“術(じゆつ)” の例文
カントの超絶(てうぜつ)哲学(てつがく)や余姚(よよう)の良知説(りやうちせつ)や大(だい)は即(すなは)ち大(だい)なりと雖(いへ)ども臍栗(へそくり)銭(ぜに)を牽摺(ひきず)り出(だ)すの術(じゆつ)は遥(はる)かに生臭(なまぐさ)坊主(ばうず)が南無(なむ)阿弥陀仏(あみだぶつ)に及(およ)ばず。
為文学者経 (新字旧仮名) / 内田魯庵、三文字屋金平(著)
賀(が)の曰(いは)く、其(そ)の左(ひだり)の目(め)を射(い)よ。羿(げい)すなはち弓(ゆみ)を引(ひ)いて射(い)て、誤(あやま)つて右(みぎ)の目(め)にあつ。首(かうべ)を抑(おさ)へて愧(は)ぢて終身不忘(みををはるまでわすれず)。術(じゆつ)や、其(そ)の愧(は)ぢたるに在(あ)り。
術三則 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
何故といつて、富豪は懐中(ふところ)に手を突込んで相手を宥(なだ)める術(じゆつ)を知つてゐるが、貧乏人は赫(かつ)となるより外には仕方がないのだから。
こゝには无用(むよう)の長舌(ちやうぜつ)なれど、おもひいだししにまかせてしるせり。さて我が里(さと)にて狐を捕(と)る術(じゆつ)さま/″\あるなかに、手を懐(ふところ)にして捕(と)る術(じゆつ)あり。
躬(みづから)も終(つひ)に及ばずして此処(ここ)に絶入(ぜつにゆう)せんと思へば、貫一は今に当りて纔(わづか)に声を揚ぐるの術(じゆつ)を余すのみ。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
龜藏が宵から急に術(じゆつ)ながつて仕樣がありませんから、お醫者さんを呼びに來たら、村長の仕打ちが氣に入らんから診(み)に行つてやらんと仰有(おつしや)る。……旦那樣に早う行つて譯を
避病院 (旧字旧仮名) / 正宗白鳥(著)
申不害(しんふがい)は(三九)京人(けいひと)也(なり)。故(もと)鄭(てい)の賤臣(せんしん)なり。(四〇)術(じゆつ)を學(まな)び、以(もつ)て(四一)韓(かん)の昭矦(せうこう)に干(もと)む。
さういふ町内に僕(ぼく)の將棋(せうき)の好敵(こうてき)手がゐる。改(あらた)まつて紹介(せうかい)すれば、新美術(じゆつ)院(いん)會員(いん)、國畫(ぐわ)會總帥(そうすい)の梅原龍(りう)三郎畫伯(ぐわはく)その人だが、なアにお互(たがひ)に負けず嫌(きら)ひで相當意(い)地つ張(は)りでもある二人。
抑(おさ)へて之を揚(あ)げ、激(げき)して之を進(すゝ)ましむるは、教の權(けん)にして而て變(へん)なり。教も亦術(じゆつ)多し。
かけ硯(すゞり)を此處(こゝ)へと奧(おく)の間(ま)より呼(よ)ばれて、最早(もはや)此時(このとき)わが命(いのち)は無(な)き物(もの)、大旦那(おほだんな)が御目通(おめどほ)りにて始(はじ)めよりの事(こと)を申、御新造(ごしんぞ)が無情(むじやう)そのまゝに言(い)ふてのけ、術(じゆつ)もなし法(はう)もなし正直(しやうぢき)は我身(わがみ)の守(まも)り
大つごもり (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
それからもう一つ、お舟は奇天齋のところで繩拔けの術(じゆつ)を十八番にして居た。
其(そ)れは勿論(もちろん)、是(これ)は我々丈(われ/\だけ)の話(はなし)だが、彼(かれ)は餘(あま)り尊敬(そんけい)をすべき人格(じんかく)の男(をとこ)では無(な)いが、術(じゆつ)に掛(か)けては又(また)なか/\侮(あなど)られんと思(おも)ふ。で願(ねがは)くはだ、君(きみ)、何卒(どうぞ)一つ充分(じゆうぶん)に彼(かれ)を信(しん)じて、療治(れうぢ)を專(せん)一にして頂(いたゞ)きたい。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
計(はか)らんものと思ひ込(こみ)けるは殊勝(しゆしよう)成(なれ)ども一心に醫學を學び其術(じゆつ)を以て立身(りつしん)出世を望むに有ねば元より切磋琢磨(せつさたくま)の功を積(つみ)修行(しゆぎやう)せんなどとは更に思はず大切(たいせつ)の人命(じんめい)を預る醫業(いげふ)なるに只金銀を貪(むさ)ぼることのみを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
君(きみ)が細君(さいくん)から施(ほとこ)された術(じゆつ)を今度(こんど)は敵(てき)に應用(おうよう)したんだね。
ハガキ運動 (旧字旧仮名) / 堺利彦(著)
術(じゆつ)なげに力なく時を打つ振子のやうに
太陽の子 (旧字旧仮名) / 福士幸次郎(著)
ソクリョウ術(じゆつ)つてどんなのかしら
美くしき術(じゆつ)の夕(ゆふべ)に
邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
朋友(ともだち)に信(まこと)ある事人も恥(はづ)べき事也、しかるを心なき徒(ともがら)かの糞(ふん)をたづねありき、代見立(しろみたて)の糞(ふん)あればかならず種々(しゆ/″\)の術(じゆつ)を尽(つく)して雁のくるをまちて捕(とら)ふ。
