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桜
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さくら
ふりがな文庫
“
桜
(
さくら
)” の例文
旧字:
櫻
その
子供
(
こども
)
たちは、みんながしたように、この
桜
(
さくら
)
の
木
(
き
)
の
下
(
した
)
で
遊
(
あそ
)
びました。
桜
(
さくら
)
の
木
(
き
)
は、
春
(
はる
)
にはらんまんとして、
花
(
はな
)
が
咲
(
さ
)
いたのであります。
学校の桜の木
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
「
阿父
(
おとう
)
さん、これ
拗
(
ちぎ
)
り立ての
桜
(
さくら
)
ん
実
(
ぼ
)
なのよ。埃や毛虫の卵がくつ着いててもいけないから、一粒づつこの水で洗つて召しあがれよ。」
茶話:05 大正八(一九一九)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
町が
狭隘
(
せま
)
いせいか、犬まで大きく見える。町の屋根の上には、天幕がゆれていて、
桜
(
さくら
)
の
簪
(
かんざし
)
を差した
娘
(
むすめ
)
達がゾロゾロ歩いていた。
風琴と魚の町
(新字新仮名)
/
林芙美子
(著)
古人は
桜
(
さくら
)
を花の王と称した、世の中に絶えて桜のなかりせば人の心やのどけからましと
詠
(
えい
)
じた、吾人は野に遊び山に遊ぶ、そこに桜を見る
ああ玉杯に花うけて
(新字新仮名)
/
佐藤紅緑
(著)
時
(
とき
)
に、
真先
(
まつさき
)
に、
一朶
(
いちだ
)
の
桜
(
さくら
)
が
靉靆
(
あいたい
)
として、
霞
(
かすみ
)
の
中
(
なか
)
に
朦朧
(
もうろう
)
たる
光
(
ひかり
)
を
放
(
はな
)
つて、
山懐
(
やまふところ
)
に
靡
(
なび
)
くのが、
翌方
(
あけがた
)
の
明星
(
みやうじやう
)
見
(
み
)
るやう、
巌陰
(
いはかげ
)
を
出
(
で
)
た
目
(
め
)
に
颯
(
さつ
)
と
映
(
うつ
)
つた。
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
▼ もっと見る
ジョバンニが学校の門を出るとき、同じ組の七八人は家へ帰らずカムパネルラをまん中にして校庭の
隅
(
すみ
)
の
桜
(
さくら
)
の木のところに集まっていました。
銀河鉄道の夜
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
土手
(
どて
)
へ
上
(
あが
)
つた時には
葉桜
(
はざくら
)
のかげは
早
(
は
)
や
小暗
(
をぐら
)
く水を
隔
(
へだ
)
てた
人家
(
じんか
)
には
灯
(
ひ
)
が見えた。吹きはらふ
河風
(
かはかぜ
)
に
桜
(
さくら
)
の
病葉
(
わくらば
)
がはら/\散る。
すみだ川
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
磯五のことをいうときは、さざなみのような
小皺
(
こじわ
)
の寄っている眼のまわりに、
桜
(
さくら
)
いろのはじらいがのぼるのだ。うれしさを隠そうともしないのだ。
巷説享保図絵
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
その結果夜中になって、その男を
桜
(
さくら
)
ン
坊
(
ぼう
)
の寝床から脱け出させる。
現
(
うつつ
)
とも
幻
(
まぼろし
)
ともなく彼は服を着て、家の外にとび出すのだ。
一寸
(
ちょっと
)
夢遊病者
(
むゆうびょうしゃ
)
のようになる
地獄街道
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
「やあ、
桜
(
さくら
)
がある。今漸やく咲き掛けた所だね。余程気候が違ふ」と云つた。話の具合が何だか
故
(
もと
)
の様にしんみりしない。代助も少し気の
抜
(
ぬ
)
けた風に
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
舞台には
渓流
(
けいりゅう
