)” の例文
「あ、来たな。ありのようにやってくる。おい、さあ、早くベルを鳴らせ。今日はそこが日当りがいいから、そこのとこの草をれ。」
どんぐりと山猫 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
「おまえ、おれはそとではたらいて、かねをかせいでくるよ。おまえは畑へいって、麦をっておくれ。それで、パンをつくるから。」
「貴様たちはこれから鎌を持って山路を尋ね、馬糧ばりょうの草をってこい。なるべく巴城はじょうの裏山に面した所の奥深い山の草を刈って参れ」
三国志:09 図南の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
でも、そのうちにつかれきって、とうとう、はたけ牧場まきばをとりかこんでいる、枝をられたヤナギの木立こだちのほうへおりていきました。
『おまへかみらなくッては』帽子屋ばうしやしばらくのあひださもめづらしさうにあいちやんをながめてましたが、やがしました。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
さうするとむきつたあとまめ陸穗をかぼかつしたくちつめたいみづやういきほひづいて、四五にちうちあをもつはたけつち寸隙すんげきもなくおほはれる。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
椿つばきこずゑには、ついのあひだ枯萩かれはぎえだつて、そのとき引殘ひきのこした朝顏あさがほつるに、いつしろのついたのが、つめたく、はら/\とれてく。
湯どうふ (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
するとある日、うさぎはかまをこしにさして、わざとたぬきのかくれているあなのそばへって、かまをしてしきりにしばをっていました。
かちかち山 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
その市電のなかで、俺はずっと、小便がしたいな、ああ、コズメをりたいとつぶやきつづけていた。それにこだわると、よけいいけない。
いやな感じ (新字新仮名) / 高見順(著)
にはとりおどろいて、きりしたあたまをさげて友伯父ともをぢさんのはうんでました。そして、かみつてもらつて友伯父ともをぢさんのわききました。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
ぼくは、ほかであたまってあそびにゆくと、なんだかがすまんのだもの。」といいました。するとおかあさんは、その心持こころもちをおさっしになって
すいれんは咲いたが (新字新仮名) / 小川未明(著)
ですから、ここをおとずれる人々は芝生をりとらせました。はだの見える地面が、大きな文字や名前となって現われています。
佐野は写真で見たよりも一層御凸額おでこであった。けれども額の広いところへ、夏だから髪を短くっているので、ことにそう見えたのかも知れない。
行人 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
私はその小作人の家のすぐの処で草をって居る婆さんとその裏にぴったりよった処にある木の根っ子に腰を下して
農村 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
私がいくども訓戒したがききません、かれのために全校の気風が悪化してきました、雑草をり取らなければ他の優秀な草が生長をさまたげられます
ああ玉杯に花うけて (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
御覽の通り、板塀の内側は、よく洗ひ清められて居りますが、木目の間に何やらにじんで居ります。それから足もとの草が丁寧にられて、少し塀際の土を
ただ二ヶげつに一だけ、理髪師とこやのセミョン、ラザリチばかりここへる、そのおとこはいつもってニコニコしながらってて、ニキタに手伝てつだわせてかみ
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
そんなにかやがないならば、むかうにえる、あの小松こまつしげつてゐる、そのしたのかやをば、おりなさいな。
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
この頃ったばかりらしい青々とした芝生しばふが、その時にはその少女のすわっていたヴェランダをこっちからは見えなくさせていた一面の灌木の茂みに代えられて
美しい村 (新字新仮名) / 堀辰雄(著)
三十七ねん正月しやうぐわつ掘初ほりそめとして望玄ぼうげんしたがへてつてると、如何いかに、りかけてあな附近ふきんに、大男おほをとこが六七にんる。うして枯萱かれかやつてる。
舞踏室ぶたふしつまた客室きゃくしつ床上ゆかうへあつめたるばかりの燈心草とうしんぐさ)をきしは當時たうじ上流じゃうりうならはしなり。)
秋の末に稲がり入れられて、水田の土がまだじくじくと柔かい時分に、日が暮れて寒くなるまで家に帰ることを忘れ、着物をよごして来てよくしかられた遊びがある。
こども風土記 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
ちぶれはてた花前は、さだめてそぼろなふうをしているかと思いのほか、かみをみじかくり、ひげをきれいにそって、ズボンにチョッキもややあかぬけのしたのをてる。
(新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
それゆえ友人に頼み、ついでの時に見巡みまわってもらったが、彼が墓所へ行ったつど、報告してくれるに、いつでもいつでも草はきれいにられ、周囲がすこぶる整然していると。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
大麦小麦はとくにられて、畑も田も森も林も何処を見てもみどりならぬ処もない。其緑の中を一条ひとすじ白く西へ西へ山へ山へとって行く甲州街道を、二人は話しながらさッさと歩いた。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
