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濁
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にご
ふりがな文庫
“
濁
(
にご
)” の例文
頬
(
ほお
)
はこけ、眼の下にふかいたるみが出来た上に、皮膚の色はどす黒く
濁
(
にご
)
っていた。鏡を見るごとに
味気
(
あじき
)
なさが身に
沁
(
し
)
みるようである。
親馬鹿入堂記
(新字新仮名)
/
尾崎士郎
(著)
濁
(
にご
)
れる
水
(
みづ
)
も
色
(
いろ
)
を
添
(
そ
)
へて
極彩色
(
ごくさいしき
)
の
金屏風
(
きんびやうぶ
)
を
渡
(
わた
)
るが
如
(
ごと
)
く、
秋草模樣
(
あきくさもやう
)
に
露
(
つゆ
)
敷
(
し
)
く
袖
(
そで
)
は、
丈
(
せ
)
高
(
たか
)
き
紫苑
(
しをん
)
の
梢
(
こずゑ
)
を
乘
(
の
)
りて、
驚
(
おどろ
)
き
飛
(
と
)
ぶ
蝶
(
てふ
)
とともに
漾
(
たゞよ
)
へり。
婦人十一題
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
此の
烟
(
けむり
)
と
埃
(
ほこり
)
とで、新しい東京は
年毎
(
としごと
)
に
煤
(
すゝ
)
けて行く。そして人も
濁
(
にご
)
る。つい
眼前
(
めのまへ
)
にも
湯屋
(
ゆや
)
の
煤突
(
えんとつ
)
がノロ/\と黄色い煙を噴出してゐた。
平民の娘
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
念佛
(
ねんぶつ
)
の
濁
(
にご
)
つた
聲
(
こゑ
)
も
明
(
あか
)
るく
響
(
ひゞ
)
いた。
地上
(
ちじやう
)
を
掩
(
おほ
)
うた
霜
(
しも
)
が
滅切
(
めつきり
)
と
白
(
しろ
)
く
見
(
み
)
えて
寮
(
れう
)
の
庭
(
には
)
に
立
(
た
)
てられた
天棚
(
てんだな
)
の
粧飾
(
かざり
)
の
赤
(
あか
)
や
青
(
あを
)
の
紙
(
かみ
)
が
明瞭
(
はつきり
)
として
來
(
き
)
た。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
隅田川がドブのように
濁
(
にご
)
った今日とは違って、いろいろの物語に残っているように、その頃は思いのほかの綺麗な川だったのです。
銭形平次捕物控:297 花見の留守
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
▼ もっと見る
しかしそれは、
濁
(
にご
)
るべき所と
清
(
す
)
むべき所が語によって古今の違いがあるので、今我々が濁って読む語でも昔の人は清んで読んでおった。
古代国語の音韻に就いて
(新字新仮名)
/
橋本進吉
(著)
尋
(
たず
)
ねた場合は、「絵の先生をしています」とでも
濁
(
にご
)
しておこうと、私は私の家と同然な御出入口と書いてあるその硝子戸を引いた。
清貧の書
(新字新仮名)
/
林芙美子
(著)
所
(
ところ
)
が
宗助
(
そうすけ
)
がゐなくなつて、
自分
(
じぶん
)
の
義務
(
ぎむ
)
に
一段落
(
いちだんらく
)
が
着
(
つ
)
いたといふ
氣
(
き
)
の
弛
(
ゆる
)
みが
出
(
で
)
ると
等
(
ひと
)
しく、
濁
(
にご
)
つた
天氣
(
てんき
)
がそろ/\
御米
(
およね
)
の
頭
(
あたま
)
を
攻
(
せ
)
め
始
(
はじ
)
めた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
また
一人
(
ひとり
)
の
子
(
こ
)
は、
赤
(
あか
)
い
糸
(
いと
)
を
濁
(
にご
)
った
水
(
みず
)
の
中
(
なか
)
に
流
(
なが
)
して、
炎
(
ほのお
)
のごとく、へびのように、ちらちらするのをおもしろがって
見
(
み
)
ていました。
台風の子
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
「東京では、こんな綺麗な月は見られないよ。箱根の高い山の上は、空気が
濁
(
にご
)
っていないから、こんなに鮮かに見えるのだよ」
崩れる鬼影
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
眼
(
まなこ
)
の光
濁
(
にご
)
り
瞳
(
ひとみ
)
動くこと遅くいずこともなくみつむるまなざし鈍し。
纒
(
まと
)
いしは
袷
(
あわせ
)
一枚、裾は短かく
襤褸
(
ぼろ
)
下がり濡れしままわずかに
脛
(
すね
)
を隠せり。
源おじ
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
濁
(
にご
)
った楽隊の音や、
甲
(
かん
)
走った蓄音機のひびきや、それらの色彩と音楽とが一つに溶け合って、
師走
(
しわす
)
の都の
巷
(
ちまた
)
にあわただしい気分を作っていた。
半七捕物帳:03 勘平の死
