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方
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ぽう
ふりがな文庫
“
方
(
ぽう
)” の例文
この
村
(
むら
)
に、もう
一人
(
ひとり
)
金持
(
かねも
)
ちがありました。その
男
(
おとこ
)
は、
村
(
むら
)
のものが、一
方
(
ぽう
)
の
金持
(
かねも
)
ちの
家
(
うち
)
にばかり
出入
(
でい
)
りするのをねたましく
思
(
おも
)
いました。
時計のない村
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
片
(
かた
)
ッ
方
(
ぽう
)
でもいけなけりゃ、せめて
半分
(
はんぶん
)
だけでも
揚
(
あ
)
げてやったら、
通
(
とお
)
りがかりの
人達
(
ひとたち
)
が、どんなに
喜
(
よろこ
)
ぶか
知
(
し
)
れたもんじゃねえんで。……
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
復讐
(
しかえし
)
は簡単だよ。これから人間の画かきどもが何を描こうとも、おれ達はわざと気づかないふりをして
外
(
そ
)
っ
方
(
ぽう
)
を向いているんだ。
艸木虫魚
(新字新仮名)
/
薄田泣菫
(著)
いつか
茜
(
あかね
)
いろの
曠野
(
こうや
)
は、海のような青い
黄昏
(
たそがれ
)
とかわっていた。草をけって、
追
(
お
)
いつ追われつする者たちには、十
方
(
ぽう
)
なにものの
障壁
(
しょうへき
)
もない。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
傍
(
そば
)
には
白
(
しろ
)
い
布
(
きれ
)
を
被
(
き
)
せた
読経台
(
どきょうだい
)
が
置
(
お
)
かれ、一
方
(
ぽう
)
には
大主教
(
だいしゅきょう
)
の
額
(
がく
)
が
懸
(
か
)
けてある、またスウャトコルスキイ
修道院
(
しゅうどういん
)
の
額
(
がく
)
と、
枯
(
か
)
れた
花環
(
はなわ
)
とが
懸
(
か
)
けてある。
六号室
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
▼ もっと見る
一
方
(
ぽう
)
私
(
わたくし
)
の
方
(
ほう
)
ではそれとなく
良人
(
おっと
)
の
心
(
こころ
)
に
働
(
はたら
)
きかけて、
油
(
あぶら
)
ヶ
壺
(
つぼ
)
の
断崖
(
がけ
)
の
上
(
うえ
)
に
導
(
みちび
)
いてやりましたので、
二人
(
ふたり
)
はやがてバッタリと
顔
(
かお
)
と
顔
(
かお
)
を
突
(
つ
)
き
合
(
あ
)
わせました。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
僕は
何
(
ど
)
うも柄じゃないと思いましたが、今年は不景気で八
方
(
ぽう
)
塞
(
ふさ
)
がりだと言っていたところへ口がかかって来ましたから、ついフラフラと入ってしまったんです。
親鳥子鳥
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
今夜
(
こんや
)
これからすぐ
敵
(
てき
)
の
本営
(
ほんえい
)
の
高松殿
(
たかまつどの
)
におしよせて、三
方
(
ぼう
)
から火をつけて
焼
(
や
)
き
立
(
た
)
てた上、
向
(
む
)
かってくる
敵
(
てき
)
を一
方
(
ぽう
)
に
引
(
ひ
)
き
受
(
う
)
けてはげしく
攻
(
せ
)
め
立
(
た
)
てることにいたしましょう。
鎮西八郎
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
石川家の定紋、丸に一の字引きを染めぬいた、柿色羽二重の大ぶろしきに、何やら三
方
(
ぽう
)
にのせた細長いものをそばにひきつけて、緊張した顔で広書院にすわっていた。
丹下左膳:02 こけ猿の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
いささかおどけた
顔
(
かお
)
になつて、
畳
(
たたみ
)
に
手
(
て
)
をついて
謝
(
あやま
)
つたが、一
方
(
ぽう
)
、
犯人逮捕
(
はんにんたいほ
)
で
