其外そのほか)” の例文
其外そのほか大阪の城代土屋采女正寅直つちやうねめのしやうともなほの用人大久保要おほくぼかなめに由つて徳川慶喜に上書し、又藤田誠之進を介して水戸斉昭みとなりあきに上書したこともある。
津下四郎左衛門 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
すべて雪道は人のふみかためたるあとのみをゆきゝするゆゑ、いかなる広き所も道は一条ひとすぢにて其外そのほかをふめばこしをこえて雪にふみ入る也。
さて其外そのほかでは、なんであらうか? 性根しゃうねみだれぬ亂心らんしん……いきをもむるにがもの。……いのち砂糖漬さとうづけにするほどあまもの。さらば。
番頭傳兵衞でんべゑいへる者あづか支配しはいなし居たるが此處に吉之助をつかはして諸藝しよげいの師をえらみ金銀にかゝはらずならはするに日々生花いけばなちや其外そのほか遊藝いうげい彼是なにくれと是を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
第一 毎日まいにちき、寢衣ねまき着替きかへ、蒲團ふとんちりはらひ、寢間ねま其外そのほか居間ゐま掃除さうじし、身體しんたい十分じふぶん安靜しづかにして、朝飯あさはんしよくすること
養生心得草 (旧字旧仮名) / 関寛(著)
機會きくわいに、佐伯さへき消息せうそく折々をり/\夫婦ふうふみゝれることはあるが、其外そのほかには、まつたなにをしてらしてゐるか、たがひらないですご月日つきひおほかつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
電気看板の信号なんかは使わないけれど、其外そのほか丁度ちょうどこのごろ、あんたとあたいがりかえしている深夜のランデヴウみたいにネ。まあ、くやしい。
電気看板の神経 (新字新仮名) / 海野十三(著)
それには其外そのほかにすべて異常なる物に対して僕(我我人間と云ひたいが)の持つてゐる興味も働いてゐるだらうと思ふ。
澄江堂雑記 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
山田やまだ読売新聞よみうりしんぶんへは大分だいぶ寄書きしよしてました、わたしは天にも地にもたゞ一度いちど頴才新誌えいさいしんしふのにやなぎえいじた七言絶句しちごんぜつくを出した事が有るが、其外そのほかにはなにも無い
硯友社の沿革 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
なるほど、いもくわゐもおいてゆかつし、其外そのほかなにかまだ長いものが見えるぢやアねえか。「へい、あれは助高すけたかやもので、おほたばの若菜わかなひめでございます。 ...
狂言の買冠 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
其外そのほかの百姓家しやうやとてもかぞえるばかり、ものあきないへじゆんじて幾軒いくけんもない寂寞せきばくたる溪間たにま! この溪間たにま雨雲あまぐもとざされてものこと/″\ひかりうしなふたとき光景くわうけい想像さう/″\たまへ。
湯ヶ原より (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
誰かがそれを発見するのを待構えていたり、其外そのほかこれに類した様々の遊戯を行っては、独り楽むのでした。
屋根裏の散歩者 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
寢食しんしよくことまをすにおよばず、器物きぶつ取扱とりあつかひことみづこと掃除さうぢこと其外そのほかさい仕事しごとくわんしてみん銘々めい/\獨立心どくりつしんつておこなへば自然しぜん責任せきにんおもんずるやうになる。
女教邇言 (旧字旧仮名) / 津田梅子(著)
其外そのほか便利べんりは一々かぞあぐるにおよばざることなり。たゞ此後このゝち所謂いはゆる晦日みそかつきることあるべし。
改暦弁 (旧字旧仮名) / 福沢諭吉(著)
乗るなら頼んで見ようと滋野が云つたけれど今日けふ其外そのほかに飛ぶ飛行機が無かつた。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
其外そのほか蒸風呂もあれば湯滝もあり、泳げるような大きなプールさえも設けてある。そして余った湯は其儘小川をなして中房川に流れ入るのである。それを見ると何だか惜しいような気がする。
就中なかんずく女体峯頭が最も高く、つ眺望最もすぐれたれど、この日は濃霧濛々として眺望少しも開けざりき。男体山には伊弉諾尊いざなきのみことを祀り、女体山には伊弉冊尊いざなみのみことを祀る。其外そのほか、頂上に摂社すこぶる多し。
秋の筑波山 (新字新仮名) / 大町桂月(著)
父樣とうさま母樣かあさま御褒美ごはうびいたヾくべしと威張ゐばるに、令孃ひめ微笑ほヽゑみながらいさましきをめて、そのやう大將たいしやうたまひても、わたしとはいまかはらずなかよくしてくだされや、大姉樣おほねえさま其外そのほかのおひと夫々それ/\片付かたづき
暁月夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
おらア元から朝起きが好きだ、夏でも冬でも天気のえい時、朝っぱらの心持ったらそらアえいもんだからなア、年をとってからは冬の朝は寒くて億劫おっくうになったけど、其外そのほかん時には朝早く起きるのが
姪子 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
かあさんがうちだから、其外そのほかにはやうがないもの、わたし。」
一席話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
