便利べんり)” の例文
ところがだん/\進歩しんぽするにしたがつて石塊いしころ多少たしよう細工さいくくはへ、にぎつてものこわすに便利べんりかたちにこしらへるようになりました。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
二日ふつかめで、はやこうしてとどく。とおいといっても便利べんりなかじゃ。」と、母親ははおやは、まだ汽車きしゃのなかったときのことを、かんがえていました。
母の心 (新字新仮名) / 小川未明(著)
したんぢやないんですが、あのはう費用ひよう隨分ずゐぶんかゝるので、いくら便利べんりでも、さうだれかれこしらえるわけかないんださうです」と小六ころくこたへた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
しかしそれも依然いぜんとして金錢きんせんいくらでも餘裕よゆうのあるひとにのみ便利べんりなのであつて、貧乏びんばふ百姓ひやくしやうにはうしうま馬塞棒ませぼうさへぎられたやうなかたちでなければならぬ。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
索引さくいんは五十おんわかちたり、読者どくしゃ便利べんり正式せいしき仮名かなによらず、オとヲ、イとヰ、のるいちかきものにれたり
食道楽:冬の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
それは裝置そうちが新しく便利べんりだといふ以ぐわいには、しよ持のプレモと大してかはりもないものだつたが、大正十一年の支那しなりよ行の時には、それをかたにして行つた。
ゆゑに家毎いへごとこのながれもつ井水ゐすゐかはりとし、しかもをけにてもくむべきながれなれば、平日の便利べんり井戸よりもはるかにまされり。
そして、スモーランドとバルト海とのあいだに、便利べんりな道をひらくため、この階段がたいらに、なめらかにされてからも、長い年月がたっているのです。
便利べんりあり、利益りえきある方面はうめんむかつて脱出ぬけだしたあとには、こののかゝるおもかげが、空蝉うつせみになり脱殼ぬけがらになつてしまふのである。
三尺角 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
わたしはさうもおもはないが、さきまをした黒人くろひとくらべてはなすのに便利べんりなため、まづ普通ふつうかんがへを採用さいようしておきませう。
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
こちらの世界せかいではおそあるくも、はやあるくも、すべて自分じぶん勝手かってで、そこはまことに便利べんりでございます。
救助きうじよもとむる難破船なんぱせん眞似まねをしたのは、あのへん海底かいていなにかの理由りいう水深すいしん左程さまでふかからず、弦月丸げんげつまる撃沈げきちんしてのち潜水器せんすいきしづめるに便利べんりかつたためではあるまいか
有名ゆうめい大都市だいとしナポリに接近せつきんしてゐるため見學けんがく便利べんりなこと、およ三十年位さんじゆうねんくらゐにて活動かつどう一循環いちじゆんかんをなし、噴火現象ふんかげんしよう多種多樣たしゆたようにて研究材料けんきゆうざいりよう豐富ほうふなること、登山鐵道とざんてつどう火山觀測所かざんかんそくじよ
火山の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
其外そのほか便利べんりは一々かぞあぐるにおよばざることなり。たゞ此後このゝち所謂いはゆる晦日みそかつきることあるべし。
改暦弁 (旧字旧仮名) / 福沢諭吉(著)
掛んも計難はかりがたし然ば一先とほ江戸表えどおもておもむきて事をはからふに如ずと思案し杢右衞門もくゑもんに向申けるは我種々いろ/\思案しあんせしが當時大阪よりは江戸表えどおもてかた繁昌はんじやうにて諸事便利べんりなれば一先江戸をめぐりて商賣しやうばい
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
たとへばひらたく兩方りようほうからみがしてゐる石斧せきふ、あるひはながやり、あるひは庖丁ほうちようといつたふうに、使用しよう便利べんり種々しゆ/″\かたち出來できたのであります。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
こういうめにあいますと、いままで、便利べんり生活せいかつをなんでもなくおもっていた人々ひとびとははじめて、平和へいわのことにありがたみをかんじたのでありました。
子供と馬の話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
かれ坂井さかゐいへそばつて、むかふれずに、ひとうかがやう便利べんり場所ばしよはあるまいかとかんがへた。不幸ふかうにして、かくすべきところをおもなかつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
