ほとけ)” の例文
新字:
けら殿どのを、ほとけさんむし馬追蟲うまおひむしを、鳴聲なきごゑでスイチヨとぶ。鹽買蜻蛉しほがひとんぼ味噌買蜻蛉みそがひとんぼ考證かうしようおよばず、色合いろあひもつ子供衆こどもしう御存ごぞんじならん。
寸情風土記 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
そも女人をんなは、一だい五千くわん、七千餘卷のどのきやうにもほとけになれないときらはれてゐるが、法華經ほけきやうばかりには女人によにんほとけになると説かれてゐる。
あきぼんには赤痢せきりさわぎもしづんであたらしいほとけかずえてた。墓地ぼちにはげたあかつちちひさなつかいくつも疎末そまつ棺臺くわんだいせてた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
第一番だいいちばんに、石造皇子いしつくりのみこはずるいほうさいのあつたかたですから、註文ちゆうもんほとけ御石みいしはちりに天竺てんじくつたようにせかけて、三年さんねんばかりたつて
竹取物語 (旧字旧仮名) / 和田万吉(著)
かみもおはしまさば我家わがやのきとゞまりて御覽ごらんぜよ、ほとけもあらば此手元このてもとちかよりても御覽ごらんぜよ、こゝろめるかにごれるか。
軒もる月 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
「兎も角、お粂さんを呼んでくれ、それからほとけを疊の上へおろして、夜中でも一と通りのことはしなきやなるまい」
銭形平次捕物控:311 鬼女 (旧字旧仮名) / 野村胡堂(著)
かみほとけがお守りなすつて此上もない幸福さいはひが參つた事で御座りませうとお金も共に打喜うちよろこび是より後は營業を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
徒然草つれ/″\ぐさ最初さいしよほとけはどうして出來できたかとはれてこまつたとふやうなはなしがあつた。子供こどもものはれてこまることは度々たび/\である。なかにも宗教上しうけうじやうことには、こたへきうすることがおほい。
寒山拾得縁起 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
必竟ひつきやうずるに、彼等かれら信仰しんかうは、かみなかつたため、ほとけはなかつたため、たがひ目標めじるしとしてはたらいた。たがひつて、まるゑんゑがはじめた。彼等かれら生活せいくわつさみしいなりにいてた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
ざつと三十三間堂けんだうほとけかずの十ばい見積みつもつたんさ。
ハガキ運動 (旧字旧仮名) / 堺利彦(著)
ほとけさまと呼べど答へなし
鶴彬全川柳 (新字旧仮名) / 鶴彬(著)
喜びを封ずるほとけの火
太陽の子 (旧字旧仮名) / 福士幸次郎(著)
あめのつれ/″\に、ほとけをしへてのたまはく、むかしそれくに一婦いつぷありてぢよめり。をんなあたか弱竹なよたけごとくにして、うまれしむすめたまごとし。
妙齢 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
況や、たみのほねをくだける白米しらよね、人の血をしぼれるごとくなるふるさけを、ほとけ法華經ほけきやうにまいらせ給へる女人によにんの、成佛得道疑べしや。
何處どこうちからもそれ相應さうおうほとけへというてそなへる馳走ちさういて卯平うへいはじめて滿足まんぞくしたくちぬぐふことが出來できたのであつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
なみだ藥鍋くすりなべした炭火ずみびとろ/\とがち生計くらしとて良醫りやういにもかゝられねばす/\おもこゝろぐるしさよおもへばてんかみほとけ我爲わがためにはみなあだいまこの場合ばあひ
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
それは五人ごにんとも別々べつ/\で、石造皇子いしつくりのみこには天竺てんじくにあるほとけ御石みいしはち車持皇子くらもちのみこには東海とうかい蓬莱山ほうらいさんにあるぎんきんくき白玉しらたまをもつたえだ一本いつぽん阿倍あべ右大臣うだいじんには唐土もろこしにある火鼠ひねずみ皮衣かはごろも
竹取物語 (旧字旧仮名) / 和田万吉(著)
すくはんとの其孝心が天につうじ神やほとけ冥助めいじよにて賣代うりしろなしたるあかつきには如何なる貴人きじん有福いうふくの人に愛され請出され却つて結構けつこうの身ともなり結句けつく我手にそだちしより末の幸福しあはせ見る樣になるまじき者にも非ずよく覺悟かくご
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
十萬世界の大地のちりは知人しるひともありなん。法華經ほけきやう供養の功徳くどくしりがたしとこそほとけはとかせ給てさふらへ、これをもて御心あるべし。
それからまた日目かめほとけおくつて村落むらもの黄昏たそがれ墓地ぼちうた。へび猶且やつぱり棺臺くわんだいかげらなかつた。へび自由じいう匍匐はらばふにはあまりに瘡痍きずおほきかつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
隙間すきまもるかぜおともなくせまりくるさぶさもすさまじ、かたすゑおもひにわすれて夢路ゆめぢをたどるやうなりしが、なにものぞほとけにその空虚うつろなるむねにひゞきたるとおぼしく
軒もる月 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
心得こゝろえたか、とかたらせたまへば、羅漢らかん末席まつせきさぶらひて、悟顏さとりがほ周梨槃特しゆりはんどくこのもしげなる目色めつきにて、わがほとけ、わが佛殿ほとけどの道人だうじん問答もんだふより、ふすま男女なんによ睦言むつごと、もそつとおきなされとふ。
妙齢 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
や或るひは面體めんてい惡氣にくげに心は善良ぜんりやうるもあり或ひに面體めんてい柔和にうわにして胸中きようちう大膽不敵だいたんふてきなる者有所謂いはゆる外面如菩薩げめんによぼさつ内心ないしん如夜刄によやしやほとけも説給ひし如し然れば其面體めんてい柔和にして形容なりかたち柔和おとなしやかなる者の言事は自然と直なる樣に聞ゆれども其事は邪心じやしん
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
まわれば大門おほもん見返みかへやなぎいとながけれど、おぐろどぶ燈火ともしびうつる三がいさわぎもごとく、けくれなしのくるま行來ゆきゝにはかりられぬ全盛ぜんせいをうらなひて、大音寺前だいおんじまへほとけくさけれど
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
のもひとツの廣室ひろま夢中むちう突切つツきつたが、くらがりで三尺さんじやくかべところ突當つきあたつて行處ゆきどころはない、此處こゝおそろしいものにとらへられるのかとおもつて、あはれかみにもほとけにもきこえよと、其壁そのかべ押破おしやぶらうとしてこぶしたゝくと
怪談女の輪 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
ぢやうさまがたはには追羽子おひはご餘念よねんなく、小僧こざうどのはまだお使つかひよりかへらず、おはりは二かいにてしかもつんぼなれば子細しさいなし、若旦那わかだんなはとればお居間いま炬燵こたついまゆめ眞最中まつたゞなかおがみまするかみさまほとけさま
大つごもり (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
こゝろざほとけ追善つゐぜんをしたのさ。藝者げいしやたちが感心かんしんぢやないか。」
月夜車 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
ほとけ苦笑にがわらひしたまひて、われらずとのたまひぬ。
妙齢 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)