第
(
だい
)
一の
殊勲者
(
しゅくんしゃ
)
平松刑事
(
ひらまつけいじ
)
は、ある
日
(
ひ
)
のこと、
金魚屋
(
きんぎょや
)
さん
笹山大作
(
ささやまだいさく
)
の、
思
(
おも
)
いがけぬ
訪問
(
ほうもん
)
をうけた。
金魚は死んでいた
(新字新仮名)
/
大下宇陀児
(著)
此
(
この
)
偉大
(
ゐだい
)
な
力
(
ちから
)
を
分解
(
ぶんかい
)
して
見
(
み
)
ると。一
方
(
ぽう
)
には
非常
(
ひぜう
)
な
誇張
(
こてう
)
と、一
方
(
ぽう
)
には
非常
(
ひぜう
)
な
省略
(
しやうりやく
)
がある。で、これより
各論
(
かくろん
)
に
入
(
い
)
つて
化物
(
ばけもの
)
の
表現
(
へうげん
)
即
(
すなは
)
ち
形式
(
けいしき
)
を
論
(
ろん
)
ずる
順序
(
じゆんじよ
)
であるか、
今
(
いま
)
は
其
(
その
)
暇
(
ひま
)
がない。
妖怪研究
(旧字旧仮名)
/
伊東忠太
(著)
此
(
この
)
次
(
つぎ
)
は
如何
(
いか
)
なる
人
(
ひと
)
が
出
(
で
)
るだらうと、
私
(
わたくし
)
は
春枝夫人
(
はるえふじん
)
と
語
(
かた
)
りながら一
方
(
ぽう
)
の
倚子
(
ゐす
)
に
倚
(
よ
)
りて
眺
(
なが
)
めて
居
(
を
)
つたが、
暫時
(
しばらく
)
は
何人
(
たれ
)
も
出
(
で
)
ない、
大方
(
おほかた
)
今
(
いま
)
の
鵞鳥聲
(
がてうごゑ
)
の
婦人
(
ふじん
)
の
爲
(
た
)
めに
荒膽
(
あらぎも
)
を
※
(
ぬ
)
かれたのであらう。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
一年と
定
(
さだ
)
めたる
奉公人
(
ほうこうにん
)
の
給金
(
きうきん
)
は十二箇月の
間
(
あひだ
)
にも十兩、十三
箇
(
か
)
月の
間
(
あひだ
)
にも十兩なれば、一
箇
(
か
)
月はたゞ
奉公
(
ほうこう
)
するか、たゞ
給金
(
きうきん
)
を
拂
(
はら
)
ふか、
何
(
いづ
)
れにも一
方
(
ぽう
)
の
損
(
そん
)
なり。
其外
(
そのほか
)
の
不都合
(
ふつがふ
)
計
(
かぞふ
)
るに
遑
(
いとま
)
あらず。
改暦弁
(旧字旧仮名)
/
福沢諭吉
(著)
「
俺
(
お
)
ら、
鉋
(
かんな
)
の
持
(
も
)
たねえ
大工
(
でえく
)
だ、
鑿
(
のみ
)
一
方
(
ぽう
)
つちんだから」といつて
勘次
(
かんじ
)
は
相手
(
あひて
)
もないのに
態
(
わざ
)
とらしい
笑
(
わら
)
ひやうをして
女房等
(
にようばうら
)
の
居
(
ゐ
)
る
方
(
はう
)
を
見
(
み
)
た。
彼
(
かれ
)
は
俛
(
た
)
れ
相
(
さう
)
に
成
(
な
)
る
首
(
くび
)
を
起
(
おこ
)
して
數々
(
しば/\
)
見
(
み
)
ることを
反覆
(
くりかへ
)
した。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
それで
此方
(
こちら
)
の役目はすみ、お金にもなることゝ、慾が手伝いましては義理人情も兎角に
外
(
そ
)
ッ
方
(
ぽう
)
へよって仕舞うもので、お部屋からの言付けだと、伊之吉は到頭お
履物
(
はきもの
)
にされまして二階をせかれ
根岸お行の松 因果塚の由来
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
一
方
(
ぽう
)
、おばあさんは、ほんとうに
居眠
(
いねむ
)
りをしてしまいました。そして
大事
(
だいじ
)
な
財布
(
さいふ
)
を、むしろの
下
(
した
)
に
入
(
い
)
れたことを
忘
(
わす
)
れてしまいました。
善いことをした喜び
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
『足場を取ったが、何で卑怯かっ。赤穂育ちは小藩ゆえ、小狭い所をお好みかしらぬが、清水一学流は十
方
(
ぽう
)
無碍
(
むげ
)
、さあ来いっ! 束になって』
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
美顔術師の所へ通う多くの婦人連は、途中でその美顔術師に遭つても、
外
(
そ
)
つ
方
(
ぽう
)