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
神
(
かみ
)
もおはしまさば
我家
(
わがや
)
の
檐
(
のき
)
に
止
(
とゞ
)
まりて
御覽
(
ごらん
)
ぜよ、
佛
(
ほとけ
)
もあらば
我
(
わ
)
が
此手元
(
このてもと
)
に
近
(
ちか
)
よりても
御覽
(
ごらん
)
ぜよ、
我
(
わ
)
が
心
(
こゝろ
)
は
清
(
す
)
めるか
濁
(
にご
)
れるか。
軒もる月
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
黄河の水も揚子江の水も、大陸へ流れ出ると、真黄色に
濁
(
にご
)
っているが、このあたりではそう濁りもない清澄な谷川であった。
三国志:11 五丈原の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
そしていつか薄明は
黄昏
(
たそがれ
)
に入りかわられ、苔の花も赤ぐろく見え西の
山稜
(
さんりょう
)
の上のそらばかりかすかに黄いろに
濁
(
にご
)
りました。
インドラの網
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
水は青黒く
濁
(
にご
)
ってる。自分はさっそく新しい水をバケツに二はいくみ入れてやった。奈々子は水鉢の縁に小さな手を掛け
奈々子
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
出来のいい
長生糸瓜
(
ながなりへちま
)
のように末広がりにポッテリと長くのびている。よって、阿古に
濁
(
にご
)
りを打って仙波顎十郎と呼ばれる。
顎十郎捕物帳:13 遠島船
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
どんなに
驚愕
(
きょうがく
)
し、また
淋
(
さび
)
しいお気持になられるかと思えば、愚直の私も、さすがに言葉を
濁
(
にご
)
さざるを得なかったのである。
惜別
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
向
(
むか
)
うに見える劇場の内部は
天井
(
てんじやう
)
ばかりがいかにも
広々
(
ひろ/″\
)
と見え、舞台は色づき
濁
(
にご
)
つた空気の
為
(
ため
)
に
却
(
かへつ
)
て小さく
甚
(
はなはだ
)
遠く見えた。
すみだ川
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
鮏入らんとすれば口
広
(
ひろ
)
がるやうにいかにも
巧
(
たくみ
)
に作りたるもの也。これをつゞといふは
筒
(
つゝ
)
といふべきを
濁
(
にご
)
り
訛
(
なま
)
れるならん。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
河は土色に
濁
(
にご
)
っている、水が溢れている、いつ洪水になるかもしれぬ。葛西村は水のついているところもある。今は酔っている、寝る。(九、一二)
青べか日記:――吾が生活 し・さ
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
むろん
酒
(
さけ
)
もございました……
濁
(
にご
)
っては
居
(
お
)
りませぬが、しかしそう
透明
(
すきとお
)
ったものでもなかったように
覚
(
おぼ
)
えて
居
(
お
)
ります。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
目は白っぽく
濁
(
にご
)
って、まるで魚の目の様であったし、皮膚のある部分は已にくずれて、トロンと皮がめくれていた。
恐怖王
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
それを
譬
(
たと
)
へのようにいはないで、
直接
(
ちよくせつ
)
にまれびとなる
雁
(
かり
)
といふふうにいつたところに、
濁
(
にご
)
りがなくなつてをります。
歌の話
(旧字旧仮名)
/
折口信夫
(著)
お手のものの
幇間式
(
たいこもちしき
)
に、おひゃらかしてこの場を
濁
(
にご
)
そうとした長庵だが、咬みつくように
呶鳴
(
どな
)
りつけられて眼をパチクリ、黙りこんだ。形勢不穏である。
魔像:新版大岡政談
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
けれどもその湖の水が黒く
濁
(
にご
)
って来ると、この村に何かしら悲しいことがあると云い伝えられておりました。
ルルとミミ
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
とだけん
(著)
無垢
(
むく
)
な
若者
(
わかもの
)
の
前
(
まへ
)
に
洪水
(
おほみづ
)
のやうに
展
(
ひら
)
ける
世
(
よ
)
の
中
(
なか
)
は、どんなに
甘
(
あま
)
い
多
(
おほ
)
くの
誘惑
(
いうわく
)
や、
美
(
うつく
)
しい
蠱惑
(
こわく
)
に
充
(
み
)
ちて
押
(
お
)
し
寄
(
よ
)
せることだらう!