)
あり、
断崖
(
だんがい
)
あり、
宮殿
(
きゅうでん
)
あり、
茅屋
(
ぼうおく
)
あり、春の
桜
(
さくら
)
、秋の
紅葉
(
もみじ
)
、それらを取り取りに生かして使える。
吉野葛
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
昼過
(
ひるすぎ
)
から
少
(
すこ
)
し
出
(
で
)
て
来
(
き
)
た
生温
(
なまあたゝか
)
い
風
(
かぜ
)
が
稍
(
やゝ
)
騒
(
さわ
)
いで、
横
(
よこ
)
になつて
見
(
み
)
てゐると、
何処
(
どこ
)
かの
庭
(
には
)
の
桜
(
さくら
)
が、
早
(
は
)
や
霏々
(
ひら/\
)
と
散
(
ち
)
つて、
手洗鉢
(
てあらひばち
)
の
周
(
まはり
)
の、つは
蕗
(
ぶき
)
の
葉
(
は
)
の
上
(
うへ
)
まで
舞
(
ま
)
つて
来
(
く
)
る。
背負揚
(新字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
桜
(
さくら
)
は
咲
(
さ
)
いたか、まだ
咲
(
さ
)
かぬ、
花
(
はな
)
より
団子
(
だんご
)
でお
茶
(
ちゃ
)
上
(
あ
)
がれ、お
茶
(
ちゃ
)
がすんだら三
遍
(
べん
)
回
(
まわ
)
って
煙草
(
たばこ
)
に
庄助
(
しょうすけ
)
。
長い名
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
お
顔
(
かお
)
はどちらかといえば
円顔
(
まるがお
)
、
見
(
み
)
るからに
大
(
たい
)
そうお
陽気
(
ようき
)
で、お
召物
(
めしもの
)
などはいつも
思
(
おも
)
い
切
(
き
)
った
華美造
(
はでつく
)
り、
丁度
(
ちょうど
)
桜
(
さくら
)
の
花
(
はな
)
が一
時
(
じ
)
にぱっと
咲
(
さ
)
き
出
(
い
)
でたというような
趣
(
おもむき
)
がございます。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
仔鹿
(
こじか
)
をみるとおじいさんは、
桜
(
さくら
)
をひとえだ
折
(
お
)
って、その小さい
角
(
つの
)
にむすびつけてやりました。
里の春、山の春
(新字新仮名)
/
新美南吉
(著)
水車の道の上へ大きな枝を
拡
(
ひろ
)
げている、一本の古い
桜
(
さくら
)
の木の根元から、その道から一段低くなっている花畑の向うに、店の名前を
羅馬字
(
ロオマじ
)
で真白にくり抜いた、空色の看板が
美しい村
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
春
(
はる
)
さらば
揷頭
(
かざし
)
にせむと
我
(
わ
)
が
思
(
も
)
ひし
桜
(
さくら
)
の
花
(
はな
)
は
散
(
ち
)
りにけるかも 〔巻十六・三七八六〕 壮士某
万葉秀歌
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
谷中
(
やなか
)
から
上野
(
うえの
)
へ
抜
(
ぬ
)
ける、
寛永寺
(
かんえいじ
)
の
土塀
(
どべい
)
に
沿
(
そ
)
った一
筋道
(
すじみち
)
、
光琳
(
こうりん
)
の
絵
(
え
)
のような
桜
(
さくら
)
の
若葉
(
わかば
)
が、
道
(
みち
)
に
敷
(
し
)
かれたまん
中
(
なか
)
に
佇
(
たたず
)
んだ、
若旦那
(
わかだんな
)
徳太郎
(
とくたろう
)
とおせんの
兄
(
あに
)
の千
吉
(
きち
)
とは、
折
(
おり
)
からの
夕陽
(
ゆうひ
)
を
浴
(
あ
)
びて
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
交野
(
かたの
)
や
嵐山
(
あらしやま
)
の春を思えばたまらない。
桜
(
さくら
)
の花のなかに車をきしらせた春を思えば。つんだ花を一ぱい車の中にまいて、歌合わせをして遊んだ昔の女たちを思えば。わしはむしろ死を願う。
俊寛
(新字新仮名)
/
倉田百三
(著)
春の日も午近くなれば、大分青んで来た芝生に
新楓
(
しんふう
