)” の例文
自分じぶん真心まごころがいつか、にいさんにわかるときがあろう。」と、おとうとは、一粒ひとつぶのしいの裏庭うらにわめて、どこへとなくりました。
白すみれとしいの木 (新字新仮名) / 小川未明(著)
さて取り捨つべきところもなければ、屋敷のそとに穴を掘りてこれをめ、蛇塚を作る。その蛇はあじか何荷なんがともなくありたりといえり。
遠野物語 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
平衡へいこうを保つために、すわやと前に飛び出した左足さそくが、仕損しそんじのあわせをすると共に、余の腰は具合よくほう三尺ほどな岩の上にりた。
草枕 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
井戸新いどしんさんは、人足にんそくがいくらいくら、井戸囲いどがこいの土管どかんがいくらいくら、土管どかんのつぎめをめるセメントがいくらと、こまかく説明せつめいして
牛をつないだ椿の木 (新字新仮名) / 新美南吉(著)
これは温泉から沈澱ちんでんしたのです。石英せきえいです。岩のさけ目を白いものがめているでしょう。いい標本ひょうほんです。〕みんながかこむ。水の中だ。
台川 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
この世に未練は沢山有るけれど、私は早く死んで、この苦艱くげんめて了つて、さうして早く元のきよからだに生れかはつて来たいのです。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
さら取直とりなをして、暗黒々あんこく/\岩窟内がんくつないてらると、奧壁おくかべちかくにあたつてる、る、ひとほねらしいもの泥土でいどまりながらよこたはつてえる。
何故なぜお前のいた糸のが丁度石瓦いしかわらの中にめられていた花のように、意識の底に隠れている心の世界を掻き乱してくれたのか。
おいら五、六人で宿営地へ急ぐ途中、ひど吹雪ふぶく日で眼も口もあかねへ雪ン中に打倒ぶったおれの、半分まつて、ひきつけてゐた婦人おんながあつたい。
海城発電 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
大きな松が枝を広げて居る下に、次郎さんの祖母ばばさんや伯母おばさんの墓がある。其の祖母さんの墓と向き合いに、次郎さんの棺はめられた。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
へいの面影はあるが塀のさかいは雑草でまっています。その関の屋敷のなかへ、今こういいながら玄関をのぞいて裏へ廻ったひとりの男がある。
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
白蓮女史失踪しっそうのニュースが、全面をめつくし、「同棲どうせい十年の良人おっとを捨てて、白蓮女史情人のもとへ走る。夫は五十二歳、女は二十七歳で結婚」
柳原燁子(白蓮) (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
そして、ちよつといきれたやうな樣子やうすをすると、今度こんどはまたあたま前脚まへあしさかんうごかしながらかへしたつちあなした。
画家とセリセリス (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
そのうち、注文したわながたくさん到着とうちゃくした。わたしは大急ぎでそれを組み合わせ、夜になってから原の方々へめておいた。
天照らす大神が田を作つておられたその田のあぜこわしたりみぞめたりし、また食事をなさる御殿にくそをし散らしました。
それでお艶さんをもらせるばかりか、はええはなしがお前さんまでその年をしてお屋敷奉公に肩をらせる、なんてまあ馬鹿げた仕打ちだと
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
と冒頭して鉛筆で乱雑に書きならべてある警察手帖をソッと開きながら、署長席の廻転椅子にお尻をめた丘署長はブツブツ独り言を云っていた。
人間灰 (新字新仮名) / 海野十三(著)
そのうちに、あつはひなかまつてかきあなからは、ぷう/\しぶ吹出ふきだしまして、けたかきがそこへ出來上できあがりました。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
そしてそのなきがらをめたおはか将軍塚しょうぐんづかといって、千何年なんねんというながあいだ京都きょうと鎮守ちんじゅ神様かみさまのようにあがめられて、なになかわざわいのこるときには
田村将軍 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
また、皇子おうじ倭日子命やまとひこのみことがおなくなりになったときに、人がきといって、お墓のまわりへ人を生きながらめておともをさせるならわしがはじまりました。
古事記物語 (新字新仮名) / 鈴木三重吉(著)
出たとなると、和田は僕も忘れたように、女とばかりしゃべっているじゃないか? 女も先生先生といっている。まらない役まわりは僕一人さ。——
一夕話 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
こういうことがあってから一月ほどの日がった。万山を飾って燃えていた紅葉もみじの錦は凋落ちょうらくし笹の平は雪にずもれた。冬ごもりの季節が来たのである。
八ヶ嶽の魔神 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
箱の中ならばもみの中へ横にめておくのです。第二は決してたてに置いてはいけません、必らず横にしておくのです。
食道楽:春の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
金魚鉢きんぎょばちは、ぐるりに、しろすなをしきつめてある。すなをはらいのけると、めたとせたはちが、すぽりとつちからきとれるようになつているのがわかつた。
金魚は死んでいた (新字新仮名) / 大下宇陀児(著)
「それがはっきりと判りませんでしたが……。ひとりがなぜ寺へめないのだと云っていたようでございました」
半七捕物帳:69 白蝶怪 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