すこし行くと、まきばの草をっているお百しょうたちに出あいました。すると猫吉は
元来禁欲そうじみた風貌ふうぼうの彼にはよく似合うりたての頭をして、寝台しんだいにどっかと胡坐あぐらをかき、これも丸坊主の村川と、しきりに大声で笑いあって、なにかうれしそうに話をしていました。
オリンポスの果実 (新字新仮名) / 田中英光(著)
頭をっている男の横顔。これもしばらくたった後、大きい針金のにぶら下げた何本かのかもじに変ってしまう。かもじの中に下ったふだが一枚。札には今度は「入れ毛」と書いてある。
浅草公園:或シナリオ (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
わたしは、ぎょっとふるえあがって、茫然ぼうぜんとしてしまった。……すぐそばの、垣根の向うに、黒いかみを短くりこんだ見知らぬ男が立っていて、皮肉な眼つきでわたしをじろじろ見ていた。
はつ恋 (新字新仮名) / イワン・ツルゲーネフ(著)
昼から若様方はご散髪さんぱつをなされた。始終散髪屋へ頭を持っていく正三君はこういう工合ぐあいに散髪屋をよびつけてらせる法のあることを初めて発見した。順番がまわってきた時、照彦様は
苦心の学友 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
果樹園や畑の見えるだらだら下りの裾野平すそのだいらはてに、小唄こうたで名高いY——山の山裾が見え、夏霞なつがすみがうっすりめている中になみがきらりきらり光った。り取ってしてある熟麦の匂いがした。
みちのく (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
このわたりの野に、鴨頭草のみおい出でて、目の及ぶかぎりあおきところあり、又秋萩のしげりたる処あり。麻畑のそばを過ぐ、半ばりたり。信濃川にいでて見るに船橋えたり。小舟にてわたる。
みちの記 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
たねくにも、いねるにも態々わざ/\こよみいだしてせつるにおよばず。
改暦弁 (旧字旧仮名) / 福沢諭吉(著)
いねを積んだ車が晴れた野の道に音を立てて通った。
田舎教師 (新字新仮名) / 田山花袋(著)
とよ足穗たりほも、あだひとり干しにけむ、いつのに。
海潮音 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
みじかつた栗毛くりげ光沢つやから
東京景物詩及其他 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
菖蒲あやめころなれば
孔雀船 (旧字旧仮名) / 伊良子清白(著)
「覚明……。お身は二十年の精進と徳行とを一瞬に無に帰してしまわれたの。千日ったかやを、一時の憤懣ふんまんに焼いてしまわれた——」
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
作っていて草をとってってたたいて粉にして練ってむしてお砂糖をかけたのです。いかがですか。一さらさしあげましょう。
雪渡り (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
あきになってれをするころになると、人にしたほうはあたりまえ出来できでしたが、自分じぶんぶんつくったほうたいそうよくみのりました。
一本のわら (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
ぼっちゃん、よくあたまりにきてくださいましたね。勉強べんきょうしてえらいひとにおなりなさいよ。」と、おとうさんがいいました。
すいれんは咲いたが (新字新仮名) / 小川未明(著)
くささらつちからつてくので次第しだいつちせてく。だから空手からてでは何處どこつても竊取せつしゆせざるかぎり存分ぞんぶんやはらかなくさることは出來できない。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
あはれ、殊勝な法師や、捨身しゃしん水行すいぎょうしゅすると思へば、あし折伏おれふ枯草かれくさの中にかご一個ひとつ差置さしおいた。が、こいにがしたびくでもなく、草をしろでもない。
妖魔の辻占 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
この湖のまわりにも、みどりのアシが広いかきをつくっているために、人間はアシをりとった、ごくわずかのところにしか近づくことができないのです。
すくなくとも、さうしてちついて宴會えんかいひら數時間すうじかんぜんまでは、みんな苦勞くろうして、かやをあつめてゐたのです。
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
御米およねすゝめどほりかみつたはうが、結局つまりあらたにする効果かうくわがあつたのを、つめたい空氣くうきなかで、宗助そうすけ自覺じかくした。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
「なにをしよう。さきにろうかしら、それとも食べようかしら。ええい、さきに食べようっと。」
供御くごの料田は十分に備わっていても、それをる者は御内人ではなかった。
海上の道 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
たゞ二ヶげつに一け、理髮師とこやのセミヨン、ラザリチばかこゝる、其男そのをとこいつつてニコ/\しながらつてて、ニキタに手傳てつだはせてかみる、かれえると患者等くわんじやら囂々がや/\つてさわす。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
然れどもこは真に出来のよかりしにあらず、一つには喜多床きたどこかみりに行きし時、独乙語の先生に順をゆづり、先に刈らせたる為なるべし。こは謙遜けんそんにあらず、今なほかく信じて疑はざる所なり。
その頃の赤門生活 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)