)
の影
繁
(
しげ
)
く、遊びくたびれて
二
(
ふた
)
つ
巴
(
ともえ
)
に寝て居る小さな
母子
(
おやこ
)
の犬の
黒光
(
くろびか
)
りする
膚
(
はだ
)
の上に、
桜
(
さくら
)
の
花片
(
はなびら
)
が二つ三つほろ/\とこぼれる。風が吹く。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
お
詫
(
わび
)
は
明日
(
みやうにち
)
。
風
(
かぜ
)
もなき
軒端
(
のきば
)
の
桜
(
さくら
)
ほろ/\とこぼれて
夕
(
ゆふ
)
やみの
空
(
そら
)
鐘
(
かね
)
の
音
(
ね
)
かなし
闇桜
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
太鼓
(
たいこ
)
の
音
(
ね
)
に、道の
紅梅
(
こうばい
)
は散りしき、
笛
(
ふえ
)
の
音
(
ね
)
にふくらみだす
桜
(
さくら
)
のつぼみ。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
咲
(
さ
)
かざれば
桜
(
さくら
)
を
人
(
ひと
)
の
折
(
を
)
らまじを
桜
(
さくら
)
の
仇
(
あだ
)
はさくらなりけり
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
私たちが
桜
(
さくら
)
んぼとくるみの
御馳走
(
ごちそう
)
をならべると
笑いの歌
(新字新仮名)
/
ウィリアム・ブレイク
(著)
堤
(
つつみ
)
の
桜
(
さくら
)
わずか二三
株
(
しゅ
)
ほど眼界に入っていた。
野道
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
桜
(
さくら
)
の花をつけた森の精が出て来ました。
お月様の唄
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
庭の
桜
(
さくら
)
が返り咲きをしたのを見て
小泉八雲の家庭生活:室生犀星と佐藤春夫の二詩友を偲びつつ
(新字新仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
なんぢ
桜
(
さくら
)
よかへり咲かずや 芭蕉
木綿以前の事
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
桜
(
さくら
)
の
花
(
はな
)
を
見
(
み
)
てばかり。
とんぼの眼玉
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
「また、
秀公
(
ひでこう
)
の
生
(
う
)
まれた
村
(
むら
)
から、
日本海
(
にほんかい
)
は
近
(
ちか
)
いんだって。
海
(
うみ
)
へいく
道端
(
みちばた
)
に、
春
(
はる
)
になると
桜
(
さくら
)
が
咲
(
さ
)
いて、それはきれいだといっていたよ。」
二少年の話
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
雪枝
(
ゆきえ
)
が
路
(
みち
)
を
分
(
わ
)
け、
巌
(
いは
)
を
伝
(
つた
)
ひ、
流
(
ながれ
)
を
渉
(
わた
)
り、
梢
(
こずゑ
)
を
攀
(
よ
)
ぢ、
桂
(
かつら
)
を
這
(
は
)
つて、
此処
(
こゝ
)
に
辿
(
たど
)
り
着
(
つ
)
いた
山蔭
(
やまかげ
)
に、はじめて
見
(
み
)
たのは
此
(
こ
)
の
桜
(
さくら
)
で。……
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
ジョバンニが学校の門を出るとき、同じ組の七、八人は家へ帰らずカムパネルラをまん中にして
校庭
(
こうてい
)
の
隅
(
すみ
)
の
桜
(
さくら
)
の木のところに
集
(
あつ
)
まっていました。
銀河鉄道の夜
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
井戸は江戸時代にあつては
三宅坂側
(
みやけざかそば
)
の
桜
(
さくら
)
ヶ
井
(
ゐ
)
も
清水谷
(
しみづだに
)
の
柳
(
やなぎ
