“夏霞”の読み方と例文
読み方割合
なつがすみ100.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
智恩院聖護院の昼鐘が、まだ鳴り止まない。夏霞なつがすみ棚引きかけ、眼を細めてでもいるようななごみ方の東山三十六峯。ここの椽に人影はない。
食魔 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
あしの向うには一面に、高い松の木が茂っていた。この松の枝が、むらむらと、互にせめぎ合った上には、夏霞なつがすみに煙っている、陰鬱な山々のいただきがあった。
素戔嗚尊 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
やがて道は急坂きふはんの上に尽く。此あたりやゝ快濶たる山坡さんばの上、遠くヘルモン山の片影へんえいを見得べしと云ふ。今日は空少し夏霞なつがすみして見えず、余等はこゝにて馬車を下る。エルサレムより約八里。