外
(
そ
)
れるな、
濁
(
にご
)
るな、
踏
(
ふ
)
み
迷
(
まよ
)
ふなと
悔
(旧字旧仮名)
/
水野仙子
(著)
お滝も、あの時の無情な
仕打
(
しうち
)
を考え出しては多少良心に
愧
(
は
)
じないわけにはゆかないから、言葉を
濁
(
にご
)
して
大菩薩峠:02 鈴鹿山の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
今日の都会の青年子女に
就
(
つい
)
て、気持ちの話になって、はっきり一つの意味の言葉を
言切
(
いいき
)
る者は
尠
(
すくな
)
い。必ず意味に
濁
(
にご
)
りを打つか取消しの準備を言内に付け加えている。
時代色:――歪んだポーズ
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
山田
(
やまだ
)
とも
付
(
つ
)
かず
石橋
(
いしばし
)
とも付かずでお茶を
濁
(
にご
)
して
居
(
ゐ
)
たのです、
其頃
(
そのころ
)
世間
(
せけん
)
に
持囃
(
もてはや
)
された
読物
(
よみもの
)
は、
春
(
はる
)
のや
君
(
くん
)
の
書生気質
(
しよせいかたぎ
)
、
南翠
(
なんすゐ
)
君
(
くん
)
の
何
(
なん
)
で有つたか、
社会小説
(
しやくわいせうせつ
)
でした、それから
硯友社の沿革
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
のたうつような
戦慄
(
せんりつ
)
陣痛の
苦悶
(
くもん
)
であり、奇妙な風船笛のような鳴き声も、すこやかな
産声
(
うぶごえ
)
であり、怪しげな
濁
(
にご
)
り
水
(
みず
)
も、胎児の保護を終えた軽やかな羊水であったのか
灯台鬼
(新字新仮名)
/
大阪圭吉
(著)
何故ならばその當時私はまだほんの
乳
(
ち
)
のみ兒で當歳か、やつと
二歳
(
ふたつ
)
かであつたのである。次で乳母の
背
(
せ
)
なかから見た海は
濁
(
にご
)
つた黄いろい
象
(
ぞう
)
の皮膚のやうなものだつた。
思ひ出:抒情小曲集
(旧字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
子どもらにとっては、ただ手足をふれているだけで、じゅうぶん満足のできる、こころよい
感触
(
かんしょく
)
であった。水はここではじめて人の手にふれ、せきとめられて
濁
(
にご
)
った。
二十四の瞳
(新字新仮名)
/
壺井栄
(著)
文麻呂 (次第に
懺悔
(
ざんげ
)
するもののごとく)なよたけ、……許しておくれ。僕は自分の心を
偽
(
いつわ
)
っていたんだ。不純な虚栄に心を
奪
(
うば
)
われていたんだ。僕の心は
濁
(
にご
)
っていた。
なよたけ
(新字新仮名)
/
加藤道夫
(著)
祖母はやはり母家を仕切って裏側の部屋に住んでいたが、間の
檜戸
(
ひのきど
)
は
堅
(
かた
)
く釘づけにされて開かなかった。裏の
泉水
(
せんすい
)
は木の葉や泥で
埋
(
うず
)
もって浅く汚くそして
濁
(
にご
)
っていた。
何が私をこうさせたか:――獄中手記――
(新字新仮名)
/
金子ふみ子
(著)
最近に
八郎潟
(
はちろうがた
)
のほとりで生れた者が訪ねて来て、いっしょに岡の
麓
(
ふもと
)
の
蘆原
(
あしはら
)
をあるいて、この鳥の
囀
(
さえず
)
りを聴いたのだが、この人々ははっきりとジの音を
濁
(
にご
)
って呼んでいた。
野草雑記・野鳥雑記:02 野鳥雑記
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
と同時です。もうその場から
汚情
(
おじょう
)
に血が燃え出したものか、十郎次の
濁
(
にご
)
った声が伝わりました。
旗本退屈男:08 第八話 日光に現れた退屈男
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
川口界隈
(
かわぐちかいわい
)
の
煤煙
(
ばいえん
)
にくすんだ空の色が、重くこの橋の上に垂れている。川の水も
濁
(
にご
)
っている。
馬地獄
(新字新仮名)
/
織田作之助
(著)
なまづ醫者の煙幕は、この老婆が現はれるまでの空虚を
濁
(
にご
)
し埋めるためのものらしかつた。
天国の記録
(旧字旧仮名)
/
下村千秋
(著)
しかし東京の大火の煙は
田端
(
たばた
)
の空さへ
濁
(
にご
)
らせてゐる。野口君もけふは
元禄袖
(
げんろくそで
)
の
紗
(
しや
)
の羽織などは着用してゐない。
何
(
なん
)