)
の
井
(
ゐ
)
、
湯島
(
ゆしま
)
の
天神
(
てんじん
)
の
御福
(
おふく
)
の
井
(
ゐ
)
の如き、古来江戸名所の
中
(
うち
)
に数へられたものが多かつたが
水 附渡船
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
そんな風に考えて来ると
涙
(
なみだ
)
が
溢
(
あふ
)
れて来るのである。ざあと雨のような風の音がしている。もう、この風で、最後の
桜
(
さくら
)
の花も散ってしまうであろう。
河沙魚
(新字新仮名)
/
林芙美子
(著)
春もすでに三月のなかばである、木々のこずえにはわかやかな緑がふきだして、
桜
(
さくら
)
のつぼみが輝きわたる青天に向かって
薄紅
(
うすべに
)
の
爪先
(
つまさき
)
をそろえている。
ああ玉杯に花うけて
(新字新仮名)
/
佐藤紅緑
(著)
その川っぷちへ行って用を足す。ところがその辺に
桜
(
さくら
)
ン
坊
(
ぼう
)
という例のストリート・ガールが網を張っているのだ。
地獄街道
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
左右
(
さゆう
)
の
店
(
みせ
)
は悉く
明
(
あか
)
るかつた。代助は
眩
(
まぼ
)
しさうに、電気燈の
少
(
すく
)
ない横町へ
曲
(
まが
)
つた。江戸川の
縁
(
ふち
)
へ
出
(
で
)
た時、
暗
(
くら
)
い風が
微
(
かす
)
かに
吹
(
ふ
)
いた。
黒
(
くろ
)
い
桜
(
さくら
)
の葉が少し
動
(
うご
)
いた。
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
それから
飲料
(
いんりょう
)
としては
桜
(
さくら
)
の
花漬
(
はなづけ
)
、それを
湯呑
(
ゆの
)
みに
入
(
い
)
れて
白湯
(
さゆ
)
をさして
客
(
きゃく
)
などにすすめました。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
そのとき私の帽子の上になんだか雨滴のようなものがぽたりと落ちて来たから。そこでその宙に浮いた手を私はそのまま帽子の上に持って行った。それは小さな
桜
(
さくら
)
の実であった。
美しい村
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
そのまた
向
(
む
)
こうのあの山
越
(
こ
)
えて、この山
越
(
こ
)
えて、
桜
(
さくら
)
が
咲
(
さ
)
いて、お山のからすが
団子
(
だんご
)
ほしいとないた、ではない、
花
(
はな
)
より
団子
(
だんご
)
でお
茶
(
ちゃ
)
上
(
あ
)
がれ、お
茶
(
ちゃ
)
がすんだら三
遍
(
べん
)
回
(
まわ
)
って
煙草
(
たばこ
)
に
庄助
(
しょうすけ
)
さんが
長い名
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
おはもじながらここもとは、そもじ
思
(
おも
)
うて
首
(
くび
)
ッたけ、
烏
(
からす
)
の
鳴
(
な
)
かぬ
日
(
ひ
)
はあれど、そもじ
見
(
み
)
ぬ
日
(
ひ
)
は
寝
(
ね
)
も
寝
(
ね
)
つかれぬ。
雪駄
(
せった
)
ちゃらちゃら
横眼
(
よこめ
)
で
見
(
み
)
れば、
咲
(
さ
)
いた
桜
(
さくら
)
か
芙蓉
(
ふよう
)
の
花
(
はな
)
か、さても
見事
(
みごと
)
な
富士
(
ふじ
)
びたえ。
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
居ながらにして
幽邃閑寂
(
ゆうすいかんじゃく
)
なる
山峡
(
さんきょう
)
の
風趣
(
ふうしゅ
)
を
偲
(
しの
)
び、
渓流
(
けいりゅう
)
の
響
(
ひびき
)
の
潺湲
(
せんかん
)
たるも尾の上の
桜
(
さくら
)
の
靉靆
(
あいたい
)
たるもことごとく心眼心耳に浮び来り、花も
霞
(
かすみ
)
もその声の
裡
(
うち
)
に備わりて身は
紅塵万丈
(
こうじんばんじょう
)
の都門にあるを忘るべし
春琴抄
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