を向いて成るべく素知らぬ顔をする。そして
後
(
あと
)
から直ぐ訪れて来て
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
が、一
方
(
ぽう
)
にかくうれしさがこみあぐると
同時
(
どうじ
)
に、
他方
(
たほう
)
には
何
(
なに
)
やら
空恐
(
そらおそ
)
ろしいような
感
(
かん
)
じが
強
(
つよ
)
く
胸
(
むね
)
を
打
(
う
)
つのでした。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
貴方
(
あなた
)
はどうしたらよかろうと
有仰
(
おっしゃ
)
るが。
貴方
(
あなた
)
の
位置
(
いち
)
をよくするのには、ここから
逃出
(
にげだ
)
す一
方
(
ぽう
)
です。しかしそれは
残念
(
ざんねん
)
ながら
無益
(
むえき
)
に
帰
(
き
)
するので、
貴方
(
あなた
)
は
到底
(
とうてい
)
捉
(
とら
)
えられずにはおらんです。
六号室
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
「
評判娘
(
ひょうばんむすめ
)
のおせんちゃんだ。
両方
(
りょうほう
)
揚
(
あ
)
げて
悪
(
わる
)
かったら、
片
(
かた
)
ッ
方
(
ぽう
)
だけでもようがしょう」
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
ここへ馬を乗りいれた源三郎をめがけて、
銭撒
(
ぜにま
)
き
役
(
やく
)
の峰丹波、三
方
(
ぽう
)
ごと残りのお捻りを投げつけたのだが、偶然源三郎のつかんだ一つが、その、万人のねらう萩乃のお
墨
(
すみ
)
つきでありました。
丹下左膳:02 こけ猿の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
とお三
方
(
ぽう
)
を持って身構えた。僕達は皆腹這いになって待っている。
親鳥子鳥
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
一
方
(
ぽう
)
では、
火
(
ひ
)
のむちで
打
(
う
)
たれて、
狂
(
くる
)
うように、
烈
(
はげ
)
しい
風
(
かぜ
)
が、
暗
(
くら
)
く、
青
(
あお
)
ざめた、
夜
(
よる
)
の
空
(
そら
)
を
苦
(
くる
)
しそうな
叫
(
さけ
)
びをあげて、
吹
(
ふ
)
いていました。
戦争はぼくをおとなにした
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
原士
(
はらし
)
の中で、有名な使い手だけあって、
難波
(
なんば
)
一
方
(
ぽう
)
流
(
りゅう
)
と覚しき太刀筋はたしかなもの。弦之丞とて、
迂濶
(
うかつ
)
にはあしらえない。
鳴門秘帖:01 上方の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
すると今度は英軍の塹壕から、一シルリングの銀貨が一つ空に
投
(
ほ
)
り上げられた。独軍の塹壕で矢庭に小銃の
爆
(
は
)
ぜる音がしたが、
弾丸
(
たま
)
は
外
(
そ
)
つ
方
(
ぽう
)
へ逸れてしまつた。
茶話:04 大正七(一九一八)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
私
(
わたくし
)
の
地上
(
ちじょう
)
に
居
(
お
)
った
頃
(
ころ
)
は
朝廷
(
ちょうてい
)
が
南
(
みなみ
)
と
北
(
きた
)
との
二
(
ふた
)
つに
岐
(
わか
)
れ、一
方
(
ぽう
)
には
新田
(
にった
)
、
楠木
(
くすのき
)
などが
控
(
ひか
)
え、
他方
(
たほう
)
には
足利
(
あしかが
)
その
他
(
た
)
東国
(
とうごく
)
の
武士
(
ぶし
)
どもが
附
(
つ
)
き
随
(
したが
)
い、
殆
(
ほと
)
んど
連日
(
れんじつ
)
戦闘
(
たたかい
)
のない
日
(
ひ
)
とてもない
有様
(
ありさま
)
でした……。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
「八
方
(
ぽう
)
塞
(
ふさが
)
りだね」
ぐうたら道中記
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