「なあに、がためるところけてせえけば大丈夫でえぢやうぶなものさ、田植たうゑまでるやうににはめてくのよ」亭主ていしゆ自分じぶんわん牛蒡ごぼうはさんでいつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
西の方で出来たイカサマ物を東の方の田舎へめて置いて、掘出し党に好い掘出しをしたつもりで悦ばせて、そして釣鉤つりばり引掛ひっかけるなどという者も出て来る。
骨董 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
青葉が中にもれ玉へる御境涯を想ひやりては、小生も何となう青嵐あをあらしに胸吹き払はるゝ心地いたし候。云々
閑天地 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
「冬のいみじく寒きに、思ふ人とづもり臥して聞くに、ただ物の底なるやうに聞ゆる」鐘の音(たとしへなきもの)も、同じように離れた立場から取り扱った。
日本精神史研究 (新字新仮名) / 和辻哲郎(著)
すな喰止くひとまること出來でき齒輪車はぐるまは、一尺いつしやくすゝんではズル/″\、二三じやく掻上かきあがつてはズル/″\。其内そのうち車輪しやりん次第しだい々々にすなもれて、最早もはや一寸いつすんうごかなくなつた。
どちらへ行っても知らぬ他人ばかりで、助けてくれるような人は一人もありません。雪にもれた町の中で、子供たちは、働こうにも、何一つ仕事がないのでした。
神様の布団 (新字新仮名) / 下村千秋(著)
あんたは、あの岩の上の固い雪の中にめてもらいたいの? それならわたしは、そこをあんたのカヤックとあんたの矢でかざってあげるよ。アンゲコックがその上を
去年ながらの落葉をめこんで、足障あしざわりが柔かく、陰森なる喬木林から隠顕する富士は赤ッちゃけた焼土で、釈迦しゃか割石わりいしと富士山中の第二高点、見ようによっては
不尽の高根 (新字新仮名) / 小島烏水(著)
冗談じょうだんじゃございませんよ、犬に嫌われたからって、人徳がどうのこうのと言われちゃあまらねえ、がんちゃん儀は犬には嫌われますが、年増としま新造しんぞには、ぜっぴ
大菩薩峠:40 山科の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
灰屋紹益はひやぜうえきは自分が生命いのちまでもと思ひを掛けた吉野太夫が死ぬると、そのこつを墓のなかにめるのは勿体ないからと言つて、酒に混ぜてすつかり飲み尽してしまつた。
をつと簑笠みのかさを吹とられ、つま帽子ばうしふきちぎられ、かみも吹みだされ、咄嗟あはやといふ眼口めくち襟袖えりそではさら也、すそへも雪を吹いれ、全身ぜんしんこゞえ呼吸こきうせま半身はんしんすでに雪にめられしが
「寛一君に当っても仕方がないよ。可哀そうに、おそくまで引っ張られた上に叱られちゃまらない」
脱線息子 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
「勝ちさびに天照大御神あまてらすおおみかみ営田みつくだはなみぞめ、また大嘗おおにえきこしめす殿にくそまり散らしき」
神話と地球物理学 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
誰がにかけてみがきいだしけん、老女が化粧けはひのたとへは凄し、天下一面くもりなき影の、照らすらん大廈たいかも高楼も、破屋わらやの板間の犬の臥床ふしども、さてはもれみづ人に捨てられて
琴の音 (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
つめたり、かみなかかおめたり、気狂きちがいじみた真似まねをしちゃァ、いい気持きもちになってるようだが、むしのせえだとすると、ちとねんがいりぎるしの。どうも料簡方りょうけんがたがわからねえ
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
牧塲に於て、けいが死するの時に、一同に牧塲に於てめるの際に、同時に執行すべし。
関牧塲創業記事 (新字新仮名) / 関寛(著)
一たん荒廃した頭脳のなかにも、いつの代にかこぼれた種子たねもれていて、それが時に触れて、けちな芽を出し貧しい花を咲かす。そういうこともあって好さそうに思うからだ。
そして、その事を婆やに告げて、危いからめることにしようと云い出したのである。
(新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
められし者の思出おもひでにとて、その上なる平地ひらちの墓に、ありし昔の姿きざまれ 一六—一八
神曲:02 浄火 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
それで手の平には垢がない。まあ垢と麦焦むぎこがしとを一緒に捏て喰うといううまい御馳走なんです。そういう御馳走をです、黒赤くなった歯糞はくそもれて居る臭い口をいて喰うのです。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
その間壮士らの宿料をば、無理算段してめ合せ、かろうじて無銭宿泊の難をまぬがれたれども、さて今後幾日をば調金の見込み立つべきや否や、如何いかにしてその間を切り抜くべきや。
妾の半生涯 (新字新仮名) / 福田英子(著)
その「男たらし」である彼女が、わたしの偶像ぐうぞうであり、わたしの神とあがめる存在なのだ! その悪罵あくばが、わたしの胸を焼きがした。わたしはそれからのがれようと、枕に顔をめた。
はつ恋 (新字新仮名) / イワン・ツルゲーネフ(著)
きてゐるやうなら……ときときところところはかはかとし埋葬所はふむりどころなんねん其間そのあひだ先祖せんぞほね填充つまってあり、まだ此間このあひだめたばかりののチッバルトもまぶれの墓衣はかぎのまゝで
中央に広く陣取じんどってならんでいる管状かんじょう小花は、その平坦へいたん花托面かたくめんおおめ、下に下位子房かいしぼうそなえ、花冠かかんは管状をなして、その口五れつし、そして管状内には集葯しゅうやく的に連合した五雄蕊ゆうずいがあり
植物知識 (新字新仮名) / 牧野富太郎(著)
くっついてる土は、足ではらって、あとの穴をめとく。草は家畜にやるんだ。
にんじん (新字新仮名) / ジュール・ルナール(著)