いっぽんの
桜
(
さくら
)
の木の
根
(
ね
)
かたに、やさしいおじいさんがいました。
里の春、山の春
(新字新仮名)
/
新美南吉
(著)
木
(
き
)
が
弱
(
よわ
)
ったと
知
(
し
)
ると、
学校
(
がっこう
)
じゅうは、たいへんなものでした。
先生
(
せんせい
)
も、
生徒
(
せいと
)
も、
小使
(
こづか
)
いもみんな
桜
(
さくら
)
の
木
(
き
)
の
身
(
み
)
の
上
(
うえ
)
を
心配
(
しんぱい
)
しました。
学校の桜の木
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
トなだらかな、
薄紫
(
うすむらさき
)
の
崖
(
がけ
)
なりに、
桜
(
さくら
)
の
影
(
かげ
)
を
霞
(
かすみ
)
の
被衣
(
かつぎ
)
、ふうわり
背中
(
せなか
)
から
裳
(
すそ
)
へ
落
(
おと
)
して、
鼓草
(
たんぽゝ
)
と
菫
(
すみれ
)
の
敷満
(
しきみ
)
ちた
巌
(
いは
)
を
前
(
まへ
)
に、
其
(
そ
)
の
美女
(
たをやめ
)
が
居
(
ゐ
)
たのである。
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
井戸は江戸時代にあっては
三宅坂側
(
みやけざかそば
)
の
桜
(
さくら
)
ヶ
井
(
い
)
、
清水谷
(
しみずだに
)
の
柳
(
やなぎ
)
の
井
(
い
)
、
湯島
(
ゆしま
)
の
天神
(
てんじん
)
の
御福
(
おふく
)
の
井
(
い
)
の如き、古来江戸名所の
中
(
うち
)
に数えられたものが多かったが
日和下駄:一名 東京散策記
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
光一はお堂の前にでた。そこの
桜
(
さくら
)
の下に千三が立っている。光一は
赫
(
かっ
)
とした。かれは
野猪
(
のじし
)
のごとく突進した。
ああ玉杯に花うけて
(新字新仮名)
/
佐藤紅緑
(著)
ふりかえってみると、
桜
(
さくら
)
ン
坊
(
ぼう
)
のような例の女は、白い腕をしなやかに辻永の腰に廻して
艶然
(
えんぜん
)
と笑っていた。そして二人の姿は吸いこまれるように
格子
(
こうし
)
の中に消えてしまった。
地獄街道
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
巨
(
おお
)
きな
桜
(
さくら
)
へみんな百ぐらいずつの
電燈
(
でんとう
)
がついていた。それに赤や青の
灯
(
ひ
)
や池にはかきつばたの形した
電燈
(
でんとう
)
の
仕掛
(
しか
)
けものそれに
港
(
みなと
)
の船の灯や電車の火花じつにうつくしかった。
或る農学生の日誌
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
桜
(
さくら
)
の
散
(
ち
)
る時分には、
夕暮
(
ゆふぐれ
)
の
風
(
かぜ
)
に
吹
(
ふ
)
かれて、
四
(
よつ
)
つの
橋
(
はし
)
を
此方
(
こちら
)
から
向
(
むかふ
)
へ
渡
(
わた
)
り、
向
(
むかふ
)
から又
此方
(
こちら
)
へ
渡
(
わた
)
り返して、長い
堤
(
どて
)
を
縫
(
ぬ
)
ふ様に
歩
(
ある
)
いた。が其
桜
(
さくら
)
はとくに
散
(
ちつ
)
て仕舞つて、
今
(
いま
)
は緑蔭の時節になつた。
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
“桜(サクラ)”の解説
サクラ(桜、櫻、英:Cherry blossom、Japanese cherry、Sakura)は、バラ科サクラ亜科サクラ属 (スモモ属とすることもある。「野生種の分類」の項を参照)の落葉広葉樹の総称。またはその花である。一般的に俳句等で春を表現する季語に用いられ桜色と表現される白色や淡紅色から濃紅色の花を咲かせる。
(出典:Wikipedia)
桜
常用漢字
小5
部首:⽊
10画
“桜”を含む語句
桜桃
桜花
彼岸桜
桜実
山桜
桜草
桜井
桜痴
桜樹
桜貝
桜田門外
桜鯛
桜川
桜川町
金王桜
実桜
桜町
東山桜荘子
観桜
遅桜
...