勘次かんじ平生へいぜいなんともおもはなかつた器物きぶつにしみ/″\と便利べんりかんじた。かれ藥鑵やくわんのまだあつ茶碗ちやわんいで彼等かれらちつけるたゞまいむしろはしいこうた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
(雪車の制作せいさく別に記す、形大小種々あり大なるを修羅しゆらといふ)雪国の便利べんりだい一の用具ようぐ也。しかれども雪凍りたる時にあらざれば用ひがたし、ゆゑに里人雪舟途そりみちとなふ。
おびやかし味方に付る時は江戸表えどおもて名乘なのりいづるに必ず便利べんりなるべしと不敵にも思案を定め彼奧座敷に至り燭臺しよくだいあかりをともしとねの上に欣然きんぜんと座を胴卷どうまきの金子はわきの臺に差置さしおき所持の二品を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
みぎ次第しだいにて此度このたび大陰暦たいゝんれきあらためて大陽暦たいやうれきにはかに二十七日のおこしたれどもすこしもあやしむにらず。事實じゞつそんにもあらず、とくにもあらず、千萬歳ののちいたるまで便利べんりしたるなり。
改暦弁 (旧字旧仮名) / 福沢諭吉(著)
わたくしきているときから霊視れいしがきくようになり、いまではすわったままでなんでもえるともうしますと、『そなたはなん便利べんりなものを神様かみさまからさずかっているであろう!』と良人おっとたいへんにおどろきました。
たまたまちからりないでらされたのは、さういふとき非常ひじやう便利べんりなやうにいてあるので、どんなかげでもたくする場所ばしよもとめてころ/\ところがつてつては
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
いま飛行機ひこうきといったが、たまにひとには便利べんりかしれないが、職業しょくぎょうとなって、毎日まいにちっているひとのことをかんがえれば、どれほど、このふねより危険きけんおお職業しょくぎょうかわからない。
船の破片に残る話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
この發見はつけんはちょうど近代きんだいにおける鐵砲てつぽう發明はつめい同樣どうよう當時とうじ人間にんげん狩獵しゆりよう戰爭せんそう場合ばあひ、どれほど便利べんりで、またどれほど有效ゆうこうであつたかといふことは、いまから想像そう/″\されます。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
宗助そうすけ後暗うしろぐらひとの、變名へんみやうもちひてわた便利べんりせつかんじた。かれ主人しゆじんむかつて、「貴方あなたはもしやわたくし安井やすゐまへくちにしやしませんか」といてたくてたまらなかつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
こゝにかせをならべてさらしもする也。みなその場所ばしよ便利べんりにしたがふゆゑ一定いちぢやうならず。
ただもうすこ便利べんりなようにおもわれます。
わたしたちは、けっして、ひとりでに、このなか便利べんりに、文明ぶんめいになったとおもってはいけません。
子供と馬の話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
もし、そのとき、まちから、むらへ、バスがとおっていたら、どんなになるか、便利べんりなことであろう。
とうげの茶屋 (新字新仮名) / 小川未明(著)
そんなように、いままでつごうがよく、便利べんりであったものが、すっかりくるってしまって、三十ねんも四十ねんものむかしかえったように、不便ふべんなみじめなさまになったのでありました。
子供と馬の話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
むかしなら、あるかなければ、どこへも、いけなかったのが、いまは便利べんりになって、たいていのところへは、もので、そばまでいけるし、飛行機ひこうきれば、外国がいこくでも、つちをふまずに、うみやまをこして
雲のわくころ (新字新仮名) / 小川未明(著)
なかが、便利べんりになれば、一ぽうに、いいこともあるし、一ぽうには、わるいこともある。しかし、そこはあたまはたらかせようだ。かんがえてみさっしゃい。ちかむらから、みんなこのみちてくるだろう。
とうげの茶屋 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「このあたりは、便利べんりなもので、よくひとりにくるとみえて、さかながすれていて、なかなか、えさにだまされない。もっとおくのほうへいかなければ、かかりそうもないから、今日きょうは、よすことにしよう。」
雲のわくころ (新字新仮名) / 小川未明(著)