君
(
きみ
)
たちのいうことは、よくわかった。一
方
(
ぽう
)
は、
理科
(
りか
)
の
知識
(
ちしき
)
を
得
(
え
)
るためだというのだし、一
方
(
ぽう
)
はかわいそうだから
助
(
たす
)
けるというのだ。
眼鏡
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
十
方
(
ぽう
)
自在
(
じざい
)
の
妙槍
(
みょうそう
)
をひッ
抱
(
かか
)
え、馬に
泡
(
あわ
)
をかませながら、乱軍のうちを
血眼
(
ちまなこ
)
になって走りまわっていたのは小文治である。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
一寸
内証
(
ないしよう
)
で言つておくが、これは亭主にとつても同じ事で、女房に好かれようと思つたら、途中で自分の
連合
(
つれあひ
)
に出会つても、成るべく
外
(
そ
)
つ
方
(
ぽう
)
を向いてゐる事だ。
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
役場
(
やくば
)
へ
勤
(
つと
)
めてからも、まじめ一
方
(
ぽう
)
に
働
(
はたら
)
くばかりでした。しかし、なにか、うまいものが
彼
(
かれ
)
の
手
(
て
)
に
入
(
はい
)
ると、だれの
前
(
まえ
)
もはばからず、きっと
万の死
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
「よけいなことはいわんでもよい。さ、一
服
(
ぷく
)
吸
(
す
)
ったら八
方
(
ぽう
)
へ手を分けて、まず第一に
間道
(
かんどう
)
らしい
洞穴
(
ほらあな
)
をさがしてみろ」
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
と、うつかり口を滑らすと、領事は
苦味丁幾
(
クミチンキ
)
を飲んだやうに苦い顔をして、
外
(
そ
)
つ
方
(
ぽう
)
を向いた。そして
茶話:04 大正七(一九一八)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
「
今夜
(
こんや
)
、六
時
(
じ
)
から
集
(
あつ
)
まる。」と、いい
合
(
あ
)
わしても、一
方
(
ぽう
)
のものは、
乙
(
おつ
)
の
金持
(
かねも
)
ちの
時計
(
とけい
)
が六
時
(
じ
)
になると
会場
(
かいじょう
)
に
集
(
あつ
)
まりましたが、一
方
(
ぽう
)
のものは
時計のない村
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
四つの眼が
衝突
(
ぶつつか
)
つた時、男は
霊魂
(
たましひ
)
まで焼かれるやうな気持がしたので、そつと
外
(
そ
)
つ
方
(
ぽう
)
に視線を
外
(
そら
)
した。
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
その快実は、両宮の床几に近い所まで来ると、ほこらしげに、六
方
(
ぽう
)
踊
(
おど
)
りの足踏み鳴らしながら
私本太平記:04 帝獄帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
ただ、
私
(
わたし
)
が
人形
(
にんぎょう
)
の
顔
(
かお
)
を
描
(
か
)
くときに、一
方
(
ぽう
)
は
気持
(
きも
)
ちよく、一
方
(
ぽう
)
は、なにか
心
(
こころ
)
の
中
(
なか
)
にもの
足
(
た
)
らなさを
感
(
かん
)
じていたというまでです。
気まぐれの人形師
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
京都は三
方
(
ぽう
)
山に囲まれてゐるので、夏になると雷が多い。空がごろごろ鳴り出すと、京都の女はチヨコレエトを食べさして、
蚕
(
かひこ
)
のやうにぶるぶるつと
身体
(
からだ
)
を
顫
(
ふる
)
はせる。
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
どこの
草葺
(
くさぶき
)
屋根にも、この防風林がつきもので、十
方
(
ぽう
)
碧落
(
へきらく
)
のほか何ものも見えない平野にあっては、時折、気ちがいのようにやッて来る
旋風
(
つむじかぜ
)
や、
秩父颪
(
ちちぶおろし
)