衰破すゐは斷滅だんめつし其屋敷あとはたとなりてのこれり其中に少しのをかありて時々とき/″\ぜに又は其外そのほか種々いろ/\器物きぶつなど掘出ほりだす事ある由を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
門外には岸和田から来た岡部内膳正長和ないぜんのしやうながかずの一番手二百余人、高槻の永井飛騨守直与ひだのかみなほともの手、其外そのほか淀の手が備へてゐる。
大塩平八郎 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
およそ物をるに眼力がんりきかぎりありて其外そのほかを視るべからず。されば人の肉眼にくがんを以雪をみれば一片ひとひら鵞毛がまうのごとくなれども、十百へん雪花ゆき併合よせあはせて一へんの鵞毛をなす也。
御米およねそでにして道具屋だうぐやまへまつた。ると相變あひかはらずあたらしい鐵瓶てつびん澤山たくさんならべてあつた。其外そのほかには時節柄じせつがらとでもふのか火鉢ひばち一番いちばんおほいた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
其外そのほか、美しい建築物を以て充された大市街や、猛獣毒蛇毒草の園や、噴泉や滝や流れや様々の水の遊戯を羅列した、しぶきと水煙の世界なども已に設計は出来ている。
パノラマ島綺譚 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
たとへば日雇賃ひようちんにても借家賃しやくやちんにても其外そのほかもの貸借かしかり約束やくそく日限にちげんみないづれも一ウヰークにつき何程なにほどとて、一七日毎ひとなぬかごときりつくること、我邦わがくににて毎月まいつき晦日みそかかぎりにするがごとし。その一七日のとなへごと
改暦弁 (旧字旧仮名) / 福沢諭吉(著)
第八 衣服いふく精粗美惡よしあしひと分限ぶんげんるといへども、肌着はだぎ木綿もめんフラン子ルをよしとす。蒲團ふとん中心なかわたあたらしくかはきたるものをたつとゆゑに、綿花わたかぎらずかま穗苗藁ほわら其外そのほかやわらかかはきたるものをえらぶべし。
養生心得草 (旧字旧仮名) / 関寛(著)
しか俯伏うつぶすのは形が悪いと云つて前へズツと乗出して腹這はらばひに成つて仕舞しまふのであるが、其れが又新しい味のある形になつて居て、決して変でなかつた。其外そのほか最敬礼の場合に皆が度度たびたび腹這はらばひに成る。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
成程なるほどわたくしじゆくには規則きそくまをしても何時なんどきる、おきるといふだけで、其外そのほかこれまもれ、これをおこなへといふやうな命令的めいれいてきことさらまをさないが、かはり、何事なにごと自營獨立じえいどくりつ精神せいしんめてつてもらひたい。
女教邇言 (旧字旧仮名) / 津田梅子(著)
さても重四郎は幸手さつてを立出で一先江戸表へ來りて處々しよ/\見物けんぶつなさんと十五六日も逗留とうりうして上野淺草吉原兩國芝増上寺其外そのほか處々を見歩行みあるき或日又本町通りを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
荒川の屋敷は、別当部屋と、それに続いてゐるうまやとが、往来に接して建ててあつて、其外そのほか黒板塀くろいたべいで囲んである。
金貨 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
其外そのほか徒然とぜんであつたり、気が向いたりして作る場合は無論あるだらうが)中佐は詩を残す必要のない軍人である。しかもその詩は誰にでも作れる個性のないものである。
艇長の遺書と中佐の詩 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
一年とさだめたる奉公人ほうこうにん給金きうきんは十二箇月のあひだにも十兩、十三月のあひだにも十兩なれば、一月はたゞ奉公ほうこうするか、たゞ給金きうきんはらふか、いづれにも一ぽうそんなり。其外そのほか不都合ふつがふかぞふるにいとまあらず。
改暦弁 (旧字旧仮名) / 福沢諭吉(著)
其外そのほか西村利三郎を連れて伊勢から仙台に往き、江戸で利三郎が病死するまで世話をした黄檗わうばくの僧剛嶽がうがく、江戸で西村を弟子にした橋本町一丁目の願人ぐわんにん冷月れいげつ
大塩平八郎 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
むらさき裾模様すそもやうの小そでに金糸の刺繍ぬひが見える。袖からそで幔幕まんまくつなを通して、虫干むしぼしの時の様にるした。そでは丸くてみぢかい。是が元禄げんろくかと三四郎も気がいた。其外そのほかにはが沢山ある。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
訴状には「御城おんしろ御役所おんやくしよ其外そのほか組屋敷等くみやしきとう火攻ひぜめはかりごと」と書いてある。檄文げきぶんには無道むだうの役人をちゆうし、次に金持の町人共をこらすと云つてある。かく恐ろしい陰謀である。
大塩平八郎 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
次に脚本の話をする。それが、みんな新作で、みんな面白い。其外そのほか幾何いくらでもある。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
其外そのほか俗人ぞくじんやま修業しゆげふてゐるひとはなし色々いろ/\いた。なか筆墨ふですみあきなをとこがゐた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
其外そのほかに親類はないんですか」
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)