だか火事
頭巾
(
づきん
)
の如きものに
雲龍
(
うんりゆう
)
の
刺
(
さし
)
つ
子
(
こ
)
と云ふ
出立
(
いでた
)
ちである。
大正十二年九月一日の大震に際して
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
相当に御茶を
濁
(
にご
)
すことが出来るが、歴史的探偵小説を研究した参考書などは一冊もなく
歴史的探偵小説の興味
(新字新仮名)
/
小酒井不木
(著)
と、中頃は余り言いすごしたと思ったので、末にはその意を
濁
(
にご
)
してしまった。言ったとて今更どうなることでも無いので、図に乗って少し
饒舌
(
しゃべ
)
り過ぎたと思ったのは疑いも無い。
鵞鳥
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
が、この青年までが、母の周囲に惹き付けられているのを知ると、美奈子は平気ではいられなかった。かすかではあるが、母に対する美奈子の純な
濁
(
にご
)
らない心持が、揺ぎ初めた。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
験
(
しるし
)
なき
物
(
もの
)
を
思
(
おも
)
はずは
一坏
(
ひとつき
)
の
濁
(
にご
)
れる
酒
(
さけ
)
を
飲
(
の
)
むべくあるらし 〔巻三・三三八〕 大伴旅人
万葉秀歌
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
大部分
(
だいぶぶん
)
の
人
(
ひと
)
が
生活
(
せいかつ
)
してゐる
都會
(
とかい
)
は、
狹
(
せま
)
い
土地
(
とち
)
に
大勢
(
おほぜい
)
の
人
(
ひと
)
が
住
(
す
)
み、
石炭
(
せきたん
)
の
煤煙
(
ばいえん
)
や、その
他
(
ほか
)
の
塵埃
(
じんあい
)
でもって
空氣
(
くうき
)
がおそろしく
濁
(
にご
)
つてをり、また
各種
(
かくしゆ
)
の
交通機關
(
こうつうきかん
)
が
發達
(
はつたつ
)
して
晝夜
(
ちゆうや
)
の
分
(
わか
)
ちなく
森林と樹木と動物
(旧字旧仮名)
/
本多静六
(著)
つつましやかな氣持で
甲板
(
かんぱん
)
の
一隅
(
ひとすみ
)
にぢつと
佇
(
たゝず
)
みながら、今まで心の中に持つてゐた、人間的なあらゆる
醜
(
みにく
)
さ、
濁
(
にご
)
り、曇り、
卑
(
いや
)
しさ、暗さを
跡方
(
あとかた
)
もなくふきぬぐはれてしまつたやうな
処女作の思い出
(旧字旧仮名)
/
南部修太郎
(著)
鍋蓋
(
なべぶた
)
、
古手拭
(
ふるてぬぐい
)
、茶碗のかけ、色々の物が
揚
(
あ
)
がって来て、底は清潔になり、水量も多少は増したが、依然たる赤土水の
濁
(
にご
)
り水で、如何に無頓着の彼でもがぶ/\飲む気になれなかった。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
澄
(
す
)
み切った月が、暗く
濁
(
にご
)
った
燭
(
しょく
)
の火に打ち勝って、
座敷
(
ざしき
)
はいちめんに青みがかった光りを浴びている。どこか近くで鳴く
蟋蟀
(
こおろぎ
)
の声が、笛の
音
(
ね
)
にまじって聞こえる。甘利は
瞼
(
まぶた
)
が重くなった。
佐橋甚五郎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
橄欖
(
かんらん
)
の
翠
(
みど
)
りしたたるオリムピアがすでに
昔
(
むかし
)
に過ぎ去ってしまった
証拠
(
しょうこ
)
には、みんなの面に、身体に、帰ってからの
遊蕩
(
ゆうとう
)
、不節制のあとが歴々と刻まれ、
曇
(
くも
)
り空、どんより
濁
(
にご
)
った
隅田川
(
すみだがわ
)
を
オリンポスの果実
(新字新仮名)
/
田中英光
(著)
しかし、それはほんの瞬間で、しかもその時の感じは、お祖母さんのいきさつのために、ひどく
濁
(
にご
)
らされていた。今夜の感じには、それとは比べものにならない、澄みきった厳粛さがあった。
次郎物語:01 第一部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
濁
常用漢字
中学
部首:⽔
16画
“濁”を含む語句
濁水
濁酒
濁世
汚濁
濁声
濁流
赤濁
穢濁
白濁
濁川
悪濁
清濁
濁聲
濁江
濁穢
濁浪
薄濁
小濁
五濁
濁酒屋
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