の通り道のようになっている地形上
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
そして、一
方
(
ぽう
)
からくる
車
(
くるま
)
は、それによって、ゴウッと
走
(
はし
)
り
出
(
だ
)
し、一
方
(
ぽう
)
からくる
車
(
くるま
)
は、それによって、ぴたっと
止
(
と
)
まりました。
はととりんご
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
その証拠には、電車が
尼崎
(
あまがさき
)
に着いて、直ぐ前に空席が出来ても、氏は素知らぬ顔をして
外
(
そ
)
つ
方
(
ぽう
)
を向いてゐたが、車掌に尻を小突かれて、やつと不承不承に
其処
(
そこ
)
に腰を下した。
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
一
方
(
ぽう
)
は
山
(
やま
)
で、
切
(
き
)
り
落
(
お
)
としたようになって、一
方
(
ぽう
)
は
深
(
ふか
)
い
深
(
ふか
)
い
崖
(
がけ
)
であります。その
崖
(
がけ
)
の
下
(
した
)
には、
大
(
おお
)
きな
波
(
なみ
)
が
打
(
う
)
ち
寄
(
よ
)
せていました。
初夏の空で笑う女
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
馬丁
(
べつたう
)
は素知らぬ顔で
外
(
そ
)
つ
方
(
ぽう
)
を向いてゐたが、馬はそこに突立つて一足も前に乗り出さうとしなかつた。で、
馬丁
(
べつたう
)
は無けなしの財布から幾らか
摘
(
つま
)
み出して貧乏人の
掌面
(
てのひら
)
に載つけてやつた。
茶話:04 大正七(一九一八)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
ところが、その
群
(
むら
)
がった
火
(
ひ
)
の
中
(
なか
)
から、
飛
(
と
)
び
出
(
だ
)
したように、ぽつ、ぽつと、
町
(
まち
)
をはなれて、
幾
(
いく
)
つかずつ
火
(
ひ
)
が
寂
(
さび
)
しい
野原
(
のはら
)
の一
方
(
ぽう
)
に
散
(
ち
)
っていくのでした。
縛られたあひる
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
ちょっと眼を
外
(
そ
)
っ
方
(
ぽう
)
に逸らした時に、ちゃんと閉じられているということだ。
艸木虫魚
(新字新仮名)
/
薄田泣菫
(著)
そんな
場合
(
ばあい
)
には、
甲
(
こう
)
は
赤
(
あか
)
い
帽子
(
ぼうし
)
を
被
(
かぶ
)
り、
乙
(
おつ
)
は
白
(
しろ
)
い
帽子
(
ぼうし
)
を
被
(
かぶ
)
りましたが、一
方
(
ぽう
)
は、
桜
(
さくら
)
の
木
(
き
)
の
右
(
みぎ
)
に、一
方
(
ぽう
)
は
桜
(
さくら
)
の
木
(
き
)
の
左
(
ひだり
)
にというふうに、
陣取
(
じんど
)
りました。
学校の桜の木
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
将軍家はお
八
(
や
)
つの菓子を貰ひ損ねた子供のやうに、
態
(
わざ
)
と
外
(
そ
)
つ
方
(
ぽう
)
を向いた。
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
ばたんと
赤
(
あか
)
が
出
(
で
)
ると、一
方
(
ぽう
)
からくる
車
(
くるま
)
がみんな
止
(
と
)
まって、いままで、じっとしていた
車
(
くるま
)
が、
流
(
なが
)
れるように
続
(
つづ
)
きました。
はととりんご
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
いつも
外
(
そ
)
つ
方
(
ぽう
)
から珈琲皿のやうな円い顔をによつきりと
覗
(
のぞ
)
けた。
無学なお月様
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
“方”の解説
方(ほう)は、漢姓の一つ。
(出典:Wikipedia)
方
常用漢字
小2
部首:⽅
4画
“方”を含む語句
彼方
此方
何方
先方
其方
地方
前方
行方
方法
遠方
四方
彼方此方
貴方
東方
大方
上方
一方
外方
片方
南方
...