菊之丞きくのじょうこころには、こえぬしだれであるのか、まだはっきりうつらなかったのであろう。きょろりと一見廻みまわしたきり、ふたたじてしまった。
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
お前が立派りっぱ音楽家おんがくかになり、えらい芸術家げいじゅつかになって、一家の光栄こうえい、芸術の光栄、祖国そこく光栄こうえいとなった時、お前が有名になった時、その時になって、思い出してくれるだろうね、おまえ最初さいしょに見出し
ジャン・クリストフ (新字新仮名) / ロマン・ロラン(著)
しもあなたのようなさしい御方おかた最初さいしょからお世話せわをしてくださったら、どんなにか心強こころづよいことであったでございましたろう……。
わたし不幸ふこうおんなです。最初さいしょおっとをもって、かわいらしいおとこまれると、おっとは、その子供こどもれていえてしまったっきりかえってきませんでした。
塩を載せた船 (新字新仮名) / 小川未明(著)
そう信じているからこそ、最初さいしょにしめした、試合掟しあいおきてにも、相手がた騎乗きじょうでも徒歩かちでも勝手かってしだいと傲語ごうごしたのだ。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
こうしてわたしは最初さいしょの友だちからわかれた。
かれは、最初さいしょ純金じゅんきんほそせんでためしました。しかし、その音色ねいろは、あまりにんで、えきっています。つぎに、きんぎんこんじてほそせんつくりました。
楽器の生命 (新字新仮名) / 小川未明(著)
最初さいしょの友だち
おとうとは、最初さいしょ、このやまへくるときには、ゆきうえわたって一にきましたけれど、ゆきえてからは、もりや、はやしや、かわがあって、五日いつか六日むいかあるかなければ
白すみれとしいの木 (新字新仮名) / 小川未明(著)
おばあさんは、よくると、子供こどもは、おばあさんが、およめにきてから、最初さいしょまれたおとこで、五つになったとき、病気びょうきんだ、そのでありました。
千羽鶴 (新字新仮名) / 小川未明(著)
しろいぬは、最初さいしょ遠慮えんりょするようにえましたが、ねこのちゃわんへすすって、あまりのごはんをきれいにべてしまいました。そして、いってしまったのです。
小ねこはなにを知ったか (新字新仮名) / 小川未明(著)
しかし、くもをつかむようで、かんがえたことが、なんであったか、まったく見当けんとうがつきません。だが、最初さいしょそれをかんがえた糸口いとぐちとなったものが、あったにちがいない。
世の中のために (新字新仮名) / 小川未明(著)
おばあさんは、最初さいしょは、自分じぶんみみのせいでないかとおもいました。そして、うごかすのをやめていました。
月夜と眼鏡 (新字新仮名) / 小川未明(著)
最初さいしょ鉛筆えんぴつ左手ひだりてでしたが、かたちへんになってしまうので、これも右手みぎてくせをつけたのです。
左ぎっちょの正ちゃん (新字新仮名) / 小川未明(著)
最初さいしょ、このえたのをつけたものは、そらわたくもでありました。けれど、ものぐさな無口むくちくもは、ぬふりをして、そのあたまうえ悠々ゆうゆうぎてゆきました。
明るき世界へ (新字新仮名) / 小川未明(著)
おとこは、また最初さいしょのように、かすみあみをひろげて、としのくちけました。そして、自分じぶんはあちらのやぶのなかかくれて、おとりのすずめをかすようにいときました。
すずめ (新字新仮名) / 小川未明(著)
りんごのは、最初さいしょは、びっくりしましたが、のちには、こころから、その旅行りょこうしゅくして、その成功せいこういのったのです。そして、たちにかって、北海ほっかいわた時分じぶん注意ちゅういをして
北海の波にさらわれた蛾 (新字新仮名) / 小川未明(著)
ほんとうに、今日きょうこなければよかった。来年らいねんはるまで、このうしっておくことに、最初さいしょからきめてしまえばよかった。あのとしとった博労ばくろうのいったのはほんとうのことだ。
百姓の夢 (新字新仮名) / 小川未明(著)
みんなは、をかがやかして、をあげました。最初さいしょにさされたのは、竹内たけうちでありました。
笑わなかった少年 (新字新仮名) / 小川未明(著)
年寄としよ夫婦ふうふは、最初さいしょのうちは、このむすめは、かみさまがおさずけになったのだから、どうしてることができよう。そんなことをしたら、ばちたるといって承知しょうちをしませんでした。
赤いろうそくと人魚 (新字新仮名) / 小川未明(著)
青年せいねん最初さいしょ将棋しょうぎあゆかたりませんでした。けれど老人ろうじんについて、それをおそわりましてから、このごろはのどかなひるごろには、二人ふたり毎日まいにちかいって将棋しょうぎしていました。
野ばら (新字新仮名) / 小川未明(著)
最初さいしょはありのやつめ、綿わたあしをとられて、こまっていたが、そのうちに平気へいきでそれをえてしたからがっていくもの、うえから、小粒こつぶきとおる蜜液みつえきいてりてくるもの
戦友 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「だってあんなに、ちかくなっていただきについてえるじゃないか? 盲目めくら!」と、てんとがついていると、最初さいしょいった子供こどもおこりました。そして、二人ふたりは、けんかをはじめました。
木に上った子供 (新字新仮名) / 小川未明(著)
また、最初さいしょから、たすけてみようというがあればこそ、もらってかえったのですから
僕のかきの木 (新字新仮名) / 小川未明(著)
すると、太陽たいようは、しばらくかんがえていましたが、まず最初さいしょに、すみれにかって
すみれとうぐいすの話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
最初さいしょは、それは、おじいさんのよろこばしましたのですけれど、ちょうがたくさんのたまごんでいって、あとから、あお裸虫はだかむし無数むすう孵化ふかして、やわらかなや、べることをりますと
花と人間の話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
小鳥ことりは、やっと、燈台とうだいっている、そのちいさなしまきました。最初さいしょ燈台とうだい屋根やねまろうとしましたが、そこはひじょうな雨風あめかぜであって、ちいさなとりは、とされてしまったのでした。
小さな金色の翼 (新字新仮名) / 小川未明(著)
最初さいしょしろおとこて、汽車きしゃ脱線だっせんさしたばかりでなく、自分じぶん負傷ふしょうした運転手うんてんしゅは、神経衰弱しんけいすいじゃくから、むだえたのだと判断はんだんされたものの、とにかく汽車きしゃ脱線だっせんさした責任せきにんから退職たいしょくさせられて
白い影 (新字新仮名) / 小川未明(著)
とこなつのはなは、あたまげて、じっと太陽たいようひかり見入みいっていました。このとき、あおそらをかすめて、どこからともなく、一とりんできました。最初さいしょは、ほんのくろてんのようにえたのです。
公園の花と毒蛾 (新字新仮名) / 小川未明(著)
最初さいしょ、これにがついたのは、あに太郎たろうさんでした。
黒いちょうとお母さん (新字新仮名) / 小川未明(著)