青黄紅白(せいくわうこうはく)、正暈倒暈(せいうんたううん)、淺深(せんしん)の紅(くれなゐ)、唯(たゞ)公(きみ)が命(めい)のまゝ也(なり)。昌黎(しやうれい)其(そ)の放語(はうご)を憎(にく)み、言(い)ふがまゝに其(そ)の術(じゆつ)をなせよと言(い)ふ。
花間文字 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
故(ゆゑ)に其著書(そのちよしよ)十餘萬言(よまんげん)、大抵(たいてい)率(おほむ)ね(二一)寓言(ぐうげん)也(なり)。(二二)漁父(ぎよふ)・盜跖(たうせき)・胠篋(きよけふ)を作(つく)り、以(もつ)て孔子(こうし)の徒(と)を詆訿(ていし)し、以(もつ)て老子(らうし)の(二三)術(じゆつ)を明(あきらか)にせり。(二四)畏累虚(わいるゐきよ)・亢桑子(かうさうし)の屬(たぐひ)、皆(みな)空語(くうご)にして事實(じじつ)無(な)し。
一能(のう)一術(じゆつ)これも藝人(げいにん)の名(な)はのがれぬ、よか/\飴(あめ)や輕業師(かるわざし)、人形(にんげう)つかひ大神樂(だいかぐら)、住吉(すみよし)をどりに角兵衞獅子(かくべいじゝ)、おもひおもひの扮粧(いでたち)して、縮緬(ちりめん)透綾(すきや)の伊達(だて)もあれば、薩摩(さつま)がすりの洗(あら)ひ着(ぎ)に黒繻子(くろじゆす)の幅狹帶(はゞせまおび)
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
を献(けん)じていはく、某(それかし)に飛行自在(ひぎやうじざい)の術(じゆつ)の候、瞬時(またゝくま)にして
鬼桃太郎 (旧字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
するものも長庵の宅(たく)の前は忍(しの)んで通る樣になりければ引(ひつ)かけ上手(じやうず)の長庵も百方(ぱう)術(じゆつ)盡(つ)き爲(なす)事なく困(こま)り果てぞ居たりける爰に又長庵が故郷(こきやう)岩井村にては親(おや)の作十も病死(びやうし)し弟(おとゝ)十兵衞の代と成けるが或時近邊(きんぺん)より出火して家屋(かをく)を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
●さて熊を捕(とる)に種々(しゆ/″\)の術(じゆつ)あり。かれが居(をる)所の地理(ちり)にしたがつて捕得(とりえ)やすき術をほどこす。熊は秋の土用より穴(あな)に入り、春の土用に穴より出(いづ)るといふ。
此(こ)の護身(ごしん)の術(じゆつ)や、魔法(まはふ)つかひの教(をしへ)にあらず、なき母(はゝ)の記念(かたみ)なりきとぞ。卯(う)の花(はな)の里(さと)の温泉(いでゆ)の夜語(よがたり)。
婦人十一題 (旧字旧仮名) / 泉鏡花、泉鏡太郎(著)
また陽州(やうしう)の役(えき)に、顏息(がんそく)といへる名譽(めいよ)の射手(しやしゆ)、敵(てき)を射(い)て其(そ)の眉(まゆ)に中(あ)つ。退(しりぞ)いて曰(いは)く、我無勇(われゆうなし)。吾(わ)れの其(そ)の目(め)を志(こゝろざ)して狙(ねら)へるものを、と此(こ)の事(こと)左傳(さでん)に見(み)ゆとぞ。術(じゆつ)や、其(そ)の無勇(ゆうなき)に在(あ)り。
術三則 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
しかれども熊は猛(たけ)く、且(かつ)智(ち)ありて得(う)るに易(やす)からず。雪中の熊は皮(かは)も胆(きも)も常に倍(ばい)す、ゆゑに雪に穴居(けつきよ)するを尋(たづ)ね捜(さが)し、猟師(れふし)ども力(ちから)を戮(あは)せてこれを捕(と)るに種々(しゆ/″\)の術(じゆつ)ある事初編(しよへん)に記(しる)せり。
をかしく蜴蟷傘(かうもりがさ)の術(じゆつ)でも使(つか)ひさうで眞(まこと)に氣(き)になる、以下(いか)この小道具(こだうぐ)を節略(せつりやく)する。
深川浅景 (旧字旧仮名) / 泉鏡花、泉鏡太郎(著)
待(ま)てよ、恁(か)うまで、心(こゝろ)を曳(ひ)かるゝのは、よも尋常(たゞ)ごとでは有(あ)るまい。伝(つた)へ聞(き)く沼(ぬま)の中(なか)へは古城(こじやう)の天守(てんしゆ)が倒(さかさま)に宿(やど)る……我(わ)が祖先(そせん)の術(じゆつ)の為(ため)に、怪(あや)しき最後(さいご)を遂(と)げた婦(をんな)が、子孫(しそん)に絡(まつは)る因縁事(いんねんごと)か。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花、泉鏡太郎(著)
恁(か)くて旦(あした)に暮(くれ)に其(そ)の根(ね)を治(をさ)む。凡(すべ)て一七日(いちしちにち)、術(じゆつ)成(な)ると稱(しよう)し、出(い)でて昌黎(しやうれい)に對(たい)して、はじめて羞(は)ぢたる色(いろ)あり。曰(いは)く、恨(うら)むらくは節(せつ)遲(おそ)きこと一月(ひとつき)なり、時(とき)既(すで)に冬(ふゆ)にして我(わ)が思(おも)ふがまゝならずと